皆さんこんにちは。Uirouです。2回目の投稿になりますね。オイラー線は重心・内心・垂心の3点が共に存在する直線ですが、内心があった方がお得だなーという気持ちになったので、オイラー線上に内心があるような三角形について考察していきます。計算による考察で終わらせるつもりだったのですが、後から初等的な考察もできたので、どちらも載せることにしました。ぜひ最後までお読みください。
一応高校数学に出てこないので載せておきます。
$\bigtriangleup\textit{ABC}$を正三角形でないような三角形とする。$\bigtriangleup\textit{ABC}$の外心、重心、垂心をそれぞれ$O,G,H $とすると、3点$O,G,H$は共線である。この直線を$\bigtriangleup\textit{ABC}$のオイラー線という。特に、点$G$は線分$OH$を$1:2$に内分する。
略。 オイラー線の3通りの証明 | 高校数学の美しい物語 (manabitimes.jp) に詳しく載っている。
$\bigtriangleup\textit{ABC}$の外心、重心、垂心、内心をそれぞれ$O,G,H,I$とする。$O(0)$とすると、ある複素数$a,b,c$が存在して、$A(a^2),B(b^2),C(c^2),G(\frac{a^2+b^2+c^2}{3}),H(a^2+b^2+c^2),I(-ab-bc-ca)$
と表すことができる。
また、オイラー線の方程式は$\dfrac{z}{a^2+b^2+c^2}=\overline{(\dfrac{z}{a^2+b^2+c^2})}$と表される。
略。 数学オリンピック幾何への挑戦|日本評論社 (nippyo.co.jp) の6章に詳しく載っている。
証明を打ち込むのがだるいので省略しました。許してください。これらの事実を使って、次節で今回の定理を示します。
$\bigtriangleup\textit{ABC}$を正三角形でない三角形とする。この時、
オイラー線上に内心が存在する。$\iff$$\bigtriangleup\textit{ABC}$は二等辺三角形である。
$(\impliedby)$の証明は滅茶苦茶簡単なので今回は略します(内角の二等分線、中線、垂直二等分線が一致することから示せます)。なので今回は$(\implies)$の証明を書きます。
任意の三角形は相似拡大により半径1の外接円に内接するように出来るので、ここでは$\bigtriangleup\textit{ABC}$の3頂点を単位円上にとることにする。
対称性より、$A(a^2),B(b^2),C(1) $ 、内心については$I(-ab-a-b)$または$I(-ab+a+b) $となるような複素数$a,b$をとることが出来る。
(i)$I(-ab-a-b)$の時
$I$がオイラー線上にあることから、
$\dfrac{-ab-a-b}{a^2+b^2+1}=\overline{(\dfrac{-ab-a-b}{a^2+b^2+1})}$
仮定より、$|a^2|=|b^2|=|c^2|=1$から、$|a|=|b|=|c|=1$であるので、
これを用いて共役を外し、分母を払うことで、
$(-ab-a-b)(a^2b^2+a^2+b^2)=(-ab-a^2b-ab^2)(a^2+b^2+1) $
展開して整理することで、
$(ab-1)(a-b^2)(b-a^2)=0$を得る。
これより、$a^2b^2=1$または$a^2=b^4$または$b^2=a^4$が得られる。
$a^2b^2=1$の時、$\dfrac{AC}{BC}=|\dfrac{1-a^2}{1-b^2}|=|a^2|=1$より、$AC=BC$
$a^2=b^4$の時、$\dfrac{AB}{BC}=|\dfrac{a^2-b^2}{1-b^2}|=|b^2|=1$より、$AB=BC$
$b^2=a^4$の時、$\dfrac{AB}{AC}=|\dfrac{b^2-a^2}{1-a^2}|=|a^2|=1$より、$AB=AC$
これらはすべて$\bigtriangleup\textit{ABC}$が二等辺三角形であることを表す。
(ii)$I(-ab+a+b) $の時、
(i)と同様にすることで、$(ab-1)(b^2+a)(a^2+b)=0$が得られる。
これより、$a^2b^2=1$または$a^2=b^4$または$b^2=a^4$が得られるが、
これらは(i)と同じく、$\bigtriangleup\textit{ABC}$が二等辺三角形であることを表している。
∴(i)(ii)より、題意は示された。
計算による証明はこんな感じです。次は初等幾何的な証明です。
$\bigtriangleup\textit{ABC}$が正三角形でないことから、対称性より$B,C$は$\bigtriangleup\textit{ABC}$のオイラー線上に存在しないとすることができる。
ここで、有名事実より、2点$O,H$は共に$\bigtriangleup\textit{ABC}$において等角共役点であるので、
直線$BI$が$\angle{B}$の内角の二等分線であることと合わせることで、
$\angle{OBI}=\angle{IBH} $が得られる。
したがって、$\bigtriangleup{BOH}$において、直線$BI$は$\angle{OBH}$の内角の二等分線なので、
角の二等分線の性質から、$OI:IH=BO:BH$・・・(1)
$\angle{C}$についても同様に考えることで、$OI:IH=CO:CH$・・・(2)
(1)(2)より、$BO:BH=CO:CH$であるが、点$O$が$\bigtriangleup{ABC}$の外心であることから、$BO=CO$であるので、$BH=CH$
ここで、$\bigtriangleup{ABC}$において3点$A,B,C$から対辺に下した垂線の足をそれぞれ$D,E,F$とすると、$BH=CH,\angle{BDH}=\angle{CDH}=90\textdegree$,さらに$DH$を共有することから、
$\bigtriangleup{BDH}\equiv\bigtriangleup{CDH}$(斜辺と他の一辺相等)
ゆえに、$\bigtriangleup{BDH}\equiv\bigtriangleup{CDH}$より$BD=CD$であり、
また、$\angle{ADB}=\angle{ADC}=90\textdegree$であり$AD$を共有することから、
$\bigtriangleup{ADB}\equiv\bigtriangleup{ADC}$(二辺夾角相等角)
したがって、$\bigtriangleup{ADB}\equiv\bigtriangleup{ADC}$より$AB=AC$であるので、題意は示された。
そういえば、オイラー線が角の二等分線と一致するので、3つの傍心のうちの1つもオイラー線上にありますね。五心が揃っているなんて、とても贅沢なオイラー線ですね。
今回は、オイラー線上に内心が存在するような三角形が二等辺三角形に限ることを紹介しました。計算による証明は載せるか迷いましたが、折角計算したので一応載せておきました。この記事を読んでオイラー線に少しでも興味を持ってくれれば幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。
...思ったんですが、Special Euler's Lineって我ながらネーミングセンスが微妙ですね。