一般化二項係数を次のように定義する.
また
と定められ, 性質として
をガンマ関数といい,
をベータ関数という. 性質として
微分方程式ではしばしば計算法として, 演算子
伝統的に分数階微分積分学と書いてあるが, 分数だけでなく複素数にも適応可能である.
この定義は微分から始める定義である.
ここで
以下,
総和の順を逆に取ると
この定義は
別の定義として総和の上限を定めることもある. 今記事では上限を
よって,
微分する関数を
この公式の階乗をガンマ関数に拡張することで複素数階積分に一般化できる.
線形性
積分の線形性から
となる.
結合法則
積分順序を入れ替えて
ベータ関数の性質より
となる. 逆も同様に示せる.
である.
畳み込みのラプラス変換より
ここでは省略するが, この演算子は線形性と結合法則を満たす.
積分の定義はRL分数階積分と同じである.
Riemann–LiouvilleとCaputoの違いは微分を先にするか後にするかであるが, 微分方程式を解く上では必要な初期値が異なる.
RLの定義は
Caputoの定義は関数を微分した後で積分する.
このように必要な初期値に違いがあり, 整数階の初期値を使うCaputoの定義がよく好まれる.
Cauchyの反復積分に関する公式より
これより
和の各項にベータ関数を適応して
よって
となる.
RL微分の意味で分数階微分を定義する.
積分について
非整数階微分方程式を解くときに現れる関数を導入する.
一応, 場合分けをしたが解答の式に
となる.
Caputoの定義で解く.
ガンマ関数を用いて
この結果より
を得られる.
次の微分方程式を解け.(
Caputoの定義で解く. ラプラス変換を取ると
物理学の微分方程式のモデルとして稀に使われることがある分数階微積分学の導入を個人的にまとめた. 活用先は特にないが, なんでも複素数に拡張しておくといざというときに便利と思う.