INTEGRALISは、積分問題を投稿・競技・共有できるプラットフォームです。
さまざまな積分問題に挑戦できるので、ぜひ活用してみてください。
公式サイト:
INTEGRALIS
第5章で取り上げた問題の作問者の方々をご紹介します。(敬称略)
ここでは、INTEGRALISの過去問を用いて、実際の問題に対する解法設計を考える。
重要なのは、示された解法を覚えることではない。
問題を見たときに何を認識し、どのような方法を候補に挙げ、なぜその解法を選ぶのかを考えてほしい。
各問題では、まず自分で解法を検討してから、解法設計と解答を確認することを勧める。
INTEGRALIS BASIC — Difficulty 3
Integral Basic Contest #18 / Problem C
作問:ri_ruru07
$$
I=\int_0^\infty\frac{x\ln x}{(1+x^2)^2}\,dx
$$
この積分には対数関数と有理関数が現れている。
部分積分を行うことも考えられるが、まず積分区間に注目する。
積分区間は0から無限大であり、分母は $1+x^2$ の二乗である。
ここから、
$$
x\longmapsto\frac1x
$$
という変換を考えられる。
この変換では、
$$
\ln\frac1x=-\ln x
$$
となる。
一方、有理関数の部分がどう変化するかを確認すると、
$$
\frac{\frac1x}{\left(1+\frac1{x^2}\right)^2}
\frac1{x^2}
=\frac{x}{(1+x^2)^2}
$$
となる。
つまり、有理関数の部分は積分の変数変換に伴う微分因子まで含めて元の形に戻り、対数関数だけが符号を変える。
したがって、元の積分と変換後の積分を比較すれば、積分値を決定できる。
$$
x=\frac1t
$$
と置くと、
$$
dx=-\frac1{t^2}\,dt
$$
であるから、
$$
I=-\int_0^\infty\frac{t\ln t}{(1+t^2)^2}\,dt
$$
となる。
よって、
$$
I=-I
$$
より、
$$
I=0
$$
を得る。
なお、被積分関数は0の近くで $O(x|\ln x|)$、無限大で $O(\ln x/x^3)$ となるため、広義積分は絶対収束する。
この問題では、部分積分によって原始関数を求めることも可能である。
しかし、積分値だけが必要なので、逆数変換によって積分全体の符号が反転することを利用した方が早い。
原始関数を求められることと、求める必要があることは異なる。
INTEGRALIS BASIC — Difficulty 4
Integral Basic Contest #8 / Problem C
作問:nekoyanag_green
$$
I=\int_0^{\frac{\pi}{6}}\frac{1}{1+2\sin^2x}\,dx
$$
分母には $\sin^2x$ が現れている。
三角関数の二乗を含むため、半角公式によって式を変形する方法も考えられる。
しかし、分母を $\cos^2x$ で割ると、
$$
1+2\sin^2x
=\cos^2x(1+3\tan^2x)
$$
となる。
さらに、
$$
\frac{dx}{\cos^2x}=d(\tan x)
$$
である。
したがって、正接関数を置換すれば、有理関数の積分へ直接帰着できる。
ここで重要なのは、三角関数の二乗が現れたから正接置換を選んだのではないことである。
分母を整理した結果、微分因子までそろうことが予測できたため、その置換を選んでいる。
$$
t=\tan x
$$
と置くと、
$$
I=\int_0^{\frac1{\sqrt3}}\frac{1}{1+3t^2}\,dt
$$
となる。
したがって、
$$
I=\left[\frac1{\sqrt3}\arctan(\sqrt3t)\right]_0^{\frac1{\sqrt3}}
$$
より、
$$
I=\frac{\pi}{4\sqrt3}
$$
を得る。
置換の候補を考える際には、置換後の式だけでなく、微分因子まで確認する必要がある。
分母の一部分だけが簡単になっても、ほかの部分が複雑になれば有効な置換とは限らない。
この問題では、置換後に逆正接関数の微分形へ直接帰着できることを見通せた点が重要である。
INTEGRALIS BASIC — Difficulty 5
Integral For Highschool Student #6 / Problem D
作問:ri_ruru07
$$
I=\int_0^1\sqrt{1+4x(1-x)}\,dx
$$
根号の内部には、
$$
x(1-x)
$$
という式が現れている。
この式は、
$$
