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第10回和田杯解説その2

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ねたばれあるぜー。

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xy平面上においてある点が良い点であるとは,その点のx座標とy座標が共に1以上n以下の正整数であることを指すものとする.N匹のウサギが(1,1)から(n,n)まで,良い点から良い点への移動のみで移動する.また,ウサギは今いる良い点よりx座標とy座標の少なくとも一方が小さい点には移動できないものとする.このとき,任意の1ijn1kln(i,k)(j,l)をみたす整数i,j,k,lに対して,(i,k)から(j,l)へ移動したウサギが存在したという.ウサギの匹数としてありえる最小値を求めよ.

(雑)

ある良い点の組が良い組であるとは,一方の点からもう一方の点にウサギが移動できることをいう.
直線l:x+y=n+12について,ウサギは一度この直線を超えると戻ってくることはできない.したがってこの直線をまたぐような良い組の数を考えるとそれはウサギの匹数以下である.
(ここの計算をしたくないので読者の課題とし,その組数をf(n)とする.)
任意のlより下の点について,一方がその点であるような良い組のうち,「その点の方が右上側にあるものの数」は「lをまたぐ物の数」以下であるため,(lより上の点についても同様に行えば,)f(n)が最小値であることが従う.

f(n)の計算がずっと合わなかった

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nを正の整数,aを整数としたとき,
d|nadϕ(nd)d|nadμ(nd)  (mod n)
が成立することを示せ.

円周上に並んでいるn個の点をa色で塗り分ける方法であって,回転させてできるn通りの塗り分け方が全て異なるものがいくつあるか考えればうまくいきます.

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非負整数の組(a,b,c)であって,
(abcabab)(acbc)(bbca)=8abc
をみたすものをすべて求めよ.

飛び道具を多用していきます.

abc=0のとき
  • c=0 abab0でさえあればa0b0=0より式を満たす.よってa,bはどちらも0またはどちらも2以上.
  • c0,b=0 (1ca)ac(1ca)=0よりa=0またはc=1
  • b,c0,a=0 bb1=0よりb=1

以下a,b,cは正とする.
0でない整数n2以上の整数xについてvx(n)nxで割り切れる回数を表すとする.
両辺にca+bをかけて考える.(abca+bcab)(acbc)(bbca)=8abca+b+1

gcd(a,b)=d,a=a0d,b=b0dとする.
このとき8a0b0ca+b+1d2(a0cb0c)の倍数.
c3とするとジグモンディーの定理より例外({a0,b0}={1,2},c=6)を含めてa0cb0ca0,b0,cのいずれとも互いに素な奇素数pを持つ(例外の場合はp=7)ので,右辺がpで割り切れるためにdpの倍数となる.
vp(LHS)vp(acbc)>vp(dc)=cvp(d)>2vp(d)=vp(RHS)
となってしまうので,解無し.したがってc2とわかる.

両辺をca+bでかける前の状態に戻す.

c=1とすると,(ab1)(ab)(bb1)=8ab.正負を考えてa>b

  • b3 LHS(a31)(271)>13a3>8a2>RHS
  • b=2 (a1)(a+1)(a2)3=16aよりa3の倍数.
    a=3は代入すると違うのでa6
    LHS5(a+1)43=60aより解無し.

したがってc=2


b=1とすると正負から明らかに矛盾.
a=1とすると正負からbb<cである必要があるが,b1よりbb4>2=cより矛盾.
よってa,b2以上で,ababは非負.

(ab2abab)(a+b)(ab)(bb2a)=16ab
a,bの大きい方が3なら小さい方は2で,a+b=516ab=96の約数でないので大きい方は4以上.
よってカタラン予想より|ab2abab|,|bb2a|は共に2以上で,もし偶数ならどちらも4の倍数になる(v2()を考える)のでいずれも3以上.
そしてa+b6

もしa<bならbb2a>bbbabb116ab<16b2であるため35bb1<16b2となり,これを満たすのはb<4のみ.
なぜならb4では15bb115bb2>16b2であるから.
しかしa,bの大きい方は4以上であるから,解無しとなる.
よってa>b
3(a2b2)316abよりa8+1459b<73bである.


もしab>2ababならblog2a>ababよりlog2a>a1ab>a103であるから10.1a>2103a>2a
a9のとき2a=(1+1)a>2a+a(a1)+2=a(a+1)+2>10.1aで,a=8,7,6も満たさない(式は略)のでa<6a4以上なのでa=4,5
正負を考えてbb>2aである.

  • a=4 bb>16よりb3で,a>bからb=3.しかしそうするとa+b16abを割り切らないためダメ.
  • a=5 bb>32よりb4で,a>bからb=4.しかしそうするとa+b16abを割り切らないためダメ.

故にab<2abab.したがって正負からbb<2a
よってblog2b<a<73bより,b<273であるから,b=2,3,4,5
bb<2a,3a<7bより(a,b)=(3,2),(4,2),(5,3),(6,3),(9,4)
このうちa+b16abを割り切るのは(a,b)=(5,3),(6,3)(a,b)=(6,3)2abb=3716abを割り切らないのでみたさない.
a=5,b=3は式を満たすので,(a,b,c)=(5,3,2)

12(再)

正の整数の組(x,y,n)であって,
xy!+yx!=2024n
をみたすものをすべて求めよ.

対称性よりxyとしよう.
y=1ならx=2024n1だ.
x,yがいずれも2以上の場合を考える.
xy!,yx!はどちらも平方数で,平方数を11で割った余りは0,1,3,4,5,9のいずれかであるため平方数の和が11の倍数になるためにはその平方数がいずれも11の倍数でなければならない.
(フェルマーの二平方和定理とか平方剰余の第一補充法則とか使うのが王道,フェルマーの小定理から示してもよい.)
したがってx,yはいずれも11の倍数なので11以上.
フェルマーの小定理よりxy!+yx!0,1,2(mod 5)であるため,nは偶数である.
したがってxy!=(2024n/2yx!/2)(2024n/2+yx!/2)2024n/2+yx!/2>yx!/2
ここでx=yなら左辺の2で割れる回数が3の倍数でないことから矛盾するためx>y.よって
x>yx!2y!yx/211x/2x2>11xである.
二項定理を用いて展開すればすぐに矛盾が導かれるので,解無し.

Part3予告

問題10の初期解について書いていく予定です.

投稿日:2024723
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Hola_6
Hola_6
18
1993
誰にも読まれず棚の底に沈めた手紙は手紙と呼べるのだろうか。

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