皆様ごきげんよう。
二つの整数を求める問題で、
$$
\begin{aligned}
ax^2+bxy+cy^2\\
{}+dx+ey+f=0
\end{aligned}
$$
という式が現れたとします。因数分解するのでしょうか。平方完成するのでしょうか。それとも、一方について二次方程式と見るのでしょうか。
解答を読めば「なるほど」と思えても、自分で解くときにその操作を選べなければ、まだ少し距離が残ります。
この記事で考えるのは、解法の名前ではなく、次の操作を選ぶ理由です。「この方法では何が残るのか」を確かめ、その残ったものに合う方法へ進みます。途中で新しい式を得たら、そこでまた考え直します。
この記事の約束
断りのない限り、係数と未知数はすべて整数です。解の組は順序を区別します。例えば $(1,3)$ と $(3,1)$ は別の解です。
平方数には $0$ も含めます。また、$A\equiv B\pmod m$ は、$A-B$ が正の整数 $m$ で割り切れるという意味です。
すべての係数の場合を分類する記事ではありません。目標は、初見の式から方針を立て、条件を失わず、元の整数解まで戻ることです。
目次
1 最初の一手――短い処理と、条件の持ち運び
2 二次方程式から、平方数条件を取り出す
3 新しい式を読む――有限化・固定積・Pell型
4 判断の地図を完成させる
5 演習――途中でもう一度、方針を選ぶ
例えば $xy=6$ を解くのに、二次方程式の一般論は必要ありません。符号を含めた約数の組を調べれば済みます。逆に $x^2+y^2=-1$ なら、左辺が非負なので解はありません。
最初に見たいのは、少ない計算で、どれだけ候補を減らせるかです。
| いま見えているもの | 短く調べられること |
|---|---|
| 積、共通因子、繰り返すまとまり | 因数分解・整除・置換 |
| 一方の文字が一次 | その文字を表し、割り切れるか |
| 平方和、符号のそろった項 | 非負性・上限・下限 |
| 偶奇や特定の係数 | $2,3,4,5$ など、効きそうな法 |
| 平方数になる式 | 近くの平方数との比較・合同式 |
これは、上から全部試すための表ではありません。例えば $4x^2+4xy+y^2=2$ なら、左辺が $(2x+y)^2$ と見えるので、平方数条件を直接使えば十分です。$x^2+y^2=3$ なら、まず $4$ を法として見るのも短いでしょう。
最初は、この小さな地図だけ
① 元の条件と、いま扱う式を確認する
↓
② 短い操作で、矛盾・範囲・割り切れる条件を取る
↓ 進まなければ
③ 何が残って進まないのかを見て、形を変える
↓
新しい対象と、持ち越した条件で②へ戻る
候補がそろったら、元の整数解へ復元して出口へ。
問題
$x^2+xy-2y^2=7$ を満たす整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
$(x+2y)(x-y)=7$ より、$(x+2y,x-y)$ は $(1,7),(7,1),(-1,-7),(-7,-1)$ のいずれかである。
$u=x+2y,\ v=x-y$ とすると、$x=(u+2v)/3,\ y=(u-v)/3$ であるから、求める組は
$\displaystyle \boxed{\begin{aligned}(x,y)={}&(5,-2),(3,2),\\&(-5,2),(-3,-2)\end{aligned}}$
である。逆に、これらはすべて元の式を満たす。
二次部分がそのまま積になります。右辺は零でない固定整数なので、整数の二因子には有限個の候補しかありません。ここでは、これが短い出口です。
ただし、$uv=7$ の整数解を求めた段階と、元の整数解を求めた段階は違います。復元式の分母 $3$ で割り切れるかまで確かめます。今回は四組とも戻れましたが、いつもそうなるわけではありません。
また、積が正でも因子が正とは限りません。負どうしの組も必要です。
$x^2$ の項がなければ、$x$ について一次になっているかもしれません。二変数全体では二次でも、片方に着目すれば一次です。
問題
$x(y-2)=y^2-1$ を満たす整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
$y=2$ では $0=3$ となるので不適。$y\ne2$ のとき、
$\displaystyle x=\frac{y^2-1}{y-2}=y+2+\frac{3}{y-2}$
より、$x$ が整数であるための必要十分条件は、$y-2$ が $3$ の約数であることである。
従って $y-2=\pm1,\pm3$。対応する $x$ を求めると、
$\displaystyle \boxed{\begin{aligned}(x,y)={}&(0,-1),(0,1),\\&(8,3),(8,5)\end{aligned}}$
を得る。これらはすべて元の式を満たす。
$y$ については二次ですが、$x$ については一次です。まずこちらを選びます。
分数にしただけでは、$y$ はまだ自由に動いています。分子も分母も $y$ とともに動くため、どの値なら割り切れるかがまだ見えません。そこで割り算を行い、整数部分と余りに分けます。
余りが固定整数 $3$ になったため、割り切れる条件が約数の有限列挙に変わりました。これは「分数を作る」ことではなく、「割り切れる条件を使いやすくする」ための操作です。
なお、最初から $(y-2)(x-y-2)=3$ とまとめても同じです。こちらが見えるなら、その短い書き方で構いません。
一般形で $a=0$ なら、
$$
(by+d)x=-(cy^2+ey+f)
$$
です。この向きで進む場合は、まず $by+d=0$ を調べます。
その $y$ が整数で、右辺も $0$ なら、$x$ は任意の整数です。右辺が $0$ でなければ、その $y$ では解がありません。$by+d\ne0$ の場合だけ割り算をし、商が整数になる条件を調べます。
一方、$c\ne0$ なら、$y$ について二次方程式と見る方法もあります。割る係数の扱いが面倒なときは、そちらの方が短いこともあります。
$a=b=c=0$ なら $dx+ey+f=0$ という一次の不定方程式です。$d,e$ の少なくとも一方が零でないときは、$|d|,|e|$ の最大公約数で $f$ が割り切れるかが、整数解の存在条件になります。
$d=e=0$ まで成り立つなら、$f=0$ ではすべての整数の組が解、$f\ne0$ では解なしです。
また、式に $x$ が全く現れないなら、まず $y$ の条件を解き、解となる各 $y$ に対して $x$ は任意の整数とします。「変数が消えた」ことと「その変数が $0$ である」ことは違います。
直接の因数分解が見えず、符号や簡単な合同式だけでも候補が絞り切れないとします。二文字を同時に追うことが障害なら、一方をいったん固定し、もう一方の二次方程式と見ます。
例えば
$$
Ax^2+Bx+C=0\qquad(A\ne0)
$$
に整数解 $x$ があれば、
$$
(2Ax+B)^2=B^2-4AC
$$
です。左辺は整数の平方なので、判別式 $B^2-4AC$ は平方数でなければなりません。
ここで使っているのは、高校で知っている二次方程式です。ただし、整数問題では次の注意が加わります。
判別式が平方数でも、整数解とは限らない
$6x^2+x-1=0$ の判別式は $25$ ですが、二つの解は $1/3,-1/2$ であり、どちらも整数ではありません。
