はじめに
2024年12月31日にX(
@1231_math
)にて開催された除夜の鐘コンテスト2024の予選,敗者復活戦,決勝の問題・解説です.たくさんの方のご参加ありがとうございました!
なお,予選A4については問題にミスが発覚致しました.改めてお詫び申し上げます.
一部解説等を私が書いているため間違っている箇所がある可能性があります.もし見つかったら
@atwr0711
までご連絡いただけると幸いです!
予選
代数
A1(shoko_math)
およびがの並べ替えであるとき,の最大値をとし,最小値をとします.このとき,の値を解答してください.
解説
並べ替え不等式より,が最大となるのは
のときであり,が最小となるのは
のときなので,求める値は,
である.
A2(atawaru)
互いに素である正整数について,
が成立するとき,の値を解答してください.
解説
倍角の公式を変形することで,
を得る.これより,
である.よって,だから,
であり,解答すべき値はである.
A3(atawaru)
以上の整数に対して,についての次方程式の(重解を含めた)個の複素数解をとします.このとき,以下の値を求めてください.
解説
まず,を満たす整数について,が成立するから,である.ここでとおくと,解と係数の関係により,が以上の奇数であるときはが従い,が以上の偶数であるときはが従う.これより,が以上の整数であるときは偶奇に関わらず
が成立する.以上より,求める値は
である.
組合せ
C1(Tiri7_Ma13a_)
以下の条件をすべて満たすような以上以下の相異なる正整数つの組は何通りありますか.
- の各桁にある個の桁の非負整数はすべて異なる.ただし,桁の整数は十の位にがついているものとみなす.
- である.
解説
の十の位の数字を決定する方法は,大小関係より相異なるつの数字を選ぶ方法と一致するため通り.また,十の位の数字の決定によって大小関係は満たされるため,一の位の数字を決定する方法は通り.よって,求める値は通り.
C2(atawaru)
正十二面体の同一平面上にある頂点を選ぶ方法のうち,その点を頂点に持つ四角形が長方形となるようなものは何通りありますか.
解説
まず,正十二面体の頂点を結ぶ線分の長さは種類あるので,それらを短い順にとする.長方形の対角線ものいずれかであることを踏まえて調べると,長方形の隣り合う二辺の長さの組はのいずれかである.
であるものは,正十二面体の辺の数がであることより通りある.
であるものは,正十二面体の頂点を結ぶ線分のうち,長さがであるものはあるから,正方形であることと合わせて通りある.
であるものは,正十二面体の頂点を結ぶ長さの線分があることより通りある.
よって,通り.
C3(atawaru)
座標空間において,全ての格子点に以下のルールで数字を書き込みます.
ルール
① 座標の数値に負の整数が含まれる格子点にを書き込む.
② ①で数値を書き込まなかった格子点のうち,軸上または軸上または軸上にある格子点にを書き込む.
③ ①と②で数値を書き込まなかった格子点に,点に書き込まれた数値の和を書き込む.
例えば,点にはが,点にはが書き込まれます.このとき,かつかつの範囲にある格子点に書き込まれた数の総積がで割り切れる回数を求めてください.
解説
以下,かつかつ の範囲を良い範囲と呼ぶ.
良い範囲において点に書き込まれる数は,点から点まで辺上を通って移動する最短経路数と一致する.さらにこの値は,に等しい.良い範囲におけるこの値の分母は明らかにの倍数でないため,がで割り切れる回数を考える.
であるとき,はで割り切れない.また,であるとき,はでちょうど回割り切れる.そして,となるようなの組ととなるようなの組は組を考えることで同数あることが容易に確かめられる.また,これらによって良い範囲にある格子点は網羅される.よって,求める回数は回である.
C5(natsuneko)
を個,を個,を個含む長さの数列のスコアを以下のように定めます.
- を満たす整数の組 であって,の値をで割った余りがになるような組の数
このとき,としてあり得るもの全てに対するスコアの最小値を求めてください.
