この記事は 表現論アドベントカレンダー の23日目です.
タイトルの通りです. 具体的には$\SL_2(\mathbb{F}_p)$の表現について考えていきます. 本当はモジュラー表現を用いて有限群論の定理を証明する話でも書こうかと思ったのですが, まだ勉強が追い付いてないので諦めました.
以下$p$を奇素数とします.
$\SL_2(\mathbb{F}_p)$ の共役類とその大きさをもとめる.
$A,B\in \SL_2(\mathbb{F}_p)$ が共役なら, $A$と$B$の固有多項式は等しい. よって, 各固有多項式ごとに何個共役類があるかみる.
以下$A=\begin{pmatrix}
a & b\\
c & d
\end{pmatrix}\in \SL_2(\mathbb{F}_p)$とし,$A$の最小多項式を$f(X)=X^2-tX+1$とする.
任意に$v\in\field{p}^2$をとる. $P=(v,Av)\in GL_2(\field p)$なら,
$
PAP^{-1}=
\begin{pmatrix}
0 & -1\\
1 & t
\end{pmatrix}
$
となる. ($A^2v=-t(Av)+v$に注意せよ. ) あとは$P\in \SL_2(\mathbb{F}_p)$となるように$v$がとれればよい. $v= \begin{pmatrix}
x \\
y
\end{pmatrix} $とすると, $\det P= \det\begin{pmatrix}
x & ax+by\\
y & cx+dy
\end{pmatrix}=cx^2+(d-a)xy-by^2=:f(x,y)$となる. この二次形式の判別式は$(d-a)^2+4bc=(d+a)^2+4(bc-da)=t^2-4\neq 0$なので($\tr A=t,\det A=1$に注意せよ), $f(x',y')=a'x'^2+b'y'^2,a'b'\neq0$ という形に平方完成できる. この$f$が$1$をとることを言えばよい. これは$S=\{1-a'x^2|x\in\field p\}, T=\{b'y^2|y\in\field p\} $として, $\#S=\#T=\frac{p+1}{2}$より, $S\cap T\neq \emptyset$となることから従う.
よって, このとき, $A\sim\begin{pmatrix}
0 & -1\\
1 & t
\end{pmatrix}$がわかった.
このときの共役類の大きさを求める.
このとき, 共役類の代表元として$B=\begin{pmatrix} \alpha & 0\\ 0 & \alpha^{-1} \end{pmatrix} $ もとれる. このとき, $Z(B)=\SL_2(\mathbb{F}_p)\cap T^2$がわかるので, 共役類の大きさは$\#\SL_2(\mathbb{F}_p)/\#Z(B) = p^2+p$.
$B\in \SL_2(\mathbb{F}_p)$で, $B$の固有多項式が$X^2-tX+1$であるようなものを求めればよい. $B$の$(1,1)$成分を決めると, トレースが$t$であることから,$(2,2)$成分が自動的にきまり, 行列式が$1$なことから, $(1,2)$および$(2,1)$成分は$p-1$択に決まる. よって, $p^2-p$個.
このとき, $(A-I_2)^2=0$.
$A=I_2$なら共役類はこれだけ. $A\neq I_2$なら, $0\neq v\in\ker (A-I_2)$と$(A-I_2)w=v$となる$w$がとれる.
適当に$s\in\field p$をとれば, $Q=(v,sw)\in\GL_2(\field p)$とでき, このとき$Q^{-1}AQ=
\begin{pmatrix}
1 & s\\
0 & 1
\end{pmatrix}
$
いつ$
\begin{pmatrix}
1 & s\\
0 & 1
\end{pmatrix}
$と$
\begin{pmatrix}
1 & s'\\
0 & 1
\end{pmatrix}
$が同じ共役類に入るかみる.
$
X
\begin{pmatrix}
0 & s\\
0 & 0
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
0 & s'\\
0 & 0
\end{pmatrix}
X
$
なら, 辺々比較し, $x_{12}=x_{21}=0, s'x_{22}=sx_{11}$.
$
X\in \SL_2(\field p)
$となるためには, $x_{11}x_{22}=1$が必要. よって, $s's^{-1}=x_{11}^2$の必要. 逆にたどればこれで十分なこともわかる.
よって, このとき, 同値類として
$\begin{pmatrix}
1 & 0\\
0 & 1
\end{pmatrix},
\begin{pmatrix}
1 & 1\\
0 & 1
\end{pmatrix},
\begin{pmatrix}
1 & u\\
0 & 1
\end{pmatrix}
$(ただし$u$は非平方.)の3つがとれる.
