まずは小手調べです。
複素数平面において、3点
よく高校数学で用いられるのは、3点が相異なるとき
というものです (→
参考
)。普通はこれで十分だと思いますが、対称性が無いのでいまいち美しさに欠けます。また、点が重なっている場合にも対応できると嬉しいです。
というわけで、もう少しいい感じの条件を探してみます。
3点が異なるとき、
である。ここで、
となる。
「
「
(後者については、
となってわかりやすい。)
他の2点が等しい場合も同様。したがって、求める条件は
である。
複素数平面において、3点
が成り立つことである。
いろいろと言い換えが可能です。
一般に、複素数
とも書けます。さらにこれは
とも同値です。また、行列式をご存じであれば
と表せることも分かると思います。
ここからが本題です。
いかがでしょうか。
今回、この問題についてそれなりにスッキリとした解答が得られたので、記事を書くことにしました。
式を見やすくするため、よく行われるように
と変換します。すると方程式は
となります。
とおけば
となります。変数変換は
カルダノの公式については、例えば
こちら
を参照。
公式によると、
を満たす複素数
となります。ここで、
となります。
が分かり、命題1から、3点
となります。
さて、
を満たす複素数でした。ここで、
が成り立つから、
の解である。解を
が成り立つ。
さらにこの証明から、以下のことが分かります。
の解の絶対値が等しいことである。
では、2次方程式の解の絶対値が等しくなるのはどのようなときなのでしょうか?
解の公式を用いて
とすれば1つの解答は得られますが、もう少しいい感じのが欲しいところです。
2つの解を
を同値変形していくと (試行錯誤の結果得られた変形なので、多少天下り的です)、
惜しいところまで来ました。あとは
シンプルながら、なかなか見かけない問題だと思います。こういうのの一般論とかあるんですかね?
この問題については個人的に考えたことがあり、解答が得られています。というわけで、これも天下り的になりますが、解説していきます。
まず、
辺々の和をとって2で割れば、
が得られます。ついでに
も得られます。
(上の手順は、結果から逆算して得られたものです。もともとは、
上で得られた関係式を用いて
を変形すると、
となります。よって、
が成り立つことである。
となります。
さらによく見ると、この等式は三角不等式のような形をしています。見やすくするために
と変形しておきます。
一般に、ベクトル
とも言えます。順番が決まってるのがなんとも不思議ですね。
命題2より、
の解の絶対値が等しいことでした。さらに命題4より、これは
が得られます。これが私の得た問題2の解答です。
式で表したければ命題3を用いればよく、
が必要十分条件となります。
変換を元に戻した形も一応書いておきます。
だったので、
がこの順に同一直線上に並ぶことである。ただし、2つ以上が重なっても良い。
となります。式変形してよりシンプルにできるかもしれませんが、面倒なのでとりあえずここまでとします。
定理5を再掲します。
いくつかの特別な場合を見てみます。
この場合、条件を満たすので、3つの解は同一直線上にあるはずです。
重解を持つということは、3つの解は同一直線上にあるので、確かに成り立っています。
この場合も条件を満たすので、3つの解は同一直線上にあるはずです。
実際、
となります。これらは確かに同一直線上にあります。
この場合、
逆に、
と表せます。ここで、方程式の
となり、
今回の記事以外にも、複素数平面における初等幾何についてはいろいろ遊べると思います。ただ、今回ほど綺麗な結果が得られることは希なのではないかと思っています。例えば、三角形の外心の公式が こちら にありますが、これを基本対称式で表すというのはなかなか想像できません。
ところで、今回の記事で現れた
ちなみに、もし「共役を含む対称式」を基本対称式で表すアルゴリズムがあれば、今回の問題2は
を基本対称式で表して