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陰関数定理をBanachの不動点定理を用いて証明しよう(3)

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φ^は微分可能で,x1B(x0,τ1)に対して,
φ^(x1)=fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))と表せる.

fの連続微分可能性を仮定していたので,任意のx1B[x0,τ1]に対して,あるδx1>0が存在して,任意のxB[x1,δx1]B[x0,τ1]に対して,fy(x,φ^(x))も可逆になる.
(実際,fの連続微分可能性を用いて,fy(x,φ^(x))fy(x1,φ^(x1))(2fy(x1,φ^(x1))1)1となるようにδx1>0を決めてやればよい.)

fは微分可能だから,あるδ>0が存在して,任意のxB[x1,δ]に対して
ϵ(x,φ^(x))xx1+φ^(x)φ^(x1)12fy(x1,φ^(x1))1つまりϵ(x,φ^(x))xx1+φ^(x)φ^(x1)2fy(x1,φ^(x1))1
が成立するようにできる.

またxB[x1,δx1]となるどんなxB[x0,τ1]に対しても,
ϵ(x,φ^(x))xx1+φ^(x)φ^(x1)ϵx12fy(x1,φ^(x1))1(fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))+1)が成り立つようにδx1>0をとってくる.
f(x,φ^(x))=0=f(x1,φ^(x1))+fx(x1,φ^(x1))(xx1)+fy(x1,φ^(x1))(φ^(x)φ^(x1))+ϵ(x,φ^(x))=fx(x1,φ^(x1))(xx1)+fy(x1,φ^(x1))(φ^(x)φ^(x1))+ϵ(x,φ^(x))
fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))(xx1)+(φ^(x)φ^(x1))+fy(x1,φ^(x1))1ϵ(x,φ^(x))=0より,δ:=min{δ,δx1,δx1}として,任意のxB[x1,δ]に対して
(φ^(x)φ^(x1))=fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))(xx1)+fy(x1,φ^(x1))1ϵ(x,φ^(x))φ^(x)φ^(x1)=fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))(xx1)+fy(x1,φ^(x1))1ϵ(x,φ^(x))fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))xx1+fy(x1,φ^(x1))1ϵ(x,φ^(x))fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))xx1+12(xx1+φ^(x)φ^(x1))

φ^(x)φ^(x1)2fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))xx1+xx12φ^(x)φ^(x1)(2fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))+1)xx1
後で使うので
xx1+φ^(x)φ^(x1)2(fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))+1)xx1
も記述しておく.

fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))(xx1)+(φ^(x)φ^(x1))=fy(x1,φ^(x1))1ϵ(x,φ^(x))を用いて,

φ^(x)φ^(x1)+fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))(xx1)xx1fy(x1,φ^(x1))1ϵ(x,φ^(x))xx1=fy(x1,φ^(x1))1xx1+φ^(x)φ^(x1)xx1ϵ(x,φ^(x))xx1+φ^(x)φ^(x1)fy(x1,φ^(x1))12(fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))+1)ϵ(x,φ^(x))xx1+φ^(x)φ^(x1).

xB[x1,δ]B[x1,δx1]なので,δx1>0の定め方より,
φ^(x)φ^(x1)+fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))(xx1)xx1ϵx1
が求まる.ϵx1は任意の正数であったから,これはx1φ^が微分可能でφ^(x1)=fy(x1,φ^(x1))1fx(x1,φ^(x1))であるということを示している.

以上で,定理1の証明が完了した.敢えてϵ-δ論法を多用したのは,自分の中でこの定理をしっかり証明したいという思いがあってのことである.

投稿日:4月10日
更新日:29日前
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k20ku
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ゼミのメモ用にやっているので不完全でも投稿しています.すいません

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