$I_2$の共役類は明らかに1個. $B=\begin{pmatrix}
1 & 1\\
0 & 1
\end{pmatrix}$のとき, $Z(B)=\begin{pmatrix}
\pm 1 & \ast \\
0 & \pm 1
\end{pmatrix}$(複合同順)となるので, $B$を含む同値類は$\frac{p^2-1}{2}$個. もう一つの場合も同様.
$A$のかわりに$-A$を考え,
$\begin{pmatrix}
-1 & 0\\
0 & -1
\end{pmatrix},
\begin{pmatrix}
-1 & -1\\
0 & -1
\end{pmatrix},
\begin{pmatrix}
-1 & -u\\
0 & -1
\end{pmatrix}$(ただし$u$は非平方.)の3つあることがわかる.
得られた結果をまとめる.
$\SL_2(\field p)$の同値類は以下の$p+3$個.
$\begin{pmatrix}
0 & -1\\
1 & t
\end{pmatrix}(t\not\equiv \pm2)
$,$\pm I_2,\pm\begin{pmatrix}
1 & 1\\
0 & 1
\end{pmatrix},\pm\begin{pmatrix}
1 & u\\
0 & 1
\end{pmatrix}. $
最初の場合, $t=\alpha+\alpha^{-1}$と書けるときは共役類の大きさは$p^2+p$. 書けないときは$p^2-p$. $\pm I_2$の共役類の大きさは$1$. 最後の2個の共役類の大きさは$\frac{p^2-1}{2}$.
この節では有限群のモジュラー表現の一般論を述べる. 証明については気が向いたら載せます. (今回使うのは, 簡単なところだけなので, 参考文献をちょっと読めば載ってます.)
以下$G$を有限群とし, $\#G=p^am,(m,p)=1$と置く.
$K:=\mathbb{Q}_p(\zeta_m)$, $R:=\mathbb{Z}_p[\zeta_m]$,$\pi:=p\in R$,$F:=R/\pi R$とする.
$R$は$\pi R$を極大イデアルとする離散完備付置環であり, $F$は有限体となる.
別にここまで$(K,R,F)$をstrictに決めなくてもよく, 上に上げたこと+ $\zeta_m\in K$くらいの条件があれば同様の議論ができる.
自然数$n$に対して, $\C_n(\subset \C)$を$1$の$n$乗根全体とする. 単射群準同型$\star: \C_m\to F^{\times}$を$(e^{\frac{2\pi i}{m}})^{\star}=\overline{\zeta_m} $となるように定める. $\omega:\mathrm{Im}(\star)\to \C_m$を$\star$の逆写像とする.
$x\in G$が$p'$元であるとは, $x$の位数が$p$と互いに素であることを指す. $G$の$p'$元全体の集合を$G_{p'}$と置く.
群準同型$\phi:G\to \GL_n(F)$をモジュラー表現と呼ぶ.
$g\in G_{p'}$を任意にとる. $g$の位数を$l$と置くと, $\phi(g)^l=\phi(g^l)=1$が成立する. よって, $\phi(g)\iso \diag(\alpha_1,\alpha_2,\cdots ,\alpha_n)$ となる$\alpha_i$がとれる. このとき, $G$のモジュラー指標$\chi:G_{p'}\to \C$を
$$
\chi(g)=\sum_{i=1}^n \omega(\alpha_i )
$$
と定める. ($l\mid m$なので, $\alpha_i$は$\omega$の定義域に入る. )
$\phi(h)\iso \phi(g^{-1}hg)$となるので, $\chi$が類関数であることがわかる.
$f_1,f_2:G_{p'}\to \C$に対して, 内積$\inpr{f}{g}$を次で定める:
$$
\inpr{f_1}{f_2}=\sum_{g\in G_{p'}} f_1(g)\overline{f_2(g)}.
$$
$G$の既約モジュラー表現(の同型を除いた代表元)の指標を$\phi_1,\phi_2,\ldots,\phi_l$とし,
$G$の主直既約モジュラー表現(の同型を除いた代表元)の指標を$\eta_1,\eta_2,\ldots,\eta_{l'}$とし,
$G$の通常既約表現(の同型を除いた代表元)の指標を$\chi_1,\chi_2,\ldots,\chi_k$とする.
このとき, 次が成立する:
証明は参考文献参照.
自然数$n$に対し, $V_n$を$F[X,Y]$の$n-1$次斉次部分とする. すなわち, $V_n=\bigoplus_i FX^iY^{n-1-i}$とする. この$V_n$を次の作用で$\SL_2(\field p)$-moduleとしてみる.
$(\begin{pmatrix}
a & b\\
c & d
\end{pmatrix}f)(x,y)=f(ax+by,cx+dy)
$
要するに$\field p^2\iso FX\oplus FY$への自然な作用を$F[X,Y]$に伸ばして, これを次数ごとにみてるわけですね.