平方根を取れることと、その後の分母で割り切れることは別です。
$a\ne0$ として、元の式を $x$ について整理します。
$$
ax^2+(by+d)x+(cy^2+ey+f)=0
$$
整数解があるなら、
$$
\begin{aligned}
D_x(y)
&=(by+d)^2\\
&\quad-4a(cy^2+ey+f)
\end{aligned}
$$
が平方数になります。展開すると、
$$
\begin{aligned}
D_x(y)
&=(b^2-4ac)y^2\\
&\quad+2(bd-2ae)y\\
&\quad+d^2-4af
\end{aligned}
$$
です。
二文字の方程式から、「$y$ の二次式が平方数になる」という新しい条件ができました。その二次式の最高次係数が $b^2-4ac$ です。
この量を調べる理由は、最初から分類記号として与えられたからではありません。次に調べたい平方数条件の、主要な部分を決めているからです。
平方根の正負をまとめて扱うため、$t$ を正負を含む整数として、
$$
t=2ax+by+d
$$
と置きます。元の式は、次の二条件に言い換えられます。
平方数条件と、元に戻る条件
$\displaystyle t^2=D_x(y)$
$\displaystyle t\equiv by+d\pmod{2|a|}$
を満たす整数 $(y,t)$ を求め、
$\displaystyle x=\frac{t-(by+d)}{2a}$
で戻す。この二条件を合わせれば、元の整数解を過不足なく表せます。
上では説明のために $x$ を選びましたが、実戦で常に $x$ を選ぶ理由はありません。
$c\ne0$ なら、$y$ についての判別式は
$$
\begin{aligned}
D_y(x)
&=(b^2-4ac)x^2\\
&\quad+2(be-2cd)x\\
&\quad+e^2-4cf
\end{aligned}
$$
です。最高次係数は共通でも、一次項・定数項・復元の分母は違います。
| 比べるところ | 選ぶ理由 |
|---|---|
| 次数 | 片方が一次なら、より短いかもしれない |
| 二次の係数 | $1,-1$ なら、復元や別の根が扱いやすい |
| 判別式の残りの項 | 平方完成や合同式が簡単になる方を選べる |
| 元の範囲条件 | 範囲の分かっている文字を残すと絞りやすい |
全展開してから比較する必要はありません。まず係数と見えているまとまりを比べ、必要なら二つの判別式を計算します。
問題
$2x^2+xy-y^2+2x-3y=4$ を満たす整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
元の式を $y^2+(3-x)y-2x^2-2x+4=0$ と書く。$t=2y+3-x$ と置くと、
$\displaystyle t^2=9x^2+2x-7$
$\displaystyle t\equiv3-x\pmod2$
であり、$(9x+1)^2-(3t)^2=64$ を得る。$t\equiv3-x\pmod2$ より $9x+1$ と $3t$ は同じ偶奇なので、
$\displaystyle \begin{aligned}r&=\frac{9x+1-3t}{2},\\s&=\frac{9x+1+3t}{2}\end{aligned}$
は整数で、$rs=16$。また、
$\displaystyle \begin{aligned}x&=\frac{r+s-1}{9},\\t&=\frac{s-r}{3},\\y&=\frac{x-3+t}{2}\end{aligned}$
である。$16$ の符号を含む約数の組のうち、$r+s\equiv1\pmod9$ を満たすものは、
$\displaystyle \begin{aligned}(r,s)={}&(2,8),(8,2),\\&(-1,-16),(-16,-1),\\&(-4,-4)\end{aligned}$
である。それぞれから整数 $t,y$ が戻り、
$\displaystyle \boxed{\begin{aligned}(x,y)={}&(1,0),(1,-2),\\&(-2,-5),(-2,0),\\&(-1,-2)\end{aligned}}$
を得る。逆に、これらはすべて元の式を満たす。
① まず、どちらの文字について見るか。 $y$ の二次の係数は $-1$ です。式全体の符号を替えれば、二次の係数を $1$ にできます。判別式を比べても、$x$ については $9y^2+28y+36$、$y$ については $9x^2+2x-7$。今回は後者の方が小さい係数で済みます。
② 新しい平方数条件を診断する。 $t^2=9x^2+2x-7$ を得たら、右辺の主要部 $9x^2=(3x)^2$ を見ます。平方どうしの差が定数になれば、約数へ進めそうです。
ただし $(3x+c)^2$ の一次の係数は $6c$ なので、整数 $c$ では $2x$ に合わせられません。ここで「平方完成できない」と止めず、分母を払います。$9$ 倍すれば、$81x^2+18x=(9x+1)^2-1$ となります。
③ 固定積も、もう一度診断する。 二因子は同じ偶奇です。そこで $2$ ずつ取り出すと、積 $64$ が $16$ になり、候補が見やすくなります。
さらに、因子の組から $x$ が戻るためには $r+s\equiv1\pmod9$ が必要です。例えば $(r,s)=(1,16)$ は $rs=16$ を満たしても、$x=16/9$ となるので採用できません。積の方程式の解と、元の整数解は違います。
今回通ったルート:主変数の比較 → 平方数条件 → 主要部と一次項のずれ → 整数倍して平方差 → 偶奇 → 固定積 → 復元。
二次部分は $(2x-y)(x+y)$ です。$u=2x-y,\ v=x+y$ と置くと、$2x-3y=(5u-4v)/3$ なので、元の式は
$\displaystyle 3uv+5u-4v=12$
すなわち $(3u-4)(3v+5)=16$ となります。従って、
$\displaystyle (6x-3y-4)(3x+3y+5)=16$
です。この二因子を $r,s$ とすれば、$x=(r+s-1)/9,\ y=(2s-r-14)/9$。同じ約数の候補から、同じ五組が得られます。
このまとまりが見えたなら、こちらも合理的です。判別式の方法しかなかったわけではありません。判別式の利点は、因子の定数部分を最初から見抜けなくても、平方差を作る方針が立つことです。
ここまでの計算では、次の三段階がありました。
| 段階 | まだ必要なこと |
|---|---|
| 平方数条件を得た | その条件自体を解く |
| 有限個の因子の組に絞った | 整数として元へ戻せるか調べる |
| 元の候補を得た | 全候補の確認と、漏れがない理由を書く |
「判別式が平方数」「約数だから有限」で答案を終えないことが大切です。無限族が答えになる場合も、その族に入っていない解がないことまで必要になります。
$$
t^2=Ay^2+By+C
$$
を得たとします。まず、$A$ を見ます。
| $A$ の性質 | 最初に見たいこと |
|---|---|
| 負 | 右辺が非負になる範囲 |
| 零 | 一次式・定数へ退化していないか |
| 正の平方数 | 普通の平方差を作れるか |
| 正の非平方数 | 非平方の係数が残る。元の条件で絞れないか |
例えば $A=9$ なら、主要部は $(3y)^2$ と一致します。一次項も合わせて平方にできれば、平方どうしの差を定数にできます。その目的で平方完成をします。
