ギザの大ピラミッドに関する謎は、多くの場合その建設方法に目を向けられるが、実は数学的な謎もある。
ギザの大ピラミッドは底辺が230.37m、高さが146.6mの正四角錐の形をしてる。
①底面の周の長さを高さで割るとほぼ円周率になる
②側面積を底面積で割るとほぼ黄金数になる
といった性質がある。
底辺と高さの条件から、計算すると確かに
この2つが成立すると分かるだろう
もちろんこの2つは正確には両立しえないため、0.001程度の誤差が必ず生まれる。数学者たちはこれを偶然の産物と呼ぶが、ほんとに偶然と決めつけていいのだろうか…
この記事は、この現象が偶然ではないことを証明しよう。
まず、ピラミッドをつくる上で、①が正確に成立すると仮定しよう。なぜか。ピラミッドは元々は半径と高さが一致するような円錐を正四角錐で再現しようとしていたという説が有力だからだ。また、数学的にもこちらから仮定したほうが精度が高くなるので都合が良く、その点も後で説明する。
正方形の一辺をa,高さをhとして、
①より、4a/h=2π
h=2a/π
側面の三角形の高さは
√((a/2)^2+(2a/π)^2)=√(a^2/4+4a^2/π^2)
と表せるので、側面積は
2a√(a^2/4+4a^2/π^2)
これを底面積で割ると、aが消えて
√(1+16/π^2)
これが黄金数に近いことが言えたらよい。
黄金数はこのように連ルート展開できる
(1+√5)/2=√(1+√(1+√…))
(1+√5)/2=φとして、φ^2=φ+1が成立するから
φ=√(1+φ)
このφに直接上の式を代入するという作業を繰り返して、獲得する
連ルート展開で近似精度を向上できる
具体的には、α_1>φとして、
α_(n+1)=√(1+α_n)
このとき、
α_1>α_2>…>φ
lim(n→∞)α_n=φ
バーゼル問題
π^2/6=1/1^2+1/2^2+1/3^2……
π^2<10
定理4を用いる
1/n^2<2/(2n-1)+2/(2n+1)
よって
π^2/6<1+(2/3-2/5)+(2/5-2/7)+…
=5/3
π^2<10
フィボナッチ数列の隣り合う二項の比は黄金比に近づく
ビネの公式より、
F_n=1/√5(φ^n-(1-φ)^n)
ここで、(1-φ)^nは限りなく0に近づくため、
F_(n+1)/F_n〜φ
16/π^2〜16/10(定理4)
〜8/5
〜φ(定理5)
√(1+16/π^2)は定理2より、さらにφに
近づく。
これらのことから、偶然ではないことが分かった。