$1\leq i\leq p$なら,$V_i$は既約. 逆に, $\SL_2(\field p)$の$K$上の既約表現はこれらでつくされる.
conjより,$\SL_2(\field p)$の$p'$共役類は$p$個. よって既約モジュラー表現も$p$個. $K$上の次元を見ることで, 明らかに$i\neq j$なら$V_i$と$V_j$は同型でない. よって, あとは$V_i$の既約性のみ言えばよい.
$V_n$の部分加群$U\neq0$を任意にとる. $U=V_j$を示せばよい. $0\neq f\in U$を$\deg_x f$が最小になるようにとる. (ここで, $\deg_x$は$x$の多項式としての次数.) $f\neq cY^n$として矛盾を導く. このとき, $\begin{pmatrix} 1 & 1\\
0 & 1
\end{pmatrix}f(x,y)-f(x,y)=f(x+y,y)-f(x,y):=g\in U$. よって, $f(X,Y)=cX^mY^{n-1-m}+(\text{lower term})$とすると, $g(X,Y)=mcX^{m-1}Y^{n-m}+(\text{lower term})$. よって, $\deg_x g=m-1<\deg_x f$となり, $\deg_x f$の最小性に矛盾. (ここで, $m\neq 0$に$n\leq p$を用いた.)
よって, $f=cY^{n-1}$となり$Y^{n-1}\in U$がわかる. 相異なる$\alpha_1,\alpha_2,\ldots \alpha_{n}\in F$をとる.
任意の$i$に対し, $\begin{pmatrix} 1 & \alpha_i \\
0 & 1
\end{pmatrix} Y^{n-1}=(Y+\alpha_i X)^n \in U$. ここで, $(Y+\alpha_i X)^{n-1}(i=1,\ldots,n)$は$K$上線形独立なので(Vandermondeの行列式), $U=V_n$がわかる.
次に, $V_i$のモジュラー指標を求める.
$A\in \SL_2(\field p)_{p'}$とする. $A\sim\begin{pmatrix} \alpha & 0 \\ 0 & \alpha^{-1} \end{pmatrix}$ となる$\alpha\in F$をとり, $\zeta^{\star}=\alpha$ となる$\zeta\in \C_{p^2-1}$をとる. (ここでの$\sim$は$GL_2(K)$内での共役を表す.) このとき, $V_i$のモジュラー指標を$\phi_i$とすると, $\phi_i(A)=f_i(\zeta):=\frac{\zeta^{i}-\zeta^{-i}}{\zeta-\zeta^{-1}}$ . とくに$\phi_i(A)\in \mathbb{R}$.
$\psi_1(A)$の固有ベクトル$f,g\in V_1$を, $\psi_1(A)f=\alpha f,\psi_1(A)g=\alpha^{-1}A$ となるようにとる. このとき, $\psi_i(A)$の固有ベクトルとして, $f^{i-1},f^{i-2}g,\ldots,f^1g^{i-2},g^i$がとれ, $\psi_i(A)\sim\diag(\alpha^{i-1},\alpha^{i-3},\ldots,\alpha^{3-i},\alpha^{1-i})$となる. よって, $\phi_i(A)=\sum_j \zeta^{i-1-2j}$.
$\bar{f_i(\zeta)}=f_i(\bar{\zeta})=f_i(\zeta^{-1})=f_i(\zeta)$となるので, $f_i(\zeta)\in \R$.
$\psi:\SL_2(\field p)\to GL_n(K)\text{ or } GL_n(F)$を$\SL_2(\field p)$の(通常 or モジュラー)表現とする.
$\psi(-I_2)=I_n$のとき$\psi$を奇, $\psi(-I_2)=I_n$のとき偶と呼ぶ.
また, $G_p$or $G$から$\C$への類関数$\chi$に対して, $\chi(-A)=-\chi(A)$のとき, $\chi$を奇, $\chi(-A)=\chi(A)$のとき偶と呼ぶ.
奇(resp. 偶)な表現の指標は奇(resp. 偶). また, 任意の直既約表現$\psi$は奇か偶となる. 実際, $-I_2\in \mathrm{Z}(\SL_2(\field p))$より, $V=\ker(\psi+1)\oplus \ker(\psi)$となり, $V$の直既約性よりどっちかが$0$, どちらかは$V$となる.
また, $\chi$が偶な類関数,$\psi$が奇な類関数のとき, $\inpr{\chi}{\psi}=0$となる.
$\C_n(\subset \C)$を$1$の$n$乗根全体とする. $\zeta\in C_{p-1}\cup C_{p+1}$に対して, $A_{\zeta}\in\SL_2(\field p)$を, $\GL_2(\field p)$で$A_{\zeta}\sim \diag(\zeta,\zeta^{-1})$となるようにひとつとり, 以下固定する.
