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JMO2025を解いてみた

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 解いてみました.問7あたりからあまり自信ないです.それ以前も含めて,間違っていたら指摘してもらえれば訂正します(たぶん).問11は解いたら爆発しそうです.
 著作権の関係で怒られたりしたら記事は削除します.

問1

 7の位置を固定する(当然だが中央ではない).それに隣り合う3箇所が1,2,3のいずれかになる.
 7の"反対側"に5,6のいずれかが入ると,5+6=11ができて矛盾するので,7の"反対側"は4
 以上を満たしさえすれば,条件を満たす.
 よって,7の位置が6通り,5,6の決め方が2通り,1,2,3の決め方が3!通り.かけ合わせて72通り.

問2

 2025=34×52である.
 a=3a1×5a2,b=3b1×5b2,c=3c1×5c2,d=3d1×5d2とおくと,

  • a1+b1+c1+d1=4,a2+b2+c2+d2=2
  • a1,b1,c1,d1は全て偶数か,全て奇数
  • a2,b2,c2,d2は全て偶数か,全て奇数

 (a1,b1,c1,d1)の組み合わせは11通り,(a2,b2,c2,d2)の組み合わせは4通りなので,11×4=44通り.

問3

 P8,P7,P5,P4,P2,P1の順に,4,2,4,2,4,2通りの置き方がある.
 (4×2)3=512通り.

問4

 2,3,4,5,6の最小公倍数である60を法にして考えたい問題だ.
 6で割った余りが05のときにどうなるかを考えていこう.

  • 6で割った余りが02で割った余りを考えると矛盾
  • 6で割った余りが12で割った余りを考えると矛盾
  • 6で割った余りが23で割った余りを考えると矛盾
  • 6で割った余りが32で割った余りが1であり,4で割った余りが1or3になるため矛盾
  • 6で割った余りが4,5はもう少しきちんと議論する.

(i)6で割った余りが4
 2で割った余りが03で割った余りが1がまず確定し,これによって,4で割った余りが2でなければならず,5で割った余りが3でなければならない.
 60n+58型の数であれば,これらをすべて満たす.
(ii)6で割った余りが5
 2で割った余りが13で割った余りが2がまず確定し,これによって,4で割った余りが3でなければならない.5で割った余りは0,4のいずれかならよい.
 60n+35,60n+59型の数であれば,これらをすべて満たす.

 1000=60×16+60なので,960(=60×16)までに条件を満たす数が16×3=48個存在し,あと995が条件に当てはまるので,全てで49個である.

問5

 QDCQBA,PBCPDAである.
 相似比は内接円の半径の比に一致するので,BC=5x,AD=6xCD=y,AB=2yと置ける.
 さらに,四角形ABCDは内接円を持つのでAB+CD=BC+DAである.
 よって11x=3yであり,求めたい比は
BCCD=5xy=1511

問6

 任意のnに対してan,bnの少なくとも一方が常に偶数であることが必要条件である.
(特に,一方が奇数で他方が偶数であれば条件を満たすことは,わかりやすいだろう.)

 以下,正整数x2で割り切れる回数をv2(x)で表す.(例えばv2(2025)=0,v2(10)=1,v2(65)=5である.)
 条件を満たす必要十分条件を考えるために,いくつかの例を考えてみよう.

(i)v2(an)=v2(bn)=k>0の場合
(わかりづらければ,an,bnがともに4の奇数倍である場合を考えてみよ)
 このとき,v2(an+1)=v2(bn+1)=k1となる.よって何度か繰り返すとv2(aN)=v2(bN)=0となり,どこかで整数でなくなるため矛盾.

(ii)v2(an)=k+1,v2(bn)=kの場合
(わかりづらければ,an4の奇数倍,bn2の奇数倍の場合を考えてみよ)
 このとき,v2(an+1)=k,v2(bn+1)k+1とすることができる.

(iii)v2(an)k+2,v2(bn)=kの場合
(わかりづらければ,an8の奇数倍,bn2の奇数倍の場合を考えてみよ)
 このとき,v2(an+1)=v2(an)1,v2(bn+1)=kとすることができる.

 以上の議論から,v2(a1)v2(b1)であれば条件を満たす.

  • 一方がv2(1)=0を満たす場合…2×20×20=800通り.
  • 一方がv2(1)=1,他方がv2(1)2を満たす場合…2×10×10=200通り.
  • 一方がv2(1)=2,他方がv2(1)3を満たす場合…2×5×5=50通り.
  • 一方がv2(1)=3(こちらが8,24,40),他方がv2(1)416,32)を満たす場合…2×3×2=12通り.
  • 一方がv2(1)=4(つまり16),他方がv2(1)532)を満たす場合…2×1×1=2通り.