x\longmapsto1-x
$$
によって変化しない。
また、
$$
4x(1-x)=1-(2x-1)^2
$$
であるから、
$$
1+4x(1-x)=2-(2x-1)^2
$$
となる。
したがって、積分区間の中心を原点へ移す置換を考えれば、平方根の内部を二次式の差として扱える。
ここでは、根号を取り除くことだけを目的に置換を選ぶのではない。
積分区間の対称性と根号の内部の構造が同時に簡単になる置換を選んでいる。
$$
t=2x-1
$$
と置くと、
$$
I=\frac12\int_{-1}^{1}\sqrt{2-t^2}\,dt
$$
となる。
被積分関数は偶関数なので、
$$
I=\int_0^1\sqrt{2-t^2}\,dt
$$
である。
ここで、
$$
t=\sqrt2\sin\theta
$$
と置けば、
$$
I=2\int_0^{\frac{\pi}{4}}\cos^2\theta\,d\theta
$$
となる。
よって、
$$
I=\int_0^{\frac{\pi}{4}}(1+\cos2\theta)\,d\theta
$$
$$
=\frac{\pi}{4}+\frac12
$$
を得る。
根号を含む積分では、すぐに三角置換を始める必要はない。
この問題では、最初に区間の中心を利用して式を整理することで、後の三角置換が簡単になった。
複数の操作が必要な場合には、後の操作が有効になるように、前の操作を選ぶことが重要である。
INTEGRALIS BASIC — Difficulty 6
Integral Basic Contest #9 / Problem E
作問:ri_ruru07
$$
I=\int_0^{\frac{\pi}{4}}
\frac{e^x(2+\sin2x)}
{2\cos^2x+2e^{2x}\sin^2x}
\,dx
$$
分母には、指数関数と三角関数の平方が現れている。
ここで、
$$
2\cos^2x+2e^{2x}\sin^2x
=2\cos^2x(1+e^{2x}\tan^2x)
$$
と変形できる。
この形から、逆正接関数の微分形を考えられる。
そこで、
$$
g(x)=e^x\tan x
$$
と予測する。
このとき、
$$
g'(x)=e^x\tan x+\frac{e^x}{\cos^2x}
$$
である。
分母をそろえると、
$$
g'(x)=\frac{e^x(1+\sin x\cos x)}{\cos^2x}
$$
となる。
一方、
$$
2+\sin2x=2(1+\sin x\cos x)
$$
なので、被積分関数の分子とも対応する。
したがって、逆正接関数の微分形が完全に現れていることが分かる。
$$
g(x)=e^x\tan x
$$
とすると、
$$
\frac{g'(x)}{1+g(x)^2}
=
\frac{e^x(2+\sin2x)}
{2\cos^2x+2e^{2x}\sin^2x}
$$
である。
したがって、
$$
I=\left[\arctan(e^x\tan x)\right]_0^{\frac{\pi}{4}}
$$
より、
$$
I=\arctan(e^{\frac{\pi}{4}})
$$
を得る。
この問題では、指数関数と三角関数を別々に処理する必要はなかった。
分母を平方の和として捉え、逆正接関数の内部を予測することで、複雑な被積分関数を一つの微分構造として扱えた。
被積分関数が複雑でも、原始関数の形が複雑とは限らない。
INTEGRALIS BASIC — Difficulty 7
Integral Basic Contest Expert #4 / Problem A
作問:sakumonjp
$$
I=\int_1^\pi
\frac{
e^x\{(x-x^2)\ln x\cos x-x^2\ln x\sin x-(1-x)\sin x\}
}{
x(\ln x)^2
}
\,dx
$$
ただし、下端は右側からの極限として扱う。
分母には、
$$
x(\ln x)^2
$$
という式が現れている。
このことから、
$$
\frac{1}{\ln x}
$$
を含む商の微分を考えられる。
また、分子には、
$$
e^x,\qquad \sin x,\qquad \cos x
$$
が組み合わされている。
さらに、$1-x$ という因子も現れている。
そこで、これらを一つの積としてまとめた原始関数を予測する。
$$
F(x)=\frac{e^x(1-x)\sin x}{\ln x}
$$
この候補を微分すると、積の微分と商の微分によって、分子に現れる各項が同時に生成される。
$$
F(x)=\frac{e^x(1-x)\sin x}{\ln x}
$$
とすると、
$$
F'(x)=
\frac{
