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除夜の鐘コンテスト2024 問題・解説

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はじめに

 2024年12月31日にX( @1231_math )にて開催された除夜の鐘コンテスト2024の予選,敗者復活戦,決勝の問題・解説です.たくさんの方のご参加ありがとうございました!
 なお,予選A4については問題にミスが発覚致しました.改めてお詫び申し上げます.

 一部解説等を私が書いているため間違っている箇所がある可能性があります.もし見つかったら @atwr0711 までご連絡いただけると幸いです!

予選

代数

A1(shoko_math)

 (a1,a2,,a23)および(b1,b2,,b23)1,2,3,,23の並べ替えであるとき,S=a1b1+a2b2++a23b23の最大値をMとし,最小値をmとします.このとき,Mmの値を解答してください.

解説

 並べ替え不等式より,Sが最大となるのは
(a1,a2,,a23)=(b1,b2,,b23)=(1,2,,23)
のときであり,Sが最小となるのは
(a1,a2,,a23)=(b23,b22,,b1)=(1,2,,23)
のときなので,求める値は,
Mm=k=123k2k=123k(24k)=k=123(2k224k)=2024
である.

A2(atawaru)

 互いに素である正整数a,bについて,
k=19sin(10k5)°cos(10k5)°tan(10k5)°=ab
が成立するとき,a+bの値を解答してください.

解説

 3倍角の公式を変形することで,
sin3θ=4sinθsin(θ60°)sin(θ+60°)
を得る.これより,
k=19sin(10k5)°=(sin5°sin55°sin65°)(sin15°sin45°sin75°)(sin25°sin35°sin85°)=sin15°4sin45°4sin75°4=sin15°sin45°sin75°64=sin45°256=2512
である.よって,cosθtanθ=sinθだから,
k=19sin2(10k5)°=1131072
であり,解答すべき値は131073である.

A3(atawaru)

 3以上の整数Nに対して,xについてのN次方程式xN+xN17x+5=0の(重解を含めた)N個の複素数解をα1,α2,,αNとします.このとき,以下の値を求めてください.
N=3100k=1N(αkN1+αkN2)

解説

 まず,3kNを満たす整数kについて,αkN+αkN17αk+5=0が成立するから,αkN1+αkN2=75αkである.ここでk=1Nαk=βNとおくと,解と係数の関係により,N3以上の奇数であるときはβN=5k=1NβNαk=7が従い,N4以上の偶数であるときはβN=5k=1NβNαk=7が従う.これより,N3以上の整数であるときは偶奇に関わらず
k=1N(αkN1+αkN2)=k=1N(75αk)=7N5×k=1NβNαkβN=7N7
が成立する.以上より,求める値は
N=3100k=1N(αkN1+αkN2)=7×(3+4++100)7×98=34643
である.

組合せ

C1(Tiri7_Ma13a_)

 以下の条件をすべて満たすような1以上99以下の相異なる正整数3つの組a,b,cは何通りありますか.

  • a,b,cの各桁にある6個の1桁の非負整数はすべて異なる.ただし,1桁の整数は十の位に0がついているものとみなす.
  • a<b<cである.
解説

 a,b,cの十の位の数字を決定する方法は,大小関係より相異なる3つの数字を選ぶ方法と一致するため10C3=120通り.また,十の位の数字の決定によって大小関係は満たされるため,一の位の数字を決定する方法は7×6×5=210通り.よって,求める値は120×210=25200通り.

C2(atawaru)

 正十二面体の同一平面上にある4頂点を選ぶ方法のうち,その4点を頂点に持つ四角形が長方形となるようなものは何通りありますか.

解説

 まず,正十二面体の2頂点を結ぶ線分の長さは5種類あるので,それらを短い順にA,B,C,D,Eとする.長方形の対角線もAEのいずれかであることを踏まえて調べると,長方形の隣り合う二辺の長さの組は(A,D)(B,B)(B,C)のいずれかである.
 (A,D)であるものは,正十二面体の辺の数が30であることより30÷2=15通りある.
 (B,B)であるものは,正十二面体の2頂点を結ぶ線分のうち,長さがBであるものは12×5=60あるから,正方形であることと合わせて60×2÷4=30通りある.
 (B,C)であるものは,正十二面体の2頂点を結ぶ長さBの線分が60あることより60÷2=30通りある.
 よって,15+30+30=75通り.

C3(atawaru)

 xyz座標空間において,全ての格子点に以下のルールで数字を書き込みます.
ルール
① x,y,z座標の数値に負の整数が含まれる格子点に0を書き込む.
② ①で数値を書き込まなかった格子点のうち,x軸上またはy軸上またはz軸上にある格子点に1を書き込む.
③ ①と②で数値を書き込まなかった格子点(x,y,z)に,3(x1,y,z)(x,y1,z)(x,y,z1)に書き込まれた数値の和を書き込む.
 例えば,点(0,20241231,0)には1が,点(1,1,1)には6が書き込まれます.このとき,0x7かつ0y7かつ0z7の範囲にある格子点に書き込まれた数の総積が11で割り切れる回数を求めてください.

