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商の微分の時短テクニック

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商の微分の時短テクニック

はじめに

学部で行列式を習った際,ある数式が頭を過った.
$$ \left[\frac{f(x)}{g(x)}\right]’ =\frac{f’(x)g(x)-f(x)g’(x)}{g(x)^2} $$
商の微分の分子である.
これを行列式を用いて表すと,
$$ \left[\frac{f(x)}{g(x)}\right]’ =-\frac{ \begin{vmatrix} f(x) & g(x) \\ f’(x) & g’(x) \end{vmatrix}} {g(x)^2} $$

となる.ロンスキアンを知っていれば

$$ \left[\frac{f(x)}{g(x)}\right]’ =-\frac{W(f,g)}{g(x)^2} $$
となる.ロンスキアンを微分ととらえると,なんとなく$1/f$の微分$-f’/f^2$のアナロジーであると気付けるだろう.

1.$\dfrac{ax+b}{cx+d}$の微分

次に,先の公式を用いて特殊なケースについて考える.
$f \longmapsto ax+b,g \longmapsto cx+d$として,

$$\begin{align} \left[\frac{ax+b}{cx+d}\right]’ &=-\frac{ \begin{vmatrix} ax+b & cx+d \\ a & c \end{vmatrix}} {(cx+d)^2}\\ &=-\frac{ \begin{vmatrix} b & d \\ a & c \end{vmatrix}} {(cx+d)^2}\\ &=\frac{ \begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix}} {(cx+d)^2} \end{align}$$

筆者はこれを暗記し,同様の微分を暗算で検算している.

2.$\dfrac{af(x)+b}{cf(x)+d}$の微分

$f \longmapsto af+b,g \longmapsto cf+d$として,

$$\begin{align} \left[\frac{af(x)+b}{cf(x)+d}\right]’ &=-\frac{ \begin{vmatrix} af(x)+b & cf(x)+d \\ af’(x) & cf’(x) \end{vmatrix}} {(cf(x)+d)^2}\\ &=-\frac{ \begin{vmatrix} b & d \\ af’(x) & cf’(x) \end{vmatrix}} {(cf(x)+d)^2}\\ &=\frac{ \begin{vmatrix} a & b \\ c & d \end{vmatrix}f’(x)} {(cf(x)+d)^2} \end{align}$$

筆者はこれを暗記し,同様の微分を暗算で検算している.

オマケ.$\dfrac{f(x)}{g(x)^n}$の微分

$g \longmapsto g^n$として,

$$\begin{align} \left[\frac{f(x)}{g(x)^n}\right]’ &=-\frac{ \begin{vmatrix} f(x) & g(x)^n \\ f’(x) & ng(x)^{n-1}g’(x) \end{vmatrix}} {g(x)^{2n}}\\ &=-\frac{ \begin{vmatrix} f(x) & g(x) \\ f’(x) & ng’(x) \end{vmatrix}g(x)^{n-1}} {g(x)^{2n}}\\ &=\frac{f’(x)g(x)-nf(x)g’(x)}{g(x)^{n+1}} \end{align}$$

これは商の微分で証明できるため,筆者同様高校時代に気付いた者も多いだろう.

投稿日:2023720

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投稿者

東北大学工学研究科出身 できるだけ受け売りはせず,自分で思いついた解法や妄想を備忘録がてら書き綴っていこうと思います.

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