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高校数学解説
文献あり

国際信州学院大学観光学部R6第二問を、高校数学+α+βくらいで解く

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暫くLATEX打ってなかったのでリハビリがてら。

すべてが高校範囲で収まるという訳ではないので、
高校生が見るのは正直お勧めしません。
出来るだけ高校数学を用いて、細かいところも「出来るだけ逃げない」ことにしているのでめちゃくちゃ長くなっております。
構成が下手なのでぐちゃぐちゃです。

国際信州学院大学観光学部R6第二問

2以上の整数nに対して
In=0π2tanxndx
を定める.
(1) Innを用いて表せ.
(2) limn2Inを求めよ.

これを出来る限り高校数学を用いて解きます。
ちなみに頑張っても広義積分と重積分は除けませんでした。
あと最大値最小値原理は仮定としています。ご了承ください。

ではこれを解くために補題を立てて証明していきましょう。

大まかなストラテジーを、問題から辿って考えると、
1. In0π2sin1nxcos1nxdxと表されることから、ベータ関数(後述)に帰着出来ることが分かる。
2. ベータ関数がガンマ関数(後述)を使って表せる。
3. ガンマ関数の性質を示して解く。
という感じです。
まずはガンマ関数の紹介から。

ガンマ関数

x>0に対して、以下の関数をガンマ関数として定義する。
Γ(x)=0ettx1dt
なお、af(x)dx:=limbabf(x)dx

ガンマ関数の収束

Γ(x)x>0で収束する。

ある定数cで積分区間を分けて、別々で収束を証明する。
A1=0cettx1dt
A2=cettx1dt
まず、被積分関数がt>0で常に0以上なので、
0A10A2

A1について、
また、e0=1etは単調減少なのでet1から、
A10ctx1dt
x>0の仮定から、
0ctx1dt=[txx]0c=cxx<
A2について、

1以上の任意の自然数nをとして、関数f(x)=xlog(1+x+x22++xnn!) (x>0)とすると、limx+0f(x)=0かつ、
f(x)=11+x+x22++xn1(n1)!1+x+x22++xnn!>0
よってx>0f(x)>0が成り立ち、整理して指数を取ると、
ex>1+x+x22++xnn!
つまりex<n!xn
よって、n>xなるnを取ってきて、
A2cn!tn+1xdt=[n!(xn)tnx]c=n!(nx)cnx<
よって、Γ(x)x>0で収束する。

ガンマ関数の漸化式

Γ(x+1)=xΓ(x)

Γ(x+1)=0ettxdt=[ettx]0+x0ettx1dt=xΓ(x)
2段目の極限は、定理1の議論と同様にして導ける。

対数的凸 (対数的に下に凸である)

Γ(x)x>0で対数的凸である。

まず、凸関数とは、高校で言う、「下に凸」な関数のことであり、対数凸とは、f(x)に対して、logf(x)が凸関数であることを指します。一応定義としてはこれになります。

凸関数(下に凸な関数)

任意の実数x,y0t1に対して、
f((1t)x+ty)(1t)f(x)+tf(y)
を満たす実関数f(x)を、凸関数という。

凸関数に関する、今回必要な補題とその証明
Lemma 1
f((1t)x+ty)(1t)f(x)+tf(y)f(x2)f(x1)x2x1f(x3)f(x1)x3x1f(x3)f(x2)x3x2(x1<x2<x3)

Proof 1
x=x1,y=x3,t=x2x1x3x1とおいて整理すると得る。逆にx1=x,x3=y,x2=(1t)x+tyとすると逆も示せる。


Lemma2
f(x)0f((1t)x+ty)(1t)f(x)+tf(y)

Proof 2
f(x)0ならばf(x)は広義単調増加となり、
平均値の定理から、
f(xt)f(x)xtx=f(c1)(x<c1<xt)
f(y)f(xt)yxt=f(c2)(xt<c2<y)
なるc1,c2が存在する。
f(x)は広義単調増加より、f(c1)f(c2)
つまりf(xt)f(x)xtxf(y)f(xt)yxt
xtは、0t1なるパラメータtを用いてxt=(1t)x+tyと表せて、
f((1t)x+ty)f(x)t(yx)f(y)f((1t)x+ty)(1t)(yx)(f((1t)x+ty)f(x))(1t)(f(y)f((1t)x+ty))tf((1t)x+ty)(1t)f(x)+tf(y)

(見にくいのでこの形式やめます。)

