スカラーの幾何積をスカラー倍もしくはスカラー乗法と定義しました。そのため、スカラー乗法の単位元である$1$は幾何積の単位元になります。
$1u = u = u1$
単位元があるということは逆元もあります。ベクトル$u$について$u^{-1} = u/u^2$と定めるとこのベクトルは逆元になります。
$u^{-1}u = 1 = uu^{-1}$
ここではベクトル$u$に限定しましたが、その平方が$0$でないスカラーであれば逆元が存在します。そのため、平方が$0$ではないスカラーとなることを可逆と呼びましょう。
幾何積を内積と外積で表す2式がありました。
$$ \begin{align*} uv &= u \cdot v + u \wedge v \\ vu &= u \cdot v - u \wedge v \\ \end{align*} $$
$v$を可逆なベクトルとします。$v^{-1}$と上記2式から$uvv^{-1} = u$と$v^{-1}vu = u$を求めます。
$$ \begin{align*} u &= (u \cdot v)v^{-1} + (u \wedge v)v^{-1} \\ u &= v^{-1}(u \cdot v) - v^{-1}(u \wedge v) \\ \end{align*} $$
$u \cdot v$はスカラーなのでベクトル$v^{-1}$との幾何積はベクトルのスカラー倍になります。そのため、$(u \wedge v)v^{-1}$と$- v^{-1}(u \wedge v)$もベクトルになります。つまり、$u$は2つのベクトルの和で表されたということになります。
ここで$u_{\parallel}$と$u_{\bot}$を次のように定めます。
ベクトル$u$について、可逆なベクトル$v$によってベクトル$u_{\parallel}$とベクトル$u_{\bot}$を
$$
\begin{align*}
&u_{\parallel} = (u \cdot v)v^{-1} = v^{-1}(u \cdot v) \\
&u_{\bot} = (u \wedge v)v^{-1} = - v^{-1}(u \wedge v) \\
\end{align*}
$$
と定める。
当然ですが、このとき
$$
u = u_{\parallel} + u_{\bot}
$$
が成り立ちます。この記法を選んでいる理由は、次が成り立つからです。
$u_{\parallel}$は$v$と平行、$u_{\bot}$は$v$と直交する。
というのは定義から以下が成り立つからです。
$$
\begin{align*}
u_{\parallel}v &= u \cdot v = v u_{\parallel}\\
u_{\bot}v &= u \wedge v = -v u_{\bot}
\end{align*}
$$
$v$と可換・反可換になります。かつ、結果が内積・外積になる。そのため、この分解は$u$というベクトルを$v$の平行成分$u_{\parallel}$と直交成分$u_{\bot}$に分解したということです。
内積は平行成分、外積は直交成分という幾何的な意味も分かりました。