一方、$A=2$ なら、整数係数の一次式の平方では主要部を一致させられません。この違いが、後でPell型へつながります。
ただし、この表は合同式や挟み込みを禁止するものではありません。新しい平方数条件が $t^2=3y^2+2$ だったなら、まず $3$ を法として矛盾が出ます。分類の計算を続ける必要はありません。
ここから一般式を短く書くために、
$$
\begin{aligned}
\delta&=b^2-4ac,\\
h&=bd-2ae,\\
k&=d^2-4af
\end{aligned}
$$
と置きます。すると、第2章で得た条件は
$$
t^2=\delta y^2+2hy+k
$$
です。$\delta$ は「デルタ」と読みます。新しい理論の記号ではなく、既に出てきた最高次係数の略記です。個々の問題では、数値のまま計算して構いません。
$\delta\lt 0$ なら、右辺は下向きに開いた放物線を表します。$|y|$ が十分大きくなると負になります。
左辺は $t^2\ge0$ なので、右辺が非負になる有界な範囲にしか $y$ はありません。その範囲に整数がなければ解なし、あれば有限個の候補です。各 $y$ に対して $t$、従って $x$ の候補も有限です。
ここでは、重い標準化の前に非負性を使います。平方和が短く作れるなら、その形で両方の文字を押さえても構いません。
問題
$x^2+xy+y^2+x-y=3$ を満たす整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
$t=2x+y+1$ と置くと、元の式から
$\displaystyle \begin{aligned}t^2&=-3y^2+6y+13\\&=16-3(y-1)^2\end{aligned}$
を得る。よって $(y-1)^2\le16/3$ であり、$y=-1,0,1,2,3$ に限られる。
$y=0,2$ では $t^2=13$ なので不適。$y=-1,3$ では $t=\pm2$、$y=1$ では $t=\pm4$ となる。
$x=(t-y-1)/2$ で戻すと、
$\displaystyle \boxed{\begin{aligned}(x,y)={}&(1,-1),(-1,-1),\\&(1,1),(-3,1),\\&(-1,3),(-3,3)\end{aligned}}$
を得る。逆に、六組はいずれも元の式を満たす。
元の式は一次項が混じるため、二次部分だけの非負性では範囲がすぐに読めません。$x$ をまとめて平方にすると、残る条件は下向きの二次式になり、$y$ の範囲が得られます。
同じ操作を、最初から $4$ 倍して
$\displaystyle (2x+y+1)^2+3(y-1)^2=16$
と書いても構いません。こちらは平方和、模範解答は判別式からの平方数条件ですが、同じ等式を別の向きから読んでいます。
範囲が五個まで絞れたので、ここでは代入が十分軽い処理です。さらに一般的な理論へ進む必要はありません。
$\delta=0$ では、
$$
t^2=2hy+k
$$
です。ここは $\delta\gt 0$ の平方差の枝に混ぜません。
$h\ne0$ なら、
$$
y=\frac{t^2-k}{2h}
$$
と表せます。$t$ の整数値のうち、この分数が整数になるものを選び、さらに第2章の復元条件を確認します。有限列挙ではなく、合同条件を満たす $t$ による表示になることもあります。
$h=0$ なら $t^2=k$ です。$k$ が平方数でなければ解なし。平方数なら、その $t$ ごとに
$$
2ax+by+d=t
$$
という一次の整数条件を調べます。$y$ が自由に動ける場合もあります。
例えば $x^2-y=0$ は、$(x,y)=(n,n^2)$($n$ は任意の整数)という無限個の解を持ちます。「$\delta=0$ だから特別に有限になる」ということではありません。
問題
$(2x-3y)^2=x+2y$ を満たす整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
$u=2x-3y$ と置くと、$x+2y=u^2$ であるから、
$\displaystyle \begin{aligned}x&=\frac{3u^2+2u}{7},\\y&=\frac{2u^2-u}{7}\end{aligned}$
を得る。$y$ が整数である条件は $u(2u-1)\equiv0\pmod7$、すなわち $u\equiv0,4\pmod7$ である。このとき $x$ も整数になる。
従って、任意の整数 $n$ を用いて、全解は次の二族で表される。
$\displaystyle \boxed{\begin{aligned}x&=21n^2+2n,\\y&=14n^2-n\end{aligned}}$
または
$\displaystyle \boxed{\begin{aligned}x&=21n^2+26n+8,\\y&=14n^2+15n+4.\end{aligned}}$
逆に、前者では $2x-3y=7n$、後者では $2x-3y=7n+4$ となり、いずれも $x+2y=(2x-3y)^2$ を満たす。
左辺に平方のまとまりが見えています。展開して判別式へ進む前に、そのまとまりを $u$ と置きます。すると、元の二文字を戻すための連立一次方程式になります。
ただし、$u$ を任意の整数とするだけでは分母 $7$ が消えません。ここで新しい分子を再診断し、因数 $u(2u-1)$ に合同条件を移します。$7$ が素数なので、$u$ または $2u-1$ が $7$ の倍数です。
展開した式は $4x^2-12xy+9y^2-x-2y=0$ であり、$b^2-4ac=0$。一般論とも一致しますが、それを先に計算する必要はありませんでした。
無限族でも、全解の証明は同じです。元のどの解からも整数 $u$ が作られ、その $u$ は二つの剰余類に限られる。逆に、その二つからは必ず元の解が戻る。この両向きで漏れを防いでいます。
$\delta=s^2\gt 0$($s$ は正の整数)とします。主要部 $\delta y^2$ は平方ですが、一次項まで整数係数の平方に合うとは限りません。例題3で起きたように、必要なら整数倍してから合わせます。
具体的には、
$$
t^2=\delta y^2+2hy+k
$$
を $\delta$ 倍し、$h^2$ を補うと、
$$
(\delta y+h)^2-\delta t^2=h^2-\delta k
$$
になります。$\delta\ne0$ なら、この操作は逆に戻せます。
右辺を $K=h^2-\delta k$ と書けば、$\delta=s^2\gt 0$ のときは
$$
(\delta y+h-st)(\delta y+h+st)=K
$$
です。これで、整数の二因子の積を固定できました。
二因子を順に $U,V$ とすると、
$$
\begin{aligned}
y&=\frac{U+V-2h}{2\delta},\\
t&=\frac{V-U}{2s}
\end{aligned}
$$
で戻します。$UV=K$ を満たすだけでなく、この二つが整数になり、さらに $t\equiv by+d\pmod{2|a|}$ を満たす組だけを残します。$U,V$ の順序も区別します。
平方完成の目的
主要部が平方に合う → 一次項も合わせる → 平方差にする → 固定積にする → 約数と復元条件で絞る。
同じ平方完成により、
$$