$a,b$を$p$以下の正整数とする.
$\inpr{\phi_a}{\phi_b}= \begin{cases}
\min(a,b)+\max(a+b-p,0)-\frac{2ab}{p} & a\equiv b \pmod{2}\\
0 & a\not\equiv b\pmod{2}
\end{cases} $
以下$\pmod 2$を省略する.
$a,b$を$p$以下の正整数とする. $\phi_a(-A)=(-1)^a\phi_a(A)$なので, $a\not\equiv b$なら$\inpr{\phi_a}{\phi_b}=0$がわかる.
$a\equiv b$とする. 以下計算を行う. conj(とくに共役類の個数), char(とくに, $\phi_i(A)\in\R$なので内積で複素共役をとらなくてよい), および上の注意に注意すると, (与式)$=$
\begin{align}
&=(p^3-p)^{-1}
\Bigl(\phi_a(I_2)\phi_b(I_2)+\phi_a(-I_2)\phi_b(-I_2)
+(p^2+p)\sum_{\zeta\in \C_{p-1};\Im(\zeta)>0}(\phi_a(A_{\zeta})\phi_b(A_{\zeta}))
+(p^2-p)\sum_{\zeta\in \C_{p+1};\Im(\zeta)>0}(\phi_a(A_{\zeta})\phi_b(A_{\zeta}))\Bigr)\\
&=(p^3-p)^{-1}
\Bigl(f_a(1)f_b(1)+f_a(-1)f_b(-1)
+\frac{p^2+p}{2}\sum_{\zeta\in \C_{p-1};\zeta\neq\pm 1}(f_a(\zeta)f_b(\zeta))
+\frac{p^2-p}{2}\sum_{\zeta\in \C_{p+1};\zeta\neq\pm 1}(f_a(\zeta)f_b(\zeta))\Bigr)\\
&=(p^3-p)^{-1}
\Bigl((1-\frac{p^2+p}{2}-\frac{p^2-p}{2})(f_a(1)f_b(1)+f_a(-1)f_b(-1))
+\frac{p^2+p}{2}\sum_{\zeta\in \C_{p-1}}(f_a(\zeta)f_b(\zeta))
+\frac{p^2-p}{2}\sum_{\zeta\in \C_{p+1}}(f_a(\zeta)f_b(\zeta))\Bigr)\\
&=-\frac{2ab}{p}
+\frac{1}{2(p-1)}\sum_{\zeta\in \C_{p-1}}(f_a(\zeta)f_b(\zeta))
+\frac{1}{2(p+1)}\sum_{\zeta\in \C_{p+1}}(f_a(\zeta)f_b(\zeta))
\end{align}
となる.
また, $$\frac{1}{n}\sum_{\zeta\in\C_n} {\zeta^i}=
\begin{cases}
1 && i\equiv 0\pmod{n}\\
0 && i\not\equiv 0\pmod{n}
\end{cases}
$$である.
$a,b$が$p$かどうかで場合分けを行う. 以下, 多項式$f\in \C[X]$の$X^n$の係数を$f[X^n]$とかく.
$\pm 1\not=\zeta\in \C_{p+1}$なら$f_p(\zeta)=-1$であり,
$\pm 1\not=\zeta\in \C_{p-1}$なら$f_p(\zeta)=1$であり,
$f_p(\pm 1)=p$である. よって, もとの$\inpr{-}{-}$の定義にもどると,
$$
\begin{align}
&\inpr{\phi_a}{\phi_b}\\
&=(p^3-p)^{-1}\bigl(1\cdot p^2+1\cdot p^2+(\frac{p^2+p}{2}(p-3))\cdot 1^2+(\frac{p^2-p}{2}(p-1))\cdot (-1)^2\bigr)
&=\frac{2p}{p^2-1}+(\frac{1}{2}-\frac{1}{p-1})+(\frac{1}{2}-\frac{1}{p+1})=0
\end{align}
$$
となるのでよい.
このとき, $(f_af_b)(X)$は$X$のローラン多項式として, $a+b-2$次から$-a-b+2$次の項しかでない. 特に, $2p-2$次以上, および$-2p+2$次以下の係数はすべて$0$. よって, $f_af_b$が$X$と$X^{-1}$の入れ替えで対称なことに注意して,
\begin{align}
&-\frac{2ab}{p}
+\frac{1}{2(p-1)}\sum_{\zeta\in \C_{p-1}}(f_a(\zeta)f_b(\zeta))
+\frac{1}{2(p+1)}\sum_{\zeta\in \C_{p+1}}(f_a(\zeta)f_b(\zeta))\\
&=-\frac{2ab}{p}
+2^{-1}((f_af_b)[X^{-p+1}]+(f_af_b)[X^0])+(f_af_b)[X^{p-1}])
+2^{-1}((f_af_b)[X^{-p-1}]+(f_af_b)[X^0])+(f_af_b)[X^{p+1}])\\
&=-\frac{2ab}{p}+(f_af_b)[X^0]+(f_af_b)[X^{p-1}]+(f_af_b)[X^{p+1}]\\
&=-\frac{2ab}{p}+\min(a,b)+\max(\frac{a+b-p-1}{2},0)+\max(\frac{a+b-p+1}{2},0)\\
&=-\frac{2ab}{p}+\min(a,b)+\max(a+b-p,0).
