固有な写像の集合$\mathrm{Prop}(M,N)$は、$C^0_S(M,N)$の中で開かつ閉である。
開性は定理2.1.5そのものであるから、閉性を確認する。
(近傍の構成)
任意に$f\in \mathrm{Prop}^c(M,N)$をとる。すると、あるコンパクト$ L \subset N $で$ P = f^{-1}(L) $がコンパクトでないものが存在する。
これに対してコンパクト増大列(exhaustion)を取る事により、$x_1,x_2,…\in f^{-1}(L)$で、任意のコンパクト集合$K\subset M$に対して、$\{n|x_n\in K\}$が有限であるような列が取れる。
定め方から、各$n$に対して$f(x_n)\in L$である事に注意する。
今、各$y\in L$に対して、$N$のチャート$(\psi_y,V_y)$と開近傍$y\in O_y$を、$\overline O_y\subset V_y$かつ $\overline O_y$はコンパクトとなるように取る。
このとき$\{O_y\}$はコンパクト集合$L$の開被覆なので、有限個$O_1,…,O_s$を選んで被覆できる。
ここで、$C=\overline O_1\cup…\cup \overline O_s$とおくと、その定め方からコンパクトである。
各$n$について、$f(x_n)\in L\subset O_1\cup…\cup O_s$であるから、ある$j(n)$があって$f(x_n)\in O_{j(n)}$である。よって$\psi_{j(n)}(f(x_n))\in\psi_{j(n)}(O_{j(n)})\subset\psi_{j(n)}(V_{j(n)})$であり、小さい$\varepsilon_n>0$が存在して、$B_{\varepsilon_n}(\psi_{j(n)}(f(x_n))\subset \psi_{j(n)}(O_{j(n)})$である。
いま、列$\{x_n\}$は$M$内で局所コンパクト性より集積点をもたず、任意のコンパクト集合と有限個しか交わらないので、各$x_n$のチャート$(\phi_n,U_n)$を、族$\{U_n\}$が局所有限であるように取れる。
また、各$n$に対して$K_n=\{x_n\}$(一点集合)とおくと、$f$の基本近傍として
$\mathcal N=\mathcal N(f;\{(\phi_n,U_n)\},\{(\psi_{j(n)},V_{j(n)})\},\{K_n\},\{\varepsilon_n\}))$
がとれる。
(近傍の非固有性)
任意に$g\in \mathcal N$をとる。
その定め方から、各$n$に対して$\left\| g(x_n)-f(x_n) \right\|<\varepsilon_n$であり、$\varepsilon_n$の定め方から、$g(x_n)\in O_{j(n)}\subset C$である。
すなわち$\{x_n|n\in \mathbb N\}\subset g^{-1}(C)$が成り立つ。
もし$g$が固有なら、$C$はコンパクトなので$g^{-1}(C)$もコンパクトであり、初めの注意より$\{x_n\}$とは有限個としか交わらないものであるはずなのでこれは矛盾。
よって$g$は固有ではないため、$g\in \mathrm{Prop}^c(M,N)$。ゆえに$f\in \mathcal N\subset \mathrm{Prop}^c(M,N)$であり、よって任意の$f$にこのような開近傍がとれることから、$\mathrm{Prop}^c(M,N)$は開。すなわち$\mathrm{Prop}(M,N)$は閉。
ちなみに、なぜ$C^0$級での証明なのかというと、Proper性は完全に位相の意味での性質であって、写像の滑らかさには関係のない話だからですね。
同様の論法によって、$C^r$級でも示せる(はず)です。
さらにちょっと気になったので、弱位相でも成り立つか(つまり、固有な写像の集合$\mathrm{Prop}(M,N)$は、$C^r_W(M,N)$の中で開かつ閉である。は真か?)を考えてみたところ、これは一般には成立しなさそうです。
具体的には、たとえば$C^1_W(\mathbb R,\mathbb R)$の固有写像列$\{f_n\}$として$f_n(x)=x/n$を考えてみます。もしproperな集合が閉集合なら、$f_n\to 0$より$0$もproperなはずですが、これは明らかにproperではないです。
1.被覆写像$f:M\to N$のなす集合は$C^1_S(M,N)$の中で開である。
2.$M$と$N$が境界のない同じ次元のコンパクト多様体ならば、submersion$f:M\to N$は被覆写像である。
後半部分は単に位相論の問題なので良いとしても、前半部分は何をどうすれば????となり。「私はエン◯フィールドのLv.60管理人だぞ」と椅子の上でクネクネしながら、ドーナッツを食っていました。
(1.)
