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Y³ = X(X+1)(2X+1)/6 + 1 の整数点

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https://x.com/Pajoca_/status/1910301765347504203
Y³ = X(X+1)(2X+1)/6 + 1 の整数点を求める課題
(後の都合のためx,yではなくX,Yを使った)

一般的な三次曲線については
http://matwbn.icm.edu.pl/ksiazki/aa/aa87/aa8743.pdf
Solving elliptic diophantine equations: the general cubic case
にワイエルシュトラスの標準形への変形を利用した(それだけでは解決しない)高度な方法があるようである。

今回は6Y3=(X+2)(2X2X+3) と分解し、さらにQ(23)でのイデアル分解を考えると(Thue方程式に帰着して計算機頼みではあるが)解決できた。

Y=v/2,X=u/22 として 3v3=u(u29u+26)=u(ua)(ub)
(定数a,b(9±23)/2
と変形する。既知の整数解にはX=2,1,0,37があり、u=0,2,4,78に相当する。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10176117150
みたいな方針でいけるんじゃないかと考えて、うまくいった。当時は、ppp-78pqq-3ppq+26qqq = -27に帰着したあと解決しなかったが、このような斉次式 = 定数 の形の方程式はThue方程式として知られていて
sage(実際にはPARI-GPの関数呼び出し)では
A. = QQ[]
th = gp.thueinit(x^3 - 78*x^2 - 3*x + 26, 1)
solutions = gp.thue(th, -27).sage()
print(solutions)

magma( https://magma.maths.usyd.edu.au/calc/ )では、
R := PolynomialRing(Integers());
f := x^3 - 78*x^2 - 3*x + 26;
T := Thue(f);
solutions := Solutions(T, -27);
print solutions;

という感じのコマンドで(それを信用すれば)解決する
メモとして、magmaのDocumentationには
https://magma.maths.usyd.edu.au/magma/handbook/text/414
the reduction of Bilu and Hanrot ([BH96]) is used.と書いてある


Q(23)の素イデアル分解の様子>
昨年のProxima杯の予選の大問2に出た話題。類数は3である。
(2)=p2q2と分解できて
p23=((3+23)/2)
q23=((323)/2)

(3)=p3q3と分解できて
p33=2+23
q33=223
(13)=p13q13と分解できて
p133=(37+623)
q133=(37623)
後の計算のためいくつか計算しておく:
p2q3=((123)/2)
p3q2=((1+23)/2)
p3q13=(4+23)
q3p13=(423)
p13q2=((9+23)/2)=(a)
q13p2=((923)/2)=(b)
p2,p3,p13が同じイデアル類群に属するように選んだ)


u,ua,ubのイデアル分解を考える>
(u)=c1A3
(ua)=c2B3
(ub)=c3C3
とおく。uは有理整数だからua,ubは共役で、c3c2の共役、CBの共役とおける。都合が良いことに類数が3だからA3,B3,C3は単項で、従ってc1,c2,c3も単項である。ほかにu(ua)(ub)=3v3uuaの公約イデアルはa=q2p13を割ること、u(ua)(ub)=u29u+26が同時に3の倍数になることはないことなどを考慮して、分解の候補を考えると以下の9個の場合分けとなる。
[1]
c1=(3)
c2=(1)
c3=(1)
[2]
c1=(3)p22q22p132q132
c2=q2p13
c3=p2q13
[3]
c1=(3)p2q2p13q13
c2=q22p132
c3=p22q132
[4]
c1=p22q22
c2=p3q2
c3=q3p2
[5]
c1=p13q13
c2=p3p132
c3=q3q132
[6]
c1=p2q2p132q132
c2=p3q22p13
c3=q3p22q13
[7]
c1=p2q2
c2=q3q22
c3=p3p22
[8]
c1=p132q132
c2=q3p13
c3=p3q13
[9]
c1=p22q22p13q13
c2=q3q2p132
c3=p3p2q132


<方針>
Bが単項イデアルのときは、Bの生成元を(x+y23)/2 とおいて
ua=(c2)((x+y23)/2)3
の虚部をみるとThue方程式を得るので計算機で有限の候補に絞れる。(ここで「の生成元」とは符号の選択をするだけで、それはx,yの符号で吸収されるので気にしなくて良い。)対応するuが偶数で(u)=c1A3を満たしているものが、元の方程式の整数解を与える。

