本記事の前提知識
「確率変数」という言葉だけで苦手意識を持つ人もいるかもしれないが,上の式を何となくでもわかっていれば,おそらく以下の記事を読むうえでそんなには困らないだろう.
平均値を活用する
例題1
どの位にもを含まないような桁の正整数の和を求めよ.
(解)そのような桁は,全ての桁がからのいずれかであり,その平均はである.つまり,そのような桁の正整数の平均はである.
一方,そのような桁の数は通りあるので,求めるべき和は.
平均がになるところについて,より厳密に書くと,次のようになる.
どの位にもを含まないような桁の正整数を無作為に一つ選ぶ試行を考える.このときの期待値は,の期待値は,の期待値はであり,.
この例のように,平均が比較的容易に求まりそうな問題であれば(あるいは平均をエスパーできる問題であれば),それを利用して和を出してしまおうというのが本記事で紹介する技である.
練習問題1
さいころを回投げて出た目をそれぞれ,,とするとき,としてありうる値の和を求めよ.
解
の平均値は.
よって和は.
このように平均は小数になる場合もある.途中で小数が出てきたからといって,間違ったと即断してはいけない.
では,次の問題はどうだろうか.平均値の発想が使えるかどうかを,まずは考えてみてほしい.
練習問題2
さいころを個投げて出た目を大きい順に,,とするとき,としてありうる値の和を求めよ.
解
この問題では,の平均値はだとわかるのだが,との平均値については,単純には求めることができない.
についてはであるような場合の数が通り,であるような場合の数が通り,……と考えていくよりないだろう.
次の例はどうだろう.
練習問題3(OMC093(E)改)
桁の正整数であって,百,十,一の位のいずれかがであるような数の和を求めよ.
ヒント
単純に平均が出せないのでは…と思うかもしれないが,工夫すれば解決できる.「百,十,一の位のいずれもがでないような数」の和を考えればよい.
解
「百,十,一の位のいずれもがでないような数」について考えよう.百の位の平均は,十の位と一の位の平均はである.よって,そのような桁の正整数の平均は,そのような桁の正整数の合計はである.
一方桁の正整数の和はなので,求めるべき値は.
この平均を使うテクニックは,OMCの問題でも時折使える技である.身に着けておくと良いだろう.
OMCの例題
OMC093(E)
OMCB028(C)
OMCB025(E)
OMC047(C)
OMC101(D)
OMC084(F)
OMC095(E)
OMC031(D)