\end{align}
ここで, $a\equiv b\pmod{2}$より, $p-1< a+b< p+1$とならないことを最後の等式に用いた.
$p$未満の正整数$a,b$に対し, $c'_{a,b}:=\inpr{\phi_a}{\phi_b}$とする. このとき, $2c'_{a,b}+c'_{a,p-1-b}+c'_{a,p+1-b}=\delta_{a,b}$.
とくに, $C=\sum_{i=1}^{p-1} (E_{i,i}+E_{i,p-1-i}+E_{i,p+1-i})+E_{p-1,p-1}\in M_n(\Z)$とすると, $C$はカルタン行列.
ただし$1\leq i\leq p,1\leq j \leq p$でないときは $E_{i,j}=0$とする.
まず, 前半を示す. $a\not\equiv b$なら自明. 以下$a\equiv b$とする. $h(x,y)=-\frac{2xy}{p}+\min(x,y)+\max(x+y-p,0)$と置く. このとき,
$
\begin{align}
& h(x,p-y)\\
&=-\frac{2x(p-y)}{p}+\min(x,p-y)+\max(x-y,0)\\
&=(-2x+\frac{2xy}{p})+(x+\min(0,p-x-y))+(x+\max(-y,-x))\\
&=-\frac{2xy}{p}-\max(0,x+y-p)-\min(y,x)=-h(x,y)
\end{align}
$.
よって, innerprodより, $2c'_{a,b}+c'_{a,p-1-b}+c'_{p+1+b}=2h(a,b)-h(a,b+1)-h(a,b-1)$. これが$\delta_{a,b}$と等しいことを示したい.
また, $a=b$と$b-1< a< b+1$は同値. よって,
$\max(a,b-1)+\max(a,b+1)=2\max(a,b)+\delta_{a,b}$.
$a\equiv b\pmod{2}$より, $p-1< a+b< p+1$とならない. ゆえに,
$\min(a+b-1-p,0)+\min(a+b+1-p,0)=2\min(a+b-p,0)$.
この等式をあわせ,$h(x,y)=-\frac{2xy}{p}+\min(x,y)+\max(x+y-p,0)$を思い出すと $h(a,b)+h(a,b-1)-2h(a,b+1)=\delta_{a,b}$がわかる. これで前半がわかる.
後半を示す. $C':=(\inpr{\phi_a}{\phi_b})_{a,b}\in M_n(\Z)$とすると, $C=C'^{-1}$となることを示せばよい. これは, 上の等式と, innerprodより$\inpr{\phi_p}{\phi_a}=\delta_{a,p}$となることからわかる.
$\SL_2(\field p)$の通常既約表現(の同値類)の指標は次ですべて尽くされる.
$\mathbb{1}$: $1$
$\chi_p$: $\chi_p|_{G_{p'}}=\phi_p$を満たす.
$\chi^{\pm}_{\frac{p\pm 1}{2}}$(複合任意): $\chi^{\pm}_{\frac{p\pm 1}{2}}|_{G_{p'}}=\phi_{\frac{p\pm 1}{2}}$を満たす.
$\chi_{p\pm 1}^{i,j}(i+j=p\pm 1,i< j< p)$:$\chi_{p\pm 1}^{i,j}|_{G_{p'}}=\phi_i+\phi_j$.
さらに, それぞれの指標は次のようになる.
