君の目の前には$3$種類の武器がある。一つはグレートアックス。両手用の重武器で敵に$1\rm{d}12$の[斬撃]ダメージを与えることができる。もう一本も両手用の重武器であるグレートソードだが、これは[斬撃]ダメージを$2\rm{d}6$だけ与えることができる。最後は片手用武器のフレイルだ。[殴打]ダメージを$1\rm{d}8$与えることができる。
また、両手武器を選んだ場合、君は「両手武器戦闘」の戦闘スタイルを採用し、
その攻撃のダメージ・ダイスで1か2の目を出したなら、君はその1や2が出たダイスを再ロールできる。そうした場合、必ず再ロールの結果を使用すること。
という効果を得ることができる。片手武器なら戦闘スタイルは「片手武器戦闘」だ。
その武器のダメージ・ロールに+2のボーナスを得る
ことができる。
さて、君はどの武器を選ぶ?
よりダメージの期待値が高いものを選ぼう。
期待値は「ダメージの平均値」になる。フレイルの場合、1から8までの出目が出る確率は同様に確からしいから、ダメージとその確率は以下の表のようになる。
ダメージ | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
確率 | $\frac{1}{8}$ | $\frac{1}{8}$ | $\frac{1}{8}$ | $\frac{1}{8}$ | $\frac{1}{8}$ | $\frac{1}{8}$ | $\frac{1}{8}$ | $\frac{1}{8}$ |
したがって期待値は
$$
3\times\frac{1}{8}+4\times\frac{1}{8}+5\times\frac{1}{8}+6\times\frac{1}{8}+7\times\frac{1}{8}+8\times\frac{1}{8}+9\times\frac{1}{8}+10\times\frac{1}{8}=\frac{13}{2}
$$
となる。
(i)振り直す場合
一度目が$1$か$2$で、振り直して$1$が出る確率は$\frac{2}{12}\times\frac{1}{12}$である。したがってこの場合の表は以下のようになる。
ダメージ | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
確率 | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ | $\frac{1}{72}$ |
(ii)振り直さない場合
ダメージ | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
確率 | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ | $\frac{1}{12}$ |
したがって期待値は
$$
1\times\frac{1}{72}+2\times\frac{1}{72}+3\times\frac{7}{72}+4\times\frac{7}{72}+5\times\frac{7}{72}+6\times\frac{7}{72}+7\times\frac{7}{72}+8\times\frac{7}{72}+9\times\frac{7}{72}+10\times\frac{7}{72}+11\times\frac{7}{72}+12\times\frac{7}{72}=\frac{22}{3}
$$
以下、両方振り直すものをパターンA、一方のみを振り直すものをパターンB、どちらも振り直さないものをパターンCとする。
$(2)$ダメージが$2$になる確率(以下同様)
パターンAのみ。一度目の出目は$(1,1),(1,2),(2,1),(2,2)$の$4$通り。二度目の出目は$(1,1)$の$1$通りのみ。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{1}{36}=\frac{1}{324}$
$(3)$
パターンAのみ。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{2}{36}=\frac{1}{162}$
$(4)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{3}{36}=\frac{1}{108}$
パターンBのとき。一度目の出目は$(1,3),(2,3),(3,1),(3,2)$の$4$通り。二度目の出目は$1$の$1$通りのみ。よって確率は$\frac{4}{36}\times\frac{1}{6}=\frac{1}{54}$
パターンCはなし。
したがって$4$ダメージとなる確率は$\frac{1}{108}+\frac{1}{54}=\frac{1}{36}$
$(5)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{4}{36}=\frac{1}{81}$
パターンBのとき。一度目の出目は$(1,3),(2,3),(3,1),(3,2),(1,4),(2,4),(4,1),(4,2)$の$8$通り。$3$が出たときの二度目の出目は$2$の$1$通り、$4$が出たときの二度目の出目は$1$の$1$通りのみ。よって確率は$\frac{4}{36}\times\frac{1}{6}\times2=\frac{1}{27}$
パターンCはなし。
したがって$5$ダメージとなる確率は$\frac{1}{81}+\frac{1}{27}=\frac{4}{81}$
※以上から、パターンBは、振り直さないほうの出目が$n$通り(上なら$3$、$4$の2通り)あるとき、確率は$\frac{n}{54}$となることがわかる。
$(6)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{5}{36}=\frac{5}{324}$
パターンBのとき。振り直さない方の出目は$3$、$4$、$5$の$3$通り。よって確率は$\frac{3}{54}=\frac{1}{18}$
パターンCのとき。出目は$(3,3)$の$1$通り。よって確率は$\frac{1}{36}$
