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現代数学解説
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【相対論】Petrov分類1

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Petrov分類の記事一覧

 Petrov分類とはWeylテンソルの分類で、歴史的にはPetrov分類はCartanによる4次元Lorentz多様体のWeylテンソルの分類が始まりのようです。その後、Petrov、Penroseら(他にもたくさん)により相対論における有用なツールとなりました。Petrov分類は相対論を本格的に勉強すると必ず出会う概念の一つなので相対論を学ぶ者にとっての一つの試金石です。現在では4次元Lorentzに限らず4次元Riemannや4次元Neutoral metricや高次元にもPetrov分類の類似が考えられています。この記事では4次元Lorentz多様体のPetrov分類について解説します。

 Petrov分類の論じ方は数種類あります。Petrov分類が論じられている教科書は多くありますが、概念的に何をやっているのかよく分からなかったりします。おそらく最も概念的にすっきりするのはWeylテンソルのJordan標準形を使った議論です。Jordan標準形は線形写像の分類論なので、これを使うとWeylテンソルが"分類された感"を得られます。ただこの方法は代数的なので幾何学的な理解を得にくいというデメリットもあります(私が頭悪いだけで賢い人は自明につながりを見出せるのかもしれないが)。

 Jordan標準形での議論はまた別の記事にまとめる予定ですが、この記事では代数的な明瞭さを少々犠牲にする代わりに"null断面曲率"を使う幾何学寄りの方法を解説します。またこの方法はnull tetradを使う方法であり実際に4次元時空の分析をするときにPetrov分類を使いやすい定式化であると思います。

Weylテンソル

 Weylテンソルはn(>2)次元擬リーマン多様体の共形不変なテンソルで、
Wabcd=Rabcd1n2(gacRbdgadRbc+RacgbdRadgbc)+S(n1)(n2)(gacgbdgadgbc)
と与えられます。特徴は1番目aと3番目cのindexを縮約するとW  bada=0となることです。このためリーマンテンソルのtracefree partとも呼ばれます。indexの入れ替えに関してリーマンテンソルと同じ対称性を持ちます。
Wabcd=Wabdc=WbacdWabcd=WcdabWabcd+Wacdb+Wadbc=0

なぜPetrov分類を考えるのか

 Weylテンソルの定義式を見れば分かるように、時空の幾何学を決めるリーマンテンソルはRicciテンソルとWeylテンソルに分解されます。相対論だとEinstein方程式からRicciテンソルが決まりますし、相対論でない文脈でもRicciテンソルに関する条件を課すことが多いです。しかし4次元以上ではRicciテンソルだけではリーマンテンソルが決まらないのでRicciテンソルに対する条件だけでは時空の幾何学的性質を考察することが困難です。そこで時空がWeylテンソルが0、すなわちconformally flatの幾何とWeylテンソルが最も一般的な状態の幾何の間のどの状態にあるのかを指定できれば非常に便利です。conformally flatな状態とWeylテンソルが一番汚い状態の中間状態を4種類に分けて定義したのがPetrov分類です。

Weylテンソルのself-dual, anti self-dual分解

 WeylテンソルをHodge dualの固有空間で分解することを考えます。Hodge dual:Λ2TpMΛ2TpM2=1を満たすのでΛ2TpMの複素構造を定め、の固有値±iに対応した固有空間をU±とすると、Λ2TpMC=U+Uと分解できます。U+の元をself-dual、Uの元をanti self-dualと呼びます。

 TpMのo.n.b.を{e0,e1,e2,e3}とし、
k:=(e0+e3)/2l:=(e0+e3)/2m:=(e1ie2)/2
と置くと、
U+:=SpanC{mk, m¯l, lkmm¯}U:=SpanC{m¯k, ml, lk+mm¯}
となることが計算すれば分かります。また分解U+Uが直交直和分解であることも分かります。