解説

 以下,0x7かつ0y7かつ 0z7の範囲を良い範囲と呼ぶ.
 良い範囲において点(x,y,z)に書き込まれる数は,点(0,0,0)から点(x,y,z)まで辺上を通って移動する最短経路数と一致する.さらにこの値は,(x+y+z)!x!y!z!に等しい.良い範囲におけるこの値の分母は明らかに11の倍数でないため,x=07y=07z=07(x+y+z)!11で割り切れる回数を考える.
 0x+y+z10であるとき,(x+y+z)!11で割り切れない.また,11x+y+z21であるとき,(x+y+z)!11でちょうど1回割り切れる.そして,0x+y+z10となるような(x,y,z)の組と11x+y+z21となるような(x,y,z)の組は組(7x,7y,7z)を考えることで同数あることが容易に確かめられる.また,これらによって良い範囲にある格子点は網羅される.よって,求める回数は83÷2×1=256回である.

C5(natsuneko)

 11231個,2789個,34個含む長さ2024の数列a1,a2,,a2024のスコアを以下のように定めます.

  • 1ij2024を満たす整数の組 (i,j) であって,k=ijakの値を3で割った余りが1になるような組の数

 このとき,a1,a2,,a2024としてあり得るもの全てに対するスコアの最小値を求めてください.

解説

 まず,ai,ai+1,,ajの中に3があると明らかにk=ijak3の倍数であるため,組(i,j)がスコアに寄与するためにはai,ai+1,,ajの中に3が含まれない必要がある.そこで,数列に含まれる4つの3のうち左からn番目にあるものをTn(1n4)とし,Tnよりも左にある1,2の個数をそれぞれxn,ynとする.(ただし,T4より右にあるものはx5,y5とした.)このとき,明らかにx1+y1+x2+y2++x5+y5=2020である.また,1i5に対し,「1xi個,2yi個並べてできる長さxi+yiの数列が取り得るスコアの最小値」をNiとするとき,求めるべきはN1+N2++N5の取り得る最小値である.そこで,Niについて考える.1xi個,2yi個含まれる数列b1,b2,,bxi+yiを任意にとる.このとき,1jkxi+yiに対して,l=jkbl3で割った余りが1になることは,bj,bj+1,,bkの中に2が偶数個含まれることと同値である.またこれは,b1,b2,,bmの中に含まれる2の個数をcmとしたとき,cj1ck(mod2)となることと同値.(ただし,c0=0とする.)ここで,数列c0,c1,,cxi+yiを考えると,これは隣接する2項の差が0または1となる広義単調増加な数列となり,0,1,,yiがいずれも1つ以上含まれる数列となる.このとき,組(i,j)がスコアに寄与することは,ci1cjの偶奇が一致することと同値だから,c0,c1,,cxi+yiに含まれる偶数の個数をA,奇数の個数をBとすると,スコアは
AC2+BC2=A2+B2(A+B)2=A2+B2(xi+yi+1)2
になることがわかる.また,この値の下限は,xi+yiが奇数のときは(xi+yi)214となり,偶数のときは(xi+yi)24となることが容易に確かめられる.よって,xi+yi=siとし,s1,s2,,s5のうち奇数であるものの個数をhとすると,
N1+N2++N5s12+s22++s52h4
であることがわかる.s1+s2++s5=2020のため,この値は集合{s1,s2,s3,s4,s5}を多重集合として{404,404,404,404,404}または{403,404,404,404,405}または{403,403,404,405,405}と一致するとき最小値204020をとるとわかる.よって,N1+N2++N5204020であり,スコアの取り得る最小値も204020以上とわかる.
 そして,以下のように数列a1,a2,,a2024を定めることで,スコアは204020となる.

  • a405=a810=a1215=a1620=3
  • 1i404811i1214の場合,iが偶数ならば1,奇数ならば2
  • 406i8091216i1619の場合,iが偶数ならば2,奇数ならば1
  • 1621i2024の場合,i=1620+3n(1n38)またはi=1736またはi=1737+2m(1m143)と表されるならば2,そうでないならば1

 以上より,求めるべき最小値は204020である.

幾何

G1(Furina)

 正三角形ABCの辺BC上(端点を除く)に点Pをとります.三角形ABPの垂心を H,三角形ACPの内心をIとしたところ,AH=AIとなりました.HPIの大きさを度数法で解答してください.

解説

 内心が角の二等分線の交点であることと簡単な角度追跡により,AHP=AIP=120°がわかる.また,AH=AIよりAHI=AIHである.これらのことより,
PHI=AHPAHI=AIPAIH=PIH
であるから,PH=PIがわかる.
 AH=AIPH=PIよりAHPAIPであるから,PAH=PAI=IACよりPAH=10°がわかる. よって,HPI=(60°10°)×2=100°である.

G2(atawaru)

 三角形ABCについて,辺AC上に点Dを,辺BC上に点E,Fをとったところ,三角形ABFと三角形AEDは向きをこめて相似であり,
BAE=EDFBE=5EF=6FC=10
となりました.このとき,AEの長さは互いに素である正整数a,bを用いてabと表されるので,a+bの値を解答してください.