$\varepsilon I$ | $A_{\zeta}(\zeta\in\C_{p-1}\setminus\{\pm 1\})$ | $A_{\zeta}(\zeta\in\C_{p+1}\setminus\{\pm 1\})$ | $\varepsilon(1+dE_{1,2})$ | |
---|---|---|---|---|
$\mathbb{1}$ | $1$ | $1$ | $1$ | $1$ |
$\chi_p$ | $p$ | $1$ | $-1$ | $0$ |
$\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}$ | $ \varepsilon^{\frac{p-1}{2}}\frac{p-1}{2}$ | $0$ | $-\zeta^{\frac{p+1}{2}}$ | $\varepsilon^{\frac{p-1}{2}}\cdot\frac{1}{2}\left(1\pm\jac{d}{p}\sqrt{p^*} \right)$ |
$\chi^{\pm}_{\frac{p+1}{2}}$ | $\varepsilon^{\frac{p-1}{2}}\frac{p+1}{2}$ | $\zeta^{\frac{p-1}{2}}$ | $0$ | $\varepsilon^{\frac{p-1}{2}}\cdot\frac{1}{2}\left(1\pm\jac{d}{p}\sqrt{p^*} \right)$ |
$\chi^{i,j}_{p-1}$ | $\varepsilon^i(p-1)$ | $0$ | $-(\zeta^{i+1}+\zeta^{-(i+1)})$ | $-\varepsilon^i$ |
$\chi^{i,j}_{p+1}$ | $\varepsilon^i(p-1)$ | $(\zeta^{i-1}+\zeta^{-(i-1)})$ | $0$ | $\varepsilon^i$ |
ただし, $\jac{d}{p}$はルジャンドル記号,$p^*=(-1)^{\frac{p-1}{2}}p$.
まず, 前半部分を示す.
(要するに$DD^{t}=C$から$D$を復元しているだけなので, 証明読むよりも下の$p=11$のときの$C$と$D$をみて自分で手を動かしたほうがよいと思います)
$
C=
\begin{pmatrix}
2 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0\\
0 & 2 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 1 & 0\\
0 & 0 & 2 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 1 & 0 & 0\\
0 & 0 & 0 & 2 & 0 & 1 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0\\
0 & 0 & 0 & 0 & 3 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0\\
0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 3 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\
0 & 0 & 1 & 0 & 1 & 0 & 2 & 0 & 0 & 0 & 0\\
0 & 1 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 2 & 0 & 0 & 0\\
1 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 2 & 0 & 0\\
0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 2 & 0\\
0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1
\end{pmatrix}
$.
$D= \begin{pmatrix} 0 &1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\ 0 &0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\ 0 &0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\ 0 &0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\ 0 &0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 1 & 1 & 0 & 0 & 0\\ 0 &0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 1 & 1 & 0\\ 0 &0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\ 0 &0 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\ 0 &0 & 1 & 0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\ 1 &0 & 0 & 1 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0\\ 0 &0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 0 & 1\\ \end{pmatrix} $
$DD^t=C$および$D\in M_2(\Z_{\geq 0})$から$D$が列の入れ替えを除いて一意に定まることを見る. $D$の$i$行目を$v_i$とする.
$DD^t=C$より, $\inpr{v_i}{v_j}=c_{ij}$. $\inpr{v_i}{v_i}<4$より, $v_i$の各成分は$0$か$1$. $i,j<\frac{p}{2},i\neq j$に対して, $\inpr{v_i}{v_j}=0$となる. よって, 適宜$D$の列を入れ替えて, $v_i=e_{2i}+e_{2i+1}(i<\frac{p-1}{2}), v_{\frac{p-1}{2}}=e_{p-1}+e_{p}+e_{p+1}$とできる.
$\inpr{v_{\frac{p+1}{2}}}{v_i}=c_{\frac{p+1}{2},i} =3\delta_{\frac{p+1}{2},i}+\delta_{\frac{p-3}{2},i}$となる. よって, $v_{\frac{p+1}{2}}=e_a+e_b+e_c$と書け, かつ$a,b,c$のうちちょうど一つが$\{p-2,p-3\}$に入り, のこりの二つは$\{1,p+2,p+3,p+4\}$に入る. ゆえに, 適宜列を入れ替え, $v_{\frac{p+1}{2}}=e_{p-3}+e_{p+1}+e_{p+2}$とできる.
同様の議論を繰り返し, $\frac{p+1}{2}< i< p$に対し,$v_i=e_{2p-1-2i}+e_{2p+2-2i}$とでき,すると$v_p=e_{p+4}$. ($i=p-1$は若干別処理がいるので注意. )
さて, $D$の$i$列目を$w_i$と置くと, この$w_i$が(通常)既約表現をモジュラー表現に落としたときの重複度となる.
$w_1=e_{p-1}$で, これは$\chi_{p-1}^{0,p-1}$に対応.
$w_2=e_{1}$で, これは$\mathbb{1}$に対応.
$w_{2k}=v_k+v_{p-1-k}$となり, $\chi_{p-1}^{k,p-1-k}$に対応.
$w_{2k-1}=v_k+v_{p+1-k}$となり,$\chi_{p+1}^{k,p-1-k}$に対応.
$w_i=e_{\frac{p-1}{2}}$となり, $\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}$に対応.
$w_i=e_{\frac{p+1}{2}}$となり, $\chi^{\pm}_{\frac{p+1}{2}}$に対応.
$w_i=e_p$で$\chi_p$に対応.
のこりは指標を求めるのみ.
1.
