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現代数学解説
文献あり

q超幾何級数によるJacobiの二平方和定理, 四平方和定理の証明

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Jacobiの二平方和定理

(nZqn2)2=1+40<nqn1+q2n

Ramanujanの1ψ1和公式
1ψ1[ac;q;x]=(q,c/a,ax,q/ax;q)(c,q/a,x,c/ax;q)
より,
1+40<nqn1+q2n=2nZqn1+q2n=1ψ1[1q2;q2;q]=(q2,q2,q,q;q2)(q,q,q2,q2;q2)=((q2,q;q2)(q,q2;q2))2=(q2,q,q;q)2
ここで, Jacobiの三重積より,
(q2,q,q;q)=nZqn2
であることから示される.

rk(n)=|{(n1,,nk)Zk;n=n12++nk2}|として, dnを割り切ることをdn, dnを割り切らないことをdnと表すことにする. 上の定理の両辺の係数を比較することによって, 0<nに対し,
r2(n)=42dn(1)d12
を得る.

Jacobiの四平方和定理

(nZqn2)4=1+80<nnqn1+(q)n

Ramanujanの1ψ1和公式
1ψ1[ac;q;x]=(q,c/a,ax,q/ax;q)(c,q/a,x,c/ax;q)
と, Jacobiの三重積から従う等式
nZ(q)n2=(q;q)(q;q)
より,
(nZ(q)n2)4=((q;q)(q;q))4=limxq21+q/x(q,q,x,q/x;q)(q,q,x,q/x;q)=limxq21+q/x1ψ1[1q;x]=limxq21+q/x(1+20<nxn1+qn+20<n(q/x)n1+qn)=limxq21+q/x(1+20<nxn1+qn+20<n(q/x)n1+qn)=limxq21+q/x(1+20<nxn1+qn+20<n((q/x)n(q2/x)n1+qn))=limxq21+q/x(1+q/x1q/x+20<nxn1+qn(1(q/x)2n))=1+80<nn(q)n1+qn
よって, qqに置き換えれば定理を得る.

上の定理は,
0<nnqn1+(q)n=0<n2nq2n1+q2n+0<n(2n1)q2n11q2n1=0<n(2nq2n1q2n4nq4n1q4n)+0<n(2n1)q2n11q2n1=0<n,4nnqn1qn
を用いて,
(nZqn2)4=1+80<n,4nnqn1qn
と書き直せるので, 両辺の係数を比較して0<nに対し,
r4(n)=84dnd
を得る. 特に0<nに対して, 0<r4(n)であることが分かる.

参考文献

[1]
Wenchang Chu, Leontina Di Claudio, Classical Partition Identities and Basic Hypergeometric Series, 2004
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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