お久しぶりです。学校のレポートとして提出したものを記事にしておこうと思います。
今回、興味を引かれたのが次の問題1です。
上記の問題を考えついた時点ではその解答を知らなかったため、これを解決することをレポートの目標としました。この記事では、問題1の母関数を用いた解決を述べたいと思います。
なお、問題1の解答を数列として並べたものが、オンライン整数列大辞典における 数列 A001499 に掲載されています。
先に結論を述べてしまいましょう!
また,
わお。なかなかキモい冪級数が登場しましたね。では証明していきましょう。
まず簡単な準備をしておきます。
ある駒の配置に対して,駒の置いてあるマスを頂点とし,同じ行または列にある頂点の間に辺を張った無向グラフを考える.このようにしてできるグラフと駒の配置は1対1に対応するから,以下ではグラフに注目して数え上げを行う.グラフに対応する駒の配置が問題の条件を満たすとき,グラフが条件を満たすと呼ぶことにする.
このグラフの全ての頂点の次数は
前半を示すために(まあほとんど前半が本質なんですが)次の補題を用意します。
条件を満たすグラフであって,周期が
個存在する.ここで,
各サイクルに注目しよう.周期が
(ただし
一旦すべてのサイクルを区別して考える.異なるサイクルは異なる行,列にまたがることに注意すると,それぞれのサイクルに行・列を割り当てる方法は
通りである.それぞれの割り当て方に対して,(サイクルの決め方が互いに干渉しないことから)
通りのグラフが存在するから,すべてのサイクルを区別するときのグラフの数は
通りである.同じ周期のサイクルの区別を無くすために
これで準備ができたので、前半が証明できます。
補題 2.1 の結論の式は次のように変形できる.
ここで,
という形式的冪級数の
で表される
と計算できる(※2).
が従う.よって,前半の主張が示された.
命題の後半を示すために、次の補題3(※3)を用意します。
形式的冪級数として,
等式の右辺を
を得る.これより,
が順に従う.いま
さあ、いよいよ命題の後半です。
補題2.2より,
が成立する.前半の主張にこれを合わせることで,後半の主張を得る.(証明終わり)
※1 例えば、
※2 本当は
※3 この補題に関しては、全面的に kaichou243 氏の結果を引用しました。ありがとうございました。
これで命題1が示されました。どうだったでしょうか。母関数の議論の部分は、ごく、本当にごく一部の層には見覚えがあるかもしれません。
それは何かと言うと、
OMC074-E のユーザー解説
です。読んでもらえば分かりますが、ほぼ同じ発想で示せるんですね。
問題1は,「どの行,列にもちょうど
読んでくれてありがとうございました。では、また会う日まで。