$\chi_p(A_{\zeta})=f_p(\zeta)$.
$\zeta=\pm 1$なら, $f_p(\zeta)=p$.
$\zeta\in\C_{p-1}\setminus\{\pm 1\} $なら, $f_p(\zeta)=\frac{\zeta^p-\zeta^{-p}}{\zeta-\zeta^{-1}}=\frac{\zeta^1-\zeta^{-1}}{\zeta-\zeta^{-1}}=1$.
$\zeta\in\C_{p+1}\setminus\{\pm 1\} $なら, $f_p(\zeta)=\frac{\zeta^p-\zeta^{-p}}{\zeta-\zeta^{-1}}=\frac{\zeta^{-1}-\zeta^{1}}{\zeta-\zeta^{-1}}=-1$.
さて, $\inpr{\chi_p}{\chi_p}=1=\inpr{\phi_p}{\phi_p}$であり, $\chi_p|_{G_p'}=\phi_p$. よって, $\inpr{-}{-},\inpr{-}{-}$の定義を思い出すと, $\chi_p$は$G_p'$の外では$0$の必要がある.
$\chi^{i,j}_{p-1}(A_{\zeta})=f_i(\zeta)+f_{p-1-i}(\zeta)$.
$\zeta=\pm 1$なら, $=(\pm 1)^i (p-1)$.
$\zeta\in\C_{p-1}\setminus\{\pm 1\} $なら, $=(\zeta-\zeta^{-1})^{-1}(\zeta^i-\zeta^{-i}+\zeta^{p-1-i}-\zeta^{-p+1+i})=(\zeta-\zeta^{-1})^{-1}(\zeta^i-\zeta^{-i}+\zeta^{-i}-\zeta^{i})=0$.
$\zeta\in\C_{p+1}\setminus\{\pm 1\} $なら, $=(\zeta-\zeta^{-1})^{-1}(\zeta^i-\zeta^{-i}+\zeta^{p-1-i}-\zeta^{-p+1+i})=(\zeta-\zeta^{-1})^{-1}(\zeta^i-\zeta^{-i}+\zeta^{-i-2}-\zeta^{i+2})=-\zeta^{i+1}+\zeta^{-i-1}$
のこりは$\varepsilon(1+dE_{1,2})$での値である. 表現の偶奇を考えて, $1+dE_{1,2}$についてのみ考えればよい.
さて, $d\in\field p$に対して, $\SL_2(\field p)$の自己同型$\sigma_d$が$A\mapsto \diag(d,1)\cdot A\cdot \diag(d^{-1},1)$と定まる.
よって, 指標とその表現を同じ文字で表すと, $\chi^{i,j}_{p-1}\circ \sigma_d$も既約表現となる. さて, 指標$\chi^{i,j}_{p-1}\circ \sigma_d$を$G_p'$に制限すると, $\phi_i+\phi_j$に一致する. この定理の前半より, そのような既約表現の指標は$\chi_{i,j}^{p-1}$に限られる.
よって, 表現として, $\chi^{i,j}_{p-1}$と$\chi^{i,j}_{p-1}\circ \sigma_d$は同型.
$\chi^{i,j}_{p-1}(1+E_{1,2})\sim\diag(\zeta_1,\zeta_2,\ldots,\zeta_{p-1})$(ただし$\zeta_i\in\C_p$)と置く. すると, 上で述べたことから, 任意の自然数$d\not\equiv 0\pmod{p}$に対し,
$\diag(\zeta_1,\zeta_2,\ldots,\zeta_{p-1})\sim \diag(\zeta_1^d,\zeta_2^d,\ldots,\zeta_{p-1}^d)$となる.
このようなことが起こるのは, $\{\zeta_1,\zeta_2,\ldots,\zeta_{p-1}\}$が多重集合として$\{1,1,\ldots,1\}$,もしくは$\{\exp(\frac{2\pi\sqrt{-1}}{p}),\exp(\frac{4\pi\sqrt{-1}}{p}),\ldots \exp(\frac{2(p-1)\pi\sqrt{-1}}{p}) \}$)と等しいときのみ.
ゆえに,$\chi^{i,j}_{p-1}$は$p-1$か$-1$のいずれか.
さて,$\inpr{\phi_i+\phi_j}{\phi_i+\phi_j}=c'_{ii}+c'_{ij}+c'_{ji}+c'_{jj}=\frac{p-2}{p}$である. $p'$元でない$\SL_2(\field p)$の元が$2(p^2-1)$個あることと合わせて,$\frac{p-2}{p}+\frac{2(p^2-1)}{p^3-p}\lvert \chi^{i,j}_{p-1} (1+E_{1,2}) \rvert^2=1$. よって,$\chi^{i,j}_{p-1}$は$-1$となる.
