2

Darbouxの定理で作って遊ぼ!

85
0

あいさつ

んちゃ!
今回はワクワクさんがDarbouxの定理を使って級数を作って遊ぶらしいです。
みんなも、ダイソーに行ってDarbouxの定理を購入して一緒に工作して遊びましょうね。

【茶番】
ゴロリ:『今回は何を作って遊ぶの?ワクワクさん?』
ワクワクさん:『今日はねDarbouxの定理を使って色んな級数展開を作って遊ぶよ!』
ゴロリ:『わーお!それは楽しそうだねワクワクさん!』


目次
  1. Darbouxの定理
  2. 作って遊ぼ!
  3. 最後に

表記
  • R+:={xR|0<x}
  • aC,RR+:R(a,R)def{zC||za|<R}
  • P(n):={k=0naktk|a0,a1,...,anC}
  • a0,a1,...,anC:p(t):=k=0nantn:MCOEFF(p(t))defan
今回の記事で見つけた面白い式
【1】偶数ζ値の一次結合sC(1<Re(s)):m=1(s)2m4m(2m)!ζ(s+2m)=2s1

【2】ζ値の一次結合1NN:sC(1<Re(s)):m=1(s)m{(N1)m+(1)m1}m!Nmζ(s+m)=(NN1)s
【3】ζ値の一次結合2K,NN:sC(1<Re(s)):m=1(s)m{Nm+(1)m1Kn}m!(N+K)mζ(s+m)=(1+KN)s

Darbouxの定理

複素関数f:DCが点aDの近傍R(a,R)Dで解析的であるとする。ϕCn(0,1)とすると以下の式が成り立つ。
ddtm=1n(1)m(za)mϕ(nm)(t)f(m)(a+t(za))=(za)ϕ(n)(t)f(a+t(za))+(1)n(za)n+1ϕ(t)f(n+1)(a+t(za))

お気づきの方もいらっしゃるだろうが、望遠鏡和を上手く使うだけです。
[1]実際次の様に計算できる。
ddt(1)m(za)mϕ(nm)(t)f(m)(a+t(za))=(1)m(za)mϕ(nm+1)(t)f(m)(a+t(za))+(1)m(za)m+1ϕ(nm)(t)f(m+1)(a+t(za))
[2]分かりづらいので次の様に記号を定める。
Am=(1)m(za)mϕ(nm+1)(t)f(m)(a+t(za))
すると下記の様に簡潔に書けますね。
ddt(1)m(za)mϕ(nm)(t)f(m)(a+t(za))=AmAm+1
[3]m1からnまで和を取りましょう。
ddtm=1n(1)m(za)mϕ(nm)(t)f(m)(a+t(za))=A1An+1=(za)ϕ(n)(t)f(a+t(za))+(1)n(za)n+1ϕ(t)f(n+1)(a+t(za))

Darboxの定理

補題1においてϕ(t)P(n)(A=MCOEFF(ϕ(t)))とすると、下記の様に書ける。
n!A{f(z)f(a)}=m=1n(1)m1(za)m{ϕ(nm)(1)f(m)(z)ϕ(nm)(0)f(m)(a)}+(1)n(za)n+101ϕ(t)f(n+1)(a+t(za))dt

補題1で得た式を0から1までtに関して積分して整理するだけです。

作って遊ぼ!

以下断りなく補題1の条件を仮定する。

【茶番】
ワクワクさん:『まずはNHKを見ている良い子の皆が大好きなアレを作って遊ぶよ。』
ゴロリ:『ワクワクさん?アレってなーに?』
ワクワクさん:『それはねー作ってからのお楽しみさ!』

Taylor展開

ϕ(t):=(1t)nとすると下記の式が得られる。
f(z)=f(a)+m=1n1m!f(m)(a)+(1)n(za)n+101(1t)nf(n+1)(a+t(za))dt

下記の式を代入して整理するだけです。
ϕ(nm)(t)=(1)nmn!m!(1t)m

【茶番】
ゴロリ:『すごーい!NHKを見てる良い子の皆なら誰でも知っているTaylor展開をこんなに簡単に導出できるなんて驚きだよー!』
ワクワクさん:『でしょ!ゴロリ!でも、Darbouxの定理が凄いのはここからさ!』
ワクワクさん:『次は近所のSeriaで買ってきたtn(1t)nで作って遊ぶよ。』