X^2-\delta Y^2=K
$$
という形になります。ここでは $X=\delta y+h,\ Y=t$ です。
ところが、$\delta$ が平方数でないと、
$$
(X-\sqrt{\delta}Y)(X+\sqrt{\delta}Y)=K
$$
と書いても、二因子は一般には整数ではありません。従って、固定整数 $K$ の整数の約数を調べる方法にはなりません。
平方完成までは進んだ。しかし、整数の固定積にはできなかった。
この障害が残る形に、Pell(ペル)方程式という理論があります。
ここでは非平方係数を $D$ と書き、元の一次項 $dx$ の係数 $d$ と区別します。正の非平方整数 $D$ に対する
$$
X^2-DY^2=1
$$
を、通常Pell方程式と呼びます。右辺を一般の整数 $K$ にした
$$
X^2-DY^2=K
$$
を、この記事ではPell型、または一般化Pell型と呼びます。
Pell型になったことは、すぐにその一般論が必要になったことを意味しません。
まず、次を見ます。
例えば
$$
X^2-12Y^2=K
$$
なら、$12=2^2\cdot3$ なので、$Z=2Y$ と置いて
$$
X^2-3Z^2=K
$$
と書けます。しかし、$Z$ が偶数である条件が残ります。
一般に $\delta=q^2D$ とし、$q$ を正の整数、$D$ を $1$ 以外の平方数で割り切れない正整数に選べば、$Z=qY$ として非平方部分 $D$ を取り出せます。$\delta$ が非平方なら $D\gt 1$ です。
このときにも、$Z$ が $q$ で割り切れることが必要です。元の一般形からここまで進んだ場合は、
$$
y=\frac{X-h}{\delta},\qquad t=\frac Zq
$$
が整数になり、さらに $t\equiv by+d\pmod{2|a|}$ が必要です。
つまり、標準形だけを書き残すのでなく、その標準形のうち、どの解が元へ戻れるかまで一緒に持ち運びます。
普通の平方差とPell方程式の違いを、もう少し見てみましょう。
展開によって、
$$
\begin{aligned}
&(u^2-Dv^2)(X^2-DY^2)\\
&\quad=(uX+DvY)^2\\
&\qquad-D(vX+uY)^2
\end{aligned}
$$
が確かめられます。従って $u^2-Dv^2=1$ となる整数 $u,v$ が分かっていれば、
$$
X^2-DY^2=K
$$
の整数解 $(X,Y)$ から、
$$
(uX+DvY,\ vX+uY)
$$
という、同じ方程式の整数解が作れます。大学数学の道具ではなく、二次式の展開です。
例えば $3^2-2\cdot2^2=1$ より、$X^2-2Y^2=1$ の解から
$$
(3X+4Y,\ 2X+3Y)
$$
を作れます。$(1,0)$ から始めると、
$$
(1,0),\ (3,2),\ (17,12),\ (99,70),\ldots
$$
となります。$X\gt 0,\ Y\ge0$ なら次の $Y$ は今より大きいので、異なる解が無限に生まれます。
一方、整数の固定積 $UV=K\ne0$ では、因子は固定整数の約数に限られます。この違いが、「同じ平方完成の先なのに、有限列挙で終わる場合と無限族が現れる場合がある」理由です。
ただし、一般化Pell型は解を持たないこともあります。また、標準形で解を生成できても、元の式への復元条件を毎回満たすとは限りません。
例えば $X^2-12Y^2=1$ を $X^2-3Z^2=1$ に直した後、$(1,0)$ に $(2X+3Z,X+2Z)$ を施すと $(2,1)$ が得られます。後者は標準形の解ですが、$Z$ が奇数なので $Y=Z/2$ は整数になりません。
「この方法で解をいくらでも作れます」だけでは、その方法で作れない解が存在しないことは分かりません。
そこで、$X^2-2Y^2=1$ については、どの解も、小さい解へ戻せることまで証明しておきます。後半の発展問題でも、この考え方を使います。
ここで証明する事実
$X_0=1,\ Y_0=0$ とし、$n=0,1,2,\ldots$ に対して
$\displaystyle \begin{aligned}X_{n+1}&=3X_n+4Y_n,\\Y_{n+1}&=2X_n+3Y_n\end{aligned}$
と定める。$X^2-2Y^2=1$ の整数解は、$(X_n,Y_n)$ の各成分の符号をそれぞれ自由に替えたものです。
平方の式なので、まず $X\gt 0,\ Y\ge0$ の解を考えればよい。$Y=0$ なら $X=1$。$Y=1$ では $X^2=3$ となり不可能だから、$Y\gt 0$ なら $Y\ge2$ である。
このとき $X^2=2Y^2+1$ より、
$\displaystyle \frac43Y\lt X\le\frac32Y$
が成り立つ。左の不等式は $2Y^2+1\gt (16/9)Y^2$、右の不等式は $Y^2\ge4$ から従う。
そこで $X'=3X-4Y,\ Y'=3Y-2X$ と置くと、$X'\gt 0,\ Y'\ge0$。また $X\gt Y$ だから $Y'\lt Y$ である。先ほどの恒等式、または直接の展開により、$X'^2-2Y'^2=1$ も成り立つ。
従って、$Y\gt 0$ の解から、$Y$ がより小さい非負整数となる解へ進める。非負整数を厳密に減らし続けることはできないので、有限回で $(1,0)$ に到達する。
この操作の逆は
$\displaystyle X=3X'+4Y',\qquad Y=2X'+3Y'$
である。よって、どの $X\gt 0,\ Y\ge0$ の解も、$(1,0)$ から上の漸化式を有限回用いて得られる。
逆に、生成された組が方程式を満たすことは既に確認した。最後に $X,Y$ の符号をそれぞれ戻せば、すべての整数解が得られる。
Pell標準形まで移さず、元の二次方程式のまま降下を考えられる場合もあります。
例えば
$$
x^2+B(y)x+C(y)=0
$$
で、$B(y),C(y)$ が整数なら、整数解 $x$ に対するもう一方の根は
$$
x'=-B(y)-x
$$
であり、これも整数です。
ただし、これだけでは解決しません。$x'$ が元の正負・範囲条件を満たすか、$x$ より小さくなるかを調べます。根の積 $xx'=C(y)$ は正負の判定に、二次式へ適切な数を代入した値は根の位置の判定に使えます。
この発想は「判別式を計算すれば自動的に出てくる」ものではありません。大きい解を直接押さえられないなら、その解と対になる小さい解を作れないかという、追加の着眼です。演習5で、どこにその手掛かりがあるかを具体的に見ます。
二次の係数が $1$ でない場合は、もう一方の根が整数とは限りません。その場合も、分母で割り切れるかの確認が必要です。
変換が問題文に与えられていないときは、まず「何を小さくしたいか」を決めます。大小関係が分かっている二整数なら差、割り切れる条件があるなら商、二次方程式ならもう一方の根が、小さい整数を作る候補になります。
ただし、小さい整数を作れたことと、同じ問題の解を作れたことは別です。候補を元の式へ代入し、方程式・整数性・範囲が保たれるかを確かめます。さらに、逆に戻せるか、減少する量が何かを調べます。
この順番なら、降下の漸化式を最初から知っている必要はありません。一方で、差や別の根を試せば必ず成功するわけでもありません。候補を作って検証し、成功した恒等式を次の情報として使います。最後の演習では、変換そのものを見つけるところから考えます。
