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Peter-Weylの定理

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Peter-Weylの定理とその系

これはコンパクト群の有限次元表現がいっぱいあることを保証する定理です。

Peter-Weylの定理

コンパクト位相群Gの連続なユニタリ表現は有限次元既約表現の直和に分かれる。

実は一般の位相群の無限次元表現は全然有限次元表現の直和に分解したりしないんですが、コンパクト群ではそういったことは起きず、状況がとても綺麗になっているという主張です。
関数解析に興味がなければ無限次元表現とか位相群とかどうでもいいと思うかもしれないんですが、コンパクトLie群の有限次元表現の話をするときにすらPeter-Weylの定理を経由しないと有限次元表現が沢山あることは言えないわけです。

コンパクトLie群Gは十分次元の高い直交群に埋め込むことができる。

G上にはHaar測度がある、今は最高次の微分形式で左不変なものによる積分のことである。これに付随するL2(G)にはGからの左掛け算により無限次元ユニタリ表現が生えるが、これはめちゃくちゃ単射である。Peter-Weylの定理から、有限次元表現πi:GU(ni)の列であって、直和(直積)iπi:GiU(ni)が単射なものが存在する。これは「有限次元表現が沢山ある」みたいな主張である。
実は(Lie環からのexpとかを知っていれば)単位元のある近傍UGで非自明な部分群を含まないものが存在し、ikerπi={e}U にてコンパクト性から、有限個のiでそのkerπiの交叉がUに含まれるものが存在する。つまりその有限個の直積i:GiU(ni)U(N) は単射である。

ユニタリ表現π:GHの行列要素とはξ,ηHに対しgξ,π(g)ηという形(これは内積)のG上の連続関数のことである。Gの有限次元既約表現の行列要素全体の線形結合は連続関数環C(G)内で一様収束位相について稠密である。

上で「有限次元既約表現」と書いたところは「有限次元表現」でもいい、なぜなら有限個の既約表現の和に分かれるから。
そしてそれらは積について閉じている、テンソル積である。ξ,π(g)ηξ,π(g)η=ξξ,(ππ)(g)(ηη)
複素共役について閉じている、線形空間のレベルで複素共役(構造射CEnd(H)Cを複素共役で捻る)を取ることができ、表現の複素共役がある。行列の言葉では、成分を全部そのまま複素共役にするだけである。
以上よりStone-Weierstrassの定理が適用でき、稠密性を示したいなら分離性を示せばいい。即ちg1g2Gに対しある行列要素cC(G)c(g1)c(g2)となっていればいい。
これは実際、ξ,ηL2(G)を(各点毎で)positiveかつそれぞれg1,eでの十分小さい近傍でしか値を取らないものを取れば、c(g):=ξ,gηc(g1)0=c(g2)とできる。このままだとL2(G)は無限次元だが、それは既約表現の和であり、有限次元表現の極限だからちょっと取り直せば大丈夫。

Peter-Weylの定理の証明

有限次元ユニタリ表現は常に既約表現の直和に分かれる。単に分かれるだけ分けていくだけだが、直既約と既約の差異が無いことだけ言う必要がある。つまり、もし非自明な不変部分空間があったときにその直交補空間が(ユニタリ性から)不変部分空間になり、常に綺麗に直和に分解されていく。

コンパクト作用素

Hilbert空間H上の有限階作用素(像が有限次元な作用素)のノルム極限のことをコンパクト作用素と呼ぶ。コンパクト作用素はいつでも対角化することができ、固有値の重複度は(0以外)有限個である。

これは関数解析の教科書に書いてあるので示しません。今日使うのは更に自己共役性を課した場合ですが、そこまで課した方が簡単な証明が見つかるかもしれません。

(Peter-Weylの)

