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宇宙空間に置いた2物体が衝突するまでにかかる時間

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なんとなく思いついた問題を解きます。

宇宙空間に2つの小球$A,B$を距離$\ell$だけ離してゆっくり置く。
それぞれの質量は$m_A,m_B$である。万有引力定数を$G$とする。
各小球を置いてから衝突までにかかる時間はどれくらいか?
但し、各小球には、小球間の万有引力以外の力は働かないとする。

解答

簡単のため、$m_A=km_B$($k\gt0 $)と表しておく。

衝突時間を$T$、時刻$t$での各小球間の距離を$r=r(t)$とする。

$r_A=r_A(t)$:時刻$0$から$t$までに小球$A$が動いた距離
$v_A=v_A(t)$:時刻$t$での小球$A$の速さ
$a_A=a_A(t)$:時刻$t$での小球$A$の加速度
とし、小球$B$に対しても同様の記号を定める。

運動方程式より、
\begin{equation} \left\{ \, \begin{aligned} & a_A=\frac{Gkm_A}{r^2} \\ & a_B = -\frac{Gm_A}{r^2} \end{aligned} \right. \end{equation}
が従う。ここから、$a_A=-ka_B$であることが分かる。

各小球の初速は$0$だから、$v_A=kv_B$である($v_A,v_B$は速度ではなく速さ)。

従って、$r_A=kr_B$である。

明らかに$r_A+r_B+r=\ell$であり、これを整理すると、
$$ r_A=\frac{k}{k+1}(\ell-r)$$
が導かれる。時間微分により、
$$ v_A=-\frac{k}{k+1} \dot{ r } $$
を得る。これをエネルギー保存式
$$ -\frac{Gm_A(km_A)}{\ell}=-\frac{Gm_A(km_A)}{r}+\frac{1}{2}m_Av_A^2+\frac{1}{2}(km_A) \left(\frac{v_A}{k}\right)^2$$
に代入して整理すれば、
$$ (\dot{r})^2=2G(m_A+m_B)\left(\frac{1}{r}-\frac{1}{\ell}\right)$$
となる。明らかに$\dot{r}\lt0$だから、
$$\dot{r}=-\sqrt{2G(m_A+m_B)\left(\frac{1}{r}-\frac{1}{\ell}\right)}$$
を得る。従って、
\begin{align} T=\int_0^{T}dt&=\frac{1}{\sqrt{2G(m_A+m_B)}} \int_\ell^{0}-\frac{dr}{\sqrt{\left(\frac{1}{r}-\frac{1}{\ell}\right)}} \\ &=\frac{1}{\sqrt{2G(m_A+m_B)}} \int_0^{\frac{\pi}{2}} \frac{2\ell \sin\theta\cos\theta d\theta}{\sqrt{\frac{1}{\ell}\tan^2\theta}}   (r=\ell\cos^2\theta) \\ &= \frac{1}{\sqrt{2G(m_A+m_B)}} \int_0^{\frac{\pi}{2}} 2\sqrt{\ell^3}\cos^2\theta d\theta\\ &=\sqrt{\frac{\ell^3}{2G(m_A+m_B)}} \int_0^{\frac{\pi}{2}}(1+\cos2\theta) d\theta\\ &=\sqrt{\frac{\ell^3}{2G(m_A+m_B)}} \left[\theta+\frac{1}{2}\sin2\theta \right]_0^\frac{\pi}{2}\\ &=\frac{\pi}{2}\sqrt{\frac{\ell^3}{2G(m_A+m_B)}} \end{align}

投稿日:211

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投稿者

主にNeukirch「代数的整数論」の記事を書きます。 ちなみにプロフィール画像はコウメ太夫の「チクショー!いっしゅうかん」の一部分の模写です。

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