ループバックインタフェースは、ネットワーク機器において仮想的なインタフェースで、実際の物理ポートとは異なり、物理的な障害によってダウンすることがない「仮想インタフェース」です。このインタフェースにはいくつかの重要な存在意義があります。
ループバックインタフェースは、ネットワークデバイス(ルータやスイッチ)の一貫したIPアドレスとして設定されることがよくあります。物理インタフェースが障害でダウンすることがあっても、ループバックインタフェースは常に「稼働」しているため、管理者はそのIPアドレスを使用してデバイスを常に管理できます。
例:
ネットワーク機器に物理インタフェースがいくつも存在している場合、各インタフェースのIPアドレスがダウンすると管理アクセスができなくなりますが、ループバックインタフェースは常にアクティブな状態なので、安定した管理アクセスが可能です。
ルーティングプロトコル(OSPFやBGPなど)において、ループバックインタフェースは「安定したIPアドレス」としてよく利用されます。ルーティングプロトコルは、ルーター間で経路情報をやり取りする際、物理インタフェースの障害によって経路情報が変わることを避けるため、ループバックアドレスを使ってルーター自体を識別します。
ループバックインタフェースは、ネットワーク接続がなくてもデバイス自身のネットワーク機能をテストするためにも使われます。ループバックインタフェースに向けてpingを送信することで、デバイスが正常に動作しているか確認できます。一般的に、ping 127.0.0.1
はローカルホスト(自分自身)をチェックするために使いますが、追加のループバックアドレスを設定して、さらに複雑なテストを行うこともできます。
ループバックインタフェースは、GREトンネルやVPNといった仮想ネットワーク接続の終端アドレスとして利用されることが多いです。これにより、トンネルの開始や終了ポイントを安定した仮想インタフェースに紐付けることができ、物理インタフェースの状態に依存しない信頼性の高い接続を構築できます。