$n$ を正の整数とする。座標平面上の $3n$ 個の点がなす集合
$$
\{(x,\ y)\mid x,\ y\text{ は }1\leqq x\leqq 3,\ 1\leqq y\leqq n\text{ を満たす整数}\}
$$
から相異なる $3$ 点を選ぶ。ただし,どの $3$ 点も等確率で選ばれるものとする。選んだ $3$ 点が三角形の $3$ 頂点となる確率を $p_n$ とする。
(1) $p_5$ を求めよ。
(2) $m$ を $2$ 以上の整数とする。$p_{2m}$ を求めよ。
$[n]:=\{1,2,\dots,n\}$,$L_n:=[3]\times[n]$ とおく。直線 $x=j$ 上の $n$ 点を第 $j$ 列,直線 $y=k$ 上の $3$ 点を第 $k$ 行(高さ $k$)とよぶ。
$L_n$ の $3$ 点部分集合は $\binom{3n}{3}$ 個あり,仮定よりそれらは等確率で選ばれる。三角形は同一直線上にない $3$ 点を頂点とする図形であるから,相異なる $3$ 点が三角形の $3$ 頂点となることは,$3$ 点が共線でないことと同値である。そこで
$$
T_n:=\#\{\text{共線でない 3 点集合}\},\qquad D_n:=\#\{\text{共線な 3 点集合}\}
$$
とおくと $T_n+D_n=\binom{3n}{3}$ であり,
$$
p_n=\frac{T_n}{\binom{3n}{3}}=1-\frac{D_n}{\binom{3n}{3}}.
$$
「三角形をなす」は不等式条件(面積 $\neq0$),「共線」は等式条件(面積 $=0$)である。等式で記述される側は一つの方程式の解として構造化できるため,以下では主として $D_n$ を決定する。
$3$ 点の $x$ 座標の重複の仕方は,すべて等しい($3$ 型),ちょうど $2$ つが等しい($2+1$ 型),すべて異なる($1+1+1$ 型)のいずれかである。
$L_n$ の相異なる $3$ 点について,次が成り立つ。
(1) $3$ 型ならば,$3$ 点は共線である。
(2) $2+1$ 型ならば,$3$ 点は共線でない。
(3) $1+1+1$ 型ならば,$3$ 点は $(1,a),\ (2,b),\ (3,c)$ $(a,b,c\in[n])$ と一意に表される。
$3$ 型の $3$ 点集合は各列に $\binom n3$ 個ずつ,計 $3\binom n3$ 個あり,すべて共線である。$2+1$ 型はすべて三角形をなす。したがって非自明な判定が必要なのは $1+1+1$ 型のみである。
$a,b,c\in\mathbb{Z}$ に対し,$3$ 点 $\mathrm{A}=(1,a),\ \mathrm{B}=(2,b),\ \mathrm{C}=(3,c)$ が共線であるための必要十分条件は $a+c=2b$ である。
直線 $\mathrm{AC}$ 上の点は $(1+2t,\ a+t(c-a))$ $(t\in\mathbb{R})$ と表され,$x$ 座標が $2$ となるのは $t=\frac12$ のときに限る。よって直線 $\mathrm{AC}$ と直線 $x=2$ の交点は線分 $\mathrm{AC}$ の中点 $\left(2,\frac{a+c}{2}\right)$ であり,$\mathrm{B}$ が直線 $\mathrm{AC}$ 上にあることは $b=\frac{a+c}{2}$ と同値である。
$a+c=2b$ は $b-a=c-b$ と同値であり,$(a,b,c)$ がこの順に(公差 $0$ を許す)$3$ 項等差数列をなすこと,また等間隔 $3$ 点における第 $2$ 階差 $a-2b+c$ が $0$ であることを意味する。同じ一次式は面積・重心・双対などからも得られる( 3.1 )。
$$
S_n:=\{(a,b,c)\in[n]^3\mid a+c=2b\},\qquad N_n:=\#S_n
$$
とおくと,
$$
D_n=3\binom{n}{3}+N_n,\qquad p_n=1-\frac{3\binom{n}{3}+N_n}{\binom{3n}{3}}.
