$|x|^n+|y|^n=1$で表される曲線を$C_n$とする
ネイピア数が$3.05$より小さいことを証明せよ
$n$は自然数とする
$1$から$2^n$までの自然数のうち,連続する二個以上の自然数の和のかたちで表せるものの個数を求めよ
解説(まだ見たくない人用)
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まず、$-1\le x \le1\ ,-1\le y \le1$でないといけなく、その上で$C_n$がどういう形になるのか予想します。
$n=1$の場合
$n=2$の場合
$n=1,2$のときは簡単に描けるのですが、まず、「$C_n$は$x,y$軸、原点に関して対称」であることに気づくと思います。
このことから,第一象限$(x>0,\ y>0)$のみを考えればよく、$x^n+y^n=1$
として変形した$y=(1-x^n)^{1/n}$を使います。
これを微分することにより一般の$n$での概形を知ることができ、(1)はこれで解決しますが、ここで第一象限の概形から考えると、$C_n$はどうやら$n$が大きくなればなるほど角が立っていく(正方形に近づく)ようなグラフになってそうです。
$n=3$のとき
$n=10$のとき
$n=100$のとき
これが重要なヒントで、「おそらく$\lim_{n\to \infty}{S_n}=4$だろう」という推測を立てることができます。
というのも、先程の「$C_n$は$x,y$軸、原点に関して対称」という性質から
$$S_n=4\int_{0}^{1}(1-x^n)^{\frac{1}{n}}\ dx $$
で求められますが、これ自体を計算するのは難しく、極限から考えたほうが早そうですね。ここで用いるのがはさみうちです。
この計算を難しくしている要因は圧倒的に$\frac{1}{n}$乗です。これを取り除いたものではさみこめないかやってみましょう。今$x$は$0\le x\le 1$の範囲で考えているため$0\le 1-x^n\le1$です。よって$1-x^n\le(1-x^n)^{\frac{1}{n}}\le1$が成り立ちます。ここから
$$\int_{0}^{1}(1-x^n)\ dx\le\int_{0}^{1}(1-x^n)^{\frac{1}{n}}\ dx\le\int_{0}^{1}1\ dx$$
$$\therefore\ 4\int_{0}^{1}(1-x^n)\ dx\le S_n\le4$$
であるため左辺を計算すると
$$\begin{align}
4\int_{0}^{1}(1-x^n)\ dx&=4\bigg[x-\dfrac{1}{n+1}x^{n+1}\bigg]_0^1\\
&=4\bigg(1-\dfrac{1}{n+1}\bigg)\rightarrow4\ (n\to\infty)
\end{align}$$
となり、$\lim_{n\to \infty}{S_n}=4$が求められます。
言わずと知れた東大入試の有名問題「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」のパロディです。円周率のときは$\pi=3.14159...$なので誤差0.1未満の片側近似を強いられる訳ですが、ネイピア数$e=2,71828...$なので結構ざっくりとした評価で大丈夫そうです。というか、3.05という数字はサンプリングとして持ってきただけであり、要はネイピア数が3より小さいことを示せばよいです。そしてネイピア数を3で評価する問題は割とネットのそこら中に落ちてますので、解答は割愛します。問題文の見た目が好きっていう理由だけでTop3入りしました。
これが一番のお気に入りです。結構難しいと思いますので是非解いてみてください。
まず問題文を解釈します。「連続する二個以上の自然数の和のかたちで表せる」というのは一体どうことでしょうか。
たとえば$6$は$6=1+2+3$、$7$は$7=3+4$といったように連続する自然数の和としてかけています。とりあえず一旦$1$から$20$までの自然数でできるのかできないのか確かめてみましょう。
$$
\begin{align}
&1\toむり\\
&2\toむり\\
&3=1+2\\
&4\toむり\\
&5=2+3\\
&6=1+2+3\\
&7=3+4\\
&8\toむり\\
&9=4+5\\
&10=1+2+3+4
\end{align}
$$
このあたりで気づくと思いますが、(3以上の)奇数ならすべて$k+(k+1)$の形でかけるので、偶数に絞って確かめます。
