高校数学Bで数列の総和をやると必ず出てくる問題と言っても過言ではないでしょう。
$$ n^2=\sum_{k=1}^{n}(2k-1) $$
教科書では等差数列の考え方を用いてこれを証明しますが、今回は別のアプローチをしてみましょう。
1日に半径が1大きくなる円を考えます。n日目の円を$C_n$、$C_n$の面積を$S_n$、半径を$r_n$としましょう。
最初に円はない、あるいは点である(つまり$r_0=0$)として考えます。
$C_n$の定義から、$r_n=n$となるのは自明です。
よって、$S_n=πr_n^{2}=πn^2$がすぐに求まります。
ここで注目するのは、n日目に増える面積の大きさです。
このn日目の面積の変化量を$ΔS_n$としましょう。
すると$ΔS_n=S_n-S_{n-1}$ですので($S_0=0$と定義している)
$$ΔS_n=πn^2-π(n-1)^2=π(2n-1)$$
と求まります。
さて、この$ΔS_n$を用いて$S_n$を表現してみましょう。
$$S_n=ΔS_1+ΔS_2+ \cdots +ΔS_n= \sum_{k=1}^{n}ΔS_k$$
ここで$S_n=πr_n^{2}=πn^2 \space ,\spaceΔS_n=π(2n-1)$でしたから
$$πn^2= π\sum_{k=1}^{n}(2k-1)$$
$$\therefore n^2= \sum_{k=1}^{n}(2k-1)$$
と目あての公式が得られます。
この証明では等差数列の考え方を用いていません。どのように回避したのでしょうか。
その答えは「自明」としたところに隠されています。
$n$日後の半径$r_n$が$n$と等しくなることは確かに明らかです。
しかし、あえてこのように捉えることもできます。
「$r_n$は初項1、公差1の等差数列である」
こうすると、自明とした$r_n$が等差数列の一般項で求められることがわかります。
つまり、教科書のよくある証明の中で、等差数列の考え方を使う部分を自明な$r_n$に一遍に担わせるというごまかしで回避している訳です。
今回の別解をごまかしとしましたが、私はどんな問題の別解も他の解答で用いているものを上手くごまかしているだけだと考えています。ではなぜ別解を考えることが重要で面白いかと言うと、このごまかす方法を考えること自体に意味があるからだと思います。
極端な話ですが、現にここでは等差数列という高校生で理解する内容をごまかして、円の面積・変化率・展開といった中学生でも理解できる内容で解くことに成功しています。これは他のもっと難しい問題でも言えて、高度な数学が必要な問題でも、上手いごまかしをひらめくことによって、もっと簡単な数学で解けるようになることもあるだろうと考えます。
様々な問題に対して1つずつ別解を考えていけば、難しい問題を簡単にする力がきっと身に着くでしょう。