前回の宣言通り、今回は問題1.1.8です。
これは、チャート(仮)から位相を作り、本当にチャートになっている事を確認するものです。
例えば、球面のチャートを作る時は、位相を気にせずに、まずは北極点を抜いたものから平面への全単射と、南極点の点を抜いたものから平面への全単射を構成すると思います。
そしてこれが出来たとき、それをチャートとできるような位相が構成できますよ、と言っているわけですね。
集合$X$を覆う部分集合族$\{U_i\}_{i \in I}$のそれぞれから$\mathbb{R}^n$の開部分集合への全単射写像$\phi_i \colon U_i \to \phi_i(U_i)\subset \mathbb{R}^n$があり、それらの間の座標変換が$C^r$級であるとき、$X$に一意的に定まる位相を導入して、$\Phi=\{(\phi_i,U_i)\}_{i\in I}$を空間$X$の$C^r$級座標近傍形とすることができる。
各$\phi_i(U_i)$が開集合であることに注意する。
(存在性)
$X$上の位相$\mathcal{O}$を次で定める:
集合$A \subset X$が開であるとは、すべての与えられた写像$\phi_i$に対し、$\phi_i(A \cap U_i)$が$\mathbb{R}^n$の開集合であることとする。
このとき、まず$\mathcal{O}$が$X$の位相であることを示す。
(1) 任意の$i$に対して$\phi_i(\varnothing \cap U_i)=\varnothing$、$\phi_i(X \cap U_i)=\phi_i(U_i)$より、$\varnothing, X \in \mathcal{O}$。
(2) 任意に$\{A_k\}_{k\in K}\subset \mathcal{O}$をとる。任意の$i$に対し、
$
\phi_i\Bigl(\bigl(\bigcup_{k} A_k\bigr)\cap U_i\Bigr)$
$
= \phi_i\Bigl(\bigcup_{k} (A_k \cap U_i)\Bigr)$
$
= \bigcup_{k} \phi_i(A_k \cap U_i)
$
であり、これは開集合の任意和なので開。よって $\bigcup_{k} A_k \in \mathcal{O}$。
(3) $A,B \in \mathcal{O}$とする。任意の$i$に対し、
$
\phi_i\bigl((A \cap B)\cap U_i\bigr)
$
$= \phi_i\bigl((A \cap U_i)\cap (B \cap U_i)\bigr)
$
$= \phi_i(A \cap U_i)\cap \phi_i(B \cap U_i)$。
(最後は$\phi_i$は$U_i$ 上の全単射であることを用いた。)
これは開集合の有限共通部分なので開。
したがって$A \cap B \in \mathcal{O}$。
以上より、$\mathcal{O}$は$X$の位相である。
さらに、各$\phi_i\colon U_i \to \phi_i(U_i)$が連続かつ開写像であることは定義より明らか。
※(連続性)座標変換が$C^r$級(つまり連続)であることにより、任意の$\phi_i(U_i)$の開集合$O$に対して、$O\cap\phi_i(U_i\cap U_j)$は$\phi_j(U_j)$で開になる。
※(開性)$U_i$の開集合$A$に対し$\phi_i(A)=\phi_i(A\cap U_i)$が$\phi_i(U_i)$の相対位相で開になる。
ゆえに各$\phi_i$は同相写像であり、したがって$\Phi=\{(\phi_i,U_i)\}_{i\in I}$は$C^r$級座標近傍形である。
(一意性)
仮に$\mathcal{O}'$が問題の性質を満たす位相であるとする。
このとき、任意の$\mathcal{O}'$の開集合$A$に対し、各$(\phi_i,U_i)$がチャートであるから、$\phi_i(A \cap U_i)$は開である。よって$A$は上で構成した$\mathcal{O}$の定義により$\mathcal{O}$の意味で開でもある。逆も同様に成り立つから、$\mathcal{O}'=\mathcal{O}$が従う。
どこかで見たことあるような、無いような問題でした…。