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【射影幾何】基礎から応用へ〈はじめに〉

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Projective Geometry: From Foundations to Applicationsの和訳及び解説

 このシリーズではタイトルにある通りインターネット上で公開されているCambridge University Press『Projective Geometry: From Foundations to Applications』を和訳し解説していこうと思います.
 この記事は紹介なので内容には入りませんが、目次と序文の和訳(間違いが含まれてる可能性あり)を載せておきます.拙文なのですが優しく見守っていただけると幸いです。あと間違いなどがあった場合はメールやコメントなどで教えてもらえると記事の完成度が上がるので喜びます.
 幾何学の定義から始まるので射影幾何を学びたいなと思っている方にお勧めです.これは毎週水曜日に記事を更新していきますので応援してもらえるとありがたいです!
(注意!一応調べていますが出てこなかった用語は雰囲気で訳しているため、一般に使われている用語とは違う可能性があります!ご了承ください.)

目次

1 純粋幾何学

1.1 基礎
1.2 射影幾何の公理
1.3 射影幾何の構造
1.4 商幾何
1.5 有限射影空間
1.6 アフィン幾何
1.7 ダイアグラム
1.8 応用:効率的な通信

2 解析幾何学

2.1 射影空間$P(V)$
2.2 デザルグとパップスの定理
2.3 座標
2.4 $PG(3.F)$の二次双曲線
2.5 正規有理曲線
2.6 モールトン平面
2.7 空間幾何はデザルグシアン
2.8 応用:通信問題

3 表現論、また射影空間、アフィン空間の良い表現

3.1 中心共線
3.2 変換群
3.3 剰余環
3.4 表現論
3.5 共線の表現論
3.6 射影共線

4 二次集合

4.1 基礎概念
4.2 二次集合の指数
4.3 低次元空間内の二次集合
4.4 有限射影空間の二次集合
4.5 楕円,放物線,双曲線の二次集合
4.6 クライン二次集合
4.7 (タイトル未定)
4.8 プラッカー座標
4.9 応用:暗号化鍵のストレージ削減

5 符号理論への幾何学の応用

5.1 符号理論の基礎概念
5.2 線形符号
5.3 ハミング符号
5.4 MDS符号
5.5 リード・マラー符号

6 暗号理論への幾何学の応用

6.1 暗号理論の基礎概念
6.2 暗号化
6.3 認証
6.4 秘密分散法

序文

過去100年の間に出版された幾何学の教科書の序文をランダムに選んでざっと目を通してみると面白いことがある.著者たちは流行り廃りの激しい分野を著している。今となっては幾何学の地位はとても低下したようだ、というのも流行の分野にカリキュラムを割きすぎて幾何学に触れる時間を減らされた乏しい訓練を受けた教育者が増えたからだ。もちろん、幾何学を勉強したことある人にとって教育者が誤った方向に進んでいることは確かである.

なぜ私たちは射影幾何を学んだ方が良いのだろうか?
まず、射影幾何というのは数学における宝石のようなもので、非ユークリッド幾何、抽象代数学、計算基礎が現れた19世紀における目立った功績のひとつであり、微分方程式、ガロア理論と同等に数学の一般教育を占めている.さらに、代数幾何の基礎になり、今日における最も熱気があり面白い数学の分野の一つとなっている.
次に、50年以上の間、その組み合わせによって新しい方向に射影幾何は進んできた.パラメータを用いて古典的な幾何の構造を記述する試みは有限幾何に限らず、他の栄えている数学の分野に勢いを与えている.
そして、新しく重要な応用が発見されている。驚くことに、古典的な射影幾何の構造は申し分なく現代通信に適合している。特に私たちは符号理論と暗号理論に対する射影幾何の応用を述べようと思う。

さて、射影幾何とは何だろうか。
それは17世紀の建築家ジラール・デザルグによって最初に体系化され、ルネサンス期の潮流を受け継いだ古典的な数学者を驚かせた学問である.ここではドイツの数学者デイビッド・ヒルベルトの著書『Foundation of Geometry(1899)』に従うことにする.幾何学はその公理系から導かれる定理の集合体であり.このアプローチは物理的空間に縛られている幾何学者を自由する.しかし自然から余りにも離れてしまい無意味な抽象化をしてしまう危険性がある.拙著ではヒルベルトでさえ考えなかった多くのアイデアを用いてこの事態に陥ることを避けることにする.射影幾何が何であるかを要約することは難しいが、単純に射影幾何というものは数学やその応用にある多くの現象を記述する非常に良い言語である.この言語を最大限活用できるようになることが拙著の目標とする.