まず、「任意のユニタリ表現が0でない有限次元不変部分空間を持つ」という主張に帰着されることを見る。実際、もしこれが正しかったら、与えられた表現を有限次元不変部分空間とその直交補空間に分けて、残りの補空間に同じ操作を繰り返していけばいい。正確に言うと「互いに直交する有限次元部分表現の族」のうち最大なものをZornの補題で取り、それらの張る閉部分空間が(直交補空間が0だから)全体になっている。つまり、有限次元表現の直和になっているが、先の注意から各有限次元表現は更に既約表現の直和だからPeter-Weylの主張を得る。
次に、上の主張を示す。ユニタリ表現π:GHを取る。ξ00Hを取ってTξ:=ξ0,ξξ0という有限階作用素を考える。S:=Gπ(g)Tπ(g1)dgという作用素がキーマンである。これは本当にRiemann積分の意味での積分であるが、つまり有限階作用素のRiemann和(有限和)の極限だからコンパクト作用素。更に、
ξ,Sξ=Gπ(g)ξ,Tπ(g)ξdg=G|π(g)ξ0,ξ|2dg0
だからS0。Haar測度の左不変性からπ(g)Sπ(g1)=S、つまりSG不変であり、その適当な固有空間(有限次元)もG不変になる。

おまけ(コンパクト作用素)

上の補題2よりも弱い(しかしPeter-Weylの定理を示す上では十分な)主張を示そうと思います。上で作ったSξ,Sξ0 ξHを満たしますが、そういった行列は半正定値と呼ばれていました。特に自己共役(Hermite行列)です。

Sをコンパクト作用素(有限階作用素のノルム極限)であって、ξH ξ,Sξ0とする。このとき、λ:=supξ1ξ,SξSの固有値であり、λ>0S0)ならばその固有空間は有限次元。

余談ですが、この主張を繰り返し適用することで自己共役コンパクト作用素の対角化を得ます。あと実はλ=Sです(S12の存在とかを知っていれば分かります)。

上の仮定の下で、supは実はmaxである(λを実現するξがある)。

Hの単位球は弱位相についてコンパクトであることを使います、これはBanach-Alaogluの定理とRieszの表現定理から出てきます。
{ξn}Hが0に弱収束するとは、ξ ξ,ξn0となることですが、これはつまりTξ:=ξ,ξξというrank1の作用素についてTξn0となることです。一般に有限階作用素は(有限次元の線形代数から)このようなTの線形結合で書けるので、有限階作用素は0に弱収束する列を0に飛ばします。そのノルム極限であるコンパクト作用素もノルム有界な0への弱収束列を0に飛ばします(こっちはノルム収束)。

証明は変分法です。λ>0と仮定していい。ξnHξn1かつξn,Sξnλと取る。このとき、0{ξn}の弱収束での集積点(部分列の極限)となりえない、実際上の仮定から十分大きいnSξnλε>0となっている。故に単位球のコンパクト性からあるξ0に弱収束する部分列{ξn}を取る。このときξ1に注意。
コンパクト作用素は(ノルム有界)弱収束をノルム収束に移すので、SξnSξはノルム収束する。一方ξnξは(ノルム有界な)弱収束であるから、ξn,Sξnξ,Sξとなる(後述)。故にξ,Sξ=λ

(命題3の)

ξ,Sξ=λなるξを単位球から取る。ξH ξ,Sξλξ2に注意。
ξに直交するηHを固定しξ=ξ+εηを上式に入れると、ε0についての定数を除き、左辺は2Reη,Sξεと二次の項が出て、右辺は二次の項だけ出る。故にReη,Sξ0であり、ηを動かすことで結局Sξは全てのηと直交する、つまりξのスカラー倍。そのスカラーはξ,Sξのことだから、結局λの固有ベクトルである。
固有空間の有限次元性は背理法から分かる。その固有空間の正規直交系{ξn}を取るとそれは0に弱収束する(n|ξ,ξn|2<に注意)。故にSを当てると0にノルム収束する列になるはずだが、ノルムがλ倍されるだけなので矛盾する。

投稿日:2024927
更新日:2024116
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