ここでは東大数理の修士課程の院試の2015A05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
次の漸化式
$$
a_{n+1}=1+\frac{1}{1+a_n+a_n^2}
$$
を満たす実数列はある実数に収束することを示し、その値を求めなさい。
ある$n$に対して$a_n=\sqrt[3]{2}$のときは任意の$n$についてこれが成り立つので、特に$\sqrt[3]{2}$に収束する。よって以下任意の$n$について$a_n\neq\sqrt[3]{2}$とする。初期値$a_1$に関わらず$a_2$以降常に$1$より大きくなるから、常に$1$以上であると仮定して良い。$f(x)=1+\frac{1}{1+x+x^2}(x>
0)$とおく。このとき平均値の定理及び$f$の狭義単調減少性・下に凸性から
$$
\left|\frac{a_{n+1}-\sqrt[3]{2}}{a_n-\sqrt[3]{2}}\right|\leq f'(\min\{a_{n},a_{n+1}\})\leq f'(1)=\frac{1}{3}
$$
が成り立っている。以上から$\{a_n\}$は収束値${\color{red}\sqrt[3]{2}}$を持つ。