$$
$S_n$ は,平面 $a-2b+c=0$ と立方体 $[1,n]^3$ の共通部分に含まれる格子点の全体である。この平面上の格子点には二つの自然な座標がある。
射影 $(a,b,c)\mapsto(a,c)$ は $S_n$ 上で単射であり($b=\frac{a+c}{2}$ で復元される),その像は
$$
E_n:=\{(a,c)\in[n]^2\mid a\equiv c\pmod 2\}
$$
である。実際,$(a,c)\in E_n$ ならば $\frac{a+c}{2}$ は整数であり,$\min(a,c)\leqq\frac{a+c}{2}\leqq\max(a,c)$ より $\frac{a+c}{2}\in[n]$ となる。すなわち,中央点の範囲条件は外側 $2$ 点の範囲条件から自動的に従う。
$(a,b,c)\in S_n$ に対し $d:=b-a=c-b\in\mathbb{Z}$ とおくと $a=b-d,\ c=b+d$ である。$\min(b-d,b+d)=b-\lvert d\rvert$,$\max(b-d,b+d)=b+\lvert d\rvert$ に注意すると,$(a,b,c)\mapsto(b,d)$ は $S_n$ から
$$
Q_n:=\{(b,d)\in\mathbb{Z}^2\mid 1+\lvert d\rvert\leqq b\leqq n-\lvert d\rvert\}
$$
への全単射である。$Q_n$ は $(b,d)$ 平面の菱形内の格子点の全体である。線形写像 $(b,d)\mapsto(b-d,\ b+d)$ の行列式は $2$ であり,$\mathbb{Z}^2$ を指数 $2$ の部分格子 $\{(a,c)\in\mathbb{Z}^2\mid a\equiv c\pmod 2\}$ の上へ写す。
したがって $N_n=\#E_n=\#Q_n$ であり,$N_n$ は「正方形 $[1,n]^2$ 内の指数 $2$ の部分格子の点の個数」である。$n=5$ の $E_5$ を,各点に $b=\frac{a+c}{2}$ を記入して示す($\cdot$ は $a\not\equiv c\pmod 2$)。
| $a\backslash c$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $5$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $1$ | $1$ | $\cdot$ | $2$ | $\cdot$ | $3$ |
| $2$ | $\cdot$ | $2$ | $\cdot$ | $3$ | $\cdot$ |
| $3$ | $2$ | $\cdot$ | $3$ | $\cdot$ | $4$ |
| $4$ | $\cdot$ | $3$ | $\cdot$ | $4$ | $\cdot$ |
| $5$ | $3$ | $\cdot$ | $4$ | $\cdot$ | $5$ |
記入された $13$ 個の数は,奇数行に $3$ 個ずつ,偶数行に $2$ 個ずつ並ぶ($3^2+2^2$)。対角線方向 $c-a=2d$ 一定の並びは傾き $d$ の直線に,反対角線方向 $a+c=2b$ 一定の並びは中央点 $\mathrm{B}=(2,b)$ に対応する。
各解法は,同一の有限集合 $S_n$ をどの座標でどう分解して数えるかの違いとして整理される。
| 数える集合 | 分解の仕方 | 解法 |
|---|---|---|
| $E_n$ | 偶奇類ごとの直積に分ける | 本解(2 章) |
| $E_n$ | 線分 $\mathrm{AC}$ 上の格子点公式で数える | 3.2 |
| $Q_n$ | $d$ を固定して切る | 別解1(3.4) |
| $Q_n$ | $b$ を固定して切る | 別解2(3.5) |
| $(N_n)_n$ | $n-2\to n$ の増分を数える | 参考解1(3.7) |
| $E_n$ | 偶奇を多項式の値 $x=\pm1$ で抽出する | 参考解2(3.8) |
別解3(3.6)のみは, 補題2 の列型分類の代わりに行型分類から出発する別系統である。
幅 $2$ の格子 $[2]\times[n]$ では,鳩の巣原理により $3$ 点のうち $2$ 点が同じ列にあるから,共線は鉛直な場合に限られる。幅 $3$ は非鉛直な共線が現れる最小の幅であり,しかも非自明な型は $1+1+1$ 型ただ一つで,中央列が外側 $2$ 列の中点に位置する。この二点により,幾何的な共線判定が $3$ 項等差数列の計数 $N_n$ に正確に一致する。
格子点 $\mathrm{P},\mathrm{R}$ を結ぶ開線分上の格子点の個数は $\gcd(\lvert\Delta x\rvert,\lvert\Delta y\rvert)-1$ である(
補題6
)。幅 $3$ では $\lvert\Delta x\rvert\in\{0,1,2\}$ であるから,退化の判定に現れる数論的情報は $\Delta y$ の偶奇のみとなる。幅 $k\geqq4$ では $\lvert\Delta x\rvert=3$ の組が現れ,$\Delta y$ を $3$ で割った余りが判定に入る。すなわち幅 $3$ は,退化の判定が偶奇だけで決まる最大の幅である。これに対応して,幅 $k$ の格子の共線 $3$ 点数は周期が $\operatorname{lcm}(1,\dots,k-1)$ の約数である $n$ の準多項式となり,$k=3$ では周期 $2$,$k=4$ では周期はちょうど $6$ である(
5.1
)。
奇数の $n=2m+1$ $(m\geqq0)$ に対しては
$$
D_{2m+1}=4m^3+2m^2+m+1,\qquad \binom{6m+3}{3}=(2m+1)(3m+1)(6m+1)
$$
であり,両者は多項式として互いに素である。その結果
$$
p_{2m+1}=\frac{2m(16m^2+17m+5)}{(2m+1)(3m+1)(6m+1)}
$$
となり,分子の $2$ 次式は判別式 $17^2-4\cdot16\cdot5=-31<0$ により実数の範囲で既約である。これに対し偶数の $n=2m$ では偶奇類の大きさが等しく($m$ 個ずつ),$D_{2m}=2m(2m^2-2m+1)$ と $\binom{6m}{3}=2m(3m-1)(6m-1)$ が共通因子 $2m$ をもつため,$p_{2m}$ は $2$ 次式の比に簡約される。
以上から,(2) は閉じた式が簡潔になる偶数側に一般の $n$ を置き,(1) は偶奇類の大きさが不均衡(奇数 $3$ 個,偶数 $2$ 個)な奇数側を具体値で問う構成と読める。なお (2) の結論は $m=1$ でも成り立つ($p_2=\frac{9}{10}$)から,条件 $m\geqq2$ は結論の成立には不要であり,$2m\geqq3$,すなわち $3$ 型の共線が実際に存在する範囲への限定と解される。
等確率の仮定は計数比への正規化を与えるにすぎない。$n\to\infty$ で $p_n\to\frac89$ となり,極限に残る $\frac19$ は $3$ 点が同一列に入る確率の極限 $3\cdot\left(\frac13\right)^3$ に等しい。非鉛直な共線の寄与は $O(n^{-1})$ である( 2.3 )。
補集合 $D_n$ を数える。列型分類により $3$ 型($3\binom n3$ 個)と $2+1$ 型(退化なし)を処理し,$1+1+1$ 型では「外側 $2$ 点の中点が中央列の格子点となる」ことを高さの偶奇の一致に言い換え,同じ偶奇の組 $(a,c)$ の個数として $N_n$ を求める。
$3$ 点の選び方は $\binom{3n}{3}$ 通りで,これらは等確率である。相異なる $3$ 点が三角形の $3$ 頂点とならないのは $3$ 点が共線のときに限るから,共線な $3$ 点集合の個数 $D_n$ を求めればよい。$3$ 点の $x$ 座標の重複の仕方で分類する。
$3$ 点がすべて同じ列にあるとき,$3$ 点は鉛直線上にあって共線であり,その個数は $3\binom n3$ である。
ちょうど $2$ 点が同じ列にあるとき,その $2$ 点を通る直線は鉛直線であり,残る $1$ 点は別の列にあるからこの直線上にない。よって共線でない。
$3$ 点が相異なる列にあるとき,$3$ 点は $\mathrm{A}=(1,a),\ \mathrm{B}=(2,b),\ \mathrm{C}=(3,c)$ $(a,b,c\in[n])$ と書ける。直線 $\mathrm{AC}$ 上の点は $(1+2t,\ a+t(c-a))$ $(t\in\mathbb{R})$ と表され,$x=2$ となるのは $t=\frac12$ のときに限るから,
$$
\mathrm{A},\mathrm{B},\mathrm{C}\text{ が共線}\iff b=\frac{a+c}{2}.
