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総積をべき級数に変える

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今回の主役
01tx1ty1lntdt=ln(xy)x,y>0

01tx1ty1lntdt=011t[tulnt]yxdt=011tyxtududt

=01yxtu1dudt=yx01tu1dtdu=yx1udu=ln(xy)

これを用いると、積商をべき乗の和差に変えられる。

以下、総積の式については必要でない限り証明を省く。

例1:sinc関数の無限乗積展開

sinπxπx=n=1(1x2n2)
である。
n=1(1x2n2)=n=1(nxn)(n+xn)より、

ln(sinπxπx)=n=1(ln(nxn)+ln(n+xn))

この右辺に、今回の式を適用する。
n=1(ln(nxn)+ln(n+xn))=n=101tnx1tn1+tn+x1tn1lntdt

=011lntn=1(tnx12tn1+tn+x1)dt=01tx1t21t+tx1tlntdt

=201(tx+tx)21(1t)lntdt=201cosh(xlnt)1(1t)lntdt

lnttと置換
=20cosh(xt)1(1et)tetdt=0cosh(xt)1sinh(t2)tet2dt
t2tと置換
=0cosh(2xt)1sinh(t)tetdt=02cosh2(xt)2sinh(t)tetdt
=2010sinh2(xt)sinh(t)tetdt
よって、
ln(sinπxπx)=20sinh2(xt)sinh(t)tetdt
両辺をxで微分してxx2とすると(計算略)、
0sinh(xt)etsinhtdt=1xπ2cot(π2x)
更に、xixとすると(計算略)、
0sin(xt)etsinhtdt=1x+π2coth(π2x)
cosについても無限乗積展開をすれば立式できる(暇が出来たら追記予定)。

例2:ウォリス積

n=1((2n)2(2n1)(2n+1))=π2
同様に両辺に自然対数をとり、左辺をlnの無限和の形にする。
ln(π2)=n=1(ln(2n2n1)+ln(2n2n+1))
例1と同様に計算を進めると、
ln(π2)=012t1t21+t21t2lntdt=01t1t+11lntdt
よって、
01t1t+11lntdt=ln(π2)

例3:ガンマ関数

Γ(z)=0tz1etdt=limnnzn!k=0n(z+k)
以下、lim記号を省略する。
nzn!k=0n(z+k)=nzzk=1n(1+xk)
自然対数を取る。
ln(Γ(z))=zlnnlnzk=1nln(k+zk)
   =zk=1nln(k+1k)lnzk=1nln(k+zk)
(厳密には下の式はzlnnではなくzln(n+1)となってしまっているが、nを考えているので問題ない。)
ここに冒頭の式を適用すると、
ln(Γ(z))+ln(z)=zk=1n01tktk1lntk=1n01tk+z1tk1lntdt
zΓ(z)=Γ(z+1)および等比級数公式を用いて、
ln(Γ(z+1))=01(ztn1lnt1tn1ttz1lnt)dt
|t|<1より、ntn0より、
ln(Γ(z+1))=01(z+zttz+1(1t)lnt)dt
両辺をzで微分すると、
ψ(z+1)=01(1+tln(t)tz(1t)lnt)dt=01(1lnt+tz1t)dt
(この表示はガウスの公式というらしい)
z=0とすれば、ψ(1)=γより、
γ=01(1lnt+11t)dt
が得られる。

他にも、ウォリス積の形式の自然数の無限積に対して、様々な積分表示を与えられる。共通テストが近いので今回はこれで終了。(受験が一段落ついたらもう少し深掘りする予定)

おしまい。

投稿日:20241229
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n=1 帰納法の失敗

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