上とほぼ同様.
$\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}(A_{\zeta})=f_{\frac{p-1}{2}}(\zeta)$.
$\zeta=\pm 1$なら, $f_{\frac{p-1}{2}}(\zeta)=(\pm 1)^{{\frac{p-1}{2}}}{\frac{p-1}{2}}$.
$\zeta\in\C_{p-1}\setminus\{\pm 1\} $なら, $f_{\frac{p-1}{2}}(\zeta)=\frac{\zeta^{{\frac{p-1}{2}}}-\zeta^{-{\frac{p-1}{2}}}}{\zeta-\zeta^{-1}}=0$.
$\zeta\in\C_{p+1}\setminus\{\pm 1\} $なら, $
f_{\frac{p-1}{2}}(\zeta)=
\frac{\zeta^{{\frac{p-1}{2}}}-\zeta^{-{\frac{p-1}{2}}}}{\zeta-\zeta^{-1}}=
\frac{\zeta^{{\frac{p-1}{2}}}-\zeta^{{\frac{p+3}{2}}}}{\zeta-\zeta^{-1}}=-\zeta^{\frac{p+1}{2}}.
$.
$r$を$\pmod p$での平方非剰余とし, 以下固定する.
$\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}(1+E_{1,2})\sim\diag(\zeta_1,\zeta_2,\ldots,\zeta_{\frac{p-1}{2}})$と置く.
任意の$d\not\equiv 0\pmod p$に対し, $\diag(\zeta_1,\zeta_2,\ldots,\zeta_{\frac{p-1}{2}})\sim\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}(1+E_{1,2})\sim\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}(1+d^2E_{1,2})\sim\diag(\zeta_1^{d^2},\zeta_2^{d^2},\ldots,\zeta_{\frac{p-1}{2}}^{d^2}) .$
このようなことがおきるのは, $\{\zeta_1,\zeta_2,\ldots,\zeta_{\frac{p-1}{2}}\}$が多重集合として$\{1,1,\ldots,1\}$,もしくは$\{\exp(1^2\cdot\frac{2\pi\sqrt{-1}}{p}),\exp(2^2\cdot\frac{2\pi\sqrt{-1}}{p}),\ldots \exp((\frac{p-1}{2})^2\cdot\frac{2\pi\sqrt{-1}}{p}) \}$, もしくは$\{\exp(1^2\cdot\frac{2r\pi\sqrt{-1}}{p}),\exp(2^2\cdot\frac{2r\pi\sqrt{-1}}{p}),\ldots \exp((\frac{p-1}{2})^2\cdot\frac{2r\pi\sqrt{-1}}{p}) \}$と等しいときのみ.
よって, ガウス和の理論から, $\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}(1+E_{1,2})$は$\frac{p-1}{2}$か$\frac{1}{2}(-1\pm \sqrt{p^*})$. $\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}(1+rE_{1,2})$についても同様.
ここで, $\chi^{\pm}(1+E_{1,2})+\chi^{\pm}(1+rE_{1,2})=-1$が成立する(複合同順). これを示す:
$0=\inpr{\mathbb{1}}{\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}}=\inpr{\phi_1}{\phi_{\frac{p-1}{2}}}+\frac{p^2-1}{p^3-p}\chi^{\pm}(1+E_{1,2})+\frac{p^2-1}{p^3-p}\chi^{\pm}(1+rE_{1,2})$.
よって, $c'_{1,\frac{p-1}{2}}=\frac{1}{p}$から従う.
$0=\inpr{\chi^{1,p-2}_{p-1}}{\chi^{\pm}_{\frac{p-1}{2}}}=\inpr{\phi_1+\phi_{p-2}}{\phi_{\frac{p-1}{2}}}-\frac{p^2-1}{p^3-p}\chi^{\pm}(1+E_{1,2})-\frac{p^2-1}{p^3-p}\chi^{\pm}(1+rE_{1,2})$.
よって,$c'_{1,\frac{p-1}{2}}+c'_{p-2\frac{p-1}{2}}=\frac{1}{p}-\frac{2}{p}=-\frac{1}{p}$より従う.
ゆえに, $\chi^{\pm}(1+E_{1,2})+\chi^{\pm}(1+rE_{1,2})=-1$がわかった. $\chi^+\neq\chi^-$となるためには, (必要なら$\chi^{+}$と$\chi^{-}$を入れ替え), $\chi^{+}_{\frac{p-1}{2}}(1+dE_{1,2})=\frac{1}{2}(-1+\jac{d}{p}\sqrt{p^*})$, $\chi^{-}_{\frac{p-1}{2}}(1+dE_{1,2})=\frac{1}{2}(-1-\jac{d}{p}\sqrt{p^*})$となるしかない.
上とほぼ同様.