例題3では、判別式から平方差を作っても、二次部分の因数を育てても、同じ固定積へ到達しました。例題4では、判別式を平方数と置くことと、平方和を作ることが同じ計算でした。
この共通部分は、
$$
\begin{aligned}
&4a(ax^2+bxy+cy^2)\\
&\quad=(2ax+by)^2\\
&\qquad-(b^2-4ac)y^2
\end{aligned}
$$
に現れています。
特に $a\ne0$ のもとで、二次部分 $ax^2+bxy+cy^2$ が有理数係数の一次式どうしの積に分かれることと、$b^2-4ac$ が有理数の平方であることは同値です。
有理数 $s$ により $b^2-4ac=s^2$ と書けるなら、
$\displaystyle \begin{aligned}\alpha&=\frac{b+s}{2a},\\\beta&=\frac{b-s}{2a}\end{aligned}$
と置くと、
$\displaystyle \begin{aligned}&ax^2+bxy+cy^2\\&\quad=a(x+\alpha y)(x+\beta y)\end{aligned}$
と分解できる。これは恒等式なので、$y=0$ の場合も含んでいる。
逆に $(\alpha x+\beta y)(\gamma x+\eta y)$ と分解できるなら、$a=\alpha\gamma,\ b=\alpha\eta+\beta\gamma,\ c=\beta\eta$ だから、
$\displaystyle b^2-4ac=(\alpha\eta-\beta\gamma)^2$
である。
なお、整数が有理数の平方なら整数の平方でもある。実際、互いに素な整数 $p,q$($q\gt 0$)を用いて $(p/q)^2$ が整数と書ければ、$q^2$ は $p^2$ を割り切る。互いに素であることから $q=1$ となる。
| 言っていること | 分かる範囲 |
|---|---|
| 二次部分が分解できる | 最高次の構造が一次因子に分かれる |
| 全体が短い固定積に見える | 一次項・定数項までうまくまとまっている |
| $\delta\gt 0$ が平方数 | 見た目でなくても、整数倍と平方完成の後に固定積へ移せる |
$\delta=0$ では二次部分が重なった一次因子の積になっても、例えば $x^2-y=0$ の $-y$ を、$x$ の因子の定数調整だけで吸収できません。この枝を別扱いにしたこととも対応しています。
つまり、三つの技法は独立した裏技ではありません。同じ二次構造を、因子として見るか、平方として見るか、根の存在条件として見るかの違いです。いまの式で最も扱いやすい見方を選ぶことが大切です。
ここまでの道具を、最初の一手から復元までつなげます。
この地図の中心は、$\delta$ による分類ではなく、Bの「いまの対象を診断する」場所へ何度も戻ることです。新しい平方数条件、因子、合同条件、変数を得るたびに、そこで使える短い処理が変わります。
A 入口:何を求め、どこまで動けるか
整数か正の整数か、順序を区別するか。零、分母、平方根の条件は何か。係数が零になり、一次式や定数へ退化していないか。
場合分けが必要なら、未処理の枝を残しておく。
↓
B 再診断:いま、短く効くものはどれか
見える因数・共通因子・一次式・自然な置換。符号・非負性・大小。偶奇・係数に合った法。既に見えている平方数条件。
操作が軽く、候補が強く絞れ、次にも使えるものを優先する。毎回全部を試すのではない。
矛盾した → この枝は終了。未処理の枝がなければ解なし。
候補がそろった → F:復元へ。
新しい条件・式が出た → その情報を持って、このBへ戻る。
↓ まだ絞り切れないとき
C 止まる原因から、次の候補を選ぶ
二文字が絡んでいる → 一方を固定する。一次で見られる向き、二次の係数、復元の分母を比較する。
平方に近いが一次項が合わない → 何倍すれば平方差・平方和を作れるか調べる。
新しい文字が自由すぎる → 元から持ち越した範囲・合同条件・実現条件を照合する。
大きな候補が残る → 上限を取る別の量はないか。減らしたい量を決め、差・商・別の根などで、同じ条件を満たす小さい解を作れないか。
どの操作を選んでも、新しい式や条件を得たら Bへ戻る。以下は、二次方程式として見ることを選んだ場合の枝。
↓ 平方数条件への翻訳が有効なら
D 二次方程式として見る
$x,y$ のどちらについて見るかを選ぶ。二次の係数が零でないことを確認する。
$x$ についてなら、$t=2ax+by+d$ と置き、$t^2=D_x(y)$ と復元の合同条件を一組にする。
得られた平方数条件で Bへ戻る。それだけで終わらなければ、次のEも見る。
↓
E 平方数条件の、最高次係数を読む
$t^2=\delta y^2+2hy+k$ に対して、次の四方向を考える。
$\delta\lt 0$:右辺の非負性から有限範囲へ。平方和も候補。
$\delta=0$:一次式・定数として扱う。平方の文字を動かすなら、分母の整除条件を残す。
$\delta\gt 0$ が平方数:必要な整数倍 → 平方差 → 固定積。積が零なら二つの一次条件へ分ける。
$\delta\gt 0$ が非平方数:Pell型。$K=0$・合同式・元の範囲を先に確認。平方因子を外したら倍数条件を残す。
ここで得た範囲・因子・新しい変数も、すべて Bへ戻して再診断する。
なお候補が無限に残るなら、必要な範囲で生成・降下を調べる。生成しただけで全解とはしない。
↓ 各枝の候補、または全体を表す族が得られたら
F 復元:元の整数解になっているか
分母で割り切れるか。偶奇・符号・範囲・変数変換の追加条件を満たすか。途中で分けた零の枝を忘れていないか。
元の式への代入、または逆向きの同値変形で十分性を確認する。
有限候補なら全候補を、無限族なら族全体と「ほかにない」理由を確認する。
すべての枝を処理できた → 全解の確定。
地図のCを、もう少し具体的にまとめます。
| 止まった状況 | そこで得た情報と、次の候補 |
|---|---|
| 片方を分数で表したが、もう片方が自由 | 商と余りに分け、固定の余りへ整除条件を移す |
| 平方の主要部は合うが、一次項が合わない | 必要な分母が見えた。整数倍して平方差を作る |
| 普通の平方差にできない | 非平方係数が残る。Pell型として読み、元の条件も再確認する |
| 因子の組は出たが、元へ戻らない | 復元の合同条件が選別に使える |
| 上限が出ず、大きい解が見つかる | 直ちに無限とは言えない。解を保存する変換と降下を探す |
例えば例題3では「平方の一次項が合わない」が整数倍へ進む理由になりました。例題5では「新しい文字からの復元に分母がある」が、合同式へ進む理由になりました。
一方、候補が複数ある場面もあります。直接の因数分解が見えそうなら、短く試す価値があります。一方について二次の係数が $1$ なら、判別式や別の根も有力です。ここは、計算量と得られそうな情報を比較して選びます。
この地図が約束するもの、しないもの
すべての問題に対して、唯一の次の一手を機械的に決めるものではありません。一般化Pell型など、ここで扱う道具だけでは全解まで進めない場合もあります。
ただし、「何が分かっていて、何がまだ絞れていないか」「次の操作は何を変えるためか」は、いつでも問い直せます。新しい式を得たら、問題の最初ではなく、その新しい式から同じ地図を回します。