解説

 まず,AFE=ADEより4A,D,F,Eは共円である.これより,EAF=EDFであり,BAF=EACよりBAE=FACである.これらとBAE=EDFからBAE=EAF=FACがわかり,AB:AF=AE:AD=5:6AE:AC=3:5を得る.ここで,AE=15xとおくと,AD=18xAC=25xだからDC=7xとなる.よって,方べきの定理より
7x25x=1016x2=3235
であり,AE=15x=14407だから,解答すべき値は1447である.

G3(Lamenta_)

 AB<ACなる鋭角三角形ABCにおいて,AC上に点P,三角形ABCの外接円の劣弧BC上に点Qを,
AP=AB+CPABC=BQP
を満たすようにとったところ,
AQ=15BQ=12CQ=10
となりました.このとき,PQの長さは正整数a,bを用いてa+bと表されるので,a+bの値を解答してください.

解説

 線分AC上にAB=AXなる点Xをとると,PCXの中点である.また,直線PQと直線ACの交点をRとすると,三角形CQRの外接円はACに接する.よって,XP2=CP2=PRPQであるので,三角形XQRの外接円はACに接することがわかる.
 さらに,B,Xを通りAB,ACに接する円をΩとし,この円と三角形ABCの外接円,BCの交点をそれぞれQ,Rとすると,簡単な角度追跡によりCQR=ACBであるので,三角形CQRACに接することがわかり,ΩACXで接することから,方べきの定理より,直線QRCXの中点,すなわちPを通る.BQR=ABCと併せて,Q,RはそれぞれQ,Rと一致することがわかり,これによりB,Q,R,Xは同一円周上にあることがわかる.
 以上から,BQXXQCABQCRQが角度追跡によっててわかり,XQ2=120,QR=8がわかる.
PQ=xとすると,中線定理と方べきの定理より,102+120=2{x2+x(x8)}これを解くことで,x=2+59が求められるので,解答すべきは61

G5(pomodor_ap)

 AB<ACなる三角形ABCについて,内心をI,内接円ωと線分BC,CA,ABの接点をD,E,Fとし,DからEFに下ろした垂線とEF,ω,ABの交点をP,Q(D),Rとします.三角形ABCの外接円の弧BACの中点をMとすると,
ME=4MI=6PQ=QR
が成立しました.ABの長さの二乗は互いに素である正整数a,bを用いてabと表せるので,a+bの値を解答してください.

解説

 IについてDと対称な点をGとする.このとき,6[A,F,E,R,Q,P][M,B,C,G,I,D]は相似だから3M,G,Bは共線.さらに,
BGI=BMC2=BAC2=BAI
より4A,G,I,Bは共円.いま,MG=MAであり,AMG=2AEGよりMは三角形AGEの外心.さらに,MGIMIBよりMB=9,相似比からIG=2xIB=3xとするとBD=5xBG=21xであり,x=521である.
 ところで,MABMECよりAB=CEが成り立つ.BD:DC=BG:(GM+MC)=5:13だから,
AB=135BD=1355521=84521
であり,特に解答すべき値は866である.

整数

N1(atawaru)

 d(N)で正整数Nの正の約数の個数を表します.互いに素である正整数a,bについて以下の等式が成立するとき,a+bの値を解答してください.
1d(2025)+1d(20250)+1d(202500)++1d(2025×1098)=ab

解説

 2025×10n=2n×34×5n+2だから,
1d(2025×10n)=15×1(n+1)(n+3)
である.これより,
ab=n=098(15×1(n+1)(n+3))=15×12×(1+1211001101)=14949101000
だから,解答すべき値は115949

N2(atawaru)

 以下の2つの式を満たすような正整数nとして考えられる値の総和を求めてください.ただし,d(N)で正整数Nの正の約数の個数を表します.
d(n)=4d(n!)=4328d((n1)!)

解説

 以下,正整数yが正整数xで割り切れる最大の回数をvx(y)で表す.
 まず,d(n)=4よりpqを満たす素数p,qを用いてn=p3またはn=pqと表される.
 n=p3であるとき,vp((n1)!)=aとし,ある正の整数bが存在して
d(n!)=b(a+4)d((n1)!)=b(a+1)
であるから,a=235を得るが,aが整数であることと矛盾し,条件を満たすnは存在しない.
 n=pqであるとき,vp((n1)!)=avq((n1)!)=bとし,ある正の整数cが存在して
d(n!)=c(a+2)(b+2)d((n1)!)=c(a+1)(b+1)
であるから,問題の条件と合わせて
(a+2)(b+2)(a+1)(b+1)=4328
である.これは(15a13)(15b13)=1204と変形でき,pqよりabであることを考慮すると,正の整数の組(a,b)として考えられるものは(a,b)=(41,1)のみだとわかる.
 これより,pqvp((pq)!)=42vq((pq)!)=2を満たす素数の組(p,q)を全て求めれば良い.まず,p=2であるとき,pqは偶数であるからpq=46であり,q=23となる.このとき,v23(46!)=2よりn=46は問題の条件を満たす.一方,p3であるとき,vq((pq)!)3だから条件を満たすnは存在しない.
 以上より,nとして考えられる値は46のみなので,求める値は46である.