$$
$a,c$ は整数であるから,$\frac{a+c}{2}$ が整数であることは $a\equiv c\pmod 2$ と同値である。さらに $\min(a,c)\leqq\frac{a+c}{2}\leqq\max(a,c)$ であるから,このとき $\frac{a+c}{2}\in[n]$ は自動的に成り立つ。したがって $1+1+1$ 型の共線 $3$ 点集合は,$a\equiv c\pmod 2$ を満たす $(a,c)\in[n]^2$ と一対一に対応する($b$ は $b=\frac{a+c}{2}$ により一意に定まる)。$[n]$ に含まれる奇数の個数を $o_n$,偶数の個数を $e_n$ とすると,その個数は
$$
N_n=o_n^2+e_n^2,\qquad o_n=\left\lceil\frac n2\right\rceil,\quad e_n=\left\lfloor\frac n2\right\rfloor
$$
である。以上より
$$
p_n=1-\frac{3\binom n3+o_n^2+e_n^2}{\binom{3n}{3}}.
$$
$n=5$ のとき $o_5=3,\ e_5=2$ より $N_5=9+4=13$ である。$3\binom53=30$,$\binom{15}{3}=455$ であるから
$$
p_5=1-\frac{30+13}{455}=\boxed{\frac{412}{455}}.
$$
$n=2m$ のとき $o_{2m}=e_{2m}=m$ より $N_{2m}=2m^2$ である。また
$$
3\binom{2m}{3}=\frac{2m(2m-1)(2m-2)}{2}=2m(2m-1)(m-1),\qquad \binom{6m}{3}=\frac{6m(6m-1)(6m-2)}{6}=2m(3m-1)(6m-1)
$$
であるから
$$
D_{2m}=2m(2m-1)(m-1)+2m^2=2m(2m^2-2m+1).
$$
よって
$$
\begin{aligned}
p_{2m}&=1-\frac{2m^2-2m+1}{(3m-1)(6m-1)}=\frac{(18m^2-9m+1)-(2m^2-2m+1)}{(3m-1)(6m-1)}\\
&=\boxed{\frac{m(16m-7)}{(3m-1)(6m-1)}}.
\end{aligned}
$$
すべての正の整数 $n$ に対して
$$
N_n=\left\lceil\frac n2\right\rceil^2+\left\lfloor\frac n2\right\rfloor^2=\left\lceil\frac{n^2}{2}\right\rceil.
$$
第 $1$ の等号は 2.2 の議論による。$n=2k$ ならば両辺は $2k^2=\frac{n^2}{2}$,$n=2k+1$ ならば両辺は $2k^2+2k+1=\left\lceil\frac{4k^2+4k+1}{2}\right\rceil$ である。
$3$ 点集合をすべて列挙して共線性を直接判定した値と, 命題4 ・ 命題5 による値は一致する。
| $n$ | $\binom{3n}{3}$ | $3\binom n3$ | $N_n$ | $D_n$ | $p_n$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $1$ | $1$ | $0$ | $1$ | $1$ | $0$ |
| $2$ | $20$ | $0$ | $2$ | $2$ | $9/10$ |
| $3$ | $84$ | $3$ | $5$ | $8$ | $19/21$ |
| $4$ | $220$ | $12$ | $8$ | $20$ | $10/11$ |
| $5$ | $455$ | $30$ | $13$ | $43$ | $412/455$ |
| $6$ | $816$ | $60$ | $18$ | $78$ | $123/136$ |
$m=1,2,3$ を (2) の式に代入すると $\frac{9}{10}$,$\frac{50}{55}=\frac{10}{11}$,$\frac{123}{136}$ となり,表と一致する。また列型による分解 $\binom{3n}{3}=3\binom n3+6n\binom n2+n^3$($n=5$ で $30+300+125=455$)は,型分類が標本空間を過不足なく分割していることの検算となる。
$$
\frac{3\binom n3}{\binom{3n}{3}}=\frac{(n-1)(n-2)}{(3n-1)(3n-2)}=\frac19-\frac{2}{9n}+O(n^{-2}),\qquad \frac{N_n}{\binom{3n}{3}}=\frac{1}{9n}+O(n^{-2})
$$
より
$$
p_n=\frac89+\frac{1}{9n}+O(n^{-2})\qquad(n\to\infty).