e^x\{(x-x^2)\ln x\cos x-x^2\ln x\sin x-(1-x)\sin x\}
}{
x(\ln x)^2
}
$$
である。
したがって、
$$
I=\lim_{a\to1+}\{F(\pi)-F(a)\}
$$
となる。
ここで、
$$
F(\pi)=0
$$
である。
また、
$$
\lim_{x\to1+}\frac{1-x}{\ln x}=-1
$$
より、
$$
\lim_{x\to1+}F(x)=-e\sin1
$$
となる。
したがって、
$$
I=e\sin1
$$
を得る。
この問題では、複雑な分子を展開して個別に積分する方法は有効ではない。
分母の構造から原始関数に必要な因子を予測し、分子の各項を積の微分によって説明する方が効率的である。
また、下端で $\ln x=0$ となるため、原始関数の式に直接代入することはできない。
原始関数を発見する判断と、積分端点を正しく評価する判断の両方が必要になる。
INTEGRALIS BASIC — Difficulty 8
Integral Basic Contest Expert #3 / Problem B
作問:sakumonjp
$$
I=\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{5\pi}{4}}
e^x\ln x(2x\sin x+\sin x-\cos x)\,dx
$$
被積分関数には対数関数が掛けられている。
したがって、対数関数を微分する部分積分が候補になる。
しかし、すぐに部分積分を実行する必要はない。
まず、対数関数を除いた部分が何を微分した結果なのかを考える。
$$
e^x(2x\sin x+\sin x-\cos x)
$$
には、指数関数と三角関数、多項式が現れている。
ここで、
$$
G(x)=xe^x(\sin x-\cos x)
$$
を考える。
微分すると、
$$
G'(x)=e^x(2x\sin x+\sin x-\cos x)
$$
となる。
したがって、元の積分は、
$$
I=\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{5\pi}{4}}\ln x\,G'(x)\,dx
$$
と表せる。
部分積分によって残る積分も、
$$
\frac{G(x)}x=e^x(\sin x-\cos x)
$$
となり、容易に処理できる。
さらに、
$$
\sin\frac{\pi}{4}-\cos\frac{\pi}{4}=0
$$
$$
\sin\frac{5\pi}{4}-\cos\frac{5\pi}{4}=0
$$
なので、部分積分の境界項が消えることまで予測できる。
部分積分より、
$$
I=\left[\ln x\,G(x)\right]_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{5\pi}{4}}
-\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{5\pi}{4}}\frac{G(x)}x\,dx
$$
となる。
境界項は0なので、
$$
I=-\int_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{5\pi}{4}}
e^x(\sin x-\cos x)\,dx
$$
である。
ここで、
$$
\frac{d}{dx}(-e^x\cos x)
=e^x(\sin x-\cos x)
$$
なので、
$$
I=\left[e^x\cos x\right]_{\frac{\pi}{4}}^{\frac{5\pi}{4}}
$$
となる。
したがって、
$$
I=-\frac{e^{\frac{5\pi}{4}}+e^{\frac{\pi}{4}}}{\sqrt2}
$$
を得る。
この問題では、対数関数を微分する部分積分が有効だった。
しかし、部分積分の前に、それ以外の部分を何の微分として扱うかを考える必要がある。
さらに、積分区間の両端でどの因子が0になるかを調べることで、境界項の計算も省略できた。
部分積分を使うかどうかだけでなく、何を一つの関数として扱い、結果としてどの項が残るかまで予測している。
INTEGRALIS BASIC — Difficulty 8
Integral Basic Contest Expert #1 / Problem C
作問:dragoemon
$$
I=\int_0^{2\pi}
\max\{
|5\cos x+\sin x|,
|2\cos x+5\sin x|,
|-3\cos x+4\sin x|
\}\,dx
$$
