コラッツ予想において、1から逆にとらえた計算の奇数の遷移という視点からアプローチします。
奇数のみを考えると、
1 → {1, 5, 21, 85, 341,…}
5 → {3, 13, 53, 213, 853,…}
7 → {9, 37, 149, 597, 2389,…}
11 → {7, 29, 117, 469, 1877,…}
13 → {17, 69, 277, 1109, 4437,…}
17 → {11, 45, 181, 725, 2901,…}
のように遷移します。
右側の{}の奇数は、左側の元の奇数に2を何乗か、かけて、1を引いて3で割り切れるときの奇数です。
元の奇数が、1,7,13,19,…のように6で割ったときに余りが1であるとき、
次の奇数は、4倍16倍64倍…とかけていって、1を引いて3で割り切れるときの奇数です。
(→元の奇数が6t-5で表わせる奇数のとき、2をかける回数は偶数回になる)
元の奇数が、5,11,17,23,…のように6で割ったときに余りが5であるとき、
次の奇数は、2倍8倍32倍…とかけていって、1を引いて3で割り切れるときの奇数です。
(→元の奇数が6t-1で表わせる奇数のとき、2をかける回数は奇数回になる)
法則があるので一般項の式で表わせます。
求め方は
kindle短編小説『あの日の数式』附録ノート
で述べています。
変数は二つになります。
正の奇数の数列の一般項bは、
①2をかける回数が偶数回のとき
b_e(s,t)=(4×4^(s-1)-1)/3+(t-1)×8×4^(s-1)
②2をかける回数が奇数回のとき
b_o(s,t)=(10×4^(s-1)-1)/3+(t-1)×4×4^(s-1)
です。
tを定数としたときの数列が、求める次の奇数の数列{}になります。
この一般項の式が、sとtが自然数であるときに成り立つことは従来の数学的帰納法によって証明できます。
最後に、この一般項の式で、正の奇数を網羅し重複しないことを証明する必要があります。
奇数を順に並べて、二変数の値がどうなるかを調べると、16個ごとにとるtの値にパターンがあることに気づきます。
奇数すべてにおいて、このパターンを繰り返し、とっていくことも、数学的帰納法によって証明できます。
この数学的帰納法による証明についても
kindle『あの日の数式』ノート
に実際に述べています。
s,tが自然数であるとき、{}に正の奇数がくまなく現れるので、どんな自然数からコラッツ計算を始めても、つねに奇数←奇数の参照が存在し、それがずっと続きます。
同じ奇数は現れないわけですから、ループはありません。
いつも違う奇数が出現し、参照は繰り返されます。ただ一つ、1←1の参照のときのみ停止します。
参照される奇数も、6t-1と6t-5であるため、重複ももれもありません。計算結果とならないため、3の倍数である奇数には接続しません。
なので、コラッツ計算を続けていくと、最後には1に到達します。
発散することもありません。
方向はいつも同じで、奇数(1つ)←奇数(多)で連結されていくのです。
連結されない系も存在しません。
どんな正の奇数も存在し、1←1のように同じ数を参照するのはこの1つのみだからです。
コラッツ計算のすべてが、この一般項の計算の数と数との関係に現れ、1方向に数をたどっていくことができます。計算が進むにつれて、計算結果に表われる可能性のある数は減っていきます。
例えば、t=3で②奇数回のときの17と{11, 45, 181, 725, 2901,…}の関係では、17←45の参照をしたら、残りの{11, 181, 725, 2901,…}の数をもう通ることはありません。
どんどん通る可能性のある数は減っていき、1←1のように同じ数を参照するのはこの1つのみなので、1で終了することになります。
このように、各ノードにおいて、複数の上位ノードが存在し、それらが一つの下位ノードに収束する形のツリー構造であるので、多数の枝は1点に集まります。どのノードから始めても進む方向は一つであるため、ループや逆戻りする経路は存在しません。
そして、このツリー構造内には、上記の一般項で正の奇数が重複も、もれもなく、存在することがわかっているので、どんな奇数から始めても、一番下の1に到達します。
なので、コラッツの計算を施せば必ず1に到達するため
この一般項によって、コラッツ予想は真であると言えるでしょう。