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x^p(1-x)^qの定積分と確率論

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$$\newcommand{Aut}[0]{\mathrm{Aut}} \newcommand{C}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{char}[0]{{\bf char}} \newcommand{comp}[0]{\circ} \newcommand{core}[0]{\rm{core}} \newcommand{diag}[0]{\mathrm{diag}} \newcommand{F}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{field}[1]{\mathbb{F}_{#1}} \newcommand{gen}[1]{\langle #1 \rangle} \newcommand{GL}[0]{\mathrm{GL}} \newcommand{imply}[0]{\Rightarrow} \newcommand{inpr}[2]{\langle {#1},{#2} \rangle} \newcommand{iso}[0]{\simeq} \newcommand{lnormal}[0]{\triangleleft } \newcommand{PGL}[0]{\mathrm{PGL}} \newcommand{PgL}[0]{\mathrm{P\Gamma L}} \newcommand{Pr}[0]{\mathrm{Pr}} \newcommand{PSL}[0]{\mathrm{PSL}} \newcommand{Q}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{rnormal}[0]{\triangleright} \newcommand{semiprod}[3]{{#1}\ltimes_{#2}#3} \newcommand{SL}[0]{\mathrm{SL}} \newcommand{Z}[0]{\mathbb{Z}} $$
ベータ関数とガンマ関数の関係

$p,q$が非負整数のとき,
$\displaystyle{\int_0^1 x^p(1-x)^q dx=\frac{p!q!}{(p+q+1)!}}$

$X_1,X_2,\cdots X_p,X_{p+1},\cdots X_{p+q+1} $を, $0$以上$1$以下の実数を一様ランダムにとる独立変数とする. 以下の議論において, $i,j$が相異なるとき$\Pr(X_i=X_j)=0$であることに注意せよ.

事象$E$$X_1,X_2,\cdots ,X_p < X_{p+1} < X_{p+2},...,X_{p+q+1}$と定め, $E$が成立する確率を$2$通りの方法で求める.

$X_p=a$($0\leq a \leq 1$)の下で$E$が成立する条件付き確率を求める. $\Pr(0\leq X_1,X_2,\cdots X_p< a)=a^p$, $\Pr(a < X_{p+2},X_{p+3},\cdots X_{p+q+1} \leq 1)=(1-a)^q$であり, これらの事象は独立なので, $E$が起きる条件つき確率は$a^p(1-a)^q$である. よって,
\begin{align*} \Pr(E) = \displaystyle{\int_0^1 x^p(1-x)^q} dx \end{align*}
が成り立つ.

一方, $0$以上$1$以下の相異なる実数, $s_1,s_2,s_3,\cdots, s_{p+q+1}$が与えられたとき, これらの$(p+q+1)!$個の並び替えのなかで$E$を満たすものは$p!q!$個ある. (前半$p$個の並べ方が$p!$個あり, 後半$q$個の並べ方が$q!$個ある)よって,
\begin{align*} \Pr(E) = \displaystyle{\frac{p!q!}{(p+q+1)!}} \end{align*}
が成立し, $\displaystyle{\int_0^1 x^p(1-x)^q dx=\frac{p!q!}{(p+q+1)!}}$が従う.

おまけ

Hoffmanが多重ゼータ関数の和公式/双対性の部分的解決をしている論文で, 次のような補題がでてきます([Ho]lemma 4.3):

$f$$k$変数の対称式とする. このとき,
\begin{align*} \sum_{n_1,n_2,\cdots,n_k\geq 1} \frac{k!f(n_1,n_2,\cdots,n_k)}{n_1(n_1+n_2)\cdots(n_1+n_2+\cdots+n_k)}=\sum_{n_1,n_2,\cdots,n_k\geq 1} \frac{f(n_1,n_2,\cdots,n_k)}{n_1n_2\cdots n_k} \end{align*}
が成立する. ただし, 左辺の級数は絶対収束すると仮定する.