$$
実際 $p_{2m}-\frac89=\frac{9m-8}{9(3m-1)(6m-1)}>0$ である。極限が $1$ となる式が得られた場合は,鉛直な共線 $3\binom n3$ の脱落を疑うべきである。
$p_{2m}$ の分子と分母は $m$ の多項式として共通因子をもたない。ただし整数としては約分が生じうる。$\gcd(m,(3m-1)(6m-1))=1$,$\gcd(3m-1,6m-1)=1$ であり,
$$
(16m-7)-5(3m-1)=m-2,\quad (3m-1)-3(m-2)=5,\qquad 3(16m-7)-8(6m-1)=-13
$$
より $\gcd(16m-7,3m-1)\mid5$,$\gcd(16m-7,6m-1)\mid13$ である。したがって分子と分母の最大公約数は $5^{\varepsilon}\,13^{\eta}$ の形であり,$\varepsilon=1\iff m\equiv2\pmod5$,$\eta=1\iff m\equiv11\pmod{13}$(それ以外は $0$)である(例:$m=2$ で $\frac{50}{55}=\frac{10}{11}$,$m=11$ で $\frac{1859}{2080}=\frac{143}{160}$)。
from itertools import combinations
from fractions import Fraction
def p(n):
P = [(x, y) for x in (1, 2, 3) for y in range(1, n + 1)]
good = total = 0
for (x1, y1), (x2, y2), (x3, y3) in combinations(P, 3):
total += 1
good += (x2 - x1) * (y3 - y1) != (y2 - y1) * (x3 - x1)
return Fraction(good, total)
print(p(5)) # 412/455
print(all(p(2*m) == Fraction(m*(16*m - 7), (3*m - 1)*(6*m - 1)) for m in range(1, 16))) # True
補題3 の一次式 $a-2b+c$ は以下のいずれからも得られる。いずれも同一の一次式に到達するため,計数の段階で新しい枝を生まない。以下 $\mathrm{A}=(1,a),\ \mathrm{B}=(2,b),\ \mathrm{C}=(3,c)$ とする。
$\overrightarrow{\mathrm{AB}}=(1,\ b-a)$,$\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(2,\ c-a)$ より,三角形 $\mathrm{ABC}$ の符号付き面積の $2$ 倍は
$$
\det\begin{pmatrix}1&b-a\\2&c-a\end{pmatrix}=(c-a)-2(b-a)=a-2b+c
$$
であり,共線はこれが $0$ であることと同値である。副産物として,退化しない三角形の面積は $\frac12$ の正の整数倍,特に $\frac12$ 以上である。
$1+1+1$ 型の $3$ 点の重心 $\mathrm{G}$ の $x$ 座標は $\frac{1+2+3}{3}=2$ である。$3$ 点が共線ならば,$\mathrm{G}$ はその直線(鉛直でない)上の $x$ 座標 $2$ の点であるから $\mathrm{G}=\mathrm{B}$,すなわち $\mathrm{A}+\mathrm{C}=2\mathrm{B}$ となる。逆に $\mathrm{A}+\mathrm{C}=2\mathrm{B}$ ならば $\mathrm{B}$ は線分 $\mathrm{AC}$ の中点であり,$3$ 点は共線である。
$f:\{1,2,3\}\to\mathbb{Z}$ を $f(1)=a,\ f(2)=b,\ f(3)=c$ で定める。$1+1+1$ 型の $3$ 点を通る直線は鉛直でないから,共線であることは $f$ が一次関数 $x\mapsto\alpha x+\beta$ の制限であることと同値であり,これは $\Delta f(1)=\Delta f(2)$,すなわち
$$
\Delta^2 f(1)=f(3)-2f(2)+f(1)=a-2b+c=0
$$
と同値である($b-a=c-b=\alpha$ ならば $f(x)=a+\alpha(x-1)$)。
点 $(x,y)$ に直線 $\ell_{(x,y)}:\ Y=xX-y$ を対応させると,点 $(x,y)$ が直線 $y=\alpha x+\beta$ 上にあることと,点 $(\alpha,-\beta)$ が $\ell_{(x,y)}$ 上にあることは同値である。$1+1+1$ 型の $3$ 点を通る直線は鉛直でないから,共線であることは $3$ 直線 $Y=X-a,\ Y=2X-b,\ Y=3X-c$ が $1$ 点で交わることと同値である。第 $1$・第 $3$ の直線の交点 $\left(\frac{c-a}{2},\ \frac{c-3a}{2}\right)$ を第 $2$ の式に代入すると $a+c=2b$ を得る。
相異なる格子点 $\mathrm{P},\mathrm{R}$ に対し $\mathrm{R}-\mathrm{P}=(u,v)$,$g=\gcd(\lvert u\rvert,\lvert v\rvert)$ とおく($\gcd(u,0)=\lvert u\rvert$ とする)。開線分 $\mathrm{PR}$ 上の格子点はちょうど $g-1$ 個あり,それらは $\mathrm{P}+\frac{t}{g}(u,v)$ $(t=1,\dots,g-1)$ である。
$0<\lambda<1$ かつ $\mathrm{P}+\lambda(u,v)\in\mathbb{Z}^2$ とする。$u,v$ の少なくとも一方は $0$ でないから $\lambda\in\mathbb{Q}$ である。$\lambda=s/q$(既約分数,$q\geqq1$)と書くと,$\lambda u,\lambda v\in\mathbb{Z}$ と $\gcd(s,q)=1$ より $q\mid u$ かつ $q\mid v$,したがって $q\mid g$ である。よって $\lambda=t/g$,$t\in\{1,\dots,g-1\}$ と書ける。逆に $\frac tg u,\ \frac tg v\in\mathbb{Z}$ であるから,これらの点は格子点である。
外側 $2$ 点 $\mathrm{A}=(1,a)$,$\mathrm{C}=(3,c)$ に対して,直線 $\mathrm{AC}$ 上の中央列の点は $x$ 座標が $1$ と $3$ の間にあるから,開線分 $\mathrm{AC}$ 上にある。
補題6
より,そのような格子点の個数は
$$
\gcd(2,\lvert c-a\rvert)-1=\begin{cases}1 & (a\equiv c\pmod 2)\\ 0 & (a\not\equiv c\pmod 2)\end{cases}
$$
である。したがって $N_n=\sum_{(a,c)\in[n]^2}\bigl(\gcd(2,\lvert c-a\rvert)-1\bigr)=\#E_n$ であり,偶奇条件が格子幾何から直接得られる。
隣接列の $2$ 点($\lvert\Delta x\rvert=1$)を結ぶ開線分は格子点を含まない。しかしこの事実だけでは $2+1$ 型の非退化は従わない(例えば第 $1$ 列の $2$ 点と第 $3$ 列の $1$ 点)。 補題2 (2) の別証は次のとおりである。共線 $3$ 点のうち直線上で中間にある点 $\mathrm{Q}$ は,他の $2$ 点 $\mathrm{P},\mathrm{R}$ を結ぶ開線分上にあるから,$x_{\mathrm{P}}\neq x_{\mathrm{R}}$ ならば $x_{\mathrm{Q}}$ は $x_{\mathrm{P}}$ と $x_{\mathrm{R}}$ の間に真に入り,$x_{\mathrm{P}}=x_{\mathrm{R}}$ ならば $x_{\mathrm{Q}}=x_{\mathrm{P}}$ である。よって共線 $3$ 点は $3$ 型か $1+1+1$ 型に限られる。
補集合を経由せず $T_n$ を直接数える。$2+1$ 型は,$2$ 点をとる列($3$ 通り),その $2$ 点($\binom n2$ 通り),他の列の $1$ 点($2n$ 通り)の選び方で $6n\binom n2$ 個あり,すべて三角形をなす。$1+1+1$ 型は $n^3$ 個のうち $N_n$ 個が共線である。よって
$$
T_n=6n\binom n2+n^3-N_n.
