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ISL 2023 N8

204
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問題

f:Z>0Z>0
fbf(a)(a+1)=(a+1)f(b)a,bZ>0
を満たす関数を全て求めよ。

考え軽くをまとめながら解答書いていきます。
P(a,b)で与式の代入を表すことにする。
まず解はf(n)=n+1だけ...?
単射は言えそう。f(x)=f(y)として
P(a,x),P(a,y)からfxf(a)(a+1)=fyf(a)(a+1)が分かってxyなら周期的になる事が分かる。しかしそれがfの値域が無限集合であることに矛盾するみたいな感じ。a=1と固定しても証明できそう。以下厳密に証明する。

補題1

単射である。

f(1)=cとする。
S={fc(2),f2c(2),f3c(2),}と定める。 P(a,b)aを動かすことでfの値域は無限集合でありP(1,b)fbc(2)=2f(b)であるからbを動かすことでSは無限集合となる。
f(x)=f(y),xy=k>0となる正の整数x,yが存在したと仮定して矛盾を導く。
P(1,x),P(1,y)よりf(y+k)c(2)=fxc(2)=fyc(2)である。また非負整数nにおいてf(y+k+n)c(2)=f(y+n)c(2)が成り立つ。この等式を繰り返し用いることで任意のbyにおいてfbc(2)fyc(2),f(y+1)c(2),,f(y+k1)c(2)のいずれかと値が同じであるからSが無限集合であることと矛盾する。よって補題は示せた。

単射であることを上手く使いたい。
P(f(a)1,b)とすれば右辺がa,b対称になるからab入れ替えれば良さそうだ。しかしその前にf(a)=1となるようなaの存在を否定しないといけない。
f(n)=1としたらP(1,n)fnc(2)=2となって周期的となって矛盾しそう。というかf2nc(2)=fnc(2)=2f(2n)=1となって単射性に矛盾しそう。

補題2

f(n)=1となるようなnZ>0は存在しない。

P(1,n)よりfnc(2)=2であるから
f2nc(2)=fnc(2)=2であるがP(1,2n)から2=f2nc(2)=2f(2n)
f(2n)=1=f(n)これは単射性に矛盾する。

P(f(a)1,b),P(f(b)1,a)から
fbf(f(a)1)+1(a)=f(a)f(b)=faf(f(b)1)+1(b)(i)
これは強力な等式であるがbf(f(a)1)af(f(b)1)の大小関係に注意しなければならない。
b=1としたら補題2を使っていい感じになりそう。

補題3

fの値域は2以上の全ての整数である。

(i)b=1を代入し単射性からf(f(a)1)af(f(1)1)>0ff(f(a)1)af(f(1)1)(a)=1 f(f(a)1)af(f(1)1)<0faf(f(1)1)f(f(a)1)(1)=a
f(f(a)1)af(f(1)1)=0a=1
1番上のときは補題2より矛盾であるのでa1faf(f(1)1)f(f(a)1)(1)=aを得る。aは任意に取れるのでfの値域は2以上の全ての整数である。

(i)b=f(a)、より一般的にb=fk(a)を代入したらいい感じに。
ffk(a)f(f(a)1)+1(a)=faf(fk+1(a)1)+1+k(a)
fx(a)=fy(a)x=yを示せばさらに議論が進みそう。これは周期性からすぐ示せる。

補題4

fx(a)=fy(a)x=y

fx(a)=fy(a),x>yと仮定して矛盾を示す。単射性から
fxy(a)=afn(xy)(a)=a
a=1なら補題2から矛盾だからa>1とする。P(a1,xy)からa=f(xy)f(a1)(a)=af(xy)
f(xy)=1補題2から矛盾。

先ほどの式から
fk(a)f(f(a)1)=af(fk+1(a)1)+k
f(f(a)1),f(fk+1(a)1)が入ってて扱いにくそうだが法aの剰余で考えるととても扱いやすそうな式。P(a1,b)
fbf(a1)(a)=af(b)となって相性良さそう。fk(a)aの倍数となるようなkについての補題を以下示す。

補題5

fk(a)aの倍数kaの倍数

fk(a)f(f(a)1)=af(fk+1(a)1)+kにおいてk=1からaf(f(a)1)は互いに素であるから補題の主張はすぐに分かる。

P(a1,b)を使って以下の補題を示す。

補題6

f(a1)aの倍数。

P(a1,b)から
fbf(a1)(a)=af(b)fbf(a1)(a)aの倍数。補題5より
bf(a1)aの倍数、baと互いに素となるように取ればf(a1)aの倍数となる。

補題6から特にf(a)a+1が分かる。
これと補題3と単射から任意のnf(n)=n+1になることが証明できそうだ。補題3から2,3,,kの値をfは取るがnkf(n)>kだから{2,3,,k}={f(1),f(2),,f(k1)}となる。特に両辺の要素数は同じだからf(1),f(2),,f(k1)2,3,,kの並び替えである。これをkk+1で比べることでf(k)=k+1が分かりそう。

f(n)=n+1nZ>0である。

補題3よりf(t)=2となるtが存在するが補題6からf(a)a+1であるから2=f(t)t+1よりt=1。以下帰納法で示す。f(n)=n+1nk1で成り立つと仮定する。補題3よりf(t)=k+1となるtが存在する。k+1=f(t)t+1kt,k>tと仮定すると帰納法の仮定よりt+1=f(t)=k+1となり矛盾。よってt=k,f(k)=k+1となる。帰納法よりf(n)=n+1nZ>0となる。
十分性はすぐに分かる。

感想

ISL N8にしては簡単だったと思います。整数の関数方程式で倍数、剰余を考えることはつい忘れてしまいますが大事ですね。

投稿日:2024826
更新日:2024914
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