$g\ \cdots$重力加速度$\ \ [ms^{-2}]$
$x$軸$\ \cdots$斜面に沿って上から下に引いた軸
$x_0\ \cdots$物体の最下点の座標$\ \ [m]$
$m\ \cdots$物体の質量$\ \ [kg]$
$x\ \cdots$物体のx軸方向位置$\ \ [m]$
$v\ \cdots$物体のx軸方向速度$\ \ [ms^{-1}]$
$a\ \cdots$物体のx軸方向加速度$\ \ [ms^{-2}]$
$k\ \cdots$バネ定数$\ \ [kgs^{-2}]$
$t\ \cdots$初期時刻からの経過時間$\ \ [s]$
$\theta\ \cdots$斜面の角度$\ \ [rad]$
$const\ \cdots$「時間によらず一定の数」の意味で用いられる。この記事では力学的エネルギーを表す。
角度$\theta$の滑らかな斜面上に質量$m$の物体がバネに繋がれている。この時の物体の運動について考える。
斜面に沿って、高い方から低い方に$x$軸を取る。また、バネの自然長における地点を$x$軸の原点とする。
この時、$x$軸方向の運動方程式は
$$ma = mgsin\theta - kx$$
この運動方程式より導かれるエネルギー保存は
$$\frac{mv^2}{2}-mg(x-x_0)sin\theta+\frac{kx^2}{2}=const\ \ \cdots (1)$$
※重力の位置エネルギーの基準は最下点$x_0$で取る。
一つの具体例としてバネの自然長の位置で静かに物体を離した時を考えると、初期条件は$x(0)=0,v(0)=0$となる。
エネルギー保存の式(1)を用いると
(i)初期時刻にて:$x(0)=0,v(0)=0$が満たされるので、
$$\ \ \ \ \ \ \frac{m\cdot 0^2}{2}-mg(0-x_0)sin\theta+\frac{k\cdot 0^2}{2}=const$$
$$\Leftrightarrow mgx_0sin\theta=const\ \ \cdots(2)$$
(ii)最下点$x=x_0$にて:$v=0$が満たされるので、
$$\ \ \ \ \ \ \frac{m\cdot 0^2}{2}-mg(x_0-x_0)sin\theta+\frac{k x_0^2}{2}=const$$
$$\Leftrightarrow \frac{k x_0^2}{2}=const\ \ \cdots (3)$$
よって、(2)(3)より$\displaystyle mgx_0sin\theta = \frac{kx_{0}^2}{2} \Leftrightarrow x_{0}=\frac{2mgsin\theta}{k}\ \ \cdots (4)$
(3)の$x_0$に(4)を代入して$\displaystyle const=\frac {2m^2g^2sin^2\theta}{k}\ \ \cdots (5)$となる。(※(3),(4)ではなく (2),(4)を用いてもよい)
エネルギー保存則(1)を改めて書き直す。(4),(5)より$x_0, const$を(1)に代入する事で以下を得る。
$$\ \ \ \ \ \frac{mv^2}{2}-mg(x-\frac{2mgsin\theta}{k})
sin\theta+\frac{kx^2}{2}=\frac {2m^2g^2sin^2\theta}{k}$$
$$\Leftrightarrow \frac{mv^2}{2}-mgx
sin\theta+\frac{kx^2}{2}=0\ \ \cdots (6)$$
振幅は最も物体が大きく振れている座標を2つ求めてそれを2で割れば良い。
振幅が最も振れている時は速度について$v=0$が成立するが、それは今の場合$x=0,x_0=\displaystyle \frac{2mgsin\theta}{k}$で満たされる。
よって振幅はこれの半分で$\displaystyle \frac{2mgsin\theta}{k} \div 2 =\frac{mgsin\theta}{k}$
振動中心の座標は、初期地点$x=0$と$x_0=\displaystyle \frac{2mgsin\theta}{k}$の中間地点$\displaystyle x=\frac{mgsin\theta}{k}$である。この地点での速度はエネルギー保存則(6)に$\displaystyle x=\frac{mgsin\theta}{k}$を代入して
$$\ \ \ \ \ \frac{mv^2}{2}-\frac{m^2g^2
sin^2\theta}{k}+\frac{m^2g^2sin^2\theta}{2k}=0$$
$$\Leftrightarrow \frac{mv^2}{2}=\frac{m^2g^2sin^2\theta}{2k}$$
$$\Leftrightarrow v^2=\frac{mg^2sin^2\theta}{k}$$
$$\Leftrightarrow v=\pm \sqrt{\frac{m}{k}}gsin\theta$$
速さは$\displaystyle |v|=\sqrt{\frac{m}{k}}gsin\theta$