$$
$n=5$ では $T_5=300+125-13=412$ である。$n=2m$ では
$$
T_{2m}=12m\cdot m(2m-1)+8m^3-2m^2=32m^3-14m^2=2m^2(16m-7)
$$
であり,$\binom{6m}{3}=2m(3m-1)(6m-1)$ で割って (2) の答を得る。恒等式 $\binom{3n}{3}=3\binom n3+6n\binom n2+n^3$ により,本解の結果と整合する。
$1+1+1$ 型の共線 $3$ 点は $(1,b-d),\ (2,b),\ (3,b+d)$ $(d\in\mathbb{Z})$ と書け,$d$ はその直線の傾きである。傾きを固定すると,許される配置はその直線の平行移動として数えられる。これは $Q_n$ を $d$ 一定の直線で切ることにあたる。
$1+1+1$ 型の共線 $3$ 点集合 $\{(1,a),(2,b),(3,c)\}$ では $a+c=2b$ であるから,$d:=b-a=c-b\in\mathbb{Z}$ とおけば $3$ 点は $(1,b-d),\ (2,b),\ (3,b+d)$ と表される。逆にこの形の $3$ 点は共線であり,$3$ 点集合と $(b,d)$ は一対一に対応する。範囲条件 $b-d,\ b,\ b+d\in[n]$ は
$$
1+\lvert d\rvert\leqq b\leqq n-\lvert d\rvert
$$
と同値であるから,$d$ を固定したときの $b$ の個数は $\max(n-2\lvert d\rvert,\ 0)$ である。$d=0$(水平)と $d=\pm k$ $(k\geqq1)$ に分けて
$$
N_n=\sum_{d\in\mathbb{Z}}\max(n-2\lvert d\rvert,\ 0)=n+2\sum_{k=1}^{\lfloor (n-1)/2\rfloor}(n-2k).
$$
$$ N_5=5+2\{(5-2)+(5-4)\}=13,\qquad p_5=1-\frac{30+13}{455}=\frac{412}{455}. $$
$\left\lfloor\frac{2m-1}{2}\right\rfloor=m-1$ であり,$j=m-k$ とおくと
$$
N_{2m}=2m+2\sum_{k=1}^{m-1}(2m-2k)=2m+4\sum_{j=1}^{m-1}j=2m+2m(m-1)=2m^2.
$$
以下,本解と同様に $p_{2m}=\frac{m(16m-7)}{(3m-1)(6m-1)}$ を得る。
共線であることは $\mathrm{B}$ が線分 $\mathrm{AC}$ の中点であること,すなわち $\mathrm{A}$ と $\mathrm{C}$ が $\mathrm{B}$ に関して点対称であることと同値である。中央点を固定し,それを中心とする点対称な外側 $2$ 点の組を数える。これは $Q_n$ を $b$ 一定の直線で切ることにあたる。
中央点 $\mathrm{B}=(2,b)$ $(b\in[n])$ を固定する。$\mathrm{B}$ を通る $1+1+1$ 型の共線 $3$ 点集合は,$\mathrm{A}=(1,b-d),\ \mathrm{C}=(3,b+d)$ $(d\in\mathbb{Z})$ によって一対一に与えられる。範囲条件 $b\pm d\in[n]$ は $\lvert d\rvert\leqq\min(b-1,\ n-b)$ と同値であるから,その個数は $2\min(b-1,\ n-b)+1$ である($d=0$ の水平な場合を含む)。よって
$$
N_n=\sum_{b=1}^{n}\bigl\{2\min(b-1,\ n-b)+1\bigr\}.
$$
$b=1,\dots,5$ に対する個数は $1,3,5,3,1$ であるから $N_5=13$,$p_5=\frac{412}{455}$。
$n=2m$ のとき,$b-1\leqq 2m-b\iff b\leqq m$ であるから,$1\leqq b\leqq m$ では $\min=b-1$,$m+1\leqq b\leqq 2m$ では $\min=2m-b$ である。個数の列は $1,3,\dots,2m-1,\ 2m-1,\dots,3,1$ となり
$$
N_{2m}=2\sum_{b=1}^{m}(2b-1)=2m^2.