$f$は被覆写像なので、その定義から局所微分同相写像であり、特にその微分$df_x:T_xM\to T_{f(x)}N$は同型である。
よって$\dim M=\dim N$であり、$f$はsubmersionである。
submersion全体は開集合なので、ある$f$の開近傍$\mathcal N_0$で、各元がsubmersionであるものが存在する。
特に、$\dim M=\dim N$であるから、これは局所微分同相写像の集合でもある。
ここで、$f$が被覆写像であることから、$N$の局所有限な相対コンパクト開被覆$\{V_i\}$とevenly covered(均等被覆(?))な開被覆$\{W_i\}$を、$\overline V_i\subset W_i$かつ$f^{-1}(W_i)=\sqcup_{\alpha\in A_i}U_{i,\alpha}$であり、$f_{i,\alpha}=f|_{U_{i,\alpha}}:U_{i,\alpha}\to W_{i,\alpha}$が微分同相写像であるようにとれる。
必要に応じて$V_i$を縮めて、さらにその閉包を含むコンパクト集合$C_i$をえらんで、$\overline V_i\subset \mathrm{Int} C_i\subset C_i\subset W_i$となるようにする。
ここで、$K_{i,\alpha}=f^{-1}_{i,\alpha}(C_i)$とおくと、これはコンパクトであり、$f_{i,\alpha}$の取り方から$f(K_{i,\alpha})=C_i$である。
ここで、$\{K_{i,\alpha}\}$は$M$の局所有限なコンパクト集合である。
実際、任意に$x\in M$をとる。$f$は局所微分同相であるので、$x$の近傍$O$と$f(x)$の近傍$P$が存在して、$f|_O:O\to P$は微分同相写像である。
また、$\{C_i\}$は$N$で局所有限なので、$P$を十分小さくとれば、$N$が多様体なので$P$と交わる$C_i$は有限個になる。さらに、もし$P\cap C_i\neq \emptyset$なら、$P$をさらに縮めて、$P\subset W_i$となるようにできる。
この固定された$i$について、$O$は$f^{-1}(W_i)$の連結成分の高々一つとしか交わらない。したがって、$O$は有限個の$K_{i,\alpha}$としか交わらない。
ゆえに、$\{K_{i,\alpha}\}$は局所有限である。
いま、各$f_{i,\alpha}:U_{i,\alpha}\to W_i$は微分同相写像なので、特にembeddingである。$K_{i,\alpha}\subset U_{i,\alpha}$はコンパクトなので、系1.3(または定理1.4)と同様に近傍をとって、$g|_{K_{i,\alpha}}$がembedding(特に単射)であるようにできる。
よって、この性質を満たすように$f$の近傍$\mathcal N_1$が取れる。
また、$f(K_{i,\alpha})=C_i$であり、$\overline V_i\subset \mathrm{Int} C_i$であるから、$g$が$K_{i,\alpha}$上で$f$に$C^0_S(M,N)$の意味で十分近ければ、$\overline V_i\subset g(K_{i,\alpha})$が成り立つ。
$\{K_{i,\alpha}\}$が局所有限なので、よってこの性質を満たすように$f$の近傍$\mathcal N_2$がとれる。
さらに、$x \not\in f^{-1}(W_i) $ならば $f(x) \not\in W_i \supset \overline{V_i} $である。$ g $を$ f $に$ C^0_S(M,N) $の意味で十分近くとれば、$x \not\in f^{-1}(W_i) $のとき$ g(x) \not\in V_i $が成り立つ。
よってこの性質を満たすように$f$の近傍$\mathcal N_3$が取れる。
以上により、$\mathcal N=\mathcal N_0\cap\mathcal N_1\cap\mathcal N_2\cap\mathcal N_3$とおくと、これは$f$の$C^1_S(M,N)$の意味での近傍である。
最後に、各$g\in \mathcal N$をとったとき、これが被覆写像である事を示す。
$\mathcal N_3$の条件より$g^{-1}(W_i)\subset f^{-1}(W_i)=\sqcup_\alpha U_{i,\alpha}$が成り立つ。
ここで、固定した各$i$と任意の$y\in V_i$について、$\mathcal N_2$の条件より、ある$\alpha$と$x\in K_{i,\alpha}$が存在して、$y=g(x)\in g(K_{i,\alpha})$。
また、$\mathcal N_1$の条件より、$g|_{K_{i,\alpha}}$は単射なので、そのような$x$は一意に定まる。
$x\in U_{i,\alpha}$でもあるから、$x\in g^{-1}(V_i)\cap U_{i,\alpha}$。よって$y=g(x)$の任意性から、$V_i\subset g(U_{i,\alpha})$。
今、$E_{i,\alpha} = g^{-1}(V_i) \cap U_{i,\alpha} $とおく。
$g|_{U_{i,\alpha}} $は局所微分同相かつ$ V_i \subset g(U_{i,\alpha}) \subset W_i $であり、$g|_{K_{i,\alpha}} $はembedding であることから、$g|_{E_{i,\alpha}}: E_{i,\alpha} \to V_i $は全単射かつ局所微分同相となる。
よって$ g|_{E_{i,\alpha}} $は微分同相である。
異なる$ \alpha, \beta $に対しては、$E_{i,\alpha} $と$ E_{i,\beta} $の像は$V_i $の中で交わらない。($\mathcal{N}_3 $により$ g^{-1}(V_i) $の各点は$ f^{-1}(W_i) $の成分内に閉じ込められる。)
したがって$ g^{-1}(V_i) = \bigsqcup_\alpha E_{i,\alpha} $となり、各$ E_{i,\alpha} $は$ V_i $に微分同相である。
すなわち$g$は被覆写像であり、よって$g$の任意性から、$f\in \mathcal N\subset \mathrm{Cov}(M,N)$が成り立つ。
$f$は任意の被覆写像であったので、これより被覆写像の集合$\mathrm{Cov}(M,N)$は開集合である。
(2.)