解説
まず,の中にがあると明らかにはの倍数であるため,組がスコアに寄与するためにはの中にが含まれない必要がある.そこで,数列に含まれるつののうち左から番目にあるものをとし,よりも左にあるの個数をそれぞれとする.(ただし,より右にあるものはとした.)このとき,明らかにである.また,に対し,「を個,を個並べてできる長さの数列が取り得るスコアの最小値」をとするとき,求めるべきはの取り得る最小値である.そこで,について考える.が個,が個含まれる数列を任意にとる.このとき,に対して,をで割った余りがになることは,の中にが偶数個含まれることと同値である.またこれは,の中に含まれるの個数をとしたとき,となることと同値.(ただし,とする.)ここで,数列を考えると,これは隣接する項の差がまたはとなる広義単調増加な数列となり,がいずれもつ以上含まれる数列となる.このとき,組がスコアに寄与することは,との偶奇が一致することと同値だから,に含まれる偶数の個数を,奇数の個数をとすると,スコアは
になることがわかる.また,この値の下限は,が奇数のときはとなり,偶数のときはとなることが容易に確かめられる.よって,とし,のうち奇数であるものの個数をとすると,
であることがわかる.のため,この値は集合を多重集合としてまたはまたはと一致するとき最小値をとるとわかる.よって,であり,スコアの取り得る最小値も以上とわかる.
そして,以下のように数列を定めることで,スコアはとなる.
- の場合,が偶数ならば,奇数ならば
- の場合,が偶数ならば,奇数ならば
- の場合,またはまたはと表されるならば,そうでないならば
以上より,求めるべき最小値はである.
幾何
G1(Furina)
正三角形の辺上(端点を除く)に点をとります.三角形の垂心を ,三角形の内心をとしたところ,となりました.の大きさを度数法で解答してください.
解説
内心が角の二等分線の交点であることと簡単な角度追跡により,がわかる.また,よりである.これらのことより,
であるから,がわかる.
よりであるから,よりがわかる. よって,である.
G2(atawaru)
三角形について,辺上に点を,辺上に点をとったところ,三角形と三角形は向きをこめて相似であり,
となりました.このとき,の長さは互いに素である正整数を用いてと表されるので,の値を解答してください.
解説
まず,より点は共円である.これより,であり,よりである.これらとからがわかり,を得る.ここで,とおくと,だからとなる.よって,方べきの定理より
であり,だから,解答すべき値はである.
G3(Lamenta_)
なる鋭角三角形において,上に点,三角形の外接円の劣弧上に点を,
を満たすようにとったところ,
となりました.このとき,の長さは正整数を用いてと表されるので,の値を解答してください.
解説
線分上になる点をとると,はの中点である.また,直線と直線の交点をとすると,三角形の外接円はに接する.よって,であるので,三角形の外接円はに接することがわかる.
さらに,を通りに接する円をとし,この円と三角形の外接円,の交点をそれぞれとすると,簡単な角度追跡によりであるので,三角形がに接することがわかり,がにで接することから,方べきの定理より,直線はの中点,すなわちを通る.と併せて,はそれぞれと一致することがわかり,これによりは同一円周上にあることがわかる.
以上から,とが角度追跡によっててわかり,がわかる.
とすると,中線定理と方べきの定理より,これを解くことで,が求められるので,解答すべきは.
G5(pomodor_ap)
なる三角形について,内心を,内接円と線分の接点をとし,からに下ろした垂線との交点をとします.三角形の外接円の弧の中点をとすると,
が成立しました.の長さの二乗は互いに素である正整数を用いてと表せるので,の値を解答してください.
解説
についてと対称な点をとする.このとき,点とは相似だから点は共線.さらに,
より点は共円.いま,であり,よりは三角形の外心.さらに,より,相似比からとするとであり,である.
ところで,よりが成り立つ.だから,
であり,特に解答すべき値はである.
整数
N1(atawaru)
で正整数の正の約数の個数を表します.互いに素である正整数について以下の等式が成立するとき,の値を解答してください.
解説
だから,
である.これより,
だから,解答すべき値は.