$$
以下,本解と同様に $p_{2m}=\frac{m(16m-7)}{(3m-1)(6m-1)}$ を得る。
分類軸を列から行へ替え,$3$ 点が使う行の本数($1,2,3$)で分類する。$3$ 本の行を固定すると,問題は $3\times3$ の局所配置の計数に縮約される。三角形を直接数える。
使う行が $1$ 本のとき,$3$ 点はその行の $3$ 点全体で水平に共線である。三角形は $0$ 個。
使う行がちょうど $2$ 本のとき,一方の行に $2$ 点,他方に $1$ 点がある。行の組は $\binom n2$ 通り,固定した $2$ 行に対し $2\cdot\binom32\cdot3=18$ 通りである。同じ行の $2$ 点を通る直線は水平であり,他方の行の点を通らないから,すべて三角形をなす。三角形は $18\binom n2$ 個。
使う行が $3$ 本のとき,高さを $r< s< t$ とし,各行から $1$ 点ずつ選ぶ。列の割り当ては $3^3=27$ 通りある。$3$ 点が同じ列にある $3$ 通りは鉛直に共線,ちょうど $2$ 点が同じ列にある場合は
補題2
(2) により三角形である。列がすべて異なる $6$ 通りでは,$3$ 点は $(1,h_1),(2,h_2),(3,h_3)$($(h_1,h_2,h_3)$ は $(r,s,t)$ の並べ替え)と書け,
補題3
より共線 $\iff h_1+h_3=2h_2$ である。$h_2=r$ ならば $h_1+h_3>2r$,$h_2=t$ ならば $h_1+h_3<2t$ であるから,共線となるのは $h_2=s$ かつ $r+t=2s$ のとき,すなわち $(h_1,h_2,h_3)=(r,s,t),(t,s,r)$ の $2$ 通りに限る。したがって固定した $3$ 行における三角形の個数は
$$
\begin{cases}27-3=24 & (r,s,t\text{ が等差数列でない})\\ 27-3-2=22 & (r,s,t\text{ が等差数列})\end{cases}
$$
である。$[n]$ の $3$ 元部分集合で等差数列をなすものの個数を $R_n$ とすると,公差 $e\geqq1$ を固定したとき初項は $1,\dots,n-2e$ の $n-2e$ 通りであるから
$$
R_n=\sum_{e=1}^{\lfloor (n-1)/2\rfloor}(n-2e),\qquad T_n=18\binom n2+24\left\{\binom n3-R_n\right\}+22R_n=18\binom n2+24\binom n3-2R_n.
$$
$R_5=3+1=4$($\{1,2,3\},\{2,3,4\},\{3,4,5\},\{1,3,5\}$)であるから
$$
T_5=180+240-8=412,\qquad p_5=\frac{412}{455}.
$$
$R_{2m}=\sum_{e=1}^{m-1}(2m-2e)=m(m-1)$ であり,$18\binom{2m}{2}=18m(2m-1)$,$24\binom{2m}{3}=16m(2m-1)(m-1)$ であるから
$$
T_{2m}=18m(2m-1)+16m(2m-1)(m-1)-2m(m-1)=32m^3-14m^2=2m^2(16m-7).
$$
$\binom{6m}{3}=2m(3m-1)(6m-1)$ で割って $p_{2m}=\frac{m(16m-7)}{(3m-1)(6m-1)}$ を得る。
$N_n$ を一度に数えず,高さ $1,\dots,n-2$ の盤面に $2$ 行を加えたときの増分を数える。静的な計数を,盤面の大きさを状態とする漸化式に置き換える。
$[0]=\varnothing$ とし,$S_0=\varnothing$,$N_0=0$ と定める。$n\geqq2$ に対し $S_{n-2}\subset S_n$ であり,$S_n\setminus S_{n-2}$ は $\max(a,b,c)\geqq n-1$ を満たす $(a,b,c)\in S_n$ の全体である。等差数列の最大項は両端のいずれかにあるから $\max(a,b,c)=\max(a,c)=:M\in\{n-1,\ n\}$ で分類する。
公差 $0$ のものは $(M,M,M)$ の $2$ 個である。公差が $0$ でないものは $(M-2k,\ M-k,\ M)$ または $(M,\ M-k,\ M-2k)$ $(k\geqq1)$ であり,範囲条件は $M-2k\geqq1$,すなわち $k\leqq\left\lfloor\frac{M-1}{2}\right\rfloor$ である。よって,整数 $j\geqq0$ に対する $\left\lfloor\frac j2\right\rfloor+\left\lfloor\frac{j+1}{2}\right\rfloor=j$ を $j=n-2$ に用いて
$$
N_n-N_{n-2}=2+2\left\lfloor\frac{n-2}{2}\right\rfloor+2\left\lfloor\frac{n-1}{2}\right\rfloor=2n-2\qquad(n\geqq2).
$$
$N_1=1$(水平な $1$ 組)より $N_3=1+4=5$,$N_5=5+8=13$。よって $p_5=\frac{412}{455}$。
$$
N_{2m}=\sum_{j=1}^{m}(N_{2j}-N_{2j-2})=\sum_{j=1}^{m}(4j-2)=2m(m+1)-2m=2m^2.
