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現代数学解説
文献あり

順序統計量 is 何

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はじめに

統計を勉強していると順序統計量に出くわした.

[ 久保川統計 定義5.24]

Pを確率分布, X1,,Xn,i.i.d. Pとする. 小さい順に並び変えたものをX(1)X(2)X(n)で表し順序統計量という.

...また, 標本の値を昇順に並び替えたものをX(1),X(2),,X(n)としたとき, これらを順序統計量とよぶ.

関数を小さい順に並び変える??統計量なのに標本の値??となったので定義を確かめる.

順序統計量

Pを確率分布, X1,,Xn:ΩR,i.i.d Pとする.
任意のωΩに対し, Xω=(X1(ω),,Xn(ω))Rnが定まる. Xωの成分を昇順に並び変えたものをX(ω)=(X(1)(ω),,X(n)(ω))とおく. すなわち,
X(1)(ω)X(2)(ω)X(n)(ω)R.
このときj{1,,n}について, ωに対しX(ω)の第j成分を対応させる写像X(j):ΩR,ωX(j)(ω)を順序統計量と呼ぶ.

これで順序統計量の定義ができた. 次に久保川統計における
X(1)X(2)X(n)
を考える. 関数の間の不等号とは何か, である. Map(Ω,R)において
f,gMap(Ω,R),fgdefωΩ,f(ω)g(ω)
と定めるとMap(Ω,R)上の半順序となる. この意味でX(1)X(2)X(n)X(j)の定め方から成り立つ.

より精密に

確率変数は可測集合の逆像が可測であることが求められるのでそれをチェックする.

hi:RnR
(x1,,xn)x(i)wherex(1)x(2)x(n){x1,,xn}
で定める. このときhiはボレル可測である.

aRに対し, hi1((,a))
(1)k=1i(,a)×k=i+1nR
およびその順番を入れ替えた集合の和集合として書ける. (1) はRnの開集合であるから, hi1((,a))B(Rn). よってhiはボレル可測.

[ ex. 中島確率論 問1.2.12, 吉田ルベーグ 例2.1.5]

X1,,Xn:ΩR: 確率変数, f:RnRをボレル可測関数とする. このとき, f(X1,,Xn)は確率変数である.

これで順序統計量の定義ができる.

(Ω,F,P)を確率空間とし, X1,,Xn:ΩR: 確率変数とする.

補題1, 2によって, 合成 hi(X1,,Xn):ΩRは確率変数.
X(i):=hi(X1,,Xn)と書き, 順序統計量と呼ぶ.

参考文献

[1]
久保川達也, 現代数理統計学の基礎
[2]
日本統計学会 編, 統計学実践ワークブック
[3]
中島誠, 例と演習で学ぶ 確率論, 筆者が見てたのはWEBサイトにあった講義ノート(今はない)
[4]
吉田伸生, ルベーグ積分入門
投稿日:39
OptHub AI Competition

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Rinake
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