N2(atawaru)
以下のつの式を満たすような正整数として考えられる値の総和を求めてください.ただし,で正整数の正の約数の個数を表します.
解説
以下,正整数が正整数で割り切れる最大の回数をで表す.
まず,よりを満たす素数を用いてまたはと表される.
であるとき,とし,ある正の整数が存在して
であるから,を得るが,が整数であることと矛盾し,条件を満たすは存在しない.
であるとき,とし,ある正の整数が存在して
であるから,問題の条件と合わせて
である.これはと変形でき,よりであることを考慮すると,正の整数の組として考えられるものはのみだとわかる.
これより,を満たす素数の組を全て求めれば良い.まず,であるとき,は偶数であるからであり,となる.このとき,よりは問題の条件を満たす.一方,であるとき,だから条件を満たすは存在しない.
以上より,として考えられる値はのみなので,求める値はである.
N3(natsuneko)
を個,を個並べてできる進数表記で桁の整数は全部で個ありますが,それらをで割った余りの総和はいくつになりますか.
解説
まず,を個並べてできる整数はフェルマーの小定理よりの倍数.これより,求めるべきはを満たす非負整数組全てに対する,をで割った余りの総和だとわかる.ここで,非負整数に対してをで割った余りは,についてそれぞれであるから,本問題は以下の問題に言い換えられる.
以上以下の整数のうちのつが書かれた区別できるボールが各整数に対してつずつ計個ある.これらのボールの中から相異なる個を選ぶ方法全てについて,選んだボールに書かれた整数の和をで割った余りの総和を求めよ.
この問題を考える.まず,選んだボールに書かれた整数の和をで割った余りがになる選び方が何通りあるかを求める.これは変数多項式 の の係数の総和に等しい.の場合,これはのの係数の総和に等しくなるため,の原始乗根をとしたときの
の値に等しくなるとわかる.ただし,多項式と非負整数についてでのの係数を表すものとした.ここで,は明らかである.また,に対してが成立するため,が成立するとわかる.ここで,
より,
となり,これは
と計算できる.そしてのときだから,
が従う.よって,求めるべき値はである.
N4(natsuneko)
とある村には人の住人が住んでおり,各人にからまでの整数値のうちの一つが重複なく割り当てられているとします.また,この村では西暦年月日を日目とし,そこから日目まで毎日,以下のルールに従う点呼を行うこととします.
- に対して日目には,ある整数が存在してとなるような番号をそれぞれ回ずつ呼ぶ.
このとき,番号を呼ばれた回数の合計がの倍数になる住人は何人いますか.
解説
との最大公約数をとする.このとき,日目に呼ばれる番号は以下の正整数のうちの倍数であるもの全てである.つまり,番号が 日目に呼ばれることは,がの倍数であることと同値である.これより,はの約数かつの約数であり,との最大公約数をとすると,はの約数とわかる.よって,番号が日目に呼ばれるようなの集合は,あるの約数によってが実現されるようなの集合と一致することがわかる.ここで,となるようなの個数は,かつを満たすような正整数の個数に等しく,それはであるとわかる.以上より,番号が呼ばれる合計回数は,の約数全てに対してを足し合わせた値に一致する.ここで,以下の非負整数についてとすると,の約数はなる非負整数を用いてと表される整数全てとなり,番号が呼ばれる合計回数は
となることがわかる.そして,のとき,のとき,のとき,のときであることが容易に確かめられる.また,となるようなの個数がであることも容易にわかる.
これを踏まえて番号が呼ばれる合計回数がの倍数になるようなの個数を求める.まず,がの倍数になるのはの場合であり,がの倍数になるのはの場合であることから,満たすべき条件は「または」であるとわかる.まず,を満たすようなの個数を求める.これは,
と計算できる.同様に,を満たすようなの個数は,
と計算できる.そして,かつとなるようなの個数は
であるため,結局求めるべき答えはになるとわかる.
敗者復活戦
1.(atawaru)
をの範囲にある実数とします.についての次方程式
は異なる実数解をつ持ちます.そのうち整数解がちょうどつあるとき,として考えられる値の総積は互いに素である正整数を用いてと表されるので,の値を解答してください.
