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Gould-Hsuの反転公式

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以下は, Gould-Hsuによって1973年に示された公式である.

Gould-Hsuの反転公式

数列an,bn
ψ(x,n)=i=1n(ai+bix)0
を全ての整数x,nに対して満たし, ψ(x,0)=1となるようなものとする. このとき, f,g
f(n)=k=0n(1)k(nk)ψ(k,n)g(k)
を満たすことと
g(n)=k=0n(1)k(nk)ak+1+kbk+1ψ(n,k+1)f(k)
を満たすことは同値である.

一般に, f,g
f(n)=k=0nan,kg(k)g(n)=k=0nbn,kf(k)
の関係にあるとき, 上の式に下の式を代入すると
f(n)=k=0nan,kj=0kbk,jf(j)
が成り立つ. 全てのfについてこれがなりたつことから, Kroneckerのデルタをδとして
k=0nan,kbk,j=δn,j
が成り立つ. これはA=(ai,j),B=(bi,j)は互いに逆行列の関係にあることを意味する. つまり, 上の式に下の式を代入したものと, 下の式を上の式に代入したものは同値である.

上の式に下の式を代入した等式
f(n)=k=0n(1)k(nk)ψ(k,n)j=0k(1)j(kj)aj+1+jbj+1ψ(k,j+1)f(j)
から,
k=0n(1)k+j(nk)(kj)ψ(k,n)ψ(k,j+1)=δn,jaj+1+jbj+1
を示せばよい. 左辺は
k=0n(1)k+j(nk)(kj)ψ(k,n)ψ(k,j+1)=k=0n(1)k+jn!(nk)!j!(kj)!ψ(k,n)ψ(k,j+1)=(nj)k=0nj(1)k(njk)ψ(j+k,n)ψ(j+k,j+1)
であるから, 示すべきことは
k=0nj(1)k(njk)ψ(j+k,n)ψ(j+k,j+1)=δn,jaj+1+jbj+1
となる. n=jのとき, 両辺が1an+1+(n+1)bn+1となって成り立つ. j<nのとき,
ψ(j+k,n)ψ(j+k,j+1)=i=j+2n(ai+(k+j)bi)
kに関するnj1次の多項式である. 一方, nj1以下の任意の多項式pに関して,
k=0nj(1)k(njk)p(k)=0
となることから,
k=0nj(1)k(njk)ψ(j+k,n)ψ(j+k,j+1)=0
である. よって定理が示された.

系として,
f(n)=k=0n(1)k(nk)(a+bkn)g(k)(a+bnn)g(n)=k=0n(1)ka+bkka+bnk(a+bnknk)f(k)
のような反転公式を得ることができる.

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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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