閉はめこみの集合は、$C^r_S(M,N)$の中で開集合である($r>0$)。単射はめこみの集合は$C^1_S(\mathbb R,\mathbb R^2)$の中で開ではない。
(閉はめ込みについて)
閉はめ込みである事とproperなはめ込みは、位相空間の一般論により同値である。
ところでproperの集合とはめ込みの集合が開集合である事は本文中で示されているので、よって閉はめ込みの集合も開集合である。
(単射はめ込みについて)
螺旋状の関数$f(t)=(e^{-t}\cos(t),e^{-t}\sin(t))$を考えると、これは単射はめ込みである。(原点付近を考えると、これはproperでないので、閉はめ込みの集合の元でない。)
いま、この$f$の任意の近傍$\mathcal N$を取った時、その定義からある$\mathcal N(f;\Phi,\Psi,K,\varepsilon)$を含むのでこれを固定する。
ここで$f$は周期$2\pi$で同じ径を通る、無限に原点に近付く螺旋であり、$f(t)$と$f(t+2\pi)$の差は$t\to\infty$で$0$に近付く。
いま、$g$として、十分大きい$t$で、$f(t)=f(t+2\pi)$となるように曲線を原点側に摂動した関数を考える。
このとき、十分に大きい$t$で緩やかに摂動を行うことで、$f$と$g$、$f'$と$g'$の差は高々$f(t)$と$f(t+2\pi)$の差の定数倍で抑えられることに注意する。
$\Phi$は局所有限であることから、あるコンパクト区間上に定義される$\varepsilon_i$は有限個しかない。したがって、この摂動をおこなった区間上の$\varepsilon_i$は有限個しかなく、よって十分大きい$t$で摂動をすれば、$f$と$g$、$f'$と$g'$の差は各チャート上で$\varepsilon_i$に抑えられる。
従って、$g$は単射ではない$g\in \mathcal N$の元であるから、単射はめ込みは開集合ではない。
閉部分集合$K\subset M$上で単射である固有$C^1$級immersion$f:M\to N$は$K$のある近傍でも単射である。実際、$f$の近傍$\mathcal N\subset C^1_S(M,N)$と$K$の近傍$U\subset M$が存在して、$g\in \mathcal N$は$U$上で単射となる。$K$がコンパクトなら、$\mathcal N$を$C^1_W(M,N)$の中に取ることもできる。
かなり強い仮定でもって、やっと単射性を拡張できるという話です。
これくらいやらないと言えないくらい、“一般”の写像は色々な事が考えられるということなのか、それともたったこれだけの仮定で単射性という素朴すぎる性質が成り立つ範囲を広げられるという事なのか。
あるいはどちらともということなのかは定かではない…。
閉集合$K$を被覆する局所有限なチャート族$\Phi = \{(\varphi_i, U_i)\}_{i\in A}$とコンパクト族$\{K_i \subset U_i\}$を選び、$W_i := \mathrm{int }K_i$($\overline{W_i}\subset U_i$)が$K$を被覆するようにとる。
いま、各$i$について$C_i:=K\cap \overline{W_i}$とおくと、これはコンパクトであり、$f(C_i)$もまたコンパクトである。
また、$J_i=\{j|C_i\cap C_j=\emptyset\}$とすると、$f$は$K$上単射より$f(C_i)\cap f(C_j)=\emptyset ,(j\in J_i)$となる。
ここで、$F_i := \cup_{j \in J_i} f(C_j)$を考える。
定め方から$f(C_i)\cap F_i=\emptyset$であり、$F_i$は閉集合である。
(※$F_i$の閉性:仮に$F_i$が閉でないなら、ある点列$\{y_n\}\subset F_i$とその極限点$y_n\to y\not\in F_i$が存在する。このとき各$ y_n = f(x_n) $で$ x_n \in C_{j_n}$($j_n \in J_i$)となる$ x_n \in K $が取れる。ところで、集合$ L := \overline{\{y_n : n \in \mathbb{N}\} \cup \{y\}} $は$ N $内でコンパクトなので、$f$のproper性から、この点列$\{x_n\}$はコンパクト集合$f^{-1}(L)\cap K$(特に、点列コンパクト)内にあるので、部分列をとって、ある$x\in f^{-1}(L)\cap K$で、
$x_{n_k} \to x $となる。よって$f$の連続性により$f(x)=y$。ここで、$x$は局所有限性により有限個の$C_l$としか交わらず、十分大きい$k$以上の部分列$\{x_{n_k}\})$は全てその各$C_l$に含まれる。よって、ある$l\in J_i$で十分大きい$k$以上の部分列に対して$\{x_{n_k}\}\subset C_l$なるものが選べて、$C_l$の閉性により$x\in C_l$。したがって$f(x)=y\in F_i$であり、これは矛盾。)
よって多様体の正規性(normality)から、各$f(C_i)$に対してある開集合$B_i$で、$f(C_i)\subset B_i$かつ$B_i\cap F_i=\emptyset $なるものが存在する。
これにより、固定された$C_i$に対して、$C_i\cap C_j=\emptyset$を満たす任意の$j$に対して$B_i\cap f(C_j)=\emptyset$となるようにできることが分かる。
つぎに、各$i$に対して$f$の連続性から開集合$V_i\subset W_i$を、$C_i\cap C_j=\emptyset$ならば$V_i\cap V_j=\emptyset$となるような$C_i$を含む$\overline V_i$がコンパクトなものとして取れる。
また、$\varepsilon_i>0$を、定理2.1.4の証明と同様の方法で補題2.1.3を適用して、$f$の近傍の元$g$の$g|_{W_i} $がembeddingになるかつ、$g(\overline{V_i}) \subset B_i $を満たすようなものとして取れる。
このようにして基本近傍$\mathcal{N} := \mathcal{N}^1(f;\ \Phi,\ \Psi,\ \{K_i\},\ \{\varepsilon_i\}) \subset C^1_s(M,N)$をとると、これは題意をみたす近傍になっている。
実際、$K$の近傍として$\cup V_i$をとれば、その近傍の元の単射性は、embedding性と$B_i$の構成法により成立する。
また、$K$がコンパクトなら、それを被覆する$W_i$は有限個になり、よって$\mathcal N$は有限個の$\mathcal N(f;(\phi_i,U_i),(\psi_i,V_i),K_i,\varepsilon_i)$の共通部分として表現でき、それは$f$の弱位相の意味での近傍になっている。
なんだか枕を下にして眠りたい気分だにゃん(?)