解説
問題の次方程式は以下のように変形できる.
これより,この方程式の解はだとわかる.また,このうちちょうどつが整数であることからは有理数だとわかり,条件はを既約分数で表したときの分母がまたはであることと同値.よって,として考えられるものは
だから,解答すべき値はである.
2.(atawaru)
面積がである平行四辺形の辺上にそれぞれ点を,内部に点を取ったところ,
が成立しました.このとき,四角形の面積は互いに素である正整数を用いてと表されるので,の値を解答してください.ただし,で三角形の面積を表します.
解説
だから,
である.よって,四角形の面積は
であるから,解答すべき値はである.
3.(atawaru)
の複素数解のうちでないものの一つをとします.を満たす整数組のうち,が整数値をとるようなものの個数を求めてください.
解説
以下,合同式の法を とする.
よりのとき,のとき,のときである.このこととよりをどのように定めても整数を用いて
と表すことができ,であるときのみこれは整数値を取る.また,になるのはなるとなるの個数が等しいときである.
以上よりとなるものの個数の組はそれぞれ高々個であることに留意してのいずれかであり,求める個数は
である.
4.(atawaru)
九九表において,奇数が書かれているマス目について以下の操作を行います.
- 書かれている数を消し,新しくそのマス目の上下左右のマス目に書かれている数の総和(ただし,上下左右のうち一部のマス目が存在しない場合,存在するマス目に書かれている数の総和)を書き込む.
このとき,操作後の表に書かれている個の数の総和を求めてください.
解説
以下,九九表の奇数行奇数列のマス目を奇マス,偶数行偶数列のマス目を偶マス,それ以外のマス目を両マスと呼ぶ.
このとき,元の九九表に書かれている数の総和は,奇マスに書かれている数の総和は,偶マスに書かれている数の総和は,両マスに書かれている数の総和はである.
新しく奇マスに書き込まれる数の総和は,奇マスの隣がすべて両マスであることと,各両マスの上下左右に奇マスがちょうどマスずつあることよりである.よって,求める値はである.
5.(atawaru)
一辺の長さがの正方形で構成されたのマス目があります.この各マスを赤,青,緑の色で塗り分ける方法のうち,中心間の距離がであるどのマスの組もマスの色が相異なるようなものは何通りありますか.
解説
以下,行列のマス目をと表す.
まず,中心間の距離がであるような マスの組は
の組である.ここで,を順にア,イ,ウ,エとすると,アとイ,イとウ,ウとエ,エとアは条件よりそれぞれ色が異なる.これらマスの塗り分け方は,アが赤,イが青であるものが通りあることより通りある.よって,ア,イ,ウ,エの彩色が決まれば角のマスの彩色が決まることと,の彩色は任意であることより求める場合の数は通りである.
6.(atawaru)
正整数に対し,でがで割り切れる最大の回数を表します.
をすべて満たすような正整数のうち,番目に小さいものをとします.の正の約数の個数を求めてください.
解説
以下,での最小値を表す.
とすると,問題の条件はの素因数分解を考えることで,
と言い換えられるので,である.以下これをもとにの値で場合分けする.であるとき,右式は満たされ,式目よりのとき条件を満たす.であるとき,の範囲より式目が満たされないため不適である.
よって,は非負整数と以下の非負整数とを素因数に持たない正の整数を用いて,
と表される.このとき, として考えられる値はの倍数でない任意の奇数であり,特に番目に小さいものはだからである.そのため
である.よって,の正の約数の個数は個である.
7.(Lamenta_)
鋭角三角形において,重心をとし,を通りに平行な直線上にを満たすような点をとったところ,
を満たしました.このとき,の長さの乗を求めてください.
解説
直線について点と対称な点をとすると,点が同一直線上にあり,点が同一円周上にあることが容易に確認できる.よって,方べきの定理により
である.
8.(natsuneko)
に関する次方程式の(重複を含めた)つの複素数解をとします.このとき,のつを根として持つような,最高次係数がの次多項式が一意に存在するので,のの係数を解答してください.