 Λ2TpMで複素化した空間をV=(Λ2TpM,)とすると、P±:=(1i)/2:VU± は複素ベクトル空間としての全単射写像であり、さらにP±=iP±が成り立つので、複素同型写像となります。またU+Uは複素共役同型であることも分かります。さらに基底の対応としては、
P+(2e1k)=mkP+(2e1l)=m¯lP+(2e3e0)=lkmm¯
となることも単純な計算で分かります。基底{2e1k,2e1l,2e3e0}と基底{mk,m¯l,lkmm¯}に関する計量はそれぞれ
(020200004), (010100002)
となることから、P+がscale factor=2の相似写像であることも分かります。

 Weylテンソルのindexの対称性を考えると、W     cdabΛ2TpMΛ2TpMという線形写像と見なせます。この写像をWと書くことにします。そして、このときW=Wが成り立つことが分かるので(appendix)、W:VVは複素線形写像と見なせます。

 またWを複素線形に拡張してΛ2TpMC上の写像と見なせば、U±はそれぞれWの不変空間となるので、W=W+Wと分解されます。W±をWeylテンソルのself-dual/anti self-dual partと呼びます。

W:VV, P+:VU+, W+:U+U+P+W=12(1i)W=W+P+となるので、テンソル表現空間として(W,V)(W+,U+)C同型となります(同様に(W,V)(W,U)は共役C同型)。従って本質的にはself-dual partの情報のみでWeylテンソルは理解できることになります。

Weylスカラー

 4次元ではWeylテンソルは実10次元(複素5次元)の自由度があります。これを確認するために5つの複素数としてWeylスカラーΨi (i=0,1,2,3,4)
Ψ0=W(k,m,k,m),Ψ1=W(k,l,k,m),Ψ2=W(k,m,m¯,l)Ψ3=W(l,k,l,m¯),Ψ4=W(l,m¯,l,m¯)
で定義します。Weylスカラーを使って他の成分は表せることを見るには以下のようにします。まずWeylテンソルがtracefreeなので
W(k,x,l,y)+W(l,x,k,y)+W(m,x,m¯,y)+W(m¯,x,m,y)=0
が成り立ち、x,yを適当に選ぶと
W(k,m,k,m¯)=W(l,m,l,m¯)=W(k,m,l,m)=0W(l,k,l,k)=Ψ2Ψ¯2W(m,m¯,m,m¯)=Ψ2Ψ¯2W(k,m,m¯,m)=Ψ1W(l,m¯,m,m¯)=Ψ3
が分かり、またBianchi恒等式W(k,l,m,m¯)+W(k,m,m¯,l)+W(k,m¯,l,m)=0より、
W(k,l,m,m¯)=Ψ2+Ψ¯2
が分かります。これより{kl,km,km¯,lm,lm¯,mm¯}に関する成分を行列表示すると
W=(klkmkm¯lmlm¯mm¯klΨ2Ψ¯2Ψ1Ψ¯1Ψ¯3Ψ3Ψ2+Ψ¯2kmΨ000Ψ2Ψ1km¯Ψ¯0Ψ¯20Ψ¯1lmΨ¯40Ψ¯3lm¯Ψ4Ψ3mm¯Ψ2Ψ¯2)
となります。

 またWがself-dual/anti self-dual分解されることは一般論から分かりますが、基底{mk, m¯l, lkmm¯,m¯k, ml, lk+mm¯}に関して成分を計算すると
W=(Ψ2Ψ42Ψ3000Ψ0Ψ22Ψ1000Ψ1Ψ32Ψ2000000Ψ2Ψ42Ψ3000Ψ0Ψ22Ψ1000Ψ1Ψ32Ψ2)
となることが分かります。

self-dual null plane

 WeylテンソルはU+上の振る舞いが分かれば完全に理解できることが分かりました。U+の元mk, m¯lなどは||mk||2=||m¯l||2=0を満たします。このように2形式β||β||2=0を満たすとき、βはnull planeと呼ばれます。今βは複素2形式なのでTpMCの2次元の断面を指定していると理解できます。このPetrov分類の幾何学的なアイデアはこのself-dual null planeに関する"Weyl断面曲率"を考えることです。

