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競技数学解説
文献あり

PILAME杯2026 day1 P4

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はじめに

 PILAME杯本番で解けなかった問題をその日の夜に解いたので,そのときの解法を書きます.

PILAME杯2026 day1 P4

 正の整数に対して定義され正の整数値をとる関数$f$であって,任意の正の整数$m,n$に対して
$$ f(m+f(n))^2 - 4f(m)n$$
が平方数になるものを全て求めよ.

解法

 解は$f(n)=n$のみです.これを示します.以下では与式に$(m,n)=(m^{\prime},n^{\prime})$を代入したものを$P(m^{\prime},n^{\prime})$と表します.

不等式評価

 まず,平方数の離散性で不等式が立てられそうなので,これで$f(n)$についての不等式を得ます.

平方数の離散性

 正の整数$a,b$について,$a^2-4b$が平方数ならば$a \leq b+1$

 $a^2-4b$$a^2$と偶奇が等しく,かつ$a^2$未満の平方数なので$(a-2)^2$以下である.$a^2-4b \leq (a-2)^2$を整理して$a \leq b+1$を得る.

 $f(1)=c$とおく.ある正の整数$d$が存在して,任意の$n$について$f(n) \leq \dfrac{n}{c} + d$が成り立つ.

 $P(m,1)$と補題1より,$f(m+c) \leq f(m)+1$が成り立つ.これを繰り返し用いることで任意の$m,k$について$f(m+ck) \leq f(m)+k$が成り立つため,$d=\max(f(1),f(2),\ldots,f(c))$とし,$n=ck+l ~ (1 \leq l \leq c)$とおくと,
$$f(n) = f(ck+l) \leq f(l)+k \leq d+\dfrac{n}{c}$$
より示された.

 命題2だけでも色々分かりそうだと思ったのですが,何も得られなかったので別の議論をすることにしました.

素因数の議論

 なぜ素因数の議論がうまくいくかというと,次のことが分かるからです.

 $p$を奇素数とする.$m \gt f(p)$かつ$f(m)$$p$の倍数ならば,$f(m-f(p))$$p$の倍数である.

 $P(m-f(p),p)$より$f(m)^2-4f(m-f(p))p$は平方数で,かつ$p$で割り切れるので,$p^2$でも割り切れる.$p \neq 2$であるから$f(m-f(p))$$p$で割り切れる.

 これと命題2を使って$f(1)$の議論をします.以下,$f$行き先とは$\{f(n) ~ | ~ n=1,2,\ldots \}$を指します.

 $f$の行き先に含まれる素因数が無限個あれば,$f(1)=1$

 命題2より十分大きな素数に対しては$f(p) \lt p$が成り立ち,仮定より$f(m)$がそのような$p$で割り切れる$m$が存在する.命題3を繰り返し用いることで,$1 \leq m-kf(p) \leq f(p)$となるような$k$について$f(m-kf(p))$$p$の倍数,特に$p$以上になるため,命題2より
$$p \leq f(m-kf(p)) \leq \dfrac{f(p)}{c}+d \lt \dfrac{p}{c}+d$$
である.$p$はいくらでも大きくできるため,$c=1$がいえる.

 なので,$f$の行き先に含まれる素因数が無限個あることをいえば$f(1)=1$が示せます.与式には$f$がかかってない$n$があるので,それをいい感じに設定することで矛盾を導きます.

 $f$の行き先に含まれる素因数は無限個ある.

 有限個だと仮定し,それらを$p_1,p_2,\ldots,p_s$とおく.$P(1,n)$より$f(f(n)+1)^2-4cn$は平方数である.ここで$n_f$を次のように定める.

  • $k=1,2,\ldots,s$について$v_{p_k}(4cn)$が奇数となるような$n$

 このとき,$k=1,2,\ldots,s$について$v_{p_k}(f(f(n)+1)^2) \neq v_{p_k}(4cn)$であり,$v_{p_k}(f(f(n)+1)^2-4cn)$は偶数であるから,$v_{p_k}(f(f(n)+1)^2) \lt v_{p_k}(4cn)$だが,このとき$f(f(n)+1)^2 \lt 4cn$であるため矛盾する.よって示された.

 $f(1)=1$

 命題4と命題5より.

最後の詰め

 $f(1)=1$が言えたので後は簡単です.任意の$n$について$f(n)=n$ならば$f(m+f(n))^2 - 4f(m)n = (m-n)^2$なので,$n,m$が近いときの不等式を使うと良さそうだと分かります.

 任意の$n$について$f(n) \leq n$

 $P(m,1)$と補題1より,$f(m+1) \leq f(m)+1$が成り立つため,これを繰り返し用いれば良い.

 任意の$n$について$f(n) = n$

 $n=1$のときは良い.$n=1,2,\ldots,l-1$で成り立つならば$n=l$でも成り立つことを示す.
 $l$が偶数のとき,$P \big(\dfrac{l}{2},\dfrac{l}{2} \big)$より$f(l)^2-l^2 \geq 0$である.命題7とあわせて$f(l)=l$
 $l$が奇数のとき,$P \big(\dfrac{l-1}{2},\dfrac{l+1}{2} \big)$より$f(l)^2-l^2+1 \geq 0$である.命題7とあわせて$f(l)=l$
 よって示された.

 逆に,$f(n)=n$は問題の条件を満たすので,これが答えです.

おわりに

 難しかったです.自分は命題5みたいな変な数をとる議論をあまりしたことがなかったので新鮮でした.(これは想定解ではないでしょうが....)
 ここまで読んでいただきありがとうございました.

参考文献

投稿日:3日前
数学の力で現場を変える アルゴリズムエンジニア募集 - Mathlog served by OptHub

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