解説
は明らかにを解として持たないため,はいずれもではない.よって,が成立すると分かる.これより,が分かる.(ここで,解と係数の関係よりであることを用いた.)同様に考えて,も分かる.ここで,のを に置き換えて得られる は を解に持つため,特にはを解に持つ次方程式と分かる.さらに,この方程式のをに置き換えて得られる方程式はを解として持つと分かる.よって,が分かる.特に,のの係数はである.
9.(atawaru)
を満たすすべての非負整数の組について,の総和をとします.が持つ素因数のうち,番目に大きいものの和を求めてください.
解説
一般に,を満たす非負整数について,点から点に点を通って辺上を移動する最短経路数は
であるため,は「なるすべての非負整数の組について,点から点に点を通って辺上を移動する最短経路数の総和」と言い換えられる.さらに,点から点に辺上を移動するの最短経路はそれぞれ個の格子点を通るため,つの最短経路が点に寄与する,と捉えることで
がわかる.よって,解答すべき値はである.
10.(natsuneko)
正整数に対して定まり,正整数値を取る関数を以下のように定義します.
また,正整数に対して,での持つ正の約数の個数を表すとします.このとき,となるような最小の正整数を解答してください.
解説
のいずれとも互いに素な正整数,及び非負整数によってと表したとする.このとき,
と表される.ここで,の値は
の場合にそれぞれとなり,の値はの場合にそれぞれとなることが容易に確認できる.よって,の取り得る値は種類しかないとわかる.ここで,の値が奇数のため, が平方数であること,つまり,が平方数であることが分かる.これを満たすのは,の場合のみである.そして,この条件下でとなるの値を調べると,が条件を満たす最小値であることがわかる.よって,解答すべき値はとなる.
11.(Uirou)
を満たす三角形において,線分の中点をとして,三角形の外接円上において点を含まない弧の中点を,点を含む弧の中点をとします.三角形の外接円と直線の交点をとしたとき,三角形の外接円は直線に接しました.のとき,線分の長さは互いに素である正整数を用いてと表せるので,の値を解答してください.
解説
簡単な角度追跡から,はを満たす二等辺三角形であり,はを満たす二等辺三角形であることがわかる.よって,点を中心とした回転相似を考えることで,がわかり,特にである.次に,円と直線の交点をとする.簡単な角度追跡からはの外角の二等分線と直線の交点であることがわかる.そのため,外角の二等分線定理からである.また,円と直線の交点をとすると,方べきの定理からであり,と合わせてを得る.これよりである.とすれば,外角の二等分線定理によりと表せるので,方べきの定理よりだからとなる.よって,解答すべき値はである.
決勝
1.(shoko_math)
黒板にが個書かれている.ここで,黒板に書かれた数から数(とする)を選んで消し,を書き加える操作を黒板に書かれた数が個になるまで繰り返す.このとき,最後に黒板に書かれた数は以上であることを示せ.
解説
より,なので,操作により,黒板に書かれた数の逆数和は広義単調減少とわかる.よって,最初の黒板に書かれた数の和はなので,黒板に書かれた数の逆数和は常に以下であり,最後に残る数は以上であることが示された.
2.(natsuneko)
ある国には都市,都市,都市のつの都市があり,それぞれの国が相異なる島を個ずつ保有している.このとき,以下の条件を全て満たすように島の間に橋をかけるとき,かけられる橋の本数の最大値を求めよ.
- どの橋も相異なるつの島の間にかけられている.
- どの相異なるつの島の間にも高々本しか橋はかけられていない.
- 都市が保有する島,都市が保有する島,都市が保有する島の組であって,と,と,との全ての間に橋がかけられているような組が存在しない.
解説
まず,橋を本以下しかかけられないことを示す.同じ都市が保有している島同士の間に橋をかけてしまっても番目の条件には影響を与えないため,同じ都市が保有している島同士の間にはすべて橋がかけられているとして良い.また,都市が保有する島を,都市が保有する島を,都市が保有する島をとする.その上で,についての数列を以下のように定める.