 以上を足し合わせて,1064通りである.

問7

 1ターンで,ある1行を全て使うことができるので,最短は20ターンである.それより少ないターンでゲームを終了できないことの証明は任せる.
 これから考えなければならないことは,20ターンにわたる{An}の選び方が何通り存在するか,である.
 まず毎ターン,いずれかの行を使い切らなければならない.ここで,一番上の行を使い切るような{An}の選び方を考えよう.考えて見ると,以下のことがわかる.

  • {An}は左上隅のマスを含まなければならない.
  • {An}は左端の列のうち,上から連続したいくつかを選ぶことができる.

 ここで,{An}が左端の列のうち,上から連続したk(1)個を選んだとしよう.
 k=1,30の場合は,単純に「20行あったものが19行に減る」と考えればよい.
 問題はkがそれ以外の場合である.このとき,上から2列目の行を使い切る{An(2)}の選び方を考えてみよう.{An(2)}は左から2列目のマス目を最大でk1個までしか選べないことがわかるだろう.これより多く選んでしまうと,20ターンで終わらせることが不可能だからである(図を描いてみよ).
 つまり最初の{An}によって,20×25のマス目は,(k1)×24のマス目と(20k)×25のマス目に分割されたと考えられる.

 ここで一般に,縦iマス,横j(>i)マスのマス目を,条件を満たすような{An}で区分けする場合の数をCiとしよう.条件j(>i)から,この場合の数はjによらないことに注意せよ.
 先ほどの議論から,

Ci+1=Ci+Ci1C1+Ci2C2+C1Ci1+Ci

となることがわかる.C1=1より,これがカタラン数であることを知っていれば,

Cn=(2n)!(n+1)!n!

だとわかる.もしカタラン数を知らなければ,Cnを小さい順に求めて推測することも可能である(後述).
 いま求めたいものは,C2020!倍である(Cnは区分けの仕方であり,それらに順に120を割り振らなければならなかった).
 よって解答は40!21!

カタラン数の一般項の推測
 Cnを順に求めていくと,1,2,5,14,42,132,429となる.
 最初の方の階差数列を取ると,1,3,9,28,90となって3nが関係しているように見えなくもないが,次の階差が297であることを見て,この方針は撤退すべきである.
 一応階差の階差も取ってみよう.2,6,19,62,207で意味不明である.往生際悪く,もう一度だけ階差を取ってみよう.4,13,43,145…これはやめた方が良い.

 次なる選択肢はCn+1Cnを観察することである.
 最初から順に,21,52,145,31,227,134である.
 ここで,分母に57があることに注目すれば,次のように変形することが思い浮かぶだろう.

63,104,145,186,227,268

 これより,

Cn=261014(4n2)234(n+1)=2n1357(2n1)(n+1)!=2n(2n)!(n+1)!2462n=2n(2n)!(n+1)!2nn!=(2n)!(n+1)!n!

問8

 問題文の3個目の条件がわかりづらい.jを固定すると,ai+ak2の中で最大のものはaj1+an2である.少し実験してみると,

a2an2,a3a2+an23an4,a4a3+an27an8

である.どうも2べきが関係しているようだ.
 もう少し実験を続けよう.例えば

  • 0,1,2
  • 0,2,3,4
  • 0,4,6,7,8
  • 0,8,12,14,15,16
  • 0,16,24,28,30,31,32

などは美しい列である.では,a2=5だとどうなるだろうか.a2an2を思い出して,an=10としたくなる(例えば次の数列)
0,5,7,9,10
 しかし,
0,5,7,8,9
でも条件を満たしていることに気付いてほしい.
 このあたりで,次の予想が立つ.

  • 2ka2<2k+1であれば,美しい列の長さの最大値はk+3である.
  • 美しい列の作り方として,
    ani=an2i1
    とする方法がある.

 この予想に従って問題を解いてみよう.
 210<2025<211より,美しい列の長さの最大値は13である.そして美しい列の具体例として,

0,2025,2025+512,2025+512+256,,2025+1024

を思いつくが,果たしてこれでよいか.必ずしもa2=2025である必要はない.そのことに気付けば,次のような改案が得られる:

0,20571024,,205732,,20572,20571,2057

(この例を考えるには,2025+2c>2048を満たすようなcが存在しないかと考えればよい.)
 一応これが最小であることを確かめておこう.2べきを使った典型的な美しい例をして,次の数列がある:
0,1024,1536,1792,1920,1984,2016,2032,2040,2044,2046,2047,2048
2025を含む数列にするためには,20169を加えるのが最も近道であり,a7+32aNよりaN2057 である.