N3(natsuneko)

 114個,210個並べてできる10進数表記で24桁の整数は全部で24C10個ありますが,それらを7で割った余りの総和はいくつになりますか.

解説

 まず,124個並べてできる整数102419はフェルマーの小定理より7の倍数.これより,求めるべきは0a1a2a1023を満たす非負整数組(a1,a2,,a10)全てに対する,10a1+10a2++10a107で割った余りの総和だとわかる.ここで,非負整数nに対して10n7で割った余りは,n0,1,2,3,4,5(mod6)についてそれぞれ1,3,2,6,4,5であるから,本問題は以下の問題に言い換えられる.
 1以上6以下の整数のうちの1つが書かれた区別できるボールが各整数に対して4つずつ計24個ある.これらのボールの中から相異なる10個を選ぶ方法全てについて,選んだボールに書かれた整数の和を7で割った余りの総和を求めよ.
 この問題を考える.まず,選んだボールに書かれた整数の和を7で割った余りがk(0k6)になる選び方が何通りあるかを求める.これは2変数多項式f(x,y)=(xy+1)4(xy2+1)4(xy6+1)4x10y7m+k(0m)の係数の総和に等しい.0<kの場合,これはy7kf(x,y)x10y7m(0m)の係数の総和に等しくなるため,1の原始7乗根をω(=cos2π7+isin2π7)としたときの
[x10]17kf(x,1)+[x10]ω7kf(x,ω)++[x10](ω6)7kf(x,ω6)7
の値に等しくなるとわかる.ただし,多項式gと非負整数dについて[xd]g(x)g(x)xdの係数を表すものとした.ここで,[x10]17kf(x,1)=24C10は明らかである.また,1l6に対して{ωl,ω2l,,ω6l}={ω,ω2,,ω6}が成立するため,f(x,ωl)=(x6x5+x4x3+x2x+1)4が成立するとわかる.ここで,
(x6x5+x4x3+x2x+1)4=(x122x11+3x106x7+7x66x5+5x42x+1)2
より,
[x10]f(x,ωl)=[x10](x122x11+3x106x7+7x66x5+5x42x+1)2
となり,これは
(3×1+(4)×(2)+5×3+(6)×(4)+7×5)×2+(6)2=206
と計算できる.そして1k6のとき{ω7k,(ω2)7k,,(ω6)7k}={ω,ω2,,ω6}だから,
[x10]17kf(x,1)+[x10]ω7kf(x,ω)++[x10](ω6)7kf(x,ω6)7=24C10+206(ω+ω2++ω6)7=280150
が従う.よって,求めるべき値は(1+2++6)×280150=5883150である.

N4(natsuneko)

 とある村には1010人の住人が住んでおり,各人に1から1010までの整数値のうちの一つが重複なく割り当てられているとします.また,この村では西暦202511日を1日目とし,そこから1010日目まで毎日,以下のルールに従う点呼を行うこととします.

  • 1i1010に対してi日目には,ある整数1j1010が存在してijk (mod 1010)となるような番号k (1k1010)をそれぞれ1回ずつ呼ぶ.

 このとき,番号を呼ばれた回数の合計が7の倍数になる住人は何人いますか.

解説

 i1010の最大公約数をgiとする.このとき,i日目に呼ばれる番号は1010以下の正整数のうちgiの倍数であるもの全てである.つまり,番号ji 日目に呼ばれることは,jgiの倍数であることと同値である.これより,gijの約数かつ1010の約数であり,j1010の最大公約数をgjとすると,gigjの約数とわかる.よって,番号ji日目に呼ばれるようなiの集合は,あるgjの約数nによってgi=nが実現されるようなiの集合と一致することがわかる.ここで,gi=nとなるようなiの個数は,1m1010nかつgcd(m,1010n)=1を満たすような正整数mの個数に等しく,それはφ(1010n)であるとわかる.以上より,番号jが呼ばれる合計回数は,gjの約数n全てに対してφ(1010n)を足し合わせた値に一致する.ここで,10以下の非負整数a,bについてgj=2a×5bとすると,gjの約数はcadbなる非負整数c,dを用いて2c×5dと表される整数全てとなり,番号jが呼ばれる合計回数は
c=0ad=0bφ(210c×510d)=c=0aφ(210c)d=0bφ(510d)
となることがわかる.そして,a<10のときc=0aφ(210c)=21029aa=10のときc=0aφ(210c)=210b<10のときd=0bφ(510d)=51059bb=10のときd=0bφ(510d)=510であることが容易に確かめられる.また,gj=2a×5bとなるようなjの個数がφ(210a×510b)であることも容易にわかる.
 これを踏まえて番号jが呼ばれる合計回数が7の倍数になるようなjの個数を求める.まず,c=0aφ(210c)7の倍数になるのはa=2,5,8の場合であり,d=0bφ(210d)7の倍数になるのはb=5の場合であることから,満たすべき条件は「a{2,5,8}またはb=5」であるとわかる.まず,a{2,5,8}を満たすようなjの個数を求める.これは,
(φ(22)+φ(25)+φ(28))(φ(50)+φ(51)++φ(510))=146×510=1425781250
と計算できる.同様に,b=5を満たすようなjの個数は,
(φ(20)+φ(21)++φ(210))(φ(55))=210×2500=2560000
と計算できる.そして,a{2,5,8}かつb=5となるようなjの個数は
(φ(22)+φ(25)+φ(28))(φ(55))=146×2500=365000
であるため,結局求めるべき答えは1425781250+2560000365000=1427976250になるとわかる.

