この記事では、$an^3+bn^2+cn+d$($a,b,c,d,n$はすべて整数)という3次多項式の値が、いかなるnでもある素数$p$の倍数となる、$a,b,c,d$の必要条件を求めることを最終目標とする。(pは固定)
(初めての投稿なので、何かおかしいところがあったら教えてください)
$n\equiv q \pmod{p}$。つまり、$ n=pm+q$
とすれば、
「$0\leq q \lt p$のいかなる$q$にも、
$$a(pm+q)^3+b(pm+q)^2+c(pm+q)+d=pk$$
となる整数$k$が存在するような$a,b,c,d$の必要条件を求めよ」という問題に書き換えることができる。
このままでは、なんともできないので、とりあえず$a(pm+q)^3+b(pm+q)^2+c(pm+q)+d$を展開して計算する。
まずは展開
$a(pm+q)^3+b(pm+q)^2+c(pm+q)+d=$
$aq^3m^3+3ap^2qm^2+3apq^2m+aq^3+bp^2m^2+2bpqm+bq^2+cpm+cq+d$
$p$でくくると、
$p(3apqm^2+3aq^2m+aq^2m^3+bpm^2+2bqm+cm)+aq^3+bq^2+cq+d$
この、$p(3apqm^2+3aq^2m+ \cdots +cm)$の部分は明らかにpの倍数であるため、pの倍数となる条件の議論の時は、この部分は除外して良い。
つまり、$aq^3+bq^2+cq+d$が$p$の倍数になるような$a,b,c,d$の条件を求めればいいのだ。
ここで、今の問題を整理すると、
$aq^3+bq^2+cq+d$がある素数$p$の倍数となるような$a,b,c,d$の条件を求めよ(ただし、$0\leq q\lt p$である)
となる。
最初の問題と変わっていないように見えるが、$q$の範囲が制限されたので大きな一歩だ。
ここで、$q=0$を代入してみよう。
すると、三次、二次、一次の項が消え、$d=pk$となる。つまり、$d$は$p$の倍数でなければならない。
ここでは、$d=pD$と置く($D$は整数)。
$d=pD$を代入すると、
$aq^3+bq^2+cq+pD=pk$
$pD$を移項して、
$aq^3+bq^2+cq=p(k-D)$
両辺を$q$で割ると、
$aq^2+bq+c=p\frac{k-D}{q}$
$D$は固定だとしても、$k$は整数ならどんな値でもいいので、$\frac{k-D}{q}$は整数とみていい。
とりあえず、$\frac{k-D}{q}=h$と置く。
すると、
$aq^2+bq+c=ph\cdots ①$
という式になる。
そして、$q$で割ったことから、
$0\lt q\lt p$の範囲に狭まった。
$q=1$を①式に代入してみる。
$aq^2+bq+c=a+b+c$
つまり、$a+b+c$は$p$の倍数でなければならない
これは、次のように表すこともできる。
$a+b+c\equiv 0\pmod{p} \cdots ②$
次に、$q=p-1$を代入してみる。
これは、$a(p-1)^2+b(q-1)+c=ap^2-2ap+a+bp-b+c=p(ap-2a+b)+a-b+c$
この式を$\pmod{p}$の合同式にかけてみると。
$p(ap-2a+b)+a-b+c\equiv a-b+c\equiv 0\pmod{p}$
つまり、
$a-b+c\equiv 0 \pmod{p}\cdots ③$であり、$a-b+c$は$p$の倍数
②と③を変形すると、
$a+c\equiv -b \pmod{p}\cdots ②'$
$a+c\equiv b \pmod{p}\cdots ③'$
ここで、この②´、③´が成り立ち、かつ$p$が2でないとき、$b$は必ず$p$の倍数であることを証明する。
②'、③'から、
$b\equiv -b \pmod{p}$
$2b\equiv 0 \pmod{p}$
$p$は$2$以外の素数であるという前提の為、これが成り立つのは$b$が$p$の倍数の場合のみである。
よって、$b$は$p$の倍数。
ここからは$p$が$2$でない前提で話を進める。
$b$は$p$の倍数であるため、$a+c\equiv -b \equiv 0 \pmod{p}$
よって、$a+c$は$p$の倍数。
これは、$a+c\equiv 0\pmod{p}\cdots ④$
次に、$aq^2+bq+c=pk$について考える。
$b$は$p$の倍数であるため、$b=Bp$($B$は整数)と置ける。
これを代入すると、
$aq^2+Bpq+c=pk$
$aq^2+c=p(k-Bq)$
これは、合同式で次のようにも表せる。
$aq^2+c\equiv 0\pmod{p}\cdots ⑤$
⑤を変形すると
$aq^2\equiv -c\pmod{p}$
④から、
$aq^2\equiv -cq^2\pmod{p}$
と言えるので、
$-c\equiv -cq^2\pmod{p}$
$c\equiv cq^2\pmod{p}$
$c(q^2-1)\equiv 0 \pmod{p}\cdots ⑥$
ここで、$p$が$3$より大きい場合を考える。
⑥に$q=p-2$を代入してみる。
$c\lbrace (p-2)^2-1 \rbrace=c(p^2-4p+3)=p(cp-4c)+3c$
これを、$p$を法とした合同式で考えると、
$p(cp-4c)+3c\equiv 3c\equiv 0\pmod{p}$
$p$は$3$より大きい素数であるため、これが成り立つ場合、$c$は$p$の倍数である。
$c$は$p$の倍数であることから、$c=Cp$($C$は整数)と表せる。
$a+c\equiv 0\pmod{p}$に$c=Cp$を代入すると、
$a+Cp\equiv 0\pmod{p}$
$a\equiv -Cp\equiv 0\pmod{p}$
つまり、$a$は$p$の倍数となる。
よって、$p$が$3$よりも大きいとき、$a$、$c$は$p$の倍数である。
・$d$は$p$の倍数
・$p$が$2$でないとき、$b$と$a+c$は$p$の倍数
・$p$が$3$よりも大きいとき、$a,b,c,d$すべては$p$の倍数
つまり、ほとんどの場合、$a,b,c,d$すべてが$p$の倍数である。
これが、この記事における結論だ。