確率変数$X,Y$があるとき
$E(X+Y)=E(X)+E(Y)$
「確率変数」という言葉だけで苦手意識を持つ人もいるかもしれないが,上の式を何となくでもわかっていれば,おそらく以下の記事を読むうえでそんなには困らないだろう.
どの位にも$0$を含まないような$3$桁の正整数の和を求めよ.
(解)そのような$3$桁は,全ての桁が$1$から$9$のいずれかであり,その平均は$5$である.つまり,そのような$3$桁の正整数の平均は$555$である.
一方,そのような$3$桁の数は$9^3=729$通りあるので,求めるべき和は$555×729=404595$.
平均が$555$になるところについて,より厳密に書くと,次のようになる.
どの位にも$0$を含まないような$3$桁の正整数$100a+10b+c$を無作為に一つ選ぶ試行を考える.このとき$a$の期待値は$5$,$b$の期待値は$5$,$c$の期待値は$5$であり,$E(100a+10b+c)=555$.
この例のように,平均が比較的容易に求まりそうな問題であれば(あるいは平均をエスパーできる問題であれば),それを利用して和を出してしまおうというのが本記事で紹介する技である.
さいころを$3$回投げて出た目をそれぞれ$a$,$b$,$c$とするとき,$100a+10b+c$としてありうる値の和を求めよ.
では,次の問題はどうだろうか.平均値の発想が使えるかどうかを,まずは考えてみてほしい.
さいころを$3$個投げて出た目を大きい順に$a$,$b$,$c$とするとき,$100a+10b+c$としてありうる値の和を求めよ.
次の例はどうだろう.
$3$桁の正整数であって,百,十,一の位のいずれかが$9$であるような数の和を求めよ.
この平均を使うテクニックは,OMCの問題でも時折使える技である.身に着けておくと良いだろう.