敗者復活戦

1.(atawaru)

 k0<k<1の範囲にある実数とします.xについての3次方程式
x317kx2+80k2x100k3=0
は異なる実数解を3つ持ちます.そのうち整数解がちょうど2つあるとき,kとして考えられる値の総積は互いに素である正整数a,bを用いてabと表されるので,a+bの値を解答してください.

解説

 問題の3次方程式は以下のように変形できる.
(x2k)(x5k)(x10k)=0
 これより,この方程式の3解は2k,5k,10kだとわかる.また,このうちちょうど2つが整数であることからkは有理数だとわかり,条件はkを既約分数で表したときの分母が2または5であることと同値.よって,kとして考えられるものは
1215253545
だから,解答すべき値は637である.

2.(atawaru)

 面積が78である平行四辺形ABCDの辺CD,DA上にそれぞれ点E,Fを,内部に点Pを取ったところ,
|ABP|=27|BCP|=15EPCBFPAB
が成立しました.このとき,四角形DEPFの面積は互いに素である正整数a,bを用いてabと表されるので,a+bの値を解答してください.ただし,|XYZ|で三角形XYZの面積を表します.

解説

|CDP|=78÷227=12|DAP|=78÷215=24
だから,
EP=1227+12BC=413BCFP=2415+24AB=813AB
である.よって,四角形DEPFの面積は
78×413×813=19213
であるから,解答すべき値は205である.

3.(atawaru)

 x3=1の複素数解のうち1でないものの一つをωとします.1a1<a2<<a1015を満たす整数組(a1,a2,,a10)のうち,k=110ωakが整数値をとるようなものの個数を求めてください.

解説

 以下,合同式の法を 3 とする.
 ω3=1よりak0のときωak=1ak1のときωak=ωak2のときωak=ω2である.このこととω2+ω=1より(a1,a2,,a10)をどのように定めても整数m,nを用いて
k=110ωak=mω+n
と表すことができ,m=0であるときのみこれは整数値を取る.また,m=0になるのはak1なるakak2なるakの個数が等しいときである.
 以上よりak0,1,2となるものの個数の組はそれぞれ高々5個であることに留意して(4,3,3)(2,4,4)(0,5,5)のいずれかであり,求める個数は
5C4(5C3)2+5C2(5C4)2+1=751
である.

4.(atawaru)

 九九表において,奇数が書かれているマス目について以下の操作を行います.

  • 書かれている数を消し,新しくそのマス目の上下左右のマス目に書かれている数の総和(ただし,上下左右のうち一部のマス目が存在しない場合,存在するマス目に書かれている数の総和)を書き込む.

 このとき,操作後の表に書かれている81個の数の総和を求めてください.

解説

 以下,九九表の奇数行奇数列のマス目を奇マス,偶数行偶数列のマス目を偶マス,それ以外のマス目を両マスと呼ぶ.
 このとき,元の九九表に書かれている数の総和は(1+2++9)2=2025,奇マスに書かれている数の総和は(1+3+5+7+9)2=625,偶マスに書かれている数の総和は(2+4+6+8)2=400,両マスに書かれている数の総和は2025625400=1000である.
 新しく奇マスに書き込まれる数の総和は,奇マスの隣がすべて両マスであることと,各両マスの上下左右に奇マスがちょうど2マスずつあることより1000×2=2000である.よって,求める値は2025625+2000=3400である.

5.(atawaru)

 一辺の長さが1の正方形で構成された3×3のマス目があります.この各マスを赤,青,緑の3色で塗り分ける方法のうち,中心間の距離が(2,5,5)であるどの3マスの組も3マスの色が相異なるようなものは何通りありますか.

解説

 以下,ab列のマス目を(a,b)と表す.
 まず,中心間の距離が(2,5,5)であるような 3マスの組は
{(1,1),(2,3),(3,2)}{(1,2),(2,1),(3,3)}{(1,2),(2,3),(3,1)}{(1,3),(2,1),(3,2)}
4組である.ここで,(1,2),(2,1),(3,2),(2,3)を順にア,イ,ウ,エとすると,アとイ,イとウ,ウとエ,エとアは条件よりそれぞれ色が異なる.これら4マスの塗り分け方は,アが赤,イが青であるものが3通りあることより3×2×3=18通りある.よって,ア,イ,ウ,エの彩色が決まれば角の4マスの彩色が決まることと,(2,2)の彩色は任意であることより求める場合の数は18×3=54通りである.

6.(atawaru)

 正整数m,nに対し,vm(n)nmで割り切れる最大の回数を表します.
v540(n)=70v600(n)=46v2250(n)=100
をすべて満たすような正整数nのうち,70番目に小さいものをNとします.Nの正の約数の個数を求めてください.