このとき,異なるつの島同士の組の集合をとし,とする.すると,は異なる都市が保有しているつの島同士の組をつずつ含む集合であることが確認できる.また,について,と,と,との間にすべて橋をかけると番目の条件に反することから,異なる都市が保有しているつの島同士の間にかけられた橋の本数の合計は,高々本であるとわかる.同じ都市が保有している島同士にかけられた橋は合計本であるため,かけられる橋の本数は計本以下だと示された.
次に,条件を満たすように本の橋をかけられることを示す.これは,相異なるつの島について,一方がが保有する島で一方がが保有する島の場合はとの間には橋をかけず,そうでない場合はとの間には橋をかけるようにすれば良い.
以上より,答えは本である.
3.(pomodor_ap)
なる三角形について,垂心を,外心を,直線と直線の交点を,直線と三角形の外接円の交点をとする.また,をそれぞれ三角形の外接円上のとなる点とし,直線と直線の交点をとする.このとき,を示せ.
解説
点に関して点と対称な点をとする.はともに三角形の外接円の直径だからであり,点とは共線だとわかる.また,四角形は長方形だからであり,がわかる.そして,より,は直線についてと対称で,である.これらのことより,であるから,がわかり,だから,すなわちが示された.
4.(pomodor_ap)
正の整数について,をで割った余りに現れる数は種類存在した.いま,をなる整数で割った余りが等しいとすると,のうち少なくとも一方の,奇数の素因数は高々種類であることを示せ.
解説
をで割った余りが異なることに留意する.いま,について次の補題が成り立つ.
補題:をで割った余りが相異なるとき,これらは公差がの等差数列を成す.
に関する数学的帰納法によって示す.
まず,のとき,をで割った余りをとする.このときをで割った余りはまたはであるが,だとするとをで割った余りが等しく不適だからである.
次に,について成立しているとする.このとき,のとき,をで割った余りは,である.をで割った余りは,で割って余るような数になるから,である.よって,についても成立する.(証明終)
でこの補題を適用し,をで割った余りはまたはだとわかる.さらに,任意のについて,でこの補題を適用することで,より小さい素因数を持つような任意の未満の正整数についてをで割った余りが常にまたは常にであることがわかる.
より小さい素因数を持つような未満の正整数の集合をとする.がのいくつかの要素の最小公倍数として表されるとすると,をで割った余りもまたはである.また,をの要素とすると,だからをで割った余りは等しくならない.したがってはの要素ではなく,素数であるとわかる.また,がのいくつかの要素の最小公倍数として表されないとすると,はある素数と正整数によってまたはと表される.以上により,題意は示された.
5.(Furina,pomodor_ap)
実数に対して定義され実数値をとる関数であって,任意の実数について
が成り立つようなものを全て求めよ.
解説
以下,で与式へのの代入を表す.
より,実数についてとすると,
が成り立つ.
とを比較して,
を得る.
ここで,とする.②にを代入してを得る.また,よりで,とすると①よりが成り立つのでとなり不適.また,とするとよりが実数とならず不適.よってである.
したがって,よりであり,よりであるから,である.これにを代入し,だから
である.
いま,となる実数が存在すると仮定する.このときよりが成り立つ.とすると任意のについてとなるが,よりだからとなり,①よりでない実数についてである.としても同様の議論によりを得る.
逆に仮定を満たさないとき,のときだから③よりである.
以上より,である.またこれらは与式を満たす.
6.(acuri)
なる三角形の内心を,辺の中点を,外接円のを含む方の弧の中点をとする.また,直線と直線の交点を,直線と直線の交点を,直線と直線の交点をとする.このとき,
(1) はの中点であることを示せ.
(2) を示せ.
解説
(1) 以下,で有向角を表す.
点に関して点と対称な点をとする.は円と接し,中点連結定理よりなので,
である.よって,点は共円であり,.したがって,であり,よりはの中点であることが示された.
(2) と円の交点をとする.なので,三角形と三角形は相似.
さらに,であったので,点とは相似.
以上より,で,すなわちが示された.