$$
以下,本解と同様に $p_{2m}=\frac{m(16m-7)}{(3m-1)(6m-1)}$ を得る。
$N_n=\#E_n$ は「$a+c$ が偶数である $(a,c)\in[n]^2$ の個数」である。この合同条件を場合分けせず,多項式の $x=\pm1$ での値によって抽出する。
$F_n(x):=x+x^2+\cdots+x^n$ とおくと $F_n(x)^2=\sum_{(a,c)\in[n]^2}x^{a+c}$ であるから,$N_n$ は $F_n(x)^2$ の偶数次の係数の総和である。多項式 $P(x)=\sum_k\alpha_kx^k$ に対し
$$
\frac{P(1)+P(-1)}{2}=\sum_k\alpha_k\cdot\frac{1+(-1)^k}{2}=\sum_{k\text{ は偶数}}\alpha_k
$$
であるから
$$
N_n=\frac{F_n(1)^2+F_n(-1)^2}{2},\qquad F_n(1)=n,\quad F_n(-1)=\sum_{k=1}^{n}(-1)^k=\begin{cases}-1&(n\text{ は奇数})\\0&(n\text{ は偶数})\end{cases}.
$$
$N_5=\frac{25+1}{2}=13$。よって $p_5=\frac{412}{455}$。
$N_{2m}=\frac{(2m)^2+0}{2}=2m^2$。以下,本解と同様に $p_{2m}=\frac{m(16m-7)}{(3m-1)(6m-1)}$ を得る。
以下は独立の解法とせず,既存の解法の言い換え・視覚化として位置づける。
| 解法 | 出発点の分類 | 数える対象 | 用いる構造 | 数え方 |
|---|---|---|---|---|
| 本解 | 列型 | $E_n$ | 中点・偶奇 | 偶奇類の直積 |
| 3.3 | 列型 | $T_n$ | 中点・偶奇 | 補集合を用いない直接計数 |
| 別解1 | 列型 | $Q_n$ | 傾き(公差 $d$) | $d$ 一定で切る |
| 別解2 | 列型 | $Q_n$ | 点対称(中心 $b$) | $b$ 一定で切る |
| 別解3 | 行型 | $T_n$ | 局所 $3\times3$ 配置 | $3$ 行ごとに $24$ または $22$ |
| 参考解1 | 列型 | $(N_n)_n$ | 盤面の成長 | 漸化式 $N_n-N_{n-2}=2n-2$ |
| 参考解2 | 列型 | $E_n$ | 偶奇の代数化 | $F_n(\pm1)$ による抽出 |
本解・別解1・別解2は,線形変換 $(b,d)\mapsto(b-d,\ b+d)$ で結ばれた同一の格子点集合を異なる座標で数えている。本解は範囲条件が自動的に満たされる点で最短であり,別解1・別解2は偶奇を用いずに境界条件だけで数え切る。別解3は標本空間の分割そのものが異なるため,他の解法に対する独立な検算となる。参考解1は増分の分類に,参考解2は係数抽出の原理の説明に,それぞれ答案上の記述を要する。
本問の解析を抽象化すると,有限格子上の配置の確率・個数を求める問題に対して次の手順が得られる。
| 観察 | 選択 | 本問での実現 |
|---|---|---|
| 条件が二値である | 等式で書ける側を数える | 共線 $3$ 点を数える |
| 座標が少数の値しかとらない | 重複型で分類する | 列型 $3,\ 2+1,\ 1+1+1$ |
| 等間隔の $3$ 値が現れる | 中点・等差・第 $2$ 階差に直す | $a+c=2b$ |
| 整数性が合同条件に帰着する | 合同類の直積,または冪根による抽出 | 偶奇の一致 |
| 変数変換で整数性が保たれる | 部分格子の点として数える | $(a,c)$ と $(b,d)$ |
| 領域に対称性がある | 対称な組をまとめる | $d\mapsto-d$,$b\mapsto n+1-b$ |
| 大きさを増やしたときの増分が単純 | 漸化式を立てる | $N_n-N_{n-2}=2n-2$ |
| 別の軸で見ると局所化する | 分類軸を替える | $3$ 行ごとの $3\times3$ 配置 |
同じ手順は次のような問題にそのまま適用できる。
凸集合 $K\subset\mathbb{R}^2$ に対し $G=K\cap\mathbb{Z}^2$ が有限であるとき,$G$ の共線 $3$ 点集合の個数は
$$
\sum_{\{\mathrm{P},\mathrm{R}\}\subset G}\Bigl(\gcd\bigl(\lvert x_{\mathrm{R}}-x_{\mathrm{P}}\rvert,\ \lvert y_{\mathrm{R}}-y_{\mathrm{P}}\rvert\bigr)-1\Bigr)
$$
に等しい。ここで和は $G$ の $2$ 点集合全体にわたる。
相異なる共線 $3$ 点のうち直線上で中間にある点はただ一つであり,それは他の $2$ 点を結ぶ開線分上にある。逆に $\mathrm{P},\mathrm{R}\in G$ を結ぶ開線分上の格子点は,$K$ の凸性により $G$ に属する。よって共線 $3$ 点集合は,$2$ 点集合 $\{\mathrm{P},\mathrm{R}\}$ と開線分 $\mathrm{PR}$ 上の格子点 $\mathrm{Q}$ の組と一対一に対応し, 補題6 より主張が従う。
$G=[k]\times[n]$ に適用する。変位 $(u,v)=\mathrm{R}-\mathrm{P}$ を $u\geqq0$ かつ($u=0$ ならば $v>0$)と正規化すると,その変位をもつ $2$ 点集合は $(k-u)(n-\lvert v\rvert)$ 個あるから,共線 $3$ 点数 $C_k(n)$ は
$$
C_k(n)=k\sum_{v=1}^{n-1}(n-v)(v-1)+\sum_{u=1}^{k-1}(k-u)\sum_{v=-(n-1)}^{n-1}(n-\lvert v\rvert)\bigl(\gcd(u,\lvert v\rvert)-1\bigr)
$$
である。第 $1$ 項の内側の和は,$[n]$ の $2$ 元 $i< j$ と $i< h< j$ を満たす $h$ の組の個数であるから $\binom n3$ に等しい。