$$
\begin{align}
&12=3+4+5\\
&14=2+3+4+5\\
&16\toむり\\
&18=5+6+7\\
&20=3+4+5+6+7
\end{align}
$$
というようになりましたがこれを探すのも割と一苦労だと思います。(特に「表せない」が大変)そしてこの結果からわかるようにおそらく$2^k$($2$の累乗の形)以外ならいけそうです。(問題の設定から察するかもしれませんが)
ということでその予想が正しいことを前提として証明するために次の2つの命題を立てます。
(a) $2^k$の形の自然数は全て連続する二個以上の自然数の和として表せない
(b) $2^k$の形でない自然数は全て連続する二個以上の自然数の和として表せる
まず(a)から示します。
連続する$(b-a+1)$個の自然数$a\ ,a+1\ ,... ,b$において和を計算すると、
$$
\begin{align}
a+(a+1)+ \cdots +b=\frac{1}{2}(a+b)(b-a+1)\ \ \ \ \ \cdots➀
\end{align}
$$
ここで、$a+b\ $と$\ b-a+1$の偶奇に着目すると、
$a$ | $b$ | $a+b$ | $b-a+1$ |
---|---|---|---|
偶 | 偶 | 偶 | 奇 |
偶 | 奇 | 奇 | 偶 |
奇 | 偶 | 奇 | 偶 |
奇 | 奇 | 偶 | 奇 |
$a,b$は自然数で$a< b$であることから$a+b\ge2\ , b-a+1\ge2$
よって、➀の右辺は必ず「$3$以上の奇数」を約数にもつ数になり、$2^k$の形にならないことがわかります。対偶をとると(a)と同じ主張です。
続いて(b)を示します。
これに関しては発想力が必要です。先程$20$が作れることを確かめましたが、その際、
$$
\begin{align}
20&=4\times5\\
&=4+4+4+4+4\\
&=(4-2)+(4-1)+4+(4+1)+(4+2)\\
&=2+3+4+5+6
\end{align}
$$
というような作り方をした人はおそらくなんとなく察していると思います。
何個か例を出します。
$$999=3\times333=332+{\color{red}333}+334\to \text{ok}$$
$$1000=5\times200=198+199+{\color{red}200} +201+202\to \text{ok}$$
$$1001=7\times143=140+141+142+{\color{red}143}+144+145+146\to \text{ok}$$
$$1002=3\times334=332+{\color{red}334}+335\to \text{ok}$$
ここから、自然数$N$が奇素数$2k+1$を素因数にもち、$N=(2k+1)q$と表せるなら、$N$は($q$を中心とする)連続する$2k+1$個の整数の和
$$N=\sum_{i=0}^{2k}(q-k+i)$$
とかけます。よって、
「奇素数を素因数にもつ($\Leftrightarrow$$2^k$の形でない)
$\Rightarrow$連続する二個以上の整数の和として表せる。」
として(b)を解決したことにできそうですが、実はまだ問題があります。
$N$が小さいとき、$q-k+i$が負になってしまう場合が無数にあります。
例えば$22$は$22=2\times11$なので奇素数$11$を素因数にもつため連続する$11$個の整数の和として表せるのですが、先ほどの書き方をすると
$$22=(-3)+(-2)+(-1)+0+1+{\color{red}2}+3+4+5+6+7$$
となってしまい「連続する自然数」の条件を破ってしまったことになります。
ですが、実はこのケースも特に問題はないのです。
実際$22$は連続する自然数の和で表せないのかというとそんなことはなく、$$22=4+5+6+7$$
と表せます。これはよく見ると上の書き方から$-3$から$3$までを取り除いたものであることに気がつくと思います。
つまり、もし負の整数が出てきても「相殺」し、自然数だけの列になる、ということが言えればよく、これは$q$(真ん中の数)が正であることからほぼ自明です。これにて(b)も証明できました。
以上により、「連続する二個以上の自然数の和のかたちで表せる」というのは「$2^k$($2$の累乗の形と$1$)ではない」と同値であることが言えて、求めるものの個数は$2^n-n-1$個になります。