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【高校物理】物理における等号=の意味合いについて①

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はじめに

ここでは, 高校物理を学ぶ上で, 知っておきたいこと(しかし, 教科書等では誰も教えてくれないこと)を書いていきたい. 今回は, 等号には「向き」がある, ということについて述べる.

等号=には, 向きがある

物理学において, さまざまな等式が出てくるが, それらの式は全て
$$(結果)=(原因) \qquad \cdots ※$$
あるいは,
$$(後)=(前) \qquad \cdots ※※$$

基本的には, ※の表式である. たとえば,
$$m\vec{a} = \vec{f} \qquad \cdots \text{(運動方程式)}$$
$$ \Delta P = I \qquad \cdots \text{(運動量と力積の関係)}$$
$$ \Delta K = W \qquad \cdots \text{(運動エネルギーと仕事の関係)}$$
$$ K_2 + U_2 = K_1 +U_1 \qquad \cdots \text{(力学的エネルギー保存の法則)}$$
などである. 運動方程式を取り上げれば, 物体に働く力$\vec{f}$が原因となって, その結果として加速度$\vec{a}$が生じる. 決して, 加速度が原因となって 力が生じるわけではない.

次に, ※※の表式についてである. ある量の値がその等式によって決められやすい, と広く知られている場合がある. このとき, その量を左辺に書くことがある. すなわち, その等式以外からの計算によって, 右辺の(前)の量が先に決まり, この等式から(後)の量が決まる, という仕組みである. ただし, この場合は必ずしも, 右辺が「原因」で, 左辺が「結果」というわけではない. たとえば,
$$Q = \Delta U + W \qquad \cdots \text{(熱力学第一法則)}$$

学習上の指摘

以上は, 物理的な意味合いの話であって, もちろん, 左辺の量の値をもって, 右辺の量の値を決めることは数学的に可能である. そのため, 実際の入試問題を解く上では, そういった場面はあるだろう. たとえば, 先ほどの
$$ Q = \Delta U + W$$
は吸熱量$Q$を求める等式である(基本的には). しかし, 断熱変化などでは$Q$ではなく$W$を求める.

この「基本的には」というのが重要で, 基本があれば例外がある. 基本という枠組みと例外という枠組みに分けて理解することで, よりよく物理を理解できる. 熱力学を例に挙げれば,

$$ Q = \Delta U + W$$
によって, $Q$を求めるのは, 「定積変化」, 「定圧変化」, 「等温変化」であり, これらは基本という枠組みに入れる. しかし, 「断熱変化」では, $Q=0, \Delta U = nC_v\Delta T$より, $W$を求める. これは例外に入る.

現役生の間でよく起きる現象が, 今まで解けていた問題が解けなくなるという現象である. それは, 学習が進むにつれて, 上記で述べた基本と例外を混ぜてしまうことに起因する. 「定積変化」, 「定圧変化」, 「等温変化」たちと, 「断熱変化」は, 頭の使い方が全く異なるのである.

同様のことが, 力学における円運動にもいえる. 円運動は例外で, 先に物体の軌道(円軌道)がわかってから円運動の解法を選択する. それに対し, 他の運動では, 運動方程式から軌道が決定される.

投稿日:926
更新日:926
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