 通常の断面曲率は
K(X,Y)=R(X,Y,X,Y)||XY||2
なので、null plane XYに対して、この式のRを単にWに置き換えたものをWeylテンソルの特徴量的なものとして使うことはできません。ちなみに、この事情により定曲率でないLorentz多様体の断面曲率は非有界となります。そこでnull planeに対しては単にW(X,Y,X,Y)を断面曲率の代替物として考えます。しかし同じnull planeを指定するX,Yは2次一般線形群で変換する自由度があり、X=aX+bY, Y=cX+dYとするとき、W(X,Y,X,Y)=(adbc)2W(X,Y,X,Y)となります。よってnull planeの"Weyl断面曲率"は0かどうかだけが意味を持ちます。

 Petrov分類を幾何学っぽく一言で言うと、「self-dual null planeで"Weyl断面曲率"が0になるものがどれぐらいあるか」をWeylテンソルの特徴量として分類するというものです。

 U+β=mk+Am¯l+B(lkmm¯)と表せるとしてよいので、これがnull planeになるためには、||β||2=2B2+2A=0なので、B=zCと置くと、
βz=mk+z2m¯l+z(lkmm¯)=(m+zl)(kzm¯)
となります。z=のとき、β=m¯lと見なせば、self-dual null planeはzC{}=S2をパラメータとする族βzで表されることが分かりました。

 self-dual null planeの重要な性質として以下の命題があります。

self-dual null planeの標準形

任意のself-dual null plane βU+に対して、適当なnull tetrad {m,m¯,l,k}があり、β=mkとなる。

 self-dual null plane βU+に対して、β~Vがあり、P+β~=βとなる。0=g(β,β)=g(P+β~,P+β~)=g(β~,β~)/2なのでβ~はnull 2-formである。さらに
0=g(P+β~,P+β~)=14(g(β~,β~)g(β~,β~)2ig(β~,β~))=12(g(β~,β~)ig(β~,β~))
となるので、g(β~,β~)=g(β~,β~)=0となる。
g(β~,β~)=0β~β~=0なので、β~=xy, x,yTpMとなる(appendix)。
g(β~,β~)=0なので、x,yは退化した2次元面Nを張る。Nの基底としてunit spacelikeベクトルe1とnullベクトルke1kとなる組{e1,k}が取れる。x,ye1,kの線形結合で書けるので、β~e1kとなり、kを適当にrescaleすればβ~=2e1kとなるとしてよい。よって適当なnull tetrad {m,m¯,l,k}があり、β=P+β~=mkとなる。

Petrov分類

 Weylテンソルが0でないとき、2形式βで表されるplaneがprincipalであるとは、W(β,β)=0となることを言います。self-dual principal null planeを見つけるには、zに関する方程式
W(m+zl,kzm¯,m+zl,kzm¯)=0
を解けばよいことになります。
W(m+zl,kzm¯,m+zl,kzm¯)=W(m,k,m,k)+2z(W(m,k,m,m¯)+W(m,k,l,k))+z2(2W(m,k,l,m¯)+W(m,m¯,m,m¯)2W(m,m¯,l,k)+W(l,k,l,k))+2z3(W(m,m¯,l,m¯)W(l,k,l,m¯))+z4W(l,m¯,l,m¯)=Ψ0+4Ψ1z6Ψ2z24Ψ3z3+Ψ4z4(1)
となり、この方程式の解zに関する場合分けを考えることで以下のPetrov分類を定義します。

Petrov分類

Weylテンソルが点pMにおいて、algebraically generalまたはPetrov type Iであるとは、(1)が4つの異なる根を持つときをいう。algebraically generalでないとき、algebraically specialであるという。algebraically specialのときさらに以下のPetrov typeがある
II:2重根1つと単根2つを持つ
III:3重根1つと単根1つを持つ
D:2重根を2つ持つ
N:4重根を1つ持つ
O:Weylテンソルは点pにおいて0

Petrov分類は(1)の根たちの重複度が変化して、異なる根同士が合流して一致することで退化してtypeが推移していきます。可能な推移の仕方は以下の図に示されています(これをPenrose図と呼ぶことがある)。
Petrov分類の退化推移図 Petrov分類の退化推移図