 予想が正しいことは,(自分でも証明していないのだが)疲れてきたので割愛する.

問9

 AGが円ABCの直径となるように点Gを取り,ADと円ABCの交点をH(A)とする.
 BAD=CAG=90°Bであり,AFE=ADE=Bである.このことから,

  • ABCAFE
  • AOEF

がわかる.さらに,
EAD=CAG,DAO=GAH,OAF=HAB
より,五角形AEDOFと五角形ACGHBの相似もわかる.この相似において点Pと点Dも対応していることから,相似比を1:tと置くと,AD=11t,AG=11t2だとわかり,AO=11t22である.
 ADO に三平方の定理を適用して,t=27711を得る.これより,AD=277,AO=14である.

 ここからはEFの長さを求めにいこう.ADの中点(つまりは円の中心)をQEFの中点をMAOの中点をNとおく.
 QM=NP=4であり,QE=77なので,EM=61.よってEF=261である.

問10

 以下,合同式はすべて9を法として考えている.
 まず(0,0,0)を代入してみたくなる.

9|f(0)f(0)f(f(0))

 これでは,どうもそんなに役立ちそうにない(ここから続けるならf(0)=aとおいたときa2f(a)がわかるが,その後が続かない…よね?).

 そこで,(0,a,a)を代入してみよう.これも自然な代入である.

9|f(0)f(a)f(f(a))f(0)f(a)f(f(a))(1)

 一見役立ちそうにない式だが,もしあるaSf(a)=0を満たすならば0f(0).すなわちf(0)=0であることがわかる(これはa=0を意味しているわけではないことに注意せよ).
 以下,f(0)=0の場合を考えよう.式(1)より任意のaSに対してf(f(a))=0である.
 このあたりで,役立つ別の式がほしい.そこで,(x,y,z=a,a,2a)を代入した式を考えてみよう.なお,a=5のときは2a=101と考える等,臨機応変に9を法として読んでほしい.

f(a)2f(f(2a))(2)

 この式は一見使いづらいが,任意の2aSに対してaS1:1対応で存在するので,f(f(a))=0と非常に相性がいい.つまり,任意のaSに対してf(a)20という結論を得る.もう少しわかりやすい形にすれば,f(a)0,3,6のいずれかである.
 ここまでの結果をまとめると,f(x)f(y)f(f(z))も常に0と合同なので,問題文の条件は十分満たしている.
 以下,f(3),f(6)の値によって場合分けを考えよう.

  • f(3)=f(6)=0の場合
     1,2,4,5,7,8の行き先は0,3,6のいずれもよい.よって63=216通り.
  • f(3)=6,f(6)=0の場合
     1,2,4,5,7,8の行き先は0,6のいずれかである.よって62=36通り.
  • f(6)=3,f(3)=0の場合
     上と同様.36通り.
  • これ以外の場合はf(f(a))0となるa=3or6が存在するので不適.

 ここまでで,f(a)=0を満たすaSが存在する場合は終わった.次に,f(a)0 for any aSの場合である.
 まず式(2)より,任意のaに対してf(f(a))=1,4,7である(式(2)2aを改めてaと置き直している).特にあるbSが存在してf(b)=1,4,7だ.ここで(x,y,z)=(x,b,x+b)を考えるとf(x)f(b)f(f(x+b))となる.両辺の3で割った余りを考えることで,任意のxSに対してf(x)=1,4,7を得る.
 さあゴールは近そうだ.あとはf(0)の値で場合分けしてみよう.

  • f(0)=1の場合
     式(1)よりf(a)=f(f(a))であり,特にa=0を代入することでf(1)=1を得る.
     次に(x,y,z)=(a,1,a+1)を考えると,f(a)=f(f(a+1))=f(a+1)となるので,結局f1である.
  • f(0)=4の場合
     式(1)を使って,f(4)=7,f(7)=1,f(1)=4がわかる.
     式(2)a=2を代入してf(2)=1がわかり,式(2)a=1を代入して矛盾を得る.
  • f(0)=7の場合
     式(1)を使って,f(7)=4,f(4)=1,f(1)=7がわかる.
     式(2)a=2を代入してf(2)=4がわかり,式(2)a=1を代入して矛盾を得る.

 以上から,条件を満たすfの個数は216+36×2+1=289通り.

投稿日:114
更新日:115
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