ガンマ関数の微分

ガンマ関数のn階導関数Γ(n)(x)は、
Γ(n)(x)=0ettx1(logt)ndt
で表される。

この証明のために必要な補題

exの近似

0xlog2において、
1+x+x22ex1+x+x2

1+x+x22exの証明は定理1の証明の途中で示している。
もう一つの不等式について、
f(x)=1+x+x2exとすると、f(x)=1+2xex,f(x)=2exとなり、
f(x)0(0xlog2),f(0)=0であるので、f(x)0(0xlog2)
また、f(0)=0であるので、
f(x)0(0xlog2)
よってex1+x+x2(0xlog2)

補題4の証明

まずは、0ettx1(logt)ndtが収束することを示そう。
0t1et1である。1t(logt)ntnであることは、f(t)=tlogtの増減表を書くことで示せる。
よって、
0ettx1(logt)ndt01tx1(logt)ndt+1ettn+x1dt<(limx+0xa(logx)n=0(a>0)であることは、limx+logxxan=0より従う。 また、この極限はex>xnn!より従う。また、2項目はΓ(n+x)より小さい。)
Γ(x+h)=0ete(x+h1)logtdt=0ete(x1)logtehlogtdt
0hlogtlog2を満たす、つまり十分小さいhにおいて、
0ete(x1)logt(1+hlogt+h2(logt)22)dtΓ(x+h)0ete(x1)logt(1+hlogt+h2(logt)2)dt
0ete(x1)logt(hlogt+h2(logt)22)dtΓ(x+h)Γ(x)0ete(x1)logt(hlogt+h2(logt)2)dt
limh01h0ete(x1)logt(hlogt+h2(logt)22)dtlimh01h(Γ(x+h)Γ(x))limh01h0ete(x1)logt(hlogt+h2(logt)2)dt
左側も右側も、同じ収束値であるので、挟み撃ちの原理から、
Γ(x)=limh0Γ(x+h)Γ(x)h=0ettx1logtdt
この議論は、Γ(x)Γ(x)Γ(n1)(x)に対しても同様に行えるので、式を得る。

定理3の証明

{logΓ(x)}=(Γ(x)Γ(x))=Γ(x)Γ(x)Γ(x)2Γ(x)2=1Γ(x)(Γ(x)(Γ(x)Γ(x))2Γ(x))=1Γ(x)(Γ(x)2Γ(x)Γ(x)Γ(x)+(Γ(x)Γ(x))2Γ(x))=1Γ(x)0ettx1{(logt)22Γ(x)Γ(x)+(Γ(x)Γ(x))2}dt=1Γ(x)0ettx1(logtΓ(x)Γ(x))2dt0

(弱い)ボーア・モレルップの定理

ある実関数f(x)が、
f(1)=1
f(x+1)=xf(x)
f(x)の定義域は正の実数全体を含み、そこでは対数的凸
の3条件を満たすとき、f(x)=Γ(x)である。

0<x1n0以上の整数だとすると、
f(x+n)=(x+n1)(x+n2)(x+1)xf(x)
となるので、いかなる正の実数に対しても、0<x1の定義域に帰着する。
ここで、logf(x)は下に凸なので、0<x1を満たす実数、nを2以上の自然数とすると以下の不等式が成立する。
logf(1+n)logf(n)(1+n)nlogf(x+n)logf(n)(x+n)nlogf(1+n)logf(n)(1+n)n
f(n+1)=n!f(n)=(n1)!f(n1)=(n2)!であるから上式は
log(n1)logf(x+n)log(n1)!xlognxlog(n1)logf(x+n)log(n1)!xlognxlog(n1)+log(n1)!logf(x+n)xlogn+log(n1)!log{(n1)x(n1)!}logf(x+n)log{nx(n1)!}
logは単調増加なのでそのまま外せて
(n1)x(n1)!f(x+n)nx(n1)!
ここで、f(x+n)を先ほどの方法で変形させて整理すると、
(n1)x(n1)!x(x+1)(x+n1)f(x)nx(n1)!x(x+1)(x+n1)=nxn!x(x+1)(x+n)x+nn
この式は2以上の任意の自然数xに対して成立するものであるから、左辺に対してnn+1にしたものも当然成立して
nxn!x(x+1)(x+n)f(x)nxn!x(x+1)(x+n)x+nn
f(x)nxn!x(x+1)(x+n)f(x)x+nn
nで下限と上限は同じf(x)に収束するので、挟み撃ちの原理から、
f(x)=limnnxn!x(x+1)(x+n)(これをガウスの無限乗積表示といいます。)
という一義的な関数に定まる。また、Γ(x)はこの条件を全て満たすことからこの極限が収束することも分かり、f(x)=Γ(x)であることも言える。

ここで、一回ベータ関数を紹介しておきましょう。(都合がいいので。)