Bが単項イデアルでない場合は、Bにp2q2を掛けたものが単項イデアルになるのでその生成元を(x+y23)/2 とおく。
(ua)=(c2)((x+y23)/2)3/(p23)
(ua)=(c2)((x+y23)/2)3/(q23)
についてそれぞれ同様に虚部からThue方程式を得て検証すれば良い。これらは共役の関係でyの符号で吸収されるから片方だけ検証すれば良い。結局、9つの場合について、それぞれ2つのThue方程式を得る。

最初のは手計算で解けるが他は冒頭のようにmagma沙汰と思う。


<計算>
[1]
c1=(3)
c2=(1)
最初の ua=(c2)((x+y23)/2)3 から得られるThue方程式は 6x2y46y3=8
この場合はyは8の約数なので候補は有限で、解はx,y=(±3,1)で、u=18,27が対応するが、u=3A3の形でないので不適
2番目の(ua)=(c2)((x+y23)/2)3/(p23) から得られるThue方程式は x3+9x2y+69xy269y3=64
magmaによると解は [x,y]=[41,3],[5,1],[2,2],[4,0]
u=3621,19,46,6 が対応するが、u=3A3の形でないので不適


[2]
c1=(3)p22q22p132q132
c2=q2p13=a=((9+23)/2)
最初のThue方程式は x3+27x2y69xy2207y3=8
magmaによると解は [2,0]u=0が対応し、既知の解を与える。
2番目のThue方程式は x3+441x2y+69xy23381y3=64
magmaによると解なし


[3]
c1=(3)p2q2p13q13=(78)
c2=q22p132=(a)2=((29+923)/2)
最初のThue方程式は 9x3+87x2y621xy2667y3=8
magmaによると解なし
2番目のThue方程式は 3x3+75x2y+207xy2575y3=64
magmaによると解は [4,0]u=78が対応し、u=78A3の形であり既知の解を与える。


[4]
c1=p22q22=(4)
c2=p3q2=((1+23)/2)
最初のThue方程式は x3+3x2y69xy223y3=8
magmaによると解は [2,0],[1,3] で、u=4,914が対応し、u=4u=4A3の形であり既知の解を与える
2番目のThue方程式は x3+39x2y69xy2299y3=64
magmaによると解は [4,0],[419,117]u=2,37177220が対応するが、u=4A3の形でないので不適


[5]
c1=p13q13
c2=p3p132=((37+623)(4+23)/13)=(22+23)
最初のThue方程式は 2x3+132x2y138xy21012y3=8
magmaによると解なし。
2番目のThue方程式は 19x3+267x2y+1311xy22047y3=64
magmaによると解なし。


[6]
c1=p2q2p132q132
c2=p3q22p13=((1+23)/2)(a)=((7+523)/2)
最初のThue方程式は 5x321x2y345xy2+161y3=8
magmaによると解なし。
2番目のThue方程式は 11x3+141x2y759xy21081y3=64
magmaによると解なし。


[7]
c1=p2q2=(2)
c2=q3q22=(4(123)/(3+23))=((5+23)/2)
最初のThue方程式は x3+15x2y69xy2115y3=8
magmaによると解は[x,y]=[2,0]で、u=2が対応し、既知の解を与える。
2番目のThue方程式は x3+57x2y+69xy2437y3=64
magmaによると解は[4,0]u=14 が対応するが、u=2A3の形でないので不適


[8]
c1=p132q132=(169)
c2=q3p13=(423)
最初のThue方程式は 2x3+24x2y+138xy2184y3=8
magmaによると解なし
2番目のThue方程式は 7x333x2y+483xy2+253y3=64
magmaによると解なし


[9]
c1=p22q22p13q13=(52)
c2=q3q2p132=(4w)(a)=((59+523)/2)
最初のThue方程式は 5x3+177x2y345xy21357y3=8
magmaによると解は[x,y]=[4,2]で、u=4463が対応するが、u=52A3の形でないので不適
2番目のThue方程式は 44x3+876x2y+3036xy26716y3=64
magmaによると解なし


これで既知の解以外にはないことが確認された

投稿日:19日前
更新日:19日前
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