最初の三題で例外と復元を確かめ、後の三題で対象の変え方と全解の証明を考えます。最後は、解を求めることが幾何の結論につながる問題です。変換や漸化式は問題文では与えません。次の一手で何を減らせそうかを、自分で考えてみてください。
問題
$\displaystyle \begin{aligned}2x^2-3xy-2y^2\\{}+5x+5y-3=0\end{aligned}$
を満たす整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
元の式は $(2x+y-1)(x-2y+3)=0$ と同値である。よって $2x+y-1=0$ または $x-2y+3=0$。
従って、任意の整数 $n$ を用いて、全解は
$\displaystyle \boxed{\begin{gathered}(x,y)=(n,1-2n)\\\text{または}\quad(2n-3,n)\end{gathered}}$
と表される。逆に、この二族は元の式を満たす。
二次部分 $(2x+y)(x-2y)$ に定数を補えるかを見ます。$(2x+y+r)(x-2y+s)$ の一次の係数を合わせると、$r=-1,s=3$ が見つかります。
ここでは、積の右辺が零です。因子は固定の有限個の約数には限られません。二つの一次条件のどちらかを満たせばよいので、無限族が現れます。
一方の因子で割ってしまうと、もう一方の枝を落とします。積が零かどうかは、因数分解の直後に確認します。
問題
$\displaystyle x^2-2xy-y^2+2x+6y=7$
を満たす整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
元の式は
$\displaystyle (x-y+1)^2-2(y-2)^2=0$
と同値である。$2$ は平方数でないので、整数の平方が別の整数の平方の $2$ 倍になるのは、両方が零のときだけである。
よって $y-2=0,\ x-y+1=0$。従って
$\displaystyle \boxed{(x,y)=(1,2)}$
であり、逆にこの組は元の式を満たす。
$x^2-2xy-y^2=(x-y)^2-2y^2$ というまとまりが見えます。$2x+6y=2(x-y)+8y$ と分ければ、二つの平方の位置を調整できます。
非平方係数 $2$ が残るためPell型に見えますが、右辺は $0$ です。解を生成する議論へ行く前に、この零を処理すれば終わります。
形に名前を付けることより、いまの定数と整数条件を見ることの方が先です。
問題
$\displaystyle 8x^2+10xy-3y^2=65$
を満たす整数の組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
$(2x+3y)(4x-y)=65$ より、$u=2x+3y,\ v=4x-y$ と置くと $uv=65$。また、
$\displaystyle \begin{aligned}x&=\frac{u+3v}{14},\\y&=\frac{2u-v}{7}\end{aligned}$
である。$uv=65$ なので $u,v$ はともに奇数。従って $u+3v$ は偶数である。
さらに $u+3v\equiv0\pmod7$ なら $u\equiv4v\pmod7$ なので、$2u-v\equiv0\pmod7$ も成り立つ。よって、この合同条件が復元の必要十分条件になる。
符号を含む約数の組を調べると、条件を満たすのは
$\displaystyle \begin{aligned}(u,v)={}&(1,65),(13,5),\\&(-1,-65),(-13,-5)\end{aligned}$
である。従って全解は
$\displaystyle \boxed{\begin{aligned}(x,y)={}&(14,-9),(2,3),\\&(-14,9),(-2,-3)\end{aligned}}$
であり、逆にいずれも元の式を満たす。
因数分解できても、それだけでは半分です。二因子の値を自由な整数として選ぶと、元の $x,y$ が整数にならないものが混じります。
復元に現れた分母は $14$ と $7$ です。まず積が奇数であることから偶奇を処理し、残る $7$ の条件を調べます。分母の二つの条件も、独立に計算し続ける必要はありません。一方から他方が従うことを確認すれば十分です。
たすき掛けが見えにくければ、$b^2-4ac=10^2-4\cdot8\cdot(-3)=196=14^2$ を調べる方法もあります。あるいは、左辺を $(3x+y)^2-(x-2y)^2$ と見ても同じ因子になります。
今回通ったルート:二次部分 → 固定積 → 復元の分母 → 偶奇と合同条件 → 元の整数解。
問題
正の整数 $x,y$ について、
$\displaystyle \begin{aligned}&x^2y^2+(x+y)^2+11\\&\qquad=3xy(x+y)\end{aligned}$
を満たす組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
式は $x,y$ について対称なので、まず $x\le y$ とする。$s=x+y,\ p=xy$ と置くと、
$\displaystyle p^2-3ps+s^2=-11$
である。$p\ge3s$ なら左辺は非負となって矛盾するので、$p\lt 3s$。一方、$x\le y$ より
$\displaystyle \frac{x}{2}\le\frac{xy}{x+y}=\frac ps\lt 3$
であるから、$1\le x\le5$ に限られる。
元の式を $y$ について整理すると、
$\displaystyle \begin{aligned}&(x^2-3x+1)y^2\\&\quad+(-3x^2+2x)y\\&\quad+x^2+11=0\end{aligned}$
となる。
・$x=1$:$y^2+y-12=0$ より、正の解は $y=3$。
・$x=2$:$(y+4)^2=31$ となるので不適。
・$x=3$:$(y-1)(y-20)=0$。$y\ge x$ より $y=20$。
・$x=4$:$5y^2-40y+27=0$。$5$ を法として矛盾する。
・$x=5$:$11y^2-65y+36=0$。また $5y\lt 3(5+y)$ と $y\ge5$ より $y=5,6,7$。この二次式を $4$ を法として見ると $3y(y+1)\equiv0\pmod4$ なので、残るのは $y=7$ のみ。しかし左辺は $120$ となり、これも不適。
よって、$x\le y$ では $(1,3),(3,20)$ に限られる。順序を戻すと、
$\displaystyle \boxed{\begin{aligned}(x,y)={}&(1,3),(3,1),\\&(3,20),(20,3)\end{aligned}}$
である。逆に、これらはすべて正の整数の組で、元の式を満たす。
① 四次式として全部展開する前に、条件が扱う量を見る。 $(xy)^2,(x+y)^2,xy(x+y)$ が並んでいます。和 $s$ と積 $p$ を一文字ずつにすると、$p^2-3ps+s^2=-11$ という二変数二次不定方程式が現れます。
ここで、置換した文字は自由ではありません。例えば $(s,p)=(4,9)$ はこの二次方程式を満たしますが、$x+y=4,\ xy=9$ となる実数 $x,y$ さえ存在しません。$(x-y)^2=s^2-4p$ が負になるからです。