したがって$6$ダメージとなる確率は$\frac{5}{324}+\frac{1}{18}+\frac{1}{36}=\frac{8}{81}$
$(7)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{6}{36}=\frac{1}{54}$
パターンBのとき。振り直さない方の出目は$3$、$4$、$5$、$6$の$4$通り。よって確率は$\frac{4}{54}=\frac{2}{27}$
パターンCのとき。出目は$(3,4)$、$(4,3)$の$2$通り。よって確率は$\frac{2}{36}=\frac{1}{18}$
したがって$7$ダメージとなる確率は$\frac{1}{54}+\frac{2}{27}+\frac{1}{18}=\frac{4}{27}$
$(8)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{5}{36}=\frac{5}{324}$
パターンBのとき。振り直さない方の出目は$3$、$4$、$5$、$6$の$4$通り。よって確率は$\frac{4}{54}=\frac{2}{27}$
パターンCのとき。出目は$(3,5)$、$(4,4)$、$(5,3)$の$3$通り。よって確率は$\frac{3}{36}=\frac{1}{12}$
したがって$8$ダメージとなる確率は$\frac{5}{324}+\frac{2}{27}+\frac{1}{12}=\frac{14}{81}$
$(9)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{4}{36}=\frac{1}{81}$
パターンBのとき。振り直さない方の出目は$3$、$4$、$5$、$6$の$4$通り。よって確率は$\frac{4}{54}=\frac{2}{27}$
パターンCのとき。出目は$(3,6)$、$(4,5)$、$(5,4)$、$(6,3)$の$4$通り。よって確率は$\frac{4}{36}=\frac{1}{9}$
したがって$9$ダメージとなる確率は$\frac{1}{81}+\frac{2}{27}+\frac{1}{9}=\frac{16}{81}$
$(10)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{3}{36}=\frac{1}{108}$
パターンBのとき。振り直さない方の出目は$4$、$5$、$6$の$3$通り。よって確率は$\frac{3}{54}=\frac{1}{18}$
パターンCのとき。出目は$(4,6)$、$(5,5)$、$(6,4)$の$3$通り。よって確率は$\frac{3}{36}=\frac{1}{12}$
したがって$10$ダメージとなる確率は$\frac{1}{108}+\frac{1}{18}+\frac{1}{12}=\frac{4}{27}$
$(11)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{2}{36}=\frac{1}{162}$
パターンBのとき。振り直さない方の出目は$5$、$6$の$2$通り。よって確率は$\frac{2}{54}=\frac{1}{27}$
パターンCのとき。出目は$(5,6)$、$(6,5)$の$2$通り。よって確率は$\frac{2}{36}=\frac{1}{18}$
したがって$11$ダメージとなる確率は$\frac{1}{162}+\frac{1}{27}+\frac{1}{18}=\frac{8}{81}$
$(12)$
パターンAのとき。確率は$\frac{4}{36}\times\frac{1}{36}=\frac{1}{324}$
パターンBのとき。振り直さない方の出目は$6$の$2$通り。よって確率は$\frac{1}{54}$
パターンCのとき。出目は$(6,6)$の$1$通り。よって確率は$\frac{1}{36}$
したがって$12$ダメージとなる確率は$\frac{1}{324}+\frac{1}{54}+\frac{1}{36}=\frac{4}{81}$
以上よりダメージと確率の表は以下のようになる。
ダメージ | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
確率 | $\frac{1}{324}$ | $\frac{1}{162}$ | $\frac{1}{36}$ | $\frac{4}{81}$ | $\frac{8}{81}$ | $\frac{4}{27}$ | $\frac{14}{81}$ | $\frac{16}{81}$ | $\frac{4}{27}$ | $\frac{8}{81}$ | $\frac{4}{81}$ |
したがって期待値は
$$
2\times\frac{1}{324}+3\times\frac{1}{162}+4\times\frac{1}{36}+5\times\frac{4}{81}+6\times\frac{8}{81}+7\times\frac{4}{27}+8\times\frac{14}{81}+9\times\frac{16}{81}+10\times\frac{4}{27}+11\times\frac{8}{81}+12\times\frac{4}{81}=\frac{25}{3}
$$
以上から各武器の期待値は以下のようになる。ダメージの期待値が一番高い武器はグレートソードであることがわかった。
武器 | 期待値 |
---|---|
グレートソード | $8\frac{1}{3}$ |
グレートアックス | $7\frac{1}{3}$ |
フレイル | $6\frac{1}{2}$ |
D&D(に限らずTRPG)では好きなようにキャラ作するのが一番です。(周囲が許してくれるなら)期待値なんか気にせず使いたい武器を使いましょう。
また、D&Dには様々な武器や職業があり、これ以外の選択のほうがダメージが伸びる可能性もあります。今回はあくまでも導入に述べた設定の上での比較になります。