標準事実「多様体間のproper local diffeomorphism(固有な局所微分同相写像)は被覆写像である」を使う。
$f$はsubmersionなので、条件$\dim M=\dim N$より、各点$x\in M$について$df_x:T_xM\to T_{f(x)}N$は同型。よって逆関数定理により、$f$は局所微分同相写像である。
また、$M$はコンパクトであるから、任意のコンパクト集合$K\subset N$に対して$f^{-1}(K)$は閉集合、すなわちコンパクトである。よって$f$は固有写像でもある。
よって標準事実により、$f$は被覆写像である。
ちなみに標準事実は、各点$y\in N$に対してproper性を使って、かつlocal diffeomorphismである事を使うと$f^{-1}(y)$は有限集合である事が言えて、あとはその有限集合の各元の近傍に良い感じの開集合をそれぞれ設定すれば、evenly coveredを構成できます。
$g:\mathbb R^n\to \mathbb R^n$が$
\lim \inf_{r\to \infty} \max_{|x|=r} |x-g(x)|/|x|<1$
を満たす連続写像ならば、$g$は全射である。
ここでは、本文中にも出てくる有名な定理「恒等写像とホモトピックな球面写像は円盤へ拡張できない」を使います。
任意に$y\in \mathbb R^n$をとって固定し、$f(x)=g(x)-y$とおく。
条件から、
$\liminf_{r\to \infty} \max_{|x|=r} |x-g(x)|/|x|< k<1$なる$k$が存在する。
ここで$\liminf$の定義から、十分大きい$r>0$をとれば、$r>|y|/(1-k)$かつ$\max_{|x|=r} |x-g(x)|/r< k$をみたすように取れる。
よって$|x|=r$のとき$|x-g(x)+y|< kr+|y|< r$を得て、すなわち$|f(x)-x|< r$が成り立つ。
いま、$f$が零点を持たないと仮定する。
このとき特に、半径$r$の閉球$\overline B_r$上で$f\neq 0$である。
したがって、$R:\overline B_r\to S^{n-1}_r$を$R(x)=rf(x)/|f(x)|$で定められて、とくにこれは連続写像である。
いま、これの境界$S^{n-1}$への制限$R|_{S^{n-1}}$を$Q(x)$として、これを考える。
境界上で$|f(x)-x|< r=|x|$が成り立っているので、任意の$t\in[0,1]$に対し$(1-t)x+tf(x)\neq 0$である。
そこで、$H:[0,1]×S^{n-1}_r\to S^{n-1}_r$を
$H(t,x)=r((1-t)x+tf(x))/|(1-t)x+tf(x)|$
で定めると、それはちょうど恒等写像$id$から$Q(x)$へのホモトピーとなっている。
しかし、定理「恒等写像とホモトピックな球面写像は円盤へ拡張できない」を考えると、$Q(x)$が円盤への拡張$R(x)$を持つことと矛盾する。
よって$f$は$\overline B_r$に零点をとる$x$をもち、よってその$x$により$g(x)=y$となる。
$y$は任意だったので、$g$は全射である。
これは有名問題すぎるので誰でもこの論法で証明しているし、$n=1$の場合は別途証明する必要があるということもよく知られていて、さらにそれは中間値の定理から示せることも広く知られているので、その辺の議論は省略します。