解説

 以下,min(A,B,C)A,B,Cの最小値を表す.
v2(n)=xv3(n)=yv5(n)=z
とすると,問題の条件は540,600,2250の素因数分解を考えることで,
min(x,y2,z3)=100min(x2,y3,z)=70min(x3,y,z2)=46
と言い換えられるので,140x210y300zである.以下これをもとにxの値で場合分けする.x=140であるとき,右2式は満たされ,1式目よりz=300,301,302のとき条件を満たす.x141であるとき,x,y,zの範囲より3式目が満たされないため不適である.
 よって,nは非負整数a2以下の非負整数b2,3,5を素因数に持たない正の整数cを用いて,
n=21403210+a5300+bc
と表される.このとき, 3a5bcとして考えられる値は125の倍数でない任意の奇数であり,特に70番目に小さいものは141だから(a,b,c)=(1,0,47)である.そのため
N=21403211530047
である.よって,Nの正の約数の個数は17994984個である.

7.(Lamenta_)

 鋭角三角形ABCにおいて,重心をGとし,Cを通りAGに平行な直線上にABC=GPCを満たすような点Pをとったところ,
PG=PC=20AG=24
を満たしました.このとき,BCの長さの2乗を求めてください.

解説

 直線CGについて点Pと対称な点をPとすると,3A,G,Pが同一直線上にあり,4A,B,P,Cが同一円周上にあることが容易に確認できる.よって,方べきの定理により
BC2=3684=1152
である.

8.(natsuneko)

 Xに関する5次方程式X5X2+3X5=0の(重複を含めた)5つの複素数解をa,b,c,d,eとします.このとき,a4+b+c+d+e, a+b4+c+d+e, a+b+c4+d+e, a+b+c+d4+e, a+b+c+d+e45つを根として持つような,最高次係数が15次多項式f(X)が一意に存在するので,f(X)X2の係数を解答してください.

解説

 X5X2+3X5=0は明らかにX=0を解として持たないため,a,b,c,d,eはいずれも0ではない.よって,a4=a5a=a23a+5a=a3+5aが成立すると分かる.これより,a4+b+c+d+e=a+b+c+d+e3+5a=3+5aが分かる.(ここで,解と係数の関係よりa+b+c+d+e=0であることを用いた.)同様に考えて,a+b4+c+d+e=3+5b,,a+b+c+d+e4=3+5eも分かる.ここで,X5X2+3X5=0X1X に置き換えて得られる1X51X2+3X5=0X=1a,,1eを解に持つため,特に5X5+3X4X3+1=0X=1a,,1eを解に持つ5次方程式と分かる.さらに,この方程式のXX+35に置き換えて得られる方程式1625(X+3)5+3625(X+3)41125(X+3)3+1=0X=3+5a,,3+5eを解として持つと分かる.よって,f(X)=(X+3)53(X+3)4+5(X+3)3625が分かる.特に,f(X)X2の係数は33×5C23×32×4C2+5×31×3C2=153である.

9.(atawaru)

 a+b=100c+d=60acbdを満たすすべての非負整数の組(a,b,c,d)について,aCcbCdの総和をMとします.Mが持つ素因数のうち,1,2番目に大きいものの和を求めてください.

解説

 一般に,prqsを満たす非負整数p,q,r,sについて,点(0,0)から点(p,q)に点(r,s)を通って辺上を移動する最短経路数は
r+sCrp+q(r+s)Cpr
であるため,Mは「x60y100なるすべての非負整数の組(x,y)について,点(0,0)から点(60,40)に点(x,y)を通って辺上を移動する最短経路数の総和」と言い換えられる.さらに,点(0,0)から点(60,40)に辺上を移動する100C40の最短経路はそれぞれ101個の格子点を通るため,1つの最短経路が101点に寄与する,と捉えることで
M=100C40×101
がわかる.よって,解答すべき値は101+97=198である.

10.(natsuneko)

 正整数nに対して定まり,正整数値を取る関数f(n)を以下のように定義します.

  • 2025の正の約数15個をd1<d2<<d15としたとき,f(n)=k=115gcd(n,dk)

 また,正整数mに対して,d(m)mの持つ正の約数の個数を表すとします.このとき,d(N2f(N))=2025となるような最小の正整数Nを解答してください.

解説

 3,5のいずれとも互いに素な正整数M,及び非負整数a,bによってN=3a×5b×Mと表したとする.このとき,
f(N)=i=04j=023min(i,a)×5min(j,b)=(i=043min(i,a))×(j=025min(j,b))
と表される.ここで,i=043min(i,a)の値は
a=0, a=1, a=2, a=3, a4の場合にそれぞれ5,13,31,67,121となり,j=025min(j,b)の値はb=0, b=1, b2の場合にそれぞれ3,11,31となることが容易に確認できる.よって,(i=043min(i,a))×(j=025min(j,b))の取り得る値は15種類しかないとわかる.ここで,d(N2f(N))の値が奇数のため,N2f(N) が平方数であること,つまり,f(N)が平方数であることが分かる.これを満たすのは,a=2, b2, f(N)=312の場合のみである.そして,この条件下でd(N2f(N))=2025となるNの値を調べると,N=24×32×52×7が条件を満たす最小値であることがわかる.よって,解答すべき値は25200となる.