ベータ関数

ベータ関数B(a,b)を次のように定める。
B(a,b)=01xa1(1x)b1dx

別の積分表示

B(a,b)=20π2sin2a1θcos2b1θdθ

x=sin2θに変数変換する。x:01θ:0π2dxdθ=2sinθcosθであるので、
B(a,b)=0π2(sin2θ)a1(cos2θ)a12sinθcosθdθ=20π2sin2a1θcos2b1θdθ

また、θ=θπ2と変数変換することにより、B(a,b)=B(b,a)であることも分かる。

ベータ関数とガンマ関数の関係

B(a,b)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)

ここで重積分を使います。この式を重積分なしで示せる方がいればコメント下さい。

Γ(a)Γ(b)=0xa1exdx0yb1eydy=0(0xa1yb1e(x+y)dy)dx
ここで、yに対してy=txという変数変換を行うと、y:0t:xとなるので、
0(xxa1(tx)b1etdt)dx
と表せる。今、積分範囲は下図の様になっており、(横軸がx軸、縦軸がt軸。)
積分範囲 積分範囲
これは、x0からtまでを動いて、t0と動く
とも捉えられる。よって、
0(0txa1(tx)b1etdx)dt
最後に、xに対して、x=tzと変数変換すると、x:0tz:01であり、dxdz=tであるから、
0(01ta+b2etza1(1z)b1tdz)dt
0ta+b1etdt01za1(1z)b1dz
=Γ(a+b)B(a,b)
よって、B(a,b)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)

ガンマ関数の特殊値

Γ(12)=π

B(12,12)=Γ(12)2Γ(1)=Γ(12)2
B(12,12)=20π2dθ=π
整理して両辺平方根を取ると、Γ(12)=π

Γ(x)=2x1πΓ(x2)Γ(x+12)

f(x)=2x1πΓ(x2)Γ(x+12)とするとき、f(x)=Γ(x)となることを示せばよい。
f(x+1)=2xπΓ(x+12)Γ(x2+1)=22x1πΓ(x+12)x2Γ(x2)=xf(x)
また、x>0のときf(x)>0で、
logf(x)=(x1)log2logπ+logΓ(x2)+logΓ(x+12)
であるから、
{logf(x)}={logΓ(x2)}+{logΓ(x+12)}0
となる。そして、f(1)=1π1π=1であるから、3条件を満たすので、
f(x)=Γ(x)である。

ガンマ関数の相反公式

Γ(x)Γ(1x)=πsinπx

0<x<1に対して、
f(x)=Γ(x)Γ(1x)sinπx
を定める。この関数をx=0,1でも定義できるようにする。
f(0)=limx0Γ(x+1)Γ(1x)sinπxx=limx0Γπ(x+1)Γ(1x)sinπxπx=π0!0!(limx0sinxx=1)=π
また、
f(1)=limx1Γ(x)Γ(1x)sinπx=limx0Γ(x+1)Γ(x)sin(πx+π)=limx0xΓ(x)Γ(1x)x(sinπx)=limx0Γ(x)Γ(1x)sinπx=f(0)
となるので、f(0)=f(1)=π

f(x2)f(x+12)=Γ(x2)Γ(1x2)sinπx2Γ(x+12)Γ(1x2)sin(πx2+π2)=Γ(x2)Γ(x+12)Γ(1x2)Γ(1x2)sinπx2cosπx2
公式1の事実を用いれば、これはさらに変形出来て、
=π2x1Γ(x)π2xΓ(1x)12sinπx=πΓ(x)Γ(1x)sinπx=πf(x)
g(x)={logf(x)}とおく。
g(x)={log[1πf(x2)f(x+12)]}=14{g(x2)+g(x+12)}
|g(x)|の最大値をMとおけば、
|g(x)|14|g(x2)|+14|g(x+12)|M4+M4=M2
となるので、Mの存在が矛盾しないためには、M=0と取るほかない。
絶対値を取って最大が0であるということは、g(x)は常に0でなければならない。

{logf(x)}が常に0ということは、logf(x)は定数関数か一次関数であることになるが、f(0)=f(1)であるので、定数関数となる。logf(x)が定数であるので、f(x)は定数。つまりf(x)=π
よって相反公式が得られる。

さて、道具は揃ったので、問題を解きましょう。
(1)
In=0π2tanxndx=1220π2sin1nxcos1nxdx=12B(n+12n,n12n)=12Γ(n+12n)Γ(n12n)Γ(1)=12Γ(n+12n)Γ(1n+12n)=π2sin(n+12nπ)
(2)
limn2In=limnπsin(1+1n2π)=π

間違いがあれば指摘、お願いいたします。

参考文献

投稿日:119
更新日:120
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vunu
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