こんにちは。Uirou(ういろう)といいます。来年度から高2になる者です。競技数学を一年くらい前に始めました。今年はJMO予選通過できなかったですが、来年はJMO本選に行きたいと思っています。好きな分野は整数論と初等幾何で、最近は船旅とMONTを使って勉強を進めています。これから、自作問題や面白いと思った数学の話題について記事を書いていこうと考えています。お見知りおきを。
正の整数$n$について、有理式$f_n (x)$が以下のように定義されます。
$$
\begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
f_1(x)=x \\
f_{n+1}(x)= \frac{3f_n(x)-f_n(x)^3}{1-3f_n(x)^2} (n \in \mathbb{N} )
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}
$$
このとき、方程式$f_{2024}(x)=1$の相異なる実数解の個数を求めよ。
解答解説までに余白があります。
かなり恣意的に作られた感がありますね。式が複雑で、このままでは一般項が求められるか怪しいですね。こういう時は何かの文字で置換してみると上手くいったりします。どのように置換するかは個人の好みがあると思いますが、私は今、$x= \tan \theta $と置換したいなーという気分です。では、$x= \tan \theta $と置換してみましょう。突然ですが、次の補題が成立します。
$ \tan3 \theta = \frac{3 \tan \theta - \tan ^3 \theta }{1- 3\tan ^2 \theta }$ が成立する。
$$\tan3 \theta = \tan ( \theta+2 \theta )$$とすれば、正接の加法定理と2倍角の公式から直ちに導かれる。具体的な計算は略。
問題の漸化式と形がとても似ていますね。補題1から、次の補題2が容易に導かれます。
$x= \tan \theta $とすると、$f_n(x)= \tan3^{n-1} \theta $となる。
帰納法を用いる。
(i)$n=1$の時 仮定より明らかに成立。
(ii)$n=k$の時、成立すると仮定する。仮定より、$f_k(x)= \tan3^{k-1} \theta $
よって、補題1より$f_{k+1}(x)= \frac{3 \tan 3^{k-1}\theta - \tan^3 3^{k-1}\theta }{1-3 \tan^2 3^{k-1} \theta } = \tan3^k \theta $
したがって$n=k+1$の時も成立する。
∴(i)(ii)より、題意は示された。
では、本題に戻りましょう。$x= \tan \theta \quad $$( 0 \leq \theta \lt \pi )$とすると、
補題2より、$f_{2024}(x)= \tan3^{2023} \theta =1$
よって、$ \tan3^{2023} \theta =1,0 \leq \theta \lt \pi $ より、$\theta= \frac{k- \frac{3}{4} }{3^{2023}} \pi$$ (k=1,2...3^{2023})$
仮定より、$x= \tan \theta $なので、実数解は$x= \tan\frac{k- \frac{3}{4} }{3^{2023}} \pi $$ (k=1,2...3^{2023})$
特に、回答すべき値は$3^{2023}$。
いかがでしたでしょうか。$\tan3 \theta $の公式なんてほとんどの人は見たことないでしょうから、割と難しかったのではないでしょうか。ただ、三角関数への置換は高校数学(特に微分積分)や競技数学でもそこそこ見かけるので、奇抜な発想ゲーではなかったと思います。今後も自作問題を投稿していくと思うので、よろしくお願いします。最後までお読みいただきありがとうございました。