はじめに
分数型の漸化式というのはのような形をしたものを指すらしいです.
解説サイトを見ていた時に唐突にとおいて方程式を解いていたことに腹が立ち,このような手法を用いずに一般項を求める方法を紹介するとともに公式化しようと思い,こうして記事にしようと思いました.
条件
今回考える漸化式はとして,となるが存在すれば数列は第項目までとします.
また,とします.の場合は公式の見やすさのため割愛しました.よければ計算してみてください.
解法
漸化式から,となるような数列が存在します.この4つの数列の一般項を求めることができれば,数列の一般項はとなります.
より,ある0でない実数が存在して
となります.少し計算するとわかるようには最終的に約分されて消えるのでで良いでしょう.また,2つの連立漸化式を見比べたときに初項が異なるだけだとわかるので,第1式のみを考えます.
となります.
となるように複素数をとると次のように式変形できます.
同様にして,
を得ます.これらはのときでも成り立ちます.の条件から
とわかるので,よりです.
さて,
とわかりました.第1式から第2式を引いて両辺をで割ることで,以下の式を得ます.
また漸化式から,
とわかります.ここでなので,それぞれ代入して
となります.これで各数列の一般項を求めることができました.最後に仕上げです.
のときを考えると,
となりでも成り立ちます.
以上のような一般項の求め方はとても自然で難しくありません.まとめると次のようになります.
分数型の漸化式の一般項
数列が漸化式で与えられているとする.
を満たすように複素数をとったとき,なら数列の一般項は
である.
最後に
一般項はの満たす性質を用いてもう少し変形することができます.
となります.この式はの場合にも対応しており(実際,としてとおくととなり,これは漸化式の一般項になっている)とても便利なのですが,式の見やすさの観点から敢えてそのままにしました.
ここまで読んでいただきありがとうございます.