タイトルの通りです.
同値類を使わずに整数を構成し,そのあとで何かしらの理論を展開するというわけではなく,ただ構成するだけの記事となっています.
以下,
また,
集合
と定め,
以下では必要に応じて,
を形式な表記として採用します.
演算を定義するにあたって,順序が定義されていた方が便利なので,先に順序を定義してしまいます.以下では,
で定める.
符号が導入されている関係でかなり複雑です.
定義4における
順序の公理を確かめればよいです.ここでは証明は省略します.
比較的定義が簡単な乗法からスタートします.
で定める.
ここで,
以下では,
次の命題は明らかでしょう.
定義5の乗法は
乗法と違い,加法は面倒な定義となってしまいます.
で定める.
場合分けが膨大ですね.
以下では,
次の命題は一部明らかでない点が含まれています.その部分だけ証明を行いましょう.
定義6の加法は
である.一方,
である.よってこの場合は可換である.
次の命題は明らかです.
時間があれば確かめてみてください.
減法は加法を用いて簡単に定義できます.
で定める.
加法と乗法が定義されたら,次に気になるのはこれらの相性です.
(1)
(2)
場合分けが膨大なので一旦省略します.記事の修正の機会があれば追記します.
このようにして,次が成立します.
写像
で定めると,これは同型写像である.したがって,
以上のようにして,同値類の概念を用いることなく整数を構成することができました.最初はこちらの方が種々の議論や定義が見やすく整理されると思っていましたが,実際に着手してみると加法の定義がかなりの曲者でした.素直に
ご指摘等ありましたらコメントまでお願いします.