被積分関数には、三つの三角関数の一次結合の絶対値が現れている。
これらの大小を比較し、区間を細かく分割することも可能である。
しかし、場合分けが多くなることが予想される。
そこで、三角関数の一次結合をベクトルの内積として捉える。
$$
u(x)=(\cos x,\sin x)
$$
と置く。
また、
$$
v_1=(5,1),\qquad
v_2=(2,5),\qquad
v_3=(-3,4)
$$
とする。
すると、被積分関数は、
$$
\max_{1\leq k\leq3}|v_k\cdot u(x)|
$$
となる。
これは、六つの点、
$$
\pm v_1,\qquad\pm v_2,\qquad\pm v_3
$$
の凸包を考えたとき、方向 $u(x)$ に対する支持関数である。
つまり、この積分は三角関数の計算ではなく、平面図形の問題として解釈できる。
六つの点を順に並べると、
$$
(5,1),\quad(2,5),\quad(-3,4),
$$
$$
(-5,-1),\quad(-2,-5),\quad(3,-4)
$$
となる。
これらは、この順に凸六角形の頂点をなす。
隣接する三辺の長さは、
$$
\sqrt{(5-2)^2+(1-5)^2}=5
$$
$$
\sqrt{(2+3)^2+(5-4)^2}=\sqrt{26}
$$
$$
\sqrt{(-3+5)^2+(4+1)^2}=\sqrt{29}
$$
である。
六角形は原点について中心対称なので、残りの三辺も同じ長さになる。
したがって、その周長は、
$$
L=2(5+\sqrt{26}+\sqrt{29})
$$
となる。
ここで、凸多角形の方向 $u(x)$ への支持関数を $h(x)$、同じ方向への射影の幅を $w(x)$ とすると、中心対称性から、
$$
w(x)=2h(x)
$$
である。
また、凸多角形の各辺を $e_1,\ldots,e_6$ とすると、射影の全変動が幅の2倍になるため、
$$
2w(x)=\sum_{k=1}^{6}|e_k\cdot u(x)|
$$
が成り立つ。
これを $0\leq x\leq\pi$ で積分すると、
$$
\int_0^\pi w(x)\,dx
=\frac12\sum_{k=1}^{6}
\int_0^\pi|e_k\cdot u(x)|\,dx
$$
となる。
各辺について、
$$
\int_0^\pi|e_k\cdot u(x)|\,dx=2|e_k|
$$
なので、
$$
\int_0^\pi w(x)\,dx=L
$$
を得る。
一方、$h(x+\pi)=h(x)$ であるから、
$$
I=\int_0^{2\pi}h(x)\,dx
=\int_0^\pi w(x)\,dx
$$
となる。
したがって、
$$
I=2(5+\sqrt{26}+\sqrt{29})
$$
を得る。
この問題では、絶対値を外して場合分けを進めれば、計算できないわけではない。
しかし、三角関数の一次結合を内積として認識すれば、被積分関数全体が一つの幾何学的な意味を持つことが分かる。
その結果、複数の三角関数の大小比較を行わずに、六角形の周長だけから積分値を決定できた。
積分の構造を別の数学的対象として解釈することで、計算そのものを置き換えるという発想が重要になる。
INTEGRALIS BASIC — Difficulty 10
Integral Basic Contest Expert #1 / Problem D
作問:ri_ruru07
$$
I=\int_0^1
\frac{\sqrt{x(1-x)}}{x^2+x+1}\,dx
$$
分子には、
$$
\sqrt{x(1-x)}
$$
が現れている。
この形から、
$$
x=\frac{1+\cos\theta}{2}
$$
という置換を考えられる。
この置換では、平方根が正弦関数になり、積分区間も簡単に変換される。
ただし、三角置換を行うだけでは積分は終わらない。
重要なのは、その後に現れる三角関数の有理式を、どのような形へ変形するかである。
$$
x=\frac{1+\cos\theta}{2}
$$
と置けば、
$$
\sqrt{x(1-x)}=\frac{\sin\theta}{2}
$$
となる。ただし、$0\leq\theta\leq\pi$ で考える。
また、
$$
dx=-\frac{\sin\theta}{2}\,d\theta
$$
である。
したがって、
$$
I=\int_0^\pi
\frac{\sin^2\theta}{\cos^2\theta+4\cos\theta+7}\,d\theta
$$
となる。
ここで、分子と分母の関係を調べる。
$$
1-\cos^2\theta