 (1)を計算するときに、(W+,U+)を使うと簡単に計算することができます。self-dual null planeは基底{mk, m¯l, lkmm¯}に関して、β=T(1,z2,z)と表されるので
W(m+zl,kzm¯,m+zl,kzm¯)=g(β,W+β)=(1,z2,z)(010100002)(Ψ2Ψ42Ψ3Ψ0Ψ22Ψ1Ψ1Ψ32Ψ2)(1z2z)=Ψ0+4Ψ1z6Ψ2z24Ψ3z3+Ψ4z4
となります。

Petrov分類に関する基本的な命題

 基本的な命題を示します。

4次元時空(M,g)の任意の点pにおいて、適当な近傍UU上のnull tetrad{m,m¯,l,k}があり、Ψ0=0となる。

type Oのときは自明なので、それ以外の場合であるとする。
pの任意の近傍Uでnull tetradを任意にとると、(1)はΨi:UCを係数に持つ方程式である。Ψiは連続であるからU上で少なくとも1つのprincipal self-dual null planeが存在する。点pでの重複度qが最小の根に対応するprincipal self-dual null planeをβとする。必要ならUを小さく取り直すことで、U上でβに対応する根の重複度がqとり小さくならないようにすることができる。
β=mkとなるように必要ならnull tetradを取り換えると、新しいnull tetradに関する(1)はz=0を根に持つからΨ0=0である。

 上の命題よりprincipal self-dual null planeは少なくとも1つは存在し、適当なnull tetradを取ればΨ0=0にできることが分かったので、同様の議論を繰り返すことで重複度に関するΨiの条件が得られます。

4次元時空(M,g)上の近傍Uにおいて、Nをprincipal self-dual null planeとし、U上でNの重複度qは一定であるとする。このとき、U上のnull tetrad {m,m¯,l,k}β=mkとなるように取ると、このnull tetradに関して以下が成り立つ。

q=1のとき、Ψ0=0,Ψ10
q=2のとき、Ψ0=0,Ψ1=0,Ψ20
q=3のとき、Ψ0=0,Ψ1=0,Ψ2=0,Ψ30
q=4のとき、Ψ0=0,Ψ1=0,Ψ2=0,Ψ3=0,Ψ40

逆に、U上で上記のΨiに関するいづれかの条件を満たすnull tetradが存在すれば、βの重複度は上記に対応する数になる。

 以上の考察から自明に以下の命題を得ます。

4次元時空(M,g)上の近傍Uにおいて、algebraically specialであるために必要十分条件はΨ0=Ψ1=0を満たすnull tetradが存在することである。

 命題2のq=2の条件ではtype IIとtype Dを区別することが出来ません。type Dは以下のようになります。

type DΨ0=Ψ1=Ψ3=Ψ4=0, Ψ20

z=0が2重根であるとする。このときΨ0=Ψ1=0, Ψ20であるから、
W+=(Ψ2Ψ42Ψ30Ψ200Ψ32Ψ2)
である。このW+の固有値と固有ベクトルの組は、単純な計算で
λ1=Ψ2, v1=(100)λ2=2Ψ2, v2=(2Ψ33Ψ201)
であると分かる。
U+のnull planeはT(1,z2,z)またはT(0,1,0)に比例したベクトルである(後者はz=に対応している)。v2はどちらでもないから、z=0以外の重複度2の固有ベクトルはの固有値もλ2=Ψ2でなければならない。またその固有ベクトルはv1以外のnull planeなのでv2=T(0,1,0)としてよい。W+v2=Ψ2v2であるためには、Ψ3=Ψ4=0である。
逆は明らかである。

 以上よりPetrov分類の同値な以下の定義が得られました。

Petrov分類

4次元時空(M,g)の点pMにおいて以下の各条件を満たすnull tetrad {m,m¯,l,k}が存在する時、pにおいてWeylテンソルはそれぞれPetorv type I,II,D,III,N,Oであるという。

type I: Ψ0=0,Ψ10
type II: Ψ0=0,Ψ1=0,Ψ20
type D: Ψ0=0,Ψ1=0,Ψ20,Ψ3=0=Ψ4=0
type III: Ψ0=0,Ψ1=0,Ψ2=0,Ψ30
type N: Ψ0=0,Ψ1=0,Ψ2=0,Ψ3=0,Ψ40
type O: Ψ0=0,Ψ1=0,Ψ2=0,Ψ3=0=Ψ4=0

appendix

WeylテンソルとHodge starの可換性

 [W,]=0を示します。

Fabcdをリーマンテンソルと同じindexの対称性を持つテンソルとし、gacFabcd=kgbdを満たすとします。k=0のときは、FはWeylテンソルWと見なせ、k0のときはEinstein空間のリーマンテンソルと見なせますので、[F,]=0を証明すればよいです。