Hoffmanは, これを直接inductionで示してましたが, 実はより強く(というほどでもないが)次の命題が成立します:

$n_1,n_2,\cdots,n_k$を正の整数とする. このとき,
\begin{align*} \sum_{\sigma\in S_k} \frac{1}{n_{\sigma(1)}(n_{\sigma(1)}+n_{\sigma(2)})\cdots(n_{\sigma(1)}+n_{\sigma(2)}+\cdots+n_{\sigma(k)})} = \frac{1}{n_1n_2\cdots n_k} \end{align*}

この命題も, 次のように確率論的に証明ができます:

記号が煩雑にならないように, $k=3,n_1=a,n_2=b,n_3=c$として示す. (一般の場合も同様.)
確率変数$X_1,X_2,\cdots X_a,Y_1,Y_2,\cdots Y_b,Z_1,\cdots Z_{c}$を, $\{1,2,\cdots,a+b+c\}$の一様ランダムな順列とする.

また, 事象$E$
\begin{align*} X_1=\max(X_1,X_2,\cdots,X_a)\land Y_1=\max(Y_1,Y_2,\cdots,Y_b)\land Z_1=\max(Z_1,Z_2,\cdots,Z_c) \end{align*}
とし, $E$が成立する並び替えの個数を$2$通りの方法で求める.

長さ$a+b+c$の順列において, 最初の$a$個 ($X_1,\cdots,X_a$) のグループに注目する. このグループ内の対称性から, $X_1$がグループ内で最大となる確率は$\frac{1}{a}$である. 同様に,$Y_1$$Y$たちのグループの中で最大となる確率は$\frac{1}{b}$であり, $Z_1$$Z$たちのグループの中で最大となる確率は$\frac{1}{c}$ である.
グループたちがdisjointなので, これらの事象は独立. よって, $E$が成立する確率は, $\Pr(E)=\frac{1}{a} \cdot \frac{1}{b} \cdot \frac{1}{c} = \frac{1}{abc}$ となる.

次に, $X_1>Y_1>Z_1$と条件$E$がともに成立するような確率を求める.
並び替えを$X_1,\cdots X_a,Y_1,\cdots Y_b,Z_1\cdots,Z_c$の順番で定めることを考えると,

  • $X_1$は全体の最大($=a+b+c$)でないといけないので, 確率$\frac{1}{a+b+c}$.
  • $X_2,\cdots X_a$については制約なし.
  • $Y_1$については, 残りの$b+c$個のなかで最大でないといけないので, 確率$\frac{1}{b+c}$.
  • $Y_2,\cdots Y_b$については, 制約なし.
  • $Z_1$については, 残りの$c$個のなかで最大でないといけないので, 確率$\frac{1}{c}$.
  • $Z_2,\cdots Z_c$については, 制約なし.

よって, $X_1>Y_1>Z_1$と条件$E$がともに成立する確率は, $\displaystyle\frac{1}{(a+b+c)(b+c)c}$. 他の$X_1,Y_1,Z_1$の大小関係についても, 同様に計算ができるので,
\begin{align*} \sum_{\mathrm{sym}} \frac{1}{(a+b+c)(b+c)c}=\Pr(E)=\frac{1}{abc} \end{align*}
が成立する.

シャッフル積になじみがあるひとは,
\begin{align*} \int_{0\leq x,y,z \leq 1} x^{a-1}y^{b-1}z^{c-1} \end{align*}
を逐次積分して計算したものと, $x,y,z$に大小をつけてから積分したものの和を比較してると思ってもいいです.
(先の証明において, $X,Y,Z$$0$以上$1$以下の実数から一様ランダムにとっても同じ証明が回る. そのさい, $X_1=x,Y_1=y,Z_1=z$と置くと, 上の積分と$\Pr(E)$が自然に対応する.)

感想

多重ゼータ周りでシャッフル積を使っている部分って, このような確率論的解釈ができうるんじゃないかという気分があります. 色々考えてみたいです. (ラベル付きposetのゼータ関数があることは知っていて, ああいうのからより組合せ的本質を取り出したいです. )

参考文献

[Ho] M. E. Hoffman, Multiple harmonic series , Pacific J. Math. 152 (1992), 275–290.

投稿日:5日前
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bd
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