=-(\cos^2\theta+4\cos\theta+7)
+4(\cos\theta+2)
$$
なので、
$$
I=-\pi+
4\int_0^\pi
\frac{\cos\theta+2}
{(\cos\theta+2)^2+3}\,d\theta
$$
を得る。
この変形によって、分母に平方の和が現れた。
しかし、分子は分母の微分因子ではないため、ここで直接逆正接関数へ帰着させることはできない。
そこで、三角関数を有理化する。
$$
t=\tan\frac{\theta}{2}
$$
と置く。
このとき、
$$
\cos\theta=\frac{1-t^2}{1+t^2}
$$
$$
d\theta=\frac{2}{1+t^2}\,dt
$$
なので、
$$
I=-\pi+
2\int_0^\infty
\frac{t^2+3}{t^4+3t^2+3}\,dt
$$
となる。
ここで、四次式を直接因数分解する方法も考えられる。
しかし、分母は偶関数であり、積分区間は0から無限大である。
そのため、逆数変換によって分子の $t^2$ と定数項を関係づけられる可能性がある。
そこで、
$$
t=3^{\frac14}u
$$
と置く。
すると、
$$
I=-\pi+
2\cdot3^{\frac14}
\int_0^\infty
\frac{1+\frac{u^2}{\sqrt3}}
{u^4+\sqrt3u^2+1}\,du
$$
となる。
一般に、
$$
J(a)=\int_0^\infty
\frac{1}{u^4+au^2+1}\,du
$$
とする。ただし、$a>-2$ とする。
ここで、
$$
u\longmapsto\frac1u
$$
と変換すると、
$$
J(a)=\int_0^\infty
\frac{u^2}{u^4+au^2+1}\,du
$$
を得る。
したがって、
$$
2J(a)=\int_0^\infty
\frac{1+u^2}{u^4+au^2+1}\,du
$$
である。
ここで、
$$
v=u-\frac1u
$$
と置く。
すると、
$$
dv=\left(1+\frac1{u^2}\right)du
$$
であり、
$$
u^4+au^2+1
=u^2\{v^2+a+2\}
$$
となる。
したがって、
$$
2J(a)=\int_{-\infty}^{\infty}
\frac{1}{v^2+a+2}\,dv
$$
$$
=\frac{\pi}{\sqrt{a+2}}
$$
を得る。
よって、
$$
J(a)=\frac{\pi}{2\sqrt{a+2}}
$$
である。
先ほどの積分に戻る。
逆数変換によって、
$$
\int_0^\infty
\frac{u^2}{u^4+\sqrt3u^2+1}\,du
=J(\sqrt3)
$$
である。
したがって、
$$
I=-\pi+
2\cdot3^{\frac14}
\left(1+\frac1{\sqrt3}\right)J(\sqrt3)
$$
となる。
ここで、
$$
J(\sqrt3)=\frac{\pi}{2\sqrt{2+\sqrt3}}
$$
なので、
$$
I=\pi\left\{
\frac{3^{\frac14}\left(1+\frac1{\sqrt3}\right)}
{\sqrt{2+\sqrt3}}-1
\right\}
$$
となる。
整理すれば、
$$
I=\pi\left(\sqrt{\frac{2}{\sqrt3}}-1\right)
$$
を得る。
この問題では、最初の三角置換だけでは計算を完了できない。
また、半角置換によって有理関数へ帰着した後も、四次式をそのまま因数分解して進める必要はなかった。
分母の対称性と積分区間の形から逆数変換を考えることで、分子の異なる項を同じ積分として扱えた。
さらに、
$$
u-\frac1u
$$
という置換を利用することで、四次式の積分を二次式の積分へ帰着させた。
この問題で重要なのは、一つの置換を思いつくことではない。
ある操作によって現れた式から、次に利用できる構造を認識し、複数の変換を順に組み立てることである。
これらの問題では、解法を選ぶ際の判断がそれぞれ異なる。
ある問題では対称性によって原始関数が不要になり、別の問題では原始関数を直接予測することで置換や部分積分の計算を省略できる。
また、複雑な積分では、一つの操作だけでは十分でなく、複数の変換を適切な順序で組み合わせる必要がある。
解法を発見する際には、最初に思いついた方法をすぐに実行するのではなく、その方法によって何が簡単になり、どのような計算が残るかを予測したい。
問題に含まれる構造を見極め、利用できる方法を比較し、最も効率的な経路を組み立てることが、実践的な解法設計の中心となる。