② Pell型が見えても、元の条件を使い直す。 $p$ について判別式を取ると、$5s^2-44$ が平方数になる条件です。さらに変形すれば、
$\displaystyle (2p-3s)^2-5s^2=-44$
となり、一般化Pell型と認識できます。しかし、その全解を求めてから $s,p$ の実現条件を調べるのは、この問題では遠回りです。
元の $x,y$ は正です。$p^2-3ps+s^2\lt 0$ から $p\lt 3s$ がすぐに取れます。これを元の意味へ戻すと、「積を和で割った値が小さい」という情報です。小さい方を $x$ とすれば $p/s\ge x/2$ だから、$x$ 自体が $5$ 以下に抑えられます。
③ 範囲が付いたら、その範囲でいちばん軽い方法へ戻る。 あとは五つの $x$ それぞれで、一変数の二次方程式を診断します。$x=2$ は平方数の間にあること、$x=4$ は $5$ を法とする矛盾、$x=5$ は持ち越した範囲と $4$ を法とする条件です。同じ方法を五回繰り返す必要はありません。
模範解答は、$s,p$ の全解を求めていません。元の $x,y$ から来るものだけを、途中で元の文字に戻って絞っています。最後に得た四組を元の式へ代入することで、置換後の候補が本当に実現することまで確認しています。
今回通ったルート:自然なまとまり → 二変数二次式 → 符号と元の正値条件 → 小さい文字を有限化 → 各二次式を再診断 → 順序と実現の確認。
別の合理的な進み方: $s,p$ という文字を置かず、元の式から直接 $xy\lt 3(x+y)$ を読み取っても同じ上限が出ます。その方が短いと感じるなら、それで構いません。和と積への置換は、この不等式を発見し、Pell型へ進む必要があるか判断するための整理です。
問題
正の整数 $x,y$ について、
$\displaystyle x^2+y^2-3xy+x+2y=2$
を満たす組 $(x,y)$ をすべて求めよ。
元の式を $x$ または $y$ について二次方程式と見ると、解 $(x,y)$ から
$\displaystyle (3y-x-1,y),\qquad (x,3x-y-2)$
も整数解になる。以下、この二つの置換をそれぞれ $S_x,S_y$ と呼ぶ。どちらも二回施すと元に戻る。
まず、大きい解を小さくする。 $x\gt y\ge3$ のとき、
$\displaystyle P(z)=z^2+(1-3y)z+y^2+2y-2$
と置く。根は $x$ と $x'=3y-x-1$ であり、根の積が $y^2+2y-2\gt 0$ なので $x'\gt 0$。また、
$\displaystyle P(y)=-(y-1)(y-2)\lt 0$
だから、$x'\lt y\lt x$ である。従って $S_x$ により、正の整数解を保ったまま二数の大きい方を小さくできる。
$y\gt x\ge3$ の場合も、
$\displaystyle Q(z)=z^2+(2-3x)z+x^2+x-2$
について $Q(x)=-(x-1)(x-2)\lt 0$、根の積 $x^2+x-2\gt 0$ であるから、$y'=3x-y-2$ は $0\lt y'\lt x\lt y$ を満たす。$x=y\ge3$ は元の式から不可能である。
よって、両方が $3$ 以上の解には、上のいずれかを施して大きい方を厳密に減らせる。この操作を続けると、一方が $1$ または $2$ の解に到達する。
そのような解を元の式で調べると、$(1,1),(2,2),(3,2)$ だけである。$(3,2)$ は $S_x$ で $(2,2)$ へ戻る。また、$(1,1)$ に $S_x$ を施しても同じ組、$S_y$ を施すと $(1,0)$ となるため、ほかの正の整数解が $(1,1)$ に到達することはない。
次に、逆向きに全解を生成する。 二つの数列を $a_0=b_0=2$、
$\displaystyle \begin{aligned}a_{n+1}&=3b_n-a_n-1,\\b_{n+1}&=3a_{n+1}-b_n-2\end{aligned}$
($n=0,1,2,\ldots$)
で定める。このとき
$S_x$ で $(a_n,b_n)$ から $(a_{n+1},b_n)$ へ、続いて $S_y$ で $(a_{n+1},b_{n+1})$ へ進む。
$b_n\ge a_n\ge2$ なら $a_{n+1}\gt b_n$、さらに $b_{n+1}\gt a_{n+1}$ となるので、これらはすべて正の整数解で、異なる解が無限に得られる。
途中の $(a_{n+1},b_n)$ では、$S_x$ が一つ前へ、$S_y$ が一つ先へ移す。また、$n\ge1$ の $(a_n,b_n)$ では、$S_y$ が一つ前へ、$S_x$ が一つ先へ移す。出発点 $(2,2)$ での $S_y$ は同じ組を与えるだけである。従って、$(2,2)$ から両置換で得られる正の整数解はすべてこの列に含まれる。
前半の降下と合わせて、全解は
$\displaystyle \boxed{(1,1),\quad(a_n,b_n),\quad(a_{n+1},b_n)}$
($n=0,1,2,\ldots$)である。
① まず、対称式だと思い込まない。 二次部分は $x,y$ に対称ですが、一次項 $x+2y$ は対称ではありません。「$x\le y$ としてよい」とは言えません。大小の二つの場合を、それぞれ扱う必要があります。
小さい値では $(1,1),(2,2),(3,2),(3,5)$ などが見つかります。しかし、これだけでは有限とも無限とも分かりません。見つかった解を終点にせず、互いにどうつながっているかを調べます。
② 判別式から分かることと、なお残ること。 $x$ について見れば、$5y^2-14y+9$ が平方数になる条件です。最高次係数 $5$ が非平方数なので、普通の固定積には進めません。標準化すると
$\displaystyle (5y-7)^2-5(2x-3y+1)^2=4$
です。ただし、ここから一般化Pell型を解くなら、元の正の整数条件まで戻す必要があります。
③ 元の二次式に、まだ使っていない情報がある。 $x$ と $y$ は、どちらについて見ても二次の係数が $1$ です。従って、一方の整数解が分かれば、もう一方の根も整数になります。平方数条件を追い続ける代わりに、この根を使って小さい解を作れないか考えます。
ここが、この問題の追加の着眼です。フローチャートのラベルだけを追えば必ず思いつく、というものではありません。ただし、手掛かりは「二次の係数が $1$」「大きい解の上限が見えない」「一つの解から同じ方程式の別の解が作れる」の三つです。
④ 小さい方の文字を代入して、根の位置を見る。 $x\gt y$ の場合、別の根が $y$ より小さいことを示せれば、二数の大きい方を減らせます。その目的で、$x$ の二次式へ $z=y$ を代入します。そこで $P(y)=-(y-1)(y-2)\lt 0$ が現れ、$y$ が二根の間にあることが分かります。
さらに根の積が正なので、小さい根も正です。「整数である」だけでなく「正の範囲に残る」「本当に小さくなる」まで、元の条件を確認しています。
⑤ 最後に、生成を逆向きの証明と組にする。 降下で到達点を限り、置換が自分自身の逆であることを使って戻ります。こうして初めて、生成された列以外に解がないと言えます。
孤立した $(1,1)$ を除く解は、順に
$\displaystyle \begin{gathered}(2,2),(3,2),(3,5),\\(11,5),(11,26),(66,26),\ldots\end{gathered}$