$k=3$ では $u=1$ の項は $\gcd(1,\cdot)-1=0$ により消え,$u=2$ の項は $v$ が偶数の項のみが残って $\sum_{\lvert v\rvert\leqq n-1,\ v\text{ は偶数}}(n-\lvert v\rvert)=N_n$ となる(別解1の和と同一)。したがって
$$
C_3(n)=3\binom n3+N_n=D_n
$$
であり,
補題2
・
補題3
・
命題4
の内容は
命題7
の $k=3$ の場合に一括して含まれる。
一般の $k$ では,$u\geqq1$ を固定すると $v\mapsto\gcd(u,\lvert v\rvert)$ は周期 $u$ の関数であるから,内側の和は周期が $u$ の約数である $n$ の準多項式である。よって $C_k(n)$ は周期が $\operatorname{lcm}(1,\dots,k-1)$ の約数である $3$ 次の準多項式である。$k=4$ では周期はちょうど $6$ であり,
$$
C_4(n)=\frac23n^3-\frac13n^2+\frac43n+\varepsilon(n),\qquad \varepsilon(n)=0,\ \tfrac73,\ \tfrac43,\ 1,\ \tfrac43,\ \tfrac73\quad(n\equiv0,1,2,3,4,5\pmod 6)
$$
となる(例:$C_4(1)=\binom43=4$,$C_4(2)=8$)。$k\geqq4$ では $u=3$ の項により $\Delta y$ の $3$ を法とする情報が現れ,$k=4$ では実際に周期が $6$ となる。これが 1.5 で述べた幅 $3$ の特殊性の正確な内容である。
平面 $H:\ a-2b+c=0$ は平行移動 $(a,b,c)\mapsto(a-1,b-1,c-1)$ で不変である($1-2+1=0$)。よって
$$
N_n=L(n-1),\qquad L(t):=\#\bigl(tP\cap\Lambda\bigr),\qquad P:=H\cap[0,1]^3,\quad \Lambda:=H\cap\mathbb{Z}^3.
$$
1.4 の座標 $(b,d)$ により $\Lambda\cong\mathbb{Z}^2$ であり,$P$ は頂点 $(0,0),\ (1,0),\ \left(\frac12,\pm\frac12\right)$ の菱形 $\{\lvert d\rvert\leqq\min(b,1-b)\}$ に写る。$P$ は頂点が $\frac12\mathbb{Z}^2$ に属する有理多角形であるから,有理多面体に対する Ehrhart の定理により,$L(t)$ は $t$ の $2$ 次の準多項式で,周期は $2$ の約数,最高次係数は $P$ の($\Lambda$ に関する)面積 $\frac12$ に等しい。実際
$$
L(t)=\frac{t^2}{2}+t+\frac34+\frac{(-1)^t}{4},\qquad N_n=\frac{n^2}{2}+\frac{1-(-1)^n}{4}=\left\lceil\frac{n^2}{2}\right\rceil.
$$
答に現れる偶奇は,準多項式の周期として,頂点座標の分母 $2$(中点の $\frac12$)から生じている。
さらに Ehrhart–Macdonald の相互法則 $L(-t)=L^{\circ}(t)$ が成り立つ。ここで $L^{\circ}(t)$ は $tP$ の($H$ 内での)内部の格子点数であり,$H$ は立方体の内部と交わるから $L^{\circ}(t)=\#\bigl(H\cap\{1,\dots,t-1\}^3\bigr)=N_{t-1}=L(t-2)$ である。したがって相互法則は,準多項式 $N(n):=\frac{n^2}{2}+\frac{1-(-1)^n}{4}$ が $N(-n)=N(n)$ を満たすことと同値であり,上の式で直接確かめられる。
有限集合 $A\subset\mathbb{Z}$ に対し $\operatorname{ap}_3(A):=\#\{(a,b,c)\in A^3\mid a+c=2b\}$ とおくと,$N_n=\operatorname{ap}_3([n])$ である。$S_n$ を自明な解 $a=b=c$($n$ 個)と,$3$ 項等差数列をなす $3$ 元部分集合(それぞれ $2$ 通りの向きで現れる)に分けると
$$
N_n=n+2R_n,\qquad R_n=\left\lfloor\frac{(n-1)^2}{4}\right\rfloor
$$
となる($R_n$ は 3.6 の $3$ 項等差数列をなす $3$ 元部分集合の個数)。
利用できる行の高さを $A\subset[n]$ に制限した点集合 $[3]\times A$ では,$1+1+1$ 型の共線 $3$ 点数は $\operatorname{ap}_3(A)\geqq\lvert A\rvert$ となり,等号は $A$ が非自明な $3$ 項等差数列を含まないときに限る。この「$3$ 項等差数列を含まない集合の最大サイズ」$r_3(N)$ を扱うのが加法的組合せ論の古典的主題である。
| 内容 | 範囲 | 本稿での位置 |
|---|---|---|
| 場合の数,二項係数,補集合 | 高校(数学A) | 1 章,2 章 |
| 中点・直線の方程式による共線判定 | 高校(数学II) | 1.3 |
| ベクトル・面積による共線判定 | 高校(数学C) | 3.1 |
| 偶奇による分類,最大公約数 | 高校(数学A) | 2 章,3.2 |
| 数列の和,漸化式 | 高校(数学B) | 3.4〜3.7 |
| 多項式の値による係数和の抽出 | 高校の計算で実行可能(手法は発展的) | 3.8 |
| 格子線分上の格子点の公式 | 高校の範囲で証明可能(標準的な発展事項) | 3.2,5.1 |
| 準多項式,Ehrhart の定理と相互法則 | 大学(離散幾何・組合せ論) | 5.1,5.2 |
| Roth の定理,$r_3(N)$ の評価 | 大学以上(加法的組合せ論) | 5.3 |
入試答案として完結するのは 4 章までの内容であり,5 章は本問の構造がどの一般理論の特殊例であるかを示すものである。