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OMC対策(G分野:垂心に関する知識)

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本記事の前提知識

 垂心を知っていれば十分である.
 なお,垂心に関する構図は数多くあると思うが,本記事では「水レートを目指すならまずはこのくらい」というものだけ扱っている.

垂心の基本

 まず,次の$2$つは最も基本的なものである.

性質1.共円について

 点$H$$△ABC$の垂心である.
 このとき,共円である$4$点の組がいくつか存在する(例:$(A,F,H,E)$は共円である). 
 


(問題)$(A,F,H,E)$が共円であることを示せ.また,そのような$4$点の組を,図からできるだけ多く発見せよ.

答え
 $\angle AFH+\angle AEH=180°$から従う.
 他に$(B,D,H,F),(C,E,H,D),(A,B,D,E),(B,C,E,F),(C,A,F,D)$も共円である.
性質2.角度について

 図1中の,線分と線分によってできる全ての角度は,$\angle A, \angle B, \angle C$のみを使って表すことができる.


(問題)実際に確かめよ.

ヒント
 頂点$A,B,C$の周りの角は,全て$90°-\angle X$という形をしている.
 頂点$D,E,F$の周りの角については,性質1を用いればよい(円周角の定理を用いよ).

垂心に関する基礎知識

 「基礎」と書いてはみたが,競技数学における基礎知識である.受験数学でここまで求められることはまずないだろう.

垂心と外接円1

 $△ABC$の垂心,外心をそれぞれ$H,O$とする.$BC$の中点を$M$$AA'$が円$O$の直径となるような点を$A'$とする.$AH$と線分$BC$$A$を含まない方の円弧$BC$との交点をそれぞれ$D,H'$とする.このとき

  • $H,H'$は直線$BC$について対称な位置にある
  • $H,A'$は点$M$について対称な位置にある
  • $A',H'$は直線$OM$について対称な位置にある

 証明は角度追跡でできる.

垂心と外接円2

 $△ABC$の垂心,外心をそれぞれ$H,O$とし,$OA=R$とする.
 このとき$AH=2R \cos A,BH=2R \cos B, CH=2R \cos C$が成り立つ.

 証明は三角比の定義に従って計算すればよい.もちろん正弦定理も使う.

Euler線(オイラー線)

 $△ABC$の外心,重心,垂心をそれぞれ$O,G,H$とする.これらの$3$点はこの順に一直線上に並び,これをEuler線という.$OG:GH=1:2$である.

 証明は例えば 高校数学の美しい物語 を参照.

 まずはここまで知っておけばよいと思うが,追加でもう一つ挙げるなら九点円だろうか.

九点円(フォイエルバッハ円)

 $△ABC$の垂心,外心をそれぞれ$H,O$とする.次の$9$点は同一円周上に存在する.

  • $AH$$BC$の交点,$BH$$CA$の交点,$CH$$AB$の交点
  • 線分$AH,BH,CH$の中点
  • 線分$AB,BC,CA$の中点
     その円を九点円(フォイエルバッハ円)と呼ぶ.円の中心は$OH$の中点である.

 九点円の存在の証明は,中点連結定理を使うのは最も単純だろう.参考として Wikipedia

 ベクトルが得意であれば(Euler線を含めて)以下の説明も好まれるだろう.
 $\overrightarrow{OA}=\overrightarrow{a},\overrightarrow{OB}=\overrightarrow{b},\overrightarrow{OC}=\overrightarrow{c}$とおくと,$\overrightarrow{OH}=\overrightarrow{a}+\overrightarrow{b}+\overrightarrow{c}$が成り立つことが知られている.
 さらに重心の性質から$\overrightarrow{OG}=\dfrac{\overrightarrow{a}+\overrightarrow{b}+\overrightarrow{c}}{3}$なので,Euler線の性質が従う.
 次に$9$点円である.$BC$の中点,$AH$の中点をそれぞれ$M_1,M_2$とおくと,
  $\overrightarrow{OM_1}=\dfrac{\overrightarrow{b}+\overrightarrow{c}}{2}, \overrightarrow{OM_2}=\overrightarrow{a}+\dfrac{\overrightarrow{b}+\overrightarrow{c}}{2}$
であり,その中点は$\overrightarrow{ON}=\dfrac{\overrightarrow{a}+\overrightarrow{b}+\overrightarrow{c}}{2}$となる.これは線分$OH$の中点に一致する.
 また,$AH$$BC$の交点を$D$と置くと,$\angle M_1DM_2=90°$より,点$D$$M_1M_2$を直径とする円上に存在する.

垂心に関する問題

 OMCでは,垂心を用いた問題は非常に多く出題されている.以下,OMCの例題を挙げておく.

OMCの例題
OMC025(B)
OMCB004(H)
OMC080(D)
OMCB010(E)
OMC207(H)
OMC101(F)
OMC097(F)
OMC189(F)
投稿日:322
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て
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