{e0,e1,e2,e3}をo.n.b.とします。gacFabcd=kgbdを成分ごとに書き下すと
(00)F1010+F2020+F3030=k(11)F0101+F2121+F3131=k(22)F0202+F1212+F3232=k(33)F0303+F1313+F2323=k(01)F2021+F3031=0(02)F1012+F3032=0(03)F1013+F2023=0(23)F0203+F1213=0(31)F0301+F2321=0(12)F0102+F3132=0
となります。
(00),(11),(22),(33)は
k=F0101F0202F0303=F2323+F3131+F1212
α{F0101+F2323=0F0202+F3131=0F0303+F1212=0
と同値です。実際、(00),(11),(22),(33)を全て足せば最初の式の2つ目の等号が得られ、これと(11),(22),(33)とをそれぞれ引き算すればαが得られます。

また残りの式を整理すると
β{F0212=F3103F0112=F2303F0131=F2302γ{F0203+F3112=0F0103+F2312=0F0102+F2331=0
となります。

F:Λ2TpM×Λ2TpMRと見なして、基底{e0e1,e0e2,e0e3,e2e3,e3e1,e1e2}に関してFの成分を行列で書くと
F=(01020323311201F0101F0102F0103F0123F0131F011202F0202F0203F0223F0231F021203F0303F0323F0331F031223F2323F2331F231231F3131F311212F1212)=:(ABCD)
ここで、A,B,C,Dは3x3の対称行列でtB=Cを満たします。

α,γよりA=Dが分かり、βよりtB=Bが分かります。よって
F=(ABBA)
が分かります。よって
F=(I300I3)(ABBA)=(ABBA)=AI2+BJJ=(0110)
となります。またHodge starはこの基底に関して
=I2J
と表されるので、[F,]=0が分かります。

2形式の分解性

 2形式βΛ2Vx,yVを使ってβ=xyと書けるとき、βは分解可能であると言います。βが分解可能ならββ=0となりますが、実は逆も成り立ちます。この記事で必要なのはdimV4のときなので、以下の命題を示します。

dimV4のとき、2形式βΛ2Vが分解可能であることとββ=0となることは同値である。(実は何次元でも成り立つ)

dimV=2のときは自明。
dimV=3のとき、ベクトル積の存在より、任意のベクトルを適当な2つのベクトルの外積で表せることは明らかである。
dimV=4のとき、Vの基底を{e0,e1,e2,e3}とするとき、β=e0k+αと表せる。ここでα{e1,e2,e3}と関連が無い2形式であり、α=vw, v,wVと表せるとしてよい。e1kが従属なら証明は終わりなので、従属でないとする。ββ=e0kvw=0であるから、この4つは一次従属である。よってk,v,wが一次従属であり、βが分解可能であると分かる。

参考文献

[1]
A. ROD GOVER, C. DENSON HILL, AND PAWEL NUROWSKI, SHARP VERSION OF THE GOLDBERG-SACHS THEOREM, https://arxiv.org/pdf/0911.3364
[2]
B. O'Neill, Geometry of Kerr Black Holes
投稿日:12
更新日:122
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Submersion
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専門は相対論やLorentz幾何です。Einstein系の厳密解の構成や接触幾何の応用などの研究をしています。Ph.D保有者の中ではクソ雑魚の部類です。

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  1. Weylテンソル
  2. なぜPetrov分類を考えるのか
  3. Weylテンソルのself-dual, anti self-dual分解
  4. Weylスカラー
  5. self-dual null plane
  6. Petrov分類
  7. Petrov分類に関する基本的な命題
  8. appendix
  9. WeylテンソルとHodge starの可換性
  10. 2形式の分解性
  11. 参考文献