第59回懸賞問題の解説を放置したままだったので残り何題かを放流します。今回第3弾は弊数学研究部の顧問の先生の整数問題の解説です.
その1(自作)、その2(幾何)も併せてごらんください。
a,b,cを正の整数とします.このとき以下の条件を満たす正の整数の組は存在するかを証明してください.
条件:aとbの最小公倍数をx, bとcの最小公倍数をy, cとaの最小公倍数をzとすると,x,y,zは相異なる正整数でこの順番に等差数列となる.
a,b,cをその最大公約数gで割ることで最大公約数を1であるとしてよいです.
あとは3変数を分解するときによく使う形でごちゃごちゃするだけです。
a=Aαβ,b=Bβγ,c=CγαとA,B,Cは互いに素かつα,β,γは互いに素であるようにおく。
仮定はx+z=2yであるので,代入してαβγで割ると,A(B+C)=2BC
よってA=1,2
A=1のとき・・・B=C=1よりx=y=zだがこれは条件に合わない.
A=2のとき(B-1)(C-1)=1よりB=2,C=2だがこれは互いに素であることに反する.
よって存在しないことが示された.
めでたしめでたし。
ちなみに,こんな感じにABCαβγgを置く問題としてはJJMO2020本選3番などがあります!
偶数桁の自然数に対して,下半分の桁を並べた数から上半分の桁を並べた数を引いた数が3になる数を「仏教数」と定義します.例えば2023は23-20=3なので仏教数です.仏教数の中で5の累乗になるものを全て求めてください.
25などが解のようです。(実際これだけですが.)
どうやって不等式評価をすればよいでしょうか。
とりあえず見やすい形にすると
を解けばよさそうです.
大小関係から
CASE1 n=1のとき11m=5^s-3にm=1~6を代入して25が条件を満たす.
CASE2 n≧2のときs>2n-1>nより☆とにらめっこしてm+3は5でs回割り切れる.よって
よって答えは25のみである.
の正整数解を全て求めよ.
整理して
このとき
ここで
よってある自然数ωを用いて
これはLTEの補題で不等式評価してもよいしジグモンディーの定理などからk=1このとき与式は
ここでs=1のときは調べるとc=3,d=2以下s≧2を考える.このとき(左辺)≡1mod32だが一般に整数mに対して
・c=1のとき
・c=3のときmod17をみてd≡2(mod16)だがこのときmod32で17となり矛盾.
・c≧5のとき
よって解は(4,3,3,2)となる.
手順がとにかく多くていろんな手法が融合しておりかなり難易度が高いです。平方剰余の第一補充則などから解いてくれた方もいました!整数問題botさんの難易度では標準のようです.(期間中には正解者はいませんでした。)
残りの問題も今後uploadします.誤植等があればぜひ教えていただけると幸いです.では。