$f:\mathbb{Z}_{>0}→\mathbb{Z}_{>0}$
$f^{bf(a)}(a+1)=(a+1)f(b)\quad\forall a,b\in\mathbb{Z}_{>0}$
を満たす関数を全て求めよ。
考え軽くをまとめながら解答書いていきます。
$P(a,b)$で与式の代入を表すことにする。
まず解は$f(n)=n+1$だけ...?
単射は言えそう。$f(x)=f(y)$として
$ P(a,x),P(a,y)$から$f^{xf(a)}(a+1)=f^{yf(a)}(a+1)$が分かって$x≠y$なら周期的になる事が分かる。しかしそれが$f$の値域が無限集合であることに矛盾するみたいな感じ。$a=1$と固定しても証明できそう。以下厳密に証明する。
単射である。
$f(1)=c$とする。
$ S=\{f^{c}(2),f^{2c}(2),f^{3c}(2),\cdots\}$と定める。 $P(a,b)$ で$a$を動かすことで$f$の値域は無限集合であり$ P(1,b)$ で$f^{bc}(2)=2f(b)$であるから$b$を動かすことで$ S$は無限集合となる。
$f(x)=f(y),x-y=k>0$となる正の整数$x,y$が存在したと仮定して矛盾を導く。
$ P(1,x),P(1,y)$より$f^{(y+k)c}(2)=f^{xc}(2)=f^{yc}(2)$である。また非負整数$n$において$f^{(y+k+n)c}(2)=f^{(y+n)c}(2)$が成り立つ。この等式を繰り返し用いることで任意の$b≧y$において$f^{bc}(2)$は$f^{yc}(2),f^{(y+1)c}(2),\cdots,f^{(y+k-1)c}(2)$のいずれかと値が同じであるから$ S$が無限集合であることと矛盾する。よって補題は示せた。
単射であることを上手く使いたい。
$P(f(a)-1,b)$とすれば右辺が$a,b$対称になるから$a$と$b$入れ替えれば良さそうだ。しかしその前に$f(a)=1$となるような$a$の存在を否定しないといけない。
$f(n)=1 $としたら$ P(1,n)$で$f^{nc}(2)=2$となって周期的となって矛盾しそう。というか$ f^{2nc}(2)=f^{nc}(2)=2$で$f(2n)=1$となって単射性に矛盾しそう。
$f(n)=1$となるような$n\in\mathbb{Z}_{>0}$は存在しない。
$ P(1,n)$より$f^{nc}(2)=2$であるから
$ f^{2nc}(2)=f^{nc}(2)=2$であるが$ P(1,2n)$から$2=f^{2nc}(2)=2f(2n)$
$⇒f(2n)=1=f(n)$これは単射性に矛盾する。
$ P(f(a)-1,b),P(f(b)-1,a)$から
$f^{bf(f(a)-1)+1}(a)=f(a)f(b)=f^{af(f(b)-1)+1}(b)\quad\cdots(i)$
これは強力な等式であるが$bf(f(a)-1)$と$af(f(b)-1)$の大小関係に注意しなければならない。
$b=1$としたら補題2を使っていい感じになりそう。
$f$の値域は$2$以上の全ての整数である。
$(i)$に$b=1$を代入し単射性から$f(f(a)-1)-af(f(1)-1)>0⇒f^{f(f(a)-1)-af(f(1)-1)}(a)=1$ $f(f(a)-1)-af(f(1)-1)<0⇒f^{af(f(1)-1)-f(f(a)-1)}(1)=a$
$f(f(a)-1)-af(f(1)-1)=0⇒a=1$
1番上のときは補題2より矛盾であるので$a≠1$で$f^{af(f(1)-1)-f(f(a)-1)}(1)=a$を得る。$a$は任意に取れるので$f$の値域は$2$以上の全ての整数である。
$(i)$に$b=f(a)$、より一般的に$b=f^k(a)$を代入したらいい感じに。
$f^{f^k(a)f(f(a)-1)+1}(a)=f^{af(f^{k+1}(a)-1)+1+k}(a)$
$f^x(a)=f^y(a)⇒x=y$を示せばさらに議論が進みそう。これは周期性からすぐ示せる。
$f^x(a)=f^y(a)⇒x=y $
$f^x(a)=f^y(a),x>y$と仮定して矛盾を示す。単射性から
$f^{x-y}(a)=a⇒f^{n(x-y)}(a)=a$
$a=1$なら補題2から矛盾だから$a>1$とする。$P(a-1,x-y)$から$a=f^{(x-y)f(a-1)}(a)=af(x-y)$
$⇒f(x-y)=1$補題2から矛盾。
先ほどの式から
$f^k(a)f(f(a)-1)=af(f^{k+1}(a)-1)+k $
$f(f(a)-1),f(f^{k+1}(a)-1)$が入ってて扱いにくそうだが法$a$の剰余で考えるととても扱いやすそうな式。$ P(a-1,b)$で
$f^{bf(a-1)}(a)=af(b)$となって相性良さそう。$f^k(a)$が$a$の倍数となるような$k$についての補題を以下示す。
$f^k(a)$が$a$の倍数$⇔k$が$a$の倍数
$f^k(a)f(f(a)-1)=af(f^{k+1}(a)-1)+k $において$k=1$から$a$と$f(f(a)-1)$は互いに素であるから補題の主張はすぐに分かる。
$ P(a-1,b)$を使って以下の補題を示す。
$f(a-1)$は$a$の倍数。
$ P(a-1,b)$から
$f^{bf(a-1)}(a)=af(b)$で$f^{bf(a-1)}(a) $は$a$の倍数。補題5より
$bf(a-1)$は$a$の倍数、$b$は$a$と互いに素となるように取れば$f(a-1)$は$a$の倍数となる。
補題6から特に$f(a)≧a+1$が分かる。
これと補題3と単射から任意の$n$で$f(n)=n+1$になることが証明できそうだ。補題3から$2,3,\cdots,k$の値を$f$は取るが$n≧k$で$f(n)>k$だから$\{2,3,\cdots,k\}=\{f(1),f(2),\cdots,f(k-1)\}$となる。特に両辺の要素数は同じだから$f(1),f(2),\cdots,f(k-1)$は$2,3,\cdots,k$の並び替えである。これを$k$と$k+1$で比べることで$f(k)=k+1$が分かりそう。
$f(n)=n+1\quad\forall n\in\mathbb{Z}_{>0}$である。
補題3より$f(t)=2$となる$t$が存在するが補題6から$f(a)≧a+1$であるから$2=f(t)≧t+1$より$t=1$。以下帰納法で示す。$f(n)=n+1$が$n≦k-1$で成り立つと仮定する。補題3より$f(t)=k+1$となる$t$が存在する。$k+1=f(t)≧t+1⇒k≧t,k>t$と仮定すると帰納法の仮定より$ t+1=f(t)=k+1$となり矛盾。よって$t=k,f(k)=k+1$となる。帰納法より$f(n)=n+1\quad\forall n\in\mathbb{Z}_{>0}$となる。
十分性はすぐに分かる。
ISL N8にしては簡単だったと思います。整数の関数方程式で倍数、剰余を考えることはつい忘れてしまいますが大事ですね。