11.(Uirou)

 ABACを満たす三角形ABCにおいて,線分BCの中点をLとして,三角形ABCの外接円上において点Aを含まない弧BCの中点をM,点Aを含む弧BCの中点をNとします.三角形ALMの外接円と直線ACの交点をX(A)としたとき,三角形ANXの外接円は直線ABに接しました.BC=20CA=41のとき,線分ABの長さは互いに素である正整数a,b,cを用いてb+caと表せるので,a+b+cの値を解答してください.

解説

 簡単な角度追跡から,ANXAN=XNANX=BACを満たす二等辺三角形であり,NBCBN=CNBNC=BACを満たす二等辺三角形であることがわかる.よって,点Nを中心とした回転相似を考えることで,NABNXCがわかり,特にAB=XCである.次に,円ALMと直線BCの交点をP(L)とする.簡単な角度追跡からPBACの外角の二等分線と直線BCの交点であることがわかる.そのため,外角の二等分線定理からBP:CP=BA:CAである.また,円ALMと直線ABの交点をY(A)とすると,方べきの定理からCX×CA=CL×CPBY×BA=BL×BPであり,BP:CP=BA:CABL=CLと合わせてCX=BYを得る.これよりAB=BYである.AB=tとすれば,外角の二等分線定理によりBP=20t41tと表せるので,方べきの定理よりt2=10×20t41tだからt=41+8812となる.よって,解答すべき値は924である.

決勝

1.(shoko_math)

 黒板に1n個書かれている.ここで,黒板に書かれた数から2数(a,bとする)を選んで消し,a3+b32(a2+b2)を書き加える操作を黒板に書かれた数が1個になるまで繰り返す.このとき,最後に黒板に書かれた数は1n以上であることを示せ.

解説

1a+1b2(a2+b2)a3+b3=(a+b)(a3+b3)2ab(a2+b2)ab(a3+b3)=(ab)(a3b3)ab(a3+b3)0
より,1a+1b2(a2+b2)a3+b3なので,操作により,黒板に書かれた数の逆数和は広義単調減少とわかる.よって,最初の黒板に書かれた数の和はnなので,黒板に書かれた数の逆数和は常にn以下であり,最後に残る数は1n以上であることが示された.

2.(natsuneko)

 ある国には都市A,都市B,都市C3つの都市があり,それぞれの国が相異なる島をn個ずつ保有している.このとき,以下の条件を全て満たすように2島の間に橋をかけるとき,かけられる橋の本数の最大値を求めよ.

  • どの橋も相異なる2つの島の間にかけられている.
  • どの相異なる2つの島の間にも高々1本しか橋はかけられていない.
  • 都市Aが保有する島X,都市Bが保有する島Y,都市Cが保有する島Zの組(X,Y,Z)であって,XYYZZXの全ての間に橋がかけられているような組が存在しない.
解説

 まず,橋を7n23n2本以下しかかけられないことを示す.同じ都市が保有している島同士の間に橋をかけてしまっても3番目の条件には影響を与えないため,同じ都市が保有している島同士の間にはすべて橋がかけられているとして良い.また,都市Aが保有する島をa0,a1,,an1,都市Bが保有する島をb0,b1,,bn1,都市Cが保有する島をc0,c1,,cn1とする.その上で,m=0,1,,n21についての数列{xm}{ym}{zm}を以下のように定める.

  • {xm}=mn
  • {ym}=m%n(mnで割った余り)
  • {zm}=(mn+m%n)%n

 このとき,異なる2つの島同士の組の集合をSm={(axm,bym)(bym,czm)(czm,axm)}とし,S=S0S1Sn21とする.すると,Sは異なる都市が保有している2つの島同士の組を1つずつ含む集合であることが確認できる.また,0mn21について,axmbymbymczmczmaxmの間にすべて橋をかけると3番目の条件に反することから,異なる都市が保有している2つの島同士の間にかけられた橋の本数の合計は,高々2n2本であるとわかる.同じ都市が保有している島同士にかけられた橋は合計3×nC2本であるため,かけられる橋の本数は計2n2+3×nC2=7n23n2本以下だと示された.
 次に,条件を満たすように7n23n2本の橋をかけられることを示す.これは,相異なる2つの島X,Yについて,一方がAが保有する島で一方がCが保有する島の場合はXYの間には橋をかけず,そうでない場合はXYの間には橋をかけるようにすれば良い.
 以上より,答えは7n23n2本である.

3.(pomodor_ap)

 ABAC なる三角形ABCについて,垂心をH,外心をO,直線AHと直線BCの交点をD,直線AHと三角形ABCの外接円の交点をT(A)とする.また,P,Qをそれぞれ三角形ABCの外接円上のHPT=AQD=90°となる点とし,直線DQと直線HPの交点をRとする.このとき,AORTを示せ.

解説

 点Oに関して点A,Tと対称な点をA,Tとする.AA,TTはともに三角形ABCの外接円の直径だからTPT=AQA=90°であり,3P,H,TQ,D,Aは共線だとわかる.また,四角形ATATは長方形だからATDHであり,HRDTRAがわかる.そして,BHC=180°BAC=BTCより,Tは直線BCについてHと対称で,HD=TDである.これらのことより,RD:RA=HD:TA=TD:TAであるから,RD:DA=TD:DAがわかり,RDTADAだからRTAA,すなわちAORTが示された.