ϕ(t)=tn(1t)nとすると下記の式が得られる。
f(z)=f(a)+m=112mm!{f(m)(z)+(1)m1f(m)(a)}

下記の式を代入して整理するだけです。
ϕ2nm(t)={n!n!m!(2nmn){(1)nm(1t)m+(1)ntm}+O(t(1t))(m=1,2,...,n)O(t(1t))(m=n+1,n+2,...,2n)
(1)n(2n)!{f(z)f(a)}=m=1n(1)m1(za)mn!n!m!(2nmn){(1)nf(m)(z)(1)nmf(m)(a)}+(1)2n(za)2n+101tn(1t)nf(2n+1)(a+t(za))dt
ゆえに、下記の様に書ける。
f(z)=f(a)+m=1n(1)m1n!(2nm)!(2n)!m!(nm)!{f(m)(z)(1)mf(m)(a)}+(1)n(za)2n+101tn(1t)nf(2n+1)(a+t(za))dt=f(a)+m=1(1)m1(2nmn)m!(2nn){f(m)(z)(1)mf(m)(a)}+(1)n(za)2n+101tn(1t)nf(2n+1)(a+t(za))dt
さらに計算を進めよう。
(2nmn)(2nn)=(1m1n)(1m2n)1(2m1n)(2m2n)2n12m
上記の計算により、以下の結果が得られる。
f(z)=f(a)+m=1(1)m1(za)m2mm!{f(m)(z)+(1)m1f(m)(a)}

【茶番】
ゴロリ:『へー、この式面白いねw』
ワクワクさん:『そうだろう?ゴロリ?』
ワクワクさん:『では、せっかくなのでこの式を応用してみようか?』

f(z):=ezとすると下記の式が成り立つ。
ez=ea+m=1(1)m1(za)m2mm!{ez+(1)m1ea}
上記の式が成り立つ事の確認方法については下記の式を用いればいいです。
ex=n=0xnn!

偶数ζ値の一次結合

以下の式を証明してください。
sC(1<Re(s)):m=1(s)2m4m(2m)!ζ(s+2m)=2s1

f(z):=1zsとすると下記の式が成り立つ。
1zs=1as+m=1(1)m1(s)m(za)m2mm!{(1)mzs+m+(1)m1(1)m1as+m}=1asm=1(s)m(za)m2mm!{1zs+m+(1)mas+m}
z=a+1とすると
1(a+1)s=1asm=1(s)m2mm!{1(a+1)s+m+(1)mas+m}
aについて1からまで総和を取ると
ζ(s)1=ζ(s)m=1(s)m2mm!{ζ(s+m)1+(1)mζ(s+m)}=ζ(s)2m=1(s)2m4m(2m)!ζ(s+2m)+m=1(s)m2mm!
すなわち下記の式が得られる。
2m=1(s)2m4m(2m)!ζ(s+2m)=m=0(s)m2mm!
次の事実を用いる。
1(1z)s=m=0(s)mm!zm(|z|<1)
z=12を代入すると
m=0(s)m2mm!=2s
ゆえに、驚くことに以下の式が得られる。
m=1(s)2m4m(2m)!ζ(s+2m)=2s1

ϕ(t)=t2n(1t)nとすると下記の式が得られる。
f(z)=f(a)+m=1(1)m1(za)mm!3m{2mf(m)(z)+(1)m1f(m)(a)}

下記の式をを用いる。
ϕ3nm(t)={(1)n(2n)!m!n!(3nmn)tm+(1)nm(2n)!n!m!(3nm2n)(1t)m+O(t(1t))(m=1,2,...,n)(1)n(2n)!m!n!(3nmn)tm+O(t(1t))(m=n+1,n+2,...,2n)O(t(1t))
この式を用いると次の様になる。
(3n)!(1)n{f(z)f(a)}=m=1n(1)m1(za)m{(1)n(2n)!m!n!(3nmn)f(m)(z)(1)nm(2n)!n!m!(3nm2n)f(m)(a)}m=n+12n(1)m1(za)m(1)n(2n)!m!n!(3nmn)f(m)(a)+(1)3n(za)3n+101t2n(1t)nf(3n+1)(a+t(za))dt
以下の計算を行う。
(2n)!n!(3n)!(3nmn)=(3nmn)(3nn)=(2m1n)(2m2n)2(3m1n)(3m2n)3n(23)m
(2n)!n!(3n)!(3nm2n)=(3nm2n)(3n2n)=(1m1n)(1m2n)1(3m1n)(3m2n)3n13m
これらの式を考慮すると示すべき式が得られる。
f(z)=f(a)+m=1(1)m1(za)mm!3m{2mf(m)(z)+(1)m1f(m)(a)}