です。これは解をいくつか並べただけではなく、模範解答の二数列によって、その先をすべて定めた表示です。
今回通ったルート:実験と二次式の比較 → 非平方係数を認識 → 元の二次式へ戻る → 別の根 → 正負と大小を再診断 → 境界まで降下 → 逆生成で全解を証明。
問題
座標平面の第一象限にあり、$|x^2+xy-y^2|=1$ を満たす格子点について、$y$ 座標が小さい方から順に $n$ 番目の点を $P_n(x_n,y_n)$ とする。原点を $O$ とするとき、三角形 $OP_nP_{n+1}$ の面積は $n$ によらず一定であることを示し、その値を求めよ。
ただし、同じ $y$ 座標を持つ点が二つないことも示せ。
$F(x,y)=x^2+xy-y^2$ と置く。
まず、同じ $y$ 座標を持つ二点が存在しないことを示す。相異なる正の整数 $x_1\lt x_2$ に対し、
$\displaystyle \begin{aligned}F(x_2,y)-F(x_1,y)&=(x_2-x_1)(x_1+x_2+y)\\&\ge4.\end{aligned}$
一方、二点がともに $|F|=1$ を満たすなら、$F(x_1,y),F(x_2,y)$ はいずれも $1$ または $-1$ であるから、その差の絶対値は高々 $2$ である。これは矛盾する。従って、同じ $y$ 座標を持つ点は二つ存在しない。
次に、$|F(x,y)|=1$ を満たす正の整数 $x,y$ について、$x\gt y$ なら
$\displaystyle F(x,y)=x^2+y(x-y)\ge5$
となって矛盾する。従って $x\le y$。等号成立時は $F(x,x)=x^2$ より $(x,y)=(1,1)$ である。
ここで恒等式
$\displaystyle F(y-x,x)=-F(x,y)$
より、$(x,y)\ne(1,1)$ なら $(y-x,x)$ も第一象限の格子点で $|F|=1$ を満たす。しかも新しい $y$ 座標は $x\lt y$ である。よってこの操作を繰り返すと、正の整数である $y$ 座標が厳密に減少するため、有限回で $(1,1)$ に到達する。
この操作の逆は
$\displaystyle (x,y)\longmapsto(y,x+y)$
であり、これも第一象限と $|F|=1$ を保つ。従って $(1,1)$ からこの逆変換を繰り返して得られる点はすべて条件を満たし、前段の降下より、第一象限の格子点はこれで尽くされる。また、逆変換のたびに $y$ 座標は厳密に増加する。
従って
$\displaystyle P_1=(1,1),\qquad P_{n+1}=(y_n,x_n+y_n)$
である。よって、座標による三角形の面積公式から、
$\displaystyle \begin{aligned}[OP_nP_{n+1}]&=\frac12|x_n(x_n+y_n)-y_n^2|\\&=\frac12|F(x_n,y_n)|\\&=\boxed{\frac12}.\end{aligned}$
従って、三角形 $OP_nP_{n+1}$ の面積は $n$ によらず一定で、その値は $\displaystyle \frac12$ である。
① まず、問題文で必要とされている一意性を短く片付ける。 同じ $y$ に対して二つの正整数 $x_1\lt x_2$ があると仮定すると、$F(x_2,y)-F(x_1,y)$ は少なくとも $4$ になります。しかし $F$ の値は $\pm1$ しかないため、その差は高々 $2$。これで同じ $y$ 座標を持つ二点は排除できます。
ただし、これだけでは $P_n$ と $P_{n+1}$ の関係は分かりません。面積を求めるには、次に「隣の点が何か」を知る必要があります。
② Pell型だと分かっても、いま使える条件を見直す。 絶対値を外せば $F(x,y)=\pm1$。平方数条件は
$\displaystyle (2x+y)^2=5y^2\pm4$
となり、最高次係数 $5$ は非平方数です。普通の固定積から全解を列挙することはできません。ここで一般化Pell型の一般論へ進む前に、第一象限、つまり $x,y\gt0$ という条件を使います。
$x\gt y$ なら $x^2+y(x-y)$ は大きすぎるので、$x\le y$。等号は $(1,1)$ だけです。従って $(1,1)$ 以外では $0\lt x\lt y$ となります。大小が分かったので、$y$ より小さい正整数を作れないかと考えます。
③ 与えられていない変換を、候補から作る。 使えそうな小さい整数は $x$ と $y-x$ です。この二つを新しい座標に使って元の式がどう変わるか試すと、
$\displaystyle \begin{aligned}&(y-x)^2+(y-x)x-x^2\\&\qquad=-(x^2+xy-y^2)\end{aligned}$
となり、$(y-x,x)$ が同じ条件を満たすことが分かります。符号は反転しますが、絶対値が $1$ なので問題ありません。
これは「最初から漸化式を知っていた」という説明ではありません。減らしたい量は $y$、使える小さい整数は $x$ と $y-x$、残したい条件は $|F|=1$。この三つを照合して変換を見つけています。
④ 降下と逆変換を組にして、全体を回収する。 新しい点でも同じ式と正の整数条件が成り立つので、$(1,1)$ に着くまで $y$ を減らし続けられます。逆向きの変換は $(x,y)\mapsto(y,x+y)$ です。
逆変換は何度でも繰り返せ、そのたびに $y$ 座標は厳密に増えます。したがって格子点が無限に存在することは、ここで別個の核心として証明するというより、全回収のための逆生成を示した時点で自然に従います。前向きの降下と合わせることで、生成した列の間に別の格子点が入り込む余地もなくなります。
これで初めて、生成された次の点が本当に $P_{n+1}$ であり、$P_{n+1}=(y_n,x_n+y_n)$ と書けます。
⑤ 最後に面積へ戻る。 隣り合う二点の関係を面積公式へ代入すると、$x_n(x_n+y_n)-y_n^2$ が現れます。これはまさに元の二次式 $F(x_n,y_n)$ です。従って絶対値は常に $1$ となり、面積は $1/2$ に固定されます。
今回通ったルート:同じ $y$ の一意性 → 隣の点が未確定 → 正値条件と大小 → 差で変換を試す → 降下 → 逆生成で全回収・順序を確定 → 面積の式を再診断。
六題を振り返ると、最後に使った道具はそれぞれ違います。しかし、途中の判断は共通しています。
演習1では、固定積の定数が零なので枝を分けました。演習2では、非平方係数が残っても右辺が零なので先に処理しました。演習3では、因子を求めた後に復元の分母を診断しました。
演習4では、四次式のまとまりから二変数二次式を取り出し、さらに元の正値条件へ戻ることで有限化しました。演習5では、平方数条件を追うだけでは進みにくいため、元の二次式の別の根を使い、その正負と大小を調べ直しました。
演習6では、隣り合う点の関係を知るために、まず小さい点への変換を作りました。その変換が使える範囲を確認し、全回収と順序を証明してから、面積の計算へ戻りました。誘導のない問題でも、いま欠けている情報を見定めるところから進めます。
次の一手の前に、三つだけ
いま、何が候補を絞るのを妨げているか。
次の操作で、そのどこを扱いやすくするか。
その操作の後も、どの整数条件を持ち続けるか。