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2日目

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見た目が美しくない積分を作ったので紹介します。π/4π/2cos2(2θ)sin10(θ)ln(tan(θ))dθ=2ln(53)

Desmos上で数値的に計算したら、大体あってますね。Wolfram Alphaに投げても数値しか返さなかったので、厳密に正しいかは知りません。
一見すると、三角関数があるので、t=tan(θ2)で有理型関数に帰着できそうですが、分母のln(tan(θ))がそれを阻んでいます。かつて自分が残した殴り書きのメモを参照しながら、なるべくわかりやすく導出していきます。

ln(1+x)の別表現

まず、01tx1ln(t)dt=ln(1+x)であることを示します。
I(x)=01tx1ln(t)dt()dIdx=01x(tx1ln(t))dt=01txln(t)ln(t)dt=01txdt=1x+1I(x)=1x+1I(x)=ln(x+1)+C  (C)x=0I(x)I(0)=01t01ln(t)dt=0111ln(t)dt=0x=00=ln(0+1)+CC=0
これで、01tx1ln(t)dt=ln(1+x)が示されました。

さて、この積分について、t=1uと置換し、utと置きなおすと、いろいろと計算して、
1tx1tx+2ln(t)dt=ln(1+x)となります。これで今回の定積分を導出するための道具は揃いました。

雑多な作業

ここからJ(x)=1tx1tx+2ln(t)dtと定義します。先ほど導出したことから、J(x)=ln(x+1)です。また、I(x)=01tx1ln(t)dt=ln(x+1)であるので、I(x)=J(x)です。
I(x)x=4を代入して、I(4)=01t41ln(t)dt=ln(5)です。これをAとします。
A=01(t1)(t+1)(t2+1)ln(t)dt
t=1uと置換し、utに置きなおします。

=01t(2t)(22t+t2)ln(1t)dt

=01(t22t)2ln(11t)dt+201t(2t)ln(11t)dt
ここで、11t=uと置換します。dt=duu2で、積分範囲はt:01u:1です。

=1((11u)22(11u))2ln(u)1u2du+21(11u)(1+1u)ln(u)1u2du

=1(1u21)2u2ln(u)du+21(11u2)u2ln(u)du

=1(u21)2u6ln(u)du+21u21u4ln(u)du
ここで、第2項めの1u21u4ln(u)duは、J(x)x=2を入れたものに等しいです。よって、

1u21u4ln(u)du=ln(3)

です。すなわち、

A=1(u21)2u6ln(u)du+2ln(2)

ですが、もともとA=I(4)=ln(5)ですから、移項して、
1(u21)2u6ln(u)du=ln(95)

が成り立ちます。これをBと名付けましょう。

次に、I(8)=01t81lntdtを用意します。Cと名付けます。C=ln(9)です。
C=01(t4+1)(t2+1)(t+1)(t1)lntdt
先ほどと同様にt=1uと置換し、 utと置きなおして、
=01{(1t)4+1}(t22t+2)(t22t)ln(1t)dt
簡略化のために、T=t22tとすると、
=01(T2+2T+2)(T2+2T)ln(1t)dt

=01(T2+2T)2+2(T2+2T)ln(1t)dt

=01(t22t)2(t22t+2)2ln(1t)dt+201(t22t)2ln(1t)dt+401t22tln(1t)dt
左の積分から順にC1,C2,C3とします。C1+2C2+4C3=Cです。それぞれの値を計算しましょう。

C2の計算

C2=01(t22t)2ln(1t)dt
例にもれず、11t=uと置換します。すると、
=1{(11u)22(11u)}2ln(1u)1u2du

=1(11u)2((11u)2)2u2ln(u)du

=1(11u)2(1+1u)2u2ln(u)du=1(11u2)2u2ln(u)du

=1(u21)2u6ln(u)du
見覚えのある形が出てきましたね。これは先ほどの計算で導出した、Bの符号が逆転したものです。すなわち、C2=B=ln(95)です。

C3の計算

ここまでくればあともう少しです。
C3=01t22tln(1t)dtを計算していきます。同様に、11t=uと置換します。
C3=1(11u)22(11u)ln(u)1u2du

=1(11u)(11u2)u2ln(u)du=1(11u)(1+1u)u2ln(u)du=1(11u2)u2ln(u)

=1u21u4ln(u)
となりますが、これはJ(x)x=2を代入したものに等しく、すなわちC3=J(2)=ln(3)です。

C1の計算

計算というか、先ほど導出した者たちを使ってシンプルに表します。
C=C1+2C2+4C3でしたから、
C1=C2C24C3
=ln(9)2(ln(95))4(ln(3))
=ln(9)+2ln(9)+2ln(15)2ln(9)=2ln(35)
よって、
C1=01(t22t)2(t22t+2)2ln(1t)dt=2ln(35)です。
さて、勘のいい方は気づかれたかもしれませんが、これは冒頭に示した積分結果の符号が逆転したものです。つまり、このC1を変形して、今回の積分を導出します。

クライマックス

C1=01(t22t)2(t22t+2)2ln(1t)dtです。これもまた11t=uと置換していきます。
C1=1((11u)22(11u))2((11u)22(11u)+2)2ln(u)1u2du

=1(1u21)2(1+1u2)2u2ln(u)du=1(1u2)2(1+u2)2u10ln(u)du

u=tan(θ)と置換して、du=dθcos2(θ)で積分範囲はu:1θ:π4π2です。

=π4π2(cos(2θ)cos2(θ))2(1cos2(θ))2tan10(θ)ln(tan(θ))1cos2(θ)dθ

=π4π2cos2(2θ)sin10(θ)ln(tan(θ))dθ
これはC1で、C1=2ln(35)でしたから、両辺のマイナスを打ち消して、

π4π2cos2(2θ)sin10(θ)ln(tan(θ))dθ=2ln(53)
が示せました。

最後に

今回の被積分関数の概形は、次のようになります。
青色の部分の面積が2ln(53)になるというわけですね。先端が尖りすぎているわけでもなく、相手を傷つけずに無効化する護身用グッズにありそうな形です。肋骨の隙間とかに差し込んだら痛そうです。
今回の積分のポイントは、x2n1の因数分解と、同型出現でしょうか。このまま続けていっても更に複雑な積分は生み出せそうですが、計算量に打ちのめされそうなのでやめておきます。お疲れさまでした。

投稿日:2024712
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n=1 帰納法の失敗

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