整数の四則
実数に四則演算があったので、これを整数に制限してみましょう。
整数同士の足し算・引き算・掛け算は必ず整数になるけれど、割り算は必しも整数になるとは限らないです。
(例) $8÷4=2\in\mathbb{Z}$だけれど、$3÷4=0.75\notin\mathbb{Z}$です。($\in\mathbb{Z}$で整数であることを、$\notin \mathbb{Z}$で整数でないことを表します)
よって、ある整数$n$で割れるか割れないかは、整数の特徴を言い表すことになります。もう少し、このことについて踏み込んで見ていきましょう。
$a_1, \cdots, a_n$が$b$の倍数の時、任意の$x_1,\cdots, x_n\in\mathbb{Z}$について、
$$
\sum_{N=1}^na_Nx_N=a_1x_1 + a_2x_2+\cdots+a_nx_n
$$
も$b$の倍数である。
分配法則より、
$$
(a_1x_1 + a_2x_2+\cdots+a_nx_n)÷b=\frac{a_1}{b}x_1+\frac{a_2}{b}x_2+\cdots + \frac{a_n}{b}x_n
$$
なので、整数の積が整数であることから定理の主張を得る。
割り切れない中でも、ちょっと分類ができたりしましたよね?例えば、$3$で割り切れないものでも、1余るものと、2余るものがありました。このふたつは明確に区別できますね。
このことを定理として明確に言い表したものが次になります。
$a$を任意の整数、$b$を$0$より大きい整数とする。この時、
$$a=qb+r,\qquad 0\leq r< b$$
を満たす整数$q,r$がただ一組存在する。
数直線に
$$\cdots,-2b,-b,0,b,2b,\cdots$$
と区切りを打っていきます。この時、$a$は必ずどこかしらの区間$qb\leq a<(q+1)b$に入ります。なので、$a-qb=r$とすれば$0\leq r< b$を満たします。
さて、一意的であることを言います。$a=qb+r=q'b+r'$と書けたとします。すると、$(q-q')b=r'-r$なので、$r'-r$は$b$で割り切れる。だけど、$|r'-r|\leq b$なので、$r'-r=0$。よって、$q-q'=0$。
この時の$r$を「$b$を法としての$a$の最小正剰余」といいます。
ちょっと計算してみましょうか。
$440$を$9$で割った時にどうなるでしょうか?
これは、$440=48\times 9+8$ですね。
なので、最小正剰余は8です。
教科書には$a/b$にもっとも近い整数との距離を「$b$を法としての$a$の絶対的最小剰余」というと書いてありました。
これもちょっと計算してみましょうか。
$a=70,b=12$とすれば、$b$の倍数で一番$70$に近いものは$72$なので、絶対的最小剰余は$2$ですね。