最初の4つの章は主に純粋な幾何学にスポットライトを当てる.1章では理想的に設定された幾何を勉強し、基底、次元、部分空間、商空間、そしてアフィン空間など概念を紹介する.2章では射影空間の最も重要な概念を紹介する,つまりそれはベクトル空間によって構築されるもので体を用いる座標系が与えられる.解析幾何では通常,射影空間やアフィン空間を扱うもので他の構造は考えない.3章では厳密によく言われる次の文言について考える:古典幾何の傑作は射影空間とアフィン空間の表現論である.
 デザルグの定理が成り立つ任意の射影空間やアフィン空間は座標系が考えられる.特に,3次以上の射影空間やアフィン空間はベクトル空間上で座標系が与えられることを示す.デザルグ射影空間の共線(つまり,自己同型)を記述できる.第4章ではおそらく古典幾何で最も研究された二次の対象について調べる.近代的で総合的な観点から眺めることでき,二次集合のもつ性質のみを用いて可能な限り進んでみようと思う.これは,これらの構造が持つ幾何的な良い性質を用いることができる.
 現実世界上の幾何だけではなく,それらの有限アナログについても考え,特にパラメータに注目する.さらに,どの章の終わりにも応用を紹介することにする.これはいくつもの応用が単純な幾何学的構造に基づいていることが明らかになる.
 最後の2章では,応用において重要な領域,つまり符号理論と暗号理論に注目する.符号理論の狙いは,メッセージの受信者がデータを保管または転送する間にランダムに起きたエラーを探知したり正したりすることを可能にする技術を発展させることである.符号理論の問題の多くは幾何的な問いに直接,翻訳できるかである.そして,暗号理論の狙いは文書を暗号化することによって情報を保存することや修正に対してデータを守ることである.驚くべきことに,暗号システムは素晴らしい性質をもつ幾何学に基づいている.実際に使用されているほとんどのシステムとは対照的に、これらは任意の高レベルの証明可能なセキュリティを提供する.第6章では,これらのシステムを学ぶ.

教育的な観点から、拙著は3つの公理に基づいている.
1.読者が射影幾何やアフィン幾何についての前提知識をもってなくても構わない.読者が内容についていけるために基本的な部分を詳細に説明する.一方で,一般的に大学1年次や2年次に学ぶ数学を学習していることを前提としている.同値関係や基底、全単射のような概念は理解しておいてもらいたい.
2.射影幾何のほとんどの領域が応用にとても重要である.
3.ここでの内容は1年間で学べるものである.

これらの公理は19世紀,20世紀に崇められた射影幾何の多くのテーマ周辺の近道を与えるものである.比,調和集合,非デザルグ平面は射影なしでかつ,共線群が中心的な存在でなければ触れられない.これらの不足を悔やむかもしれないが言い換えると次のことに注意しておく.
ーこれは生徒が自学で読める本である.
ー数ある演習の多くは読者の理解を高めるためにとても簡単である.
ー教科書内で初めて現れるいくつかのトピックを紹介できることを誇りに思う.例えば,純粋な推論によって得れる有限空間の二次の分類(Th4.4.4).もう一つの例は,リード・マラー符号の幾何的な記述である.最終的に,ギルバート,マックウィリアムズ,スローンの定理を述べる(6.3.1を参照).私たちの考えではこの証明は明らかなものである.
ー最後に、第1章と第4章は幾何研究において過去20年間で基礎構造に調べるダイアグラムによって幾何的な構造を記述する.

驚くことに,共同執筆は冒険である.私たちの場合,共著というものは激しく心躍るものでたとえ私たちの意見が違っていてもこれらの活動を通して面白いものであった.多くの意見は私たちの誰かがばかげた質問をすることで解され,徹底的に無駄のない概念に再検討するきっかけを与えた.こうした意見が読者の手助けになることを願っている.

拙著が出版できたのは必要不可欠な貢献をしてくれた助手と生徒のおかげで,特に彼らは草書に目を通してくれた.その中でも批判的に原稿を読み,誤りを指摘したウーヴェ・ブロッチャー,ヨルグ・アイスフェルト,クラウス・メッチに特に感謝を申し上げたい.
私たちはクリス・フィッシャーとジョン・ロハスの寛大な助言なしに翻訳を作ることができなかった.
最終的に常に自発ではないが非常に寛大な援助をしてくれた私たちの配偶者に感謝する

投稿日:87
更新日:816

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投稿者

数学科所属の大学生です. 学んだことをここにアウトプットしていきます. 誰が見ても分かりやすいようなシリーズものをあげていくので興味がある方はチェックしていただけると嬉しいです.

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