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現代数学解説
文献あり

Aomoto-Drinfel'dの公式

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多重ゼータ値を
ζ(k1,,kr):=0<n1<<nr1n1k1nrkr
によって定義する. インデックスにおける2以上の成分の個数を高さという. 高さ1の多重ゼータ値の母関数として, 以下の公式が知られている.

Aomoto-Drinfel'dの公式

0<a,bζ({1}a1,b+1)xayb=1Γ(1x)Γ(1y)Γ(1xy)

k=1n1(1+xk)=0rxr0<n1<<nr<n1n1nr
であることを用いると,
0<a,bζ({1}a1,b+1)xayb=xy0<nk=1n1(1+xk)n(ny)=y0<n(x)nn!(ny)=10n(x)n(y)nn!(1y)n
ここで, Gaussの超幾何定理より,
0n(x)n(y)nn!(1y)n=Γ(1x)Γ(1y)Γ(1xy)
だから, 定理を得る.

ガンマ関数は
Γ(1+x)=exp(γx+2n(1)nζ(n)nxn)
と展開できるので, 上の公式は
0<a,bζ({1}a1,b+1)xayb=1exp(2nζ(n)n(xn+yn(x+y)n))
と書くことができる. よって, 以下を得る.

高さ1の多重ゼータ値はRiemannゼータ値による多項式で表される. つまり,
ζ({1}a1,b+1)Q[ζ(2),ζ(3),ζ(4),]
である.

特別な場合として, n2に対してζ(1,n)がRiemannゼータ値によって表されることはEulerによって既に示されていたことである.

参考文献

[1]
K. Aomoto, Special values of hyperlogarithms and linear difference schemes, Illinois J. of Math., 1990, 191-216
[2]
V. G. Drinfel'd, On quasitriangular quasi-Hopf algebras and a group closely connected with $Gal(\bar{Q}/Q)$, Leningrad Math. J., 1991, 829-860
投稿日:34
更新日:34
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Wataru
Wataru
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超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

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