【茶番】
ゴロリ:『ワクワクさん!この式もっと一般化出来そうだよね?
ワクワクさん:『いい所に気づいたねゴロリ!一般化出来そうだからやってみようか!』

m,nK,NN(Kn<Nnm):(NnmKn)(NnKn)n(NKN)m

(NnmKn)(NnKn)=(NKm1n)(NKm2n)(NK)(Nm1n)(Nm2n)Nn(NKN)m

NN:ϕ(t)=t(N1)n(1t)nに対して以下の式が成り立つ。
f(z)=f(a)+m=1(1)m1(za)mm!Nm{(N1)mf(m)(z)+(1)m1f(m)(a)}

下記の式をを用いる。
ϕNnm(t)={(1)n(Nn)!m!n!(Nnmn)tm+(1)nm{(N1)n}!n!m!(Nnm(N1)n)(1t)m+O(t(1t))(m=1,2,...,n)(1)n(Nn)!m!n!(Nnmn)tm+O(t(1t))(m=n+1,n+2,...,2n)O(t(1t))
計算は定理5と同じなので省略し結果だけ書くと次の様になる。
f(z)=f(a)+m=1(1)m1(za)mm!Nm{(N1)mf(m)(z)+(1)m1f(m)(a)}

【茶番】
ゴロリ:『やったー!ここまで一般化できたね!ワクワクさん!』
ワクワクさん:『そうだね。ではこの式を応用して遊んでみようか!』

ζ値の一次結合

NN:sC(1<Re(s)):m=1(s)mm!Nm{(N1)mζ(s+m)+(1)m1ζ(s+m)}=(NN1)s

f(z)=1zsとおく。すると定理7より下記の式を得る。
1zn=1asm=1(s)m(za)mm!Nm{(N1)mzs+m+(1)m1as+m}
特にz=a+1を代入すると次の様になる。
1(a+1)s=1asm=1(s)mm!Nm{(N1)m(a+1)s+m+(1)m1as+m}
この式の両辺をaについて1から無限まで総和を取って下記の式を得る。
ζ(s)1=ζ(s)m=1(s)mm!Nm[(N1)m{ζ(s+m)1}+(1)m1ζ(s+m)]
この式を整理する事で
m=1(s)mm!Nm{(N1)mζ(s+m)+(1)m1ζ(s+m)}=m=0(s)mm!Nm=(NN1)s

【茶番】
ゴロリ:『まだ一般化できるよね?』
ワクワクさん:『そうだねゴロリ!最終形態までもっていこうか。

N,KN:ϕ(t)=tNn(1t)Knとすると下記の様に書ける。
f(z)=f(a)+m=1(1)m1(za)mm!(N+K)m{Nmf(m)(z)+(1)m1Kmf(m)(a)}

ϕ(N+K)nm(t)={(1)Kn(Nn)!m!(Kn)!((N+K)nmKn)tm+(1)Knm(Nn)!(Kn)!m!((N+K)nmNn)(1t)m+O(t(1t))(m=1,2,....,n)👈m=n+1,n+2,...,(N+K)nn
同様の計算を行っていく事で下記の結論が得られる。
f(z)=f(a)+m=1(1)m1(za)mm!(N+K)m{Nmf(m)(z)+(1)m1Kmf(m)(a)}

ゼータ値の一次結合2

K,NN:sC(1<Re(s)):m=1(s)m{Nm+(1)m1Kn}m!(N+K)mζ(s+m)=(1+KN)s

f(z)=1zsと置いて定理8を適用すればいいです。
ワンパターンなので途中計算は省略いたします。
m=1(s)m(Nm+(1)m1Km)m!(N+K)mζ(s+m)=m=0(s)nNmm!(N+K)m=(1+KN)s

最後に

どうでしたか?
微分と望遠鏡和を組み合わせて工作するのは楽しかったでしょう?
それでは、ばいちゃ!

投稿日:516
更新日:516
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中
  1. あいさつ
  2. Darbouxの定理
  3. 作って遊ぼ!
  4. 最後に