4.(pomodor_ap)

 正の整数m,n(n3)について,m2,3,,nで割った余りに現れる数はn2種類存在した.いま,m2abnなる整数a,bで割った余りが等しいとすると,a,bのうち少なくとも一方の,奇数の素因数は高々1種類であることを示せ.

解説

 m2,3,,b1で割った余りが異なることに留意する.いま,k2について次の補題が成り立つ.

補題:ma,2a,,kaで割った余りが相異なるとき,これらは公差がaの等差数列を成す.

 kに関する数学的帰納法によって示す.
 まず,k=2のとき,maで割った余りをcとする.このときm2aで割った余りはcまたはa+cであるが,cだとするとma,2aで割った余りが等しく不適だからa+cである.
 次に,k=lについて成立しているとする.このとき,k=l+1のとき,ma,2a,,laで割った余りは,c,a+c,,(l1)a+cである.m(l+1)aで割った余りは,aで割ってc余るような数になるから,la+cである.よって,k=l+1についても成立する.(証明終)

 a=2でこの補題を適用し,m2,4,6,で割った余りは1,3,5,または0,2,4,だとわかる.さらに,任意のs<b2について,a=sでこの補題を適用することで,b2より小さい素因数を持つような任意のb未満の正整数tについてmtで割った余りが常にt1または常にt2であることがわかる.
 b2より小さい素因数を持つようなb未満の正整数の集合をSとする.bSのいくつかの要素の最小公倍数として表されるとすると,nbで割った余りもb1またはb2である.また,aSの要素とすると,(n(moda)n(modb))=(a1,b1)(a2,b2)だからna,bで割った余りは等しくならない.したがってaSの要素ではなく,素数であるとわかる.また,bSのいくつかの要素の最小公倍数として表されないとすると,bはある素数pと正整数qによって2pまたはpqと表される.以上により,題意は示された.

5.(Furina,pomodor_ap)

 実数に対して定義され実数値をとる関数fであって,任意の実数x,yについて
xf(x+y)+xf(y)+f(y2)=f(f(x)+y)2
が成り立つようなものを全て求めよ.

解説

 以下,P(m,n)で与式へのx=my=nの代入を表す.
P(x,0):x(f(x)+f(0))+f(0)=f(f(x))2
より,実数a,bについてf(a)=f(b)とすると,
f(a)=f(b)=f(0)()
が成り立つ.
P(0,x):f(x2)=f(f(0)+x)2P(0,x)を比較して,
|f(x+f(0))|=|f(x+f(0))|()
を得る.
 ここで,f(0)0とする.②にx=f(0)を代入して|f(2f(0))|=|f(0)|を得る.また,P(0,0)よりf(0)>0で,f(2f(0))>0とすると①よりf(2f(0))=f(0)=f(0)が成り立つのでf(0)=0となり不適.また,f(2f(0))<0とするとP(0,2f(0))よりf(f(0)+2f(0))が実数とならず不適.よってf(0)=0である.
 したがって,P(x,0)よりxf(x)=f(f(x))2であり,P(0,x)よりf(x2)=f(x)2であるから,xf(x+y)+(x+y)f(y)=f(f(x)+y)2である.これにy=xを代入し,f(f(x)x)2=0だから
f(f(x)x)=0()
である.
 いま,f(c)=0となる実数c0が存在すると仮定する.このときP(x,cx)よりcf(cx)=f(f(x)+cx)2が成り立つ.c>0とすると任意のxについてf(x)0となるが,f(x2)=f(x)2より|f(x)|=|f(x)|だからf(x)=f(x)となり,①より0でない実数xについてf(x)=0である.c<0としても同様の議論によりf(x)=0を得る.
 逆に仮定を満たさないとき,f(x)=0のときx=0だから③よりf(x)=xである.
 以上より,f(x)=0f(x)=xである.またこれらは与式を満たす.

6.(acuri)

 AB<ACなる三角形ABCの内心をI,辺BCの中点をM,外接円のAを含む方の弧BCの中点をNとする.また,直線INと直線ACの交点をP,直線IMと直線BNの交点をQ,直線PQと直線ABの交点をRとする.このとき,
(1) QPRの中点であることを示せ.
(2) PRBIを示せ.

解説

(1) 以下,で有向角を表す.
 点Qに関して点Bと対称な点をXとする.AIは円IMNと接し,中点連結定理よりMQCXなので,
CPN=AIN+CAI=IMN+MNB=MQN=CXN
である.よって,4N,X,P,Cは共円であり,PXB=PCN=ABN.したがって,BRPXであり,QB=QXよりQPRの中点であることが示された.
(2) ACと円AINの交点をY(A)とする.INY=IAX=BNMIYN=180°NAI=90°=BMNなので,三角形IYNと三角形BMNは相似.
さらに,CPN=MQNであったので,4[I,Y,N,P][B,M,N,Q]は相似.
以上より,NP:PI=NQ:QBPQBI,